軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

生涯美味しいものを食べ続けませんか。

借金がもうないと聞いて喜んでいたのも束の間。

やらなければいけないことは沢山あった。

この一年間、とにかくバタバタだった。

まだ始めたばかりのお酒造りは安定するまで時間がかかるし、農業も一年目は上手くいったとしても二年目はどうなるか分からないのが事実。

安定させる為にも毎年きちんと育っているかなど確認をしていかなければならない。

それとは別に、国王陛下から蒸気機関車を国全体に広げたいと言われ、各領地を回ったりしていた。

最近では国で蒸気機関車部署というのが立ち上がり、いろいろまとめて見てくれるようになっている。

さらにすごいのは、アレキサンドライト国でも同じように蒸気機関車を作りたいという話を貰ったことだった。

そのためステラを連れて一度アレキサンドライト国に行ったのだが、アレキサンドライト国王は子供が大好きらしく、ステラを見た瞬間目尻を下げて笑っていた。

ステラもステラで「おじいちゃん」と言っていたから、子供ながらになにか思う所があるのだろう。

アレキサンドライト国王の姿を見ていたら、ステラをたまに連れてきてあげてもいいのかもしれないなと思った。

そしてこの一年。

大きく変わったのが……スフェレライト領の名前がカーネリアン領に変わったということだ。

そして、そこの領主にエリーがなった。

領主となったエリーは忙しいはずなのだが……何故かどこに行くのでもエリーがついてくるので、領地が大丈夫なのか心配になってくる。

各領地を回る時もついてくるし、アレキサンドライト国に来る時もついてくるし……。

そんなに暇なのかと一度尋ねたことがあったけど、私と一緒にいたいとしか言わなかった。

ちなみにアクアマリン領はお父様が見てくれている。

一度王都に帰った時、法務局長を辞職してきたのだそうだ。

年齢的にもそろそろ引退して隠居することを考えていたらしい。

フローライト領はやはりフレデリクお兄様がそのまま引き継ぐ形になった。

ラルフお兄様はお父様の代わりに法務局長の仕事を頑張っている。

急遽北の領地クリソベリル領に行かなくてはならなくなった私は、機関車や馬車を乗り継いでクリソベリル領へ向かっていた。

「それで、なぜエリーはここにいるのよ。本当に領地は大丈夫なわけ?ラルフお兄様だって今はあなたの側近じゃないでしょ?貴方がいない間誰が見てるのよ。」

私が領主代行をしている時にだいぶ建て直したと思うのだが……若干不安になってくる。

「それなら安心してくれ!いない間はパウルが頑張ってくれてるよ。あとマルセルが残ってくれたからね。二人で切り盛りしている。それに、ディーナを一人で行かせるのは心配なんだ……。」

パウルは以前に比べて仕事も的確にこなしてくれるようになっているし、マルセルがいれば安泰ではあるけれど……問題はそこじゃないだろう。

領主が領地を見ないでどうするのかというところだと思うのだけど……。

それに一人って言っても、ミナリーが一緒に来てくれているし……。

フィルベールは私の代わりに機関車チームを切り盛りしてくれているからいないけど……。

「心配なのはわかったけど……私は少しカーネリアン領が心配だわ……なるべく早く終わらせて帰りましょう!」

私たちはクリソベリル領に急いで行って領地を見終え、今後について話し合いをした。

クリソベリル領は山間に領地があって周りを大きな山で囲まれている。

アクアマリン領でいう、山間の町をさらに大きくした感じだ。

僻地にあることもあってか、行き来するのが難しい。

トンネルを掘ることもそうだが、それ以外に移動手段が必要だろう。

例えば車とか、トラックとか……。

もし今後お酒を作るとなると、移動手段は早めに考えなければならない。

それとは別に、クリソベリル領でお米を作れないかという相談も受けたので、一度作ってみて大丈夫そうか試してみようという話になった。

「はぁ……なんだかんだこの五年。あっという間だったわね……」

帰りの馬車の中、外を眺めながら考える。

結婚したと思ったら子供ができて。

しかもそれは自分の子供じゃない子供で……。

さらに借金まみれの領地。

領地は廃れていて、変えていくのが大変な状態だし……。

ご飯もないから必死になって色々作った。

おかげで食べたいものばかり作っているけど、まぁまだ私の食べたいもの全てには程遠い。

「もう二十三歳か。」

「そうだな。俺だってもう二十七だ。あっという間な五年だったよ。」

十代だったはずがもう二十代半ば……。

なんだかんだエリーと一緒にいる時間は落ち着くし嫌いじゃない。

そろそろあれから一年経つし……。

「エリオット。一年前の返事なんだけど、貴方が今でも私がいいと言うのだったら一緒になりましょう。ただし一つだけ約束してちょうだい。生涯一緒に美味しいものを食べること。」

一緒に食卓を囲んで家族皆で楽しくご飯を食べる。

その日あった何気ない話をする。

子供に囲まれて。

孫に囲まれて。

そんな何気ない時間が私にとってはとても幸せな時間だ。

「約束しよう。幸せな食卓を囲んで美味しいものを食べることを……その代わりジェラルディーナは俺の傍にずっと居てくれ。」

「ふふっ……約束よ!」

私はエリオットの手を取って微笑んだ。