軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

覆面作家の正体です3

長い時間引き止めることができないガイさんにはひとまずお帰り頂いて、私はサウル副会長と向き合った。ちなみにケイティは目標通りに4冊の小説にサインをもらってうっきうきだ。サリーの分もちゃんとあってよかったよ。

「しかし、まさかリンド馬車のお嬢さんとガイがお見合いとは……」

さすがのサウル副会長も、ガイさんの結婚話は初耳だったらしい。

「サウルさん、エリザベスさんをご存知なのですか?」

「直接の面識はありませんが、リンド馬車は王都では手広くやっている商家のひとつですから、噂程度でしたら聞いたことがありますよ。父親のドナルドは商業組合の役員をしていたこともありますから、まったく知らないわけではありません。しかし……リンド馬車のご令嬢のお相手がガイとは、意外ですね」

「意外、というのは?」

「家の格が違いすぎるのですよ。お互い平民で、家業を営んでいる商家同士に見えますが、リンド馬車は王都では名の知れた家です。うちのように王国全土を土台にしているわけではありませんので、規模こそ小さいですが、抱えている従業員の数などはそれなりにいます。かたやガイの家は家族経営の小さな商売です。しかも彼の話では、どうもリンド家の方がこの話に積極的のようだ。そこが意外なのですよ。リンド馬車からすれば、この結婚にメリットがあるとも思えず……あぁ、でも」

サウル副会長が顎に手を当てたまま、ふと呟いた。

「エリザベス嬢本人がガイを慕っている、という線がありますかな。しかしガイには失礼な話ですが、あのご面相が若いご令嬢に好かれるとは……いや、もしかして何かのきっかけで彼がシャティ・クロウだと知って、その憧れから恋慕の情を抱いた可能性があるかもしれませんな」

……いえ、その線はまったくないですね。シャティ・クロウに憧れている点は認めますけどね。

こめかみを揉みつつ、けれどサウルさんが言ったことをもう一度整理し直す。リンド馬車の方が積極的な結婚話。当事者のエリザベスさんは当然ながらこの話にまったく乗り気でない。シュミット先生との仲を条件付きで認めてくれた父親は怪我で引退状態で、今商売を仕切っているのは長兄のエミールさん。エミールさんはなかなかの野心家で、リンド馬車にとって有益な家に妹を嫁がせ商売を大きくしたいと思っている。だがお見合いを持ちかけたお相手のガイさんは格下の相手で、とてもメリットがあるとは思えない。

シュミット先生とエリザベスさんのプライベートについて、あまり吹聴するのはよくないと思ったが、今後のためにもサウル副会長のアドバイスは欲しい。

悩んだ末、私はエリザベスさんの家出騒動について話すことにした。サウル副会長はたいそう驚いたものの、それならばと持っている情報をいろいろ提供してくれた。

(このお見合い話には何か裏がありそう。それがわかれば突破口が見つかるかもしれない)

加えて、こんがらがっている2つの問題が一気に解決する可能性だってある。私は一縷の望みをかけて、サウルさんの話に耳を傾けた。

けれど……はっきり言って謎は全く解けなかった。