軽量なろうリーダー

取り合えずすべて終わらせていいよね

作者: 高月水都

本文

「貴女のお連れ様ですが……かの方は貴女と一緒にいるのは嫌だと逃げ出されて……」

私と連れを召喚した人々の代表だろうなと思われる人が召喚して一晩経ったときにそんなことを言い出した。

「………ふうん」

私の反応を見て、私がそんな嘘を信じたと思ったように、

「不安なのはわかります。ですが、貴女さまは我々がお支えします」

勢い込んで告げてくる様を見て、あり得ないと言いたいのを必死に堪える。

連れ……私の恋人はそんなことで私から離れる人ではない。

そんなことで今更離れるのなら最初から私の恋人になるような人ではないのだから。

過大評価でもなく、嘘偽りでもなく、私はもてる。

昔からその手の告白はされてきて、何度も断ってきた。

どんな断り方をしても傲慢だとか人の心がないと言われた。

試しに付き合ってと言われて、断れないこともあり、付き合ったこともあったが、一緒にいるのは苦痛だったので結局断ったこともあった。

何で初デートで高級レストランに連れていかれるのか。

何でプレゼントに宝石の付いたネックレスとか指輪とかピアスを渡されそうになるのか。

当時中学生の私がそんな所に行っても味なんてわからないし、マナーすら自信ないのにとか。ピアスは校則違反だとか言ったのに誰も私の言葉は建前だと思って本気にしないのだ。そんな苦痛にしかならない相手と一緒にいられるわけない。

だけど、その都度私に対して悪い評判が流れて、お高く留まっているとか無理難題を吹っ掛けてくるとか言われた。

私が派手めな顔立ちなのもあって、自分に自信のある人が告白して来るから余計だろう。自分のことばかり押し付けて、私の希望を聞かない。それで私が断ると自分に非がないと思ってのことだろう。

そんな日々に疲れた私が取った手段は、

『傲慢ならいっそ傲慢になって見せよう』

と好きな異性のタイプをかなりハードルを高めにして、友人に話をした。

顔はもちろん。私よりも背が高い。(私は女性でも長身だった)

成績もよく。(私は進学高校に余裕に入れるほどの成績だった)

もちろん運動も。(私は水泳部で活躍していた)

という条件を付けたら軒並み消えていった。

そうやって手に入れた平穏な生活を。

「じょ、条件を満たしましたっ!! 告白させてください!!」

と言ってきた時にはすでに恋に落ちていた。単純な話だが、そんな性格の悪い条件を素直に実行してまで告げてくる人がいるとは思わなかったし、それが私の本当の好みにハマっている男性ならなおさらだ。

そんな彼が私を捨てるなんてね……。

召喚した方が連れてきた方々はどれも自分に自信が溢れているジャンル違いの美形の方々。

(これって、乙女ゲームとかの攻略キャラみたい……)

「そう言えば、私はなんでこの世界に召喚されたのですか?」

尋ねると召喚してきた人が説明してくる。

魔王がこの世界で暴れていて、それを倒せるのが勇者と聖女だけ。聖女は異世界から来た少女で聖女が勇者を選んで対の関係になることで魔王を倒せるとか……。

「彼らはその勇者候補なのですよ」

「……………」

ふうん。つまり、聖女に 選んでもらう(勇者にしてもらう) のに一緒の男はいらないという考えか。

(不愉快ね)

ああ、全く不愉快。不快。許せない。

「ちなみに――」

でも、顔に出さない。こういう時顔が派手めの分頭は残念だと言われてきた自分の欠点を活かせるか。

「聖女は具体的にどんなことができるの?」

「ええ。――勇者をいつでも目の前に召喚で来て、ケガや病気をすべて消し去る……」

「そう。――来て。和也」

呼ぶと同時に目の前に魔法陣が現れて、私の 恋人(勇者) 和也が現れる。

「 花音(かのん) 。良かった無事だったんだねっ」

まず最初に私の様子を案じてくれる和也。

そんな和也に嬉しくて微笑んでしまう。

「なっ!?」

戸惑っている召喚した面々と勇者候補に向かって冷たく。

「私の意思を尊重せずに勝手なことをしてくるのも許せないけど、まあ。仕方ないからその魔王というのを倒してきます。その間にしっかり私たちが帰れる手段を用意しなさいね。じゃないと」

和也の手にはいつのまにか大きな剣……というか日本刀。

「ゆ、勇者の剣……」

あら、勇者に選ばれると勇者の剣とやらも使えるのね。

「じゃあ、行きましょう。和也」

「そうだな」

二人で手を繋いでその場を後にする。

和也は私の最初に告げた振るい落としの条件をクリアしてくれた。

最初のデートは図書館だった。

『本、好きですよね』

友人しか信じてくれなかったが、大の本好きだった私を珍しい本のあると評判の図書館に連れて行ってくれた。

『タコ焼きとお好み焼き。どちらにします?』

放課後デートで高級レストランに連れて行かれそうになっていたのを助けて私の好きなものを食べるのに誘ってくれた。

見た目だけで私の印象を決めていた者たちと違って、私のことを見て選んでくれた和也は特別だ。

「また、変な輩に狙われたんだ」

大変だったねと城を出てから気遣ってくれる優しさに癒される。

「和也は大丈夫だった?」

城から追い出されて大変だったでしょうと尋ねると、

「まあ、殺されかかったけど、これでも剣道部だからね。返り討ちにした。花音の自称運命の男の送り込んだチンピラよりも手ごわかったよ」

まあ、敵ではなかったけど。

「ごめんなさい……」

「花音は悪くないでしょう。それよりもさっさと魔王に会いに行こうか。もし魔王が話が通じる存在だったら交渉すればいいし」

「そうね。――私の意思を無視して和也を殺そうとする人たちよりも話が通じるかも」

そんな話をして二人で魔王の元に向かったのであった。