軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第158話 ウチの子も魅了魔法が使える

俺は土曜日になると、朝から名古屋のホテルに行き、チェックアウトした。

ホテルを出て、駐車場で車に乗り込むと、名古屋の街中を走らせる。

そして、適当なスーパーを見つけたので駐車場に入り、死角となりそうなスペースに止めた。

「さて、戻るか……」

俺は一応、見ている人がいないかを確認し、転移を使った。

すると、我が家の自室に一瞬で戻ってくる。

「本当に転移は便利だわ」

独り言をつぶやきながらリビングに戻ると、そこにはテレビを見るルリとこちらの世界の服を着たモニカがいた。

「あれ? モニカ、朝からなんて珍しいね」

モニカは大抵、夕方にやってくる。

早く来ても昼くらいだ。

「おはようございます。今日はキョウカさんとお出かけなんですよね? なので私達も買い物に出かけることにしたんです」

へー……

寒いのにルリが出かけるなんて珍しいな。

「ルリ、大丈夫?」

「はい。今日はそこまで寒くないですし、明日のお姉ちゃんの誕生日会で作る料理の材料を買いに行くんです」

なるほど。

「気を付けてね」

君ら、戸籍ないコンビだし。

「はい。モニカさん、そろそろ行きましょうか」

「ええ」

早くない?

「まだ9時だよ?」

「昨日、モニカさんと話して、料理の買い物の他に色々と見て回ろうっていうことにしたんです。私達、テレビやネットで情報は知ってますけど、実際に見たことがないものも多いですし」

へー……

「そっか。じゃあ、いってらっしゃい。好きなものを買ってもいいからね。給料も上がりそうだし、特別ボーナスも出そうだから」

「ありがとうございます。じゃあ、いってきます」

「いってきます」

ルリとモニカはそう言って、出ていってしまった。

俺はコタツに入ると、コタツの中からミリアムを引っ張り出して膝に置いた。

「ミリアムは行かないの?」

「行かないにゃ。昨日、お前が風呂に入っている間に話しているのを聞いたけど、服がどうちゃらとか入浴剤がどうちゃらだったにゃ。興味ないにゃ」

確かにミリアムは興味ないだろうな。

服を着ないし、風呂も嫌いだし。

「一緒に温泉行く?」

「行かないにゃ。何をビビってるんだ?」

ビビってはないよー。

「考えないようにしてたけど、キョウカと温泉ってマズくない? 犯罪じゃない?」

「向こうの親がいいって言ってるなら問題ないにゃ」

キョウカのお母さんに電話したら『まあ! ウチの新婚旅行も温泉でしたよ!』って言われた。

過去一で反応に困った。

「まあ、何かをするわけじゃないからいいか」

「お前、猫的からすると情けないオスにゃ」

猫さんは社会的倫理が必要ないじゃん。

「ミリアムは恋猫とかいないの?」

「恋猫って……恋人みたいに言うにゃ。私はそもそも悪魔だからそういうのに興味がないにゃ」

「でも、興味津々な悪魔もいるじゃん」

どっかの誰かさん。

「そういうのもいるだろうけど、基本は興味ないにゃ。ほら、これまで見た上級悪魔共も変人ばかりだったろ? 悪魔はそもそも人間とは考え方も生き方も違うから同列に考えてはいけないにゃ」

「なるほどー。ミリアムも違うの?」

「そもそも見た目が人じゃないにゃ。猫にゃ。悪魔の中には蛇とかもいるにゃ」

蛇、きらーい。

「蛇の悪魔が出たらミリアムに任せるよ」

「わかったにゃ。蛇より猫の方が強いにゃ」

捕まえてこないでね……

俺とミリアムは2人でテレビを見ながら過ごしていく。

昼になり、昼食を食べると、呼び鈴もなっていないのに玄関の扉が開く音が聞こえてきた。

『ただいまー』

ルリでもモニカでもない女性の声が聞こえてくる。

もちろん、キョウカだ。

「もう堂々とただいまと言ったにゃ……」

「ふ、夫人らしいから……」

俺達が呆れていると、私服姿のキョウカが笑顔でリビングにやってきた。

「こんにちはー」

キョウカは挨拶をし、俺からミリアムを奪うと、コタツに入る。

「こんにちは。迎えにいけなくてごめんね」

「それは仕方がないですよー」

ニコニコと話すキョウカはいつもよりテンションが高く見えた。

「今さらだけど、本当に温泉に行く? あまり若い子は好きじゃないイメージがあるんだけど……別に違うところでもいいよ?」

「そんなことないですよ。私も温泉好きですしね。それに温泉に行くのは中学の修学旅行以来だと思っていましたが、旅行自体がそれ以来でした。まあ、異世界には行きましたけど」

ラヴェル侯爵の家に泊まったね。

「あまり家族とかで行かない感じ?」

「皆、忙しいですからねー。外食とかには行くんですけど、家族旅行は小学校の時に行った以来ですかね?」

まあ、3人兄弟だし、名家だから忙しいのかもしれない。

「そっかー。じゃあ、行こうか。ほぼ車の中だけど」

「楽しいじゃないですか。ミリアムちゃんも行く? お姉ちゃんとお風呂に入る?」

多分、姿を消すんだろうけど、猫を温泉に入れるのはどうだろう?

「行かないにゃ。お風呂嫌いにゃ」

「猫さんだなー」

キョウカがニコニコ顔でミリアムを撫でる。

「猫にゃ。いいからさっさと行くにゃ。私はお留守番してるにゃ」

ミリアムは尻尾を振りながらそう言って、コタツの中に入っていった。

尻尾がとてもキュートだ。

「可愛い! あれ? もう1人の可愛い子は? 私の娘は?」

娘じゃないから。

「ルリはモニカと買い物に行った。明日の料理の材料を買いに行くのとこっちの世界の物を色々見てくるんだってさ」

「あー……この前、ネックレスを買いに行く時もキョロキョロと店とかを見てましたからね」

その時に気になったのかもしれないな。

「そういうわけで家はミリアムに任せるよ。行こうか」

「はーい」

俺は転移魔法を使い、キョウカを連れて、再び、名古屋に戻った。