軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

⑤⓪

元子爵夫人はレオナール公爵の強い希望もあり、すぐに処刑されることになった。

レンログ子爵は責任を追及されることになり、さらに立場が悪くなってしまったようだ。

爵位も親戚に譲り、辺境の労働施設で死ぬまで働き続けるようだ。

そこでは火魔法が大変重宝されているという。

シルヴィーは手を差し伸べるつもりはなかったし、母も同じ気持ちだった。

彼らにかける言葉は何もない。

母も残りの人生はすべてレオナール公爵に捧げるのだという。

病もすっかりとよくなり、幸せな結婚生活を送っている。

シュマイディト国王の『血は争えないな』と、いう言葉は、レオナール公爵とアデラールのことを指しているらしい。

それからミリアムと元子爵夫人が豪華なドレスを着ていた理由は父が地道に貯めていた金を全額使ったようだ。

それには彼女たちらしいという言葉しか出てこない。

そしてマリアとシルヴィーが着ていたドレスのおかげか、母とシルヴィーがいた高級洋装店は大繁盛。

アデラールの根回しもあり、新たにレース職人を数人雇ったそうだ。

シルヴィーも恩返しで、暇ができたらレースを編んではリーズに送っている。

何より魔法の訓練にもなるからだ。

彼女が助けてくれたことで母もシルヴィーもここに立っていられるのだから。

マリアは相変わらず体調不良に苦しむかと思いきや、徐々に回復していた。

その理由はシルヴィーがプレゼントしたハンカチや小物だと判明する。

最初はそのことを聞いても意味がわからなかった。

シルヴィーの魔法は治癒の力など持っていないからだ。

しかし調べていくうちに新たな魔法が発見されることになる。

なんとシルヴィーの願いが糸と共に織り込まれていたようだ。

『マリアの体調がよくなりますように』

それは魔法で紡いだ糸を通じてマリアにしっかりと届いていた。

シルヴィーは幼い頃からずっと魔法を使い続けていた。

簡単に言えば無意識のうちに糸を操る魔法の最終形態を取得したということらしい。

この結果を受けて、珍しい属性魔法にはまだ知らない魔法が眠っているのではないかということだった。

今まで頭打ち状態だった魔法に新たな道が示された。

ますます珍しい属性の魔法が優遇されるようになるだろう。

けれど、今までシルヴィーのように虐げられた人たちからは、生家に利用されたくないという声が多く集まった。

彼らに恩恵がいくようならばこのままでいい、と。

そのような人たちは王家で保護することとなり、平民になっていて魔法を使える人たちも見つけ出していった。

これからも積極的に支援をしていくそうだ。

魔法学園の設立や新たな魔法の発見など、シュマイディト王国はどんどんと変わっていく。

その象徴がシルヴィーとなり、シルヴィーの存在は貴族たちに受け入れられていった。

数カ月後、マリアの体調も少しずつよくなり、外に出られるようになっていた。

『最初からわかっていたわ。あなたはわたしの女神なのよ!』

マリアの予知通り。彼女に感謝されてシルヴィーは愛され続けている。

アデラールとの関係は少しずつ変化していた。もちろんいい方向にである。

だが、たまに彼の愛情が重すぎて喧嘩になると、アデラールが落ち込みすぎて仕事にならないため側近たちに泣きつかれることもしばしば。

彼からの愛がいつか冷めてしまうのではないか。

心のどこかでそう思ってしまう自分がいたが、今は愛情を与えられすぎて疑うことすら面倒になってしまった。

「大好きだよ。好きすぎて好きすぎてどうしたらいいのかな?」

「……知りません」

「僕がいないとシルヴィーが生きていけなくなったらいいのに」

「それは困ります」

「そうならないと僕が困るんだよ。今となっては十四年も我慢していた僕ってすごいし、どうして我慢できたのかわからないや。シルヴィーの頭の中が僕のことだけでいっぱいになってくれたらなぁ……」

「…………」

「怒っている顔もかわいいね。どうしてこんなにシルヴィーはかわいいんだろう。僕の想いが全部、君に届いたらいいのにね」

完璧だと思っていた彼にもいろんな一面があると知った。

男らしくて、頭が良くて、なんでもできて優しいけれど、子どもっぽい一面や独占欲が暴走してしまい周りに迷惑をかけてしまったりするところも。

マリアによればシルヴィーのこととなるとアデラールは別人のようになるそうだ。

けれどただ一つはっきりわかることは、彼と共にいて幸せだということ。

「…………伝わってますよ」

シルヴィーはアデラールの唇に触れるだけのキスをする。

彼のライトブルーの瞳が大きく見開かれた。

「まさかシルヴィーからキスをしてくれるなんて……もう一回してくれないかな?」

「恥ずかしいから嫌です」

「シルヴィー、お願い」

「かわいく言ってもだめです」

「うっ……」

落ち込むアデラールを見てかホレスが駆け寄ってくる。

「けんかはだめっ……!」

「ホレス、ごめんね。喧嘩はしていないわ」

「シルヴィーはホレスに甘いんだよ」

「当たり前です」

シルヴィーはホレスを抱きしめて頬にキスをする。

するとホレスもお返しだと言わんばかりにシルヴィーの頬に唇を寄せた。

「母上、だいすき」

「わたしも愛してるわ!」

ホレスは満面の笑みを浮かべた。

その後にアデラールの頬にもキスをしたホレスは満足したのかエマとジェームズの元へと戻っていく。

「ねぇ、シルヴィー。僕には?」

「ふふっ、あなたは子どもみたいね」

「こんな姿は君にだけだよ」

「……知っているわ」

アデラールはシルヴィーに覆い被さるようにして抱きしめた。

シルヴィーも彼に身を預けながら幸せを噛み締める。

「わたしを選んでくれてありがとう、アデラール様」

振り返り、シルヴィーは彼の唇にキスをする。

「かわいいなぁ……絶対に逃さないから」

「~~~~っ!?」

何倍にもなって返ってくる愛情に毎回たじたじである。

「君のいない人生なんて考えられないよ。幸せにするから、ずっと僕のそばにいてね」

「……はい」

「あとお酒は……」

「あなたの前でしか飲まないわ」

「ははっ、そうしてくれ」

end