軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第140話 そうだ、温泉に行こう!

「それで電話の内容は?」

ユウセイ君が聞いてくる。

「実は名古屋で調査員の人達が調査をしたみたいなんだけど、全然、成果がなかっただって」

「成果がないのか……足取りが掴めない感じ?」

「そうそう。確かに悪魔の魔力は支部に残っているんだけど、そこからはさっぱりだってさ」

「支部を壊滅させたことからしても上級悪魔は確実だな」

でしょうね。

「それで俺に調査の依頼が入った」

「え?」

「マジ?」

2人がまじまじと俺を見てきた。

「以前、学校の魔法陣を追ったでしょ? あれで協会の人達は俺が探知を得意だと思っているらしい。実際は苦手なんだけど」

「私のおかげにゃ」

そうだねー。

なでなで。

「受けるんですか?」

「うん……まあ……」

「危なくないです? 敵がどのレベルかもわかっていないんですよね?」

「まあねー。でも、ミリアムもいるし、いざとなれば転移で逃げられるから」

大丈夫、大丈夫。

「うーん、あんなに慎重なタツヤさんが……」

キョウカはそうつぶやきながら俺の膝の上のミリアムを抱き上げる。

「金目当てにゃ。7級もしくは6級に上がるうえに依頼を受けるだけで300万、しかも、成功報酬でさらに500万にゃ」

「なるほどー……それはすごい」

「高いなー……そりゃ受けるわ」

だよね?

「そういうわけで明後日くらいから名古屋に行ってくるよ」

「えー……出張ですか?」

「一応、そういう形になるし、ホテルも借りるんだけど、基本は転移で帰るよ。ホテルも嫌いじゃないけど、やっぱりウチがいいし。後、土日は休む」

土日はリンゴ村の用事があるかもしれないし、そんなに毎日、働けない。

俺はもう頑張れない身体になってしまったのだ。

「じゃあ、いつもと変わりませんね。ルリちゃんとご飯を作って待ってます」

最近、キョウカはルリと夕食を作り、食べてから帰っている。

もちろん、送り届けているのだが、夫人レベルが上がっている。

もっとも、貴族の夫人が料理をするのかは知らない。

「名古屋土産をよろしく…………名古屋?」

名古屋の土産って何だろ?

「手羽先?」

「それだ。よろしく」

まあ、売ってると思うし、買うか。

俺達は話を終えると、いつものようにそれぞれが好きに過ごし始めた。

6時を過ぎると、ルリとキョウカが料理を作り出し、モニカがやってくる。

そして、夕食を食べながらモニカに名古屋に行くことを説明した。

「名古屋ですか……どうやって行くんです? 新幹線ですか?」

それが一番だろうけど……

「せっかくだし、車で行こうかなーって思ってる」

「タツヤ様、ドライブがお好きですね」

「まあね。ルリさ、せっかくだし、一緒に行かない? 道中で温泉にでも行こうよ」

俺は桐ヶ谷さんの電話を受けてから宿泊施設や移動手段をネットで調べていたのだが、道中に有名な温泉があることに気付いたのだ。

「温泉ですか? 前に言ってましたね。良いと思いますけど、いいんですか?」

「大丈夫、大丈夫。仕事も別に急ぎってわけでもないし、明後日に温泉に行って、そのまま名古屋に行く感じ。ルリ、お風呂好きでしょ?」

ルリは寒いのが嫌いで温かいのが好きだ。

「私は嫌いにゃ」

君はねー……

本当にお風呂が嫌いだもんね。

「お風呂に入らなくても海の幸が食べられるよ?」

「行くにゃ」

わかりやすい猫さんだわ。

「ルリも行こうよ」

「はい。行きたいです」

「じゃあ、明日準備をしよっか」

「はい」

俺は予定を決め、夕食を食べ終えると、ユウセイ君とキョウカを送っていくことにした。

最初に近いユウセイ君を家に送り届け、キョウカの家に向かう。

「温泉ですかー。いいですね。ルリちゃん、喜んでいましたよ?」

キョウカが嬉しそうに笑った。

「そう?」

「口角が緩んでましたもん。あの子、あまり表情を出しませんけど、わかりやすいです」

まあね。

チョコを食べている時とかすごく幸せそうなオーラを出すし。

「喜んでもらえたら嬉しいよ。いつもルリに家事をお願いしてるし」

「まあ、好きでやってるって言ってましたよ?」

俺もそう聞いているが、面白いのかね?

「あの子、趣味とかないんだろうか?」

「テレビが好きって言ってましたね。面白いんですって」

いつも見てるもんな。

不倫のワイドショーとかかじりついている。

「まあ、楽しいなら良いんだけどさ」

「タツヤさんと一緒にいれて嬉しいって言ってましたよ? 一緒に寝るのが好きなんだそうです」

そうなんだ……

それにしても、そんなことを話すようになるなんてお姉ちゃんに懐いているな。

ちゃんとチョコ作戦が効いているようだ。

「なら良かったよ」

そのまま話をしながら運転していると、キョウカのマンションの駐車場に到着した。

だが、キョウカは降りようとしない。

「温泉、いいですね」

あー……どうしよ?

「えーっと、行く? 名古屋から帰る時にも通るし」

転移で帰れるが、車のことがある。

「いいんですか?」

いや、よくないよ。

すごくよくない。

「仕事が終わらないと帰れないし、タイミングが合うかはわからないけどね。キョウカと行く場合は土日になるし、空いているかわからないから。どこかに出かけようって話してたし、行けたら行こうよ」

よくないが、今さらだな。

この前も異世界だけど、外泊しちゃったし。

「じゃあ、行きます。お仕事、頑張ってください。それと気を付けてくださいね」

「それはわかってる」

村を守らないといけなかったバルトルトの時とは違い、無理をするところではない。

「では、私は楽しみにして待ってます。まあ、普通に通うんですけどね」

だろうね。

「うん」

「では、帰ります」

キョウカはそう言って、シートベルトを外し、車から出ていった。