軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第149話 桐ヶ谷さんに報告

転移で俺の部屋に戻り、扉を開けてリビングに行くと、そこにはルリの他にもモニカとユウセイ君がコタツに入っていた。

「あ、戻ってきた……って、キョウカは何をしてるんだ?」

ユウセイ君が俺に抱きついているキョウカを見て呆れる。

「ちょっと暗くてね……」

「あー……」

ユウセイ君が時計を見ながら納得する。

「遅かったですね。お姉ちゃん、大丈夫です?」

ルリが首を傾げた。

すると、キョウカが俺から離れ、ルリのところに行く。

「ルリちゃーん、お姉ちゃん、怖かったよー」

キョウカはルリを後ろから抱きしめると、頬ずりをした。

「そうですか……」

ルリはものすごく嫌そうだ。

「ちょっと進展があってね。それで俺は一度、ホテルに行って桐ヶ谷さんに電話してくる」

ここは人が多すぎる。

俺は一人で名古屋に行っていることになっているし、誰かがくしゃみをしたらまずいからそっちで電話した方が良いだろう。

「わかりました。じゃあ、私は夕食の準備をします…………お姉ちゃん、離れて」

「手伝うよー」

「わかりましたから離れてください」

ルリがお姉ちゃんを引きはがそうとしている。

「今日はお姉ちゃんと一緒に寝ようか」

「嫌です。タツヤさんと一緒に寝ます」

「3人かー……」

「話が通じない……」

ほっとこ。

「ミリアム、悪いけど、皆に説明しておいてくれる?」

「わかったにゃ」

「じゃあ、行ってくる」

俺は転移を使い、騒がしいリビングから寂しいビジネスホテルの一室へと飛んだ。

そして、ベッドに腰かけると、桐ヶ谷さんに電話をする。

『もしもし? 山田さん?』

桐ヶ谷さんの声だ。

「ええ。山田です」

『どうしました?』

「その前に桐ヶ谷さんはどちらに?」

『今日はもう上がったので家の自室です』

協会ではないか。

「仕事終わりですみません」

『いえいえ。いいんですよ。今日から調査と聞いていますが、どうでした?』

「それなんですけど、かなりの進展がありました」

『ほう! さすがですね。それで?』

桐ヶ谷さんは大丈夫だろう。

怪しい人だけど、信用はできる。

「3階の更衣室のロッカーに召喚の魔法陣がありました。ビルの中に充満する魔力の残滓はそれを隠すためのものかと……」

『ほう……3階ですか』

こりゃ気付いたな。

金に目がくらんでいる俺とは違うわ。

「はい。3階です」

『なるほど……ちなみに、お一人で見つけたんです?』

「ええ。偶然」

『橘君ですか……』

バレるの早っ!

「何のことです?」

『ふふっ、まあいいでしょう。橘家はあなたに橘君を差し出したようですし』

はい?

「どういう意味ですか?」

『ん? 知らないんです? 橘家は橘君を除名しましたよ。橘君は橘家の退魔師ではなくなったということです』

えー……

「すみません。詳しくないのでよくわからないんですけど、それ、どういう意味です?」

『一言で言えば、嫁に出したということです』

あの人達、気が早すぎん?

「あ、あのー、この際だから言いますけど、確かにそういう関係と言えないこともないような感じですけど、まだひと月も経ってなくてですね」

『我々を舐めてはいけません。有望な魔法使いを見つけたら即確保です。向こうは本気ですよ? 婿入りではなく、大事な娘を嫁に出すわけですから』

やべー……

思った以上にキョウカの夫人レベルが高かった……

「嫁に出してもいいんですか? その辺の話はまったく聞いていませんけど」

というか、婿入りじゃないの?

『婿入りをしてあなたが橘家の人間になるのが一番ですが、それは無理と判断したんでしょうね。だから娘を差し出したんです。あなたは無理でもあなたと橘君の子供を確保したいんでしょうね』

こえー……

「いや、橘さんはまだ16歳でして……」

『橘君は今月末に17歳ですね。あと1年です』

…………地味にキョウカの誕生日を教えてくれてありがとう。

そういえば、前に1月生まれって聞いたわ。

あ、いや、そんなことよりも……

「マジです?」

『おや? 16歳の子に手を出して遊びですか? その場合は犯罪になるんですけど…………と橘家は主張しますね』

あ、はい……

手を出してないんですけどね。

「いや、遊びではないです」

『じゃあ、いいんじゃないです? 橘君はちょっと変わったところがありますが、かわいらしくていい子じゃないですか。ウチも年頃の子がいたら差し出したんですけどねー。橘君の行動が早すぎました』

うーん、名家とやらはなんて恐ろしいんだ

キョウカに不満があるわけではないんだけど、いくらなんでも早すぎる。

「すみません。この話はやめません? ちょっとストゼロをイッキしたくなりました」

『お気持ちは察しますが、健康に気を付けてくださいね。まあ、話を戻しましょうか。橘君云々は置いておくとしても魔法陣があったのは事実ですね?』

桐ヶ谷さんが話を戻してくれる。

「はい。間違いありませんし、今でも残っていますので調べてもらえればわかります」

『あなたが私が今一人なのかを確認した理由がわかりました』

「わかりますか?」

『もちろん。十中八九、内通者がいますね』

やっぱりその結論に至るか。

「私もそう思います。協会の支部の3階に侵入するのは容易ではありませんし、そもそもそこまで侵入できるならその時点で襲撃しています」

『そうですね。これは由々しき事態です。すみませんが、山田さんは待機してもらえますか?』

「待機ですか?」

『はい。正直、その魔法陣を設置した者を特定するのは容易です。生き残りは数人ですからね。ですが、こうなると本部も信用できません。事は慎重に当たらないとマズいでしょう』

確かにそうだ。

内通者が支部だけとは限らない。

いや、むしろ、本部の方が怪しい。

「わかりました」

『すみませんね。進展があったらお知らせします。それと橘君と仲良くするのは結構ですけど、節度は守ってくださいね』

今日は平日だもんな、

転移を知らない桐ヶ谷さんは勘違いしているな。

「何のことです?」

とぼけよう。

『はいはい……とにかく、少し待機しておいてください。では……』

桐ヶ谷さんが電話を切ったのでスマホをしまう。

そして、転移で家に帰ることにした。