軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第146話 支部の調査

俺とミリアムは名古屋支部のビルの調査を続けていき、ついには最上階も調査を終えてしまった。

「何かあった?」

俺は支部長室にあったソファーに腰かけ、ミリアムに聞く。

「いや、何も。相変わらず、魔力の残滓は感じるが、それだけにゃ」

それは俺も感じている。

「やっぱりこっそりとキョウカを連れてこようかなー?」

「こっそり? 夜か? スケベ……」

なんでだよ……

「違うよ。キョウカって野生の勘が働くじゃん。常人に気付かないことも気付けそう」

しょっちゅう、色々なことに気付いているし。

「まあにゃー。でも、夜のキョウカは使い物にならないにゃ」

「うーん、明るいうちとなると、土日か放課後、もしくは、昼休み?」

「学校を休ませるわけにはいかないからそうなるにゃ。キョウカに聞いてみるにゃ」

「そうするか……」

俺はスマホを取り出すと、メッセージアプリを開く。

山 田 :キョウカ、休憩時間でいいから連絡ちょうだい

メッセージを送り、しばらく待っていると、着信の音が鳴り響き、スマホ画面を見てみると、キョウカと表示されていた。

通話ボタンを押し、耳に当てる。

「もしもし、キョウカ? 学校なのにゴメン」

『いえいえー。声でも聞きたくなりましたか?』

俺の心の中にいる愛を司る悪魔が否定したらダメと言っている……

「まあ、それもあるね。ただちょっと用事があってね」

『えへへ。何ですー?』

「実は今、例の仕事で名古屋の支部にいるんだよ」

『あー、例のやつですか。仕事中に彼女に電話なんて良くないですよー。ちゃんと放課後には会えるんですから我慢してください』

うーん、調子に乗っている……

「このお花畑に猫パンチしたいにゃ……」

いや、喜ぶだけでしょ。

ミリアムの猫パンチとか絶対にかわいいもん。

「いや、真面目な話。あと、近くに人いないよね?」

友達とか先生に聞かれたら怖いわ。

『いませんよ。それでわざわざ電話してきたのは?』

「実は調査をしているんだけど、さっぱりでねー……勘の鋭いキョウカに見てもらえないかなと思ってさ」

『なるほどー。でも、大丈夫です? 私やユウセイ君には秘密なんですよね?』

「調査員の須藤さん達が2人いるくらいで基本、誰もいないんだよね。だからこっそり来てほしいわけ。だから放課後とか時間ない?」

やっぱり昼休みとか夜はやめた方が良いだろう。

『私は構いませんよ。今日の予定もタツヤさんの家に行くくらいですし』

「じゃあ、お願い。夕方に例のファミレスに迎えにいくから」

『いや、私がタツヤさんのお家に直接行きますよ。タツヤさんは名古屋にいることになっているんですから出歩かない方が良いです』

確かにそうかもしれない。

俺とキョウカがホテルのケーキバイキングに行っているところを見られているし、どこで知り合いに会うかわからない。

「じゃあ、ウチに来てよ」

『わかりましたー。あ、すみませんが、授業が始まるのでまた……』

「うん。ありがとうね」

『いえいえ、妻の役目です』

それ、外で言うのをやめてほしいな……

俺は電話を切ると、スマホをポケットにしまった。

「とりあえず、待つにゃ?」

「そうだね。ちょっと下で須藤君と話そう」

俺達は誰もいない支部長室を出ると、エレベーターに乗り込み、1階のボタンを押す。

そして、1階に降りると、エントランスにあるソファーに腰かけている須藤君のもとに向かった。

「あれ、先輩さんは?」

須藤君は一人でスマホを弄っている。

「支部の周囲を探ってくるそうです。山田さんはどうでした?」

須藤君はスマホをしまい、顔を上げた。

「ちょっと厳しいですね」

「やはりですか……」

「もう少し詳しく調べてみようと思うんですけど、ここっていつでも入れるんですか?」

「入れますよ。そうだ、鍵を渡しておきましょう」

須藤君はポケットから鍵を取り出して渡してくる。

「鍵?」

「ええ。裏の出入口の鍵です。表は警備員が立っていますし、入れないようになっていますからそれを使ってください」

「いいんですか? 須藤さんはどうするんです?」

「先輩がもう一つ持っていますし、俺達はそろそろ東京に戻ります。ちょっと厳しいですわ」

もう帰るのか……

あ、いや、もしかしたらずっとこっちにいたのかもしれない。

「わかりました。お預かりします」

「ええ。勝手に入って結構ですから調査の方をお願いします。ビルの調査もそろそろ打ち切って、街中の捜索に移行すると思いますよ」

調査員がいなくなるのは好都合だな。

キョウカを連れてきやすい。

「須藤さんもそっちに回るんです?」

「どうですかねー? あるかもしれませんけど、東京の方も無視できませんから。最近、東京の方の悪魔も増えてきているらしいですよ」

「そうなんです?」

「ええ。まあ、これは退魔師の皆さんの夜の出歩きを遠慮してもらっているせいですね。多分、そのうち解かれると思いますが、山田さんも気を付けてくださいよ」

解かれるのか。

いや、そりゃそうか。

悪魔を倒すのが俺達の仕事だし、いつまでも引きこもっているわけにはいかない。

「わかりました。無理をしない程度に頑張ります」

「ええ。お願いしますよ」

俺は頷くと、時間を潰すため、一度ビルを出て、車に乗り込んだ。