作品タイトル不明
レイナたちの最後。
「それと、もう一つアレキサンドライト国王陛下と、メダルド様には確認していただきたいものがございます。」
ラルフお兄様に頼み、子供たちを連れてきてもらう。
そう、ステラの件だ。
アレキサンドライト国王もステラを見た瞬間、何を言いたいかわかったのだろう。
「こちらの子はご存知ですかね。メダルド様。以前、オディロンが私の元に袋に入れて連れてきた赤ん坊です。」
袋というのを強めに強調する。
アレキサンドライト国王は何も知らなかったのか……。
「袋……だと……?」
と小さい声で言っていた。
「お、俺は何も知らない……」
ステラも三歳になり、だいぶ顔つきもしっかりしてきているし、こうやって見ればすごいメダルドと似ていることが分かる。
もはや、言い逃れはできないと思うのだけど……。
「そうですか……私が見るに、貴方にそっくりな顔立ち。髪色も一緒ですし、貴方の子供ではないかと思うんですが……?」
身体を少し揺らしたところを見ると、心当たりがあるのだろう。
レイナと関係を持っていた心当たりが……。
ステラは目の前にいる親とも思えない男を指さし、
「あのひとだれ~?」
と言っている。
出来ればこんな話、子供に聞かせる話ではないのは分かっているのだが、ここではっきりさせておかなければ養子として育てることも難しい。
メダルドがグダグダしていることに痺れを切らしたのか、アレキサンドライト国王がメダルドのことを再度殴っていた。
「お前というやつは……そこの女とは関係を持つなとあれほど言っただろうが!それに黒髪はアレキサンドライト国の王族の象徴だ。目の色だけでなく顔もそっくりな時点で、お前の子であることは間違いないだろう。それを……子供を捨てるとは……」
アレキサンドライト国王陛下の怒号に思わず皆吃驚する。
折角おいしかったビールも、程よい酔いも今ので全て醒めてしまった。
「も、申し訳ございません……そちらの子は私とレイナの子です。オディロンの目を盗んでは二人で会っていました。子供ができたと聞いたときは信じられず……オディロンにばれる前に捨ててこいと言ったのです……。」
自分の罪を認めるメダルド。
この人にもレイナにも、オディロンにも親としての自覚はなかったのだろうか……。
「そうですか。まぁ捨てたと認めたということは罪を認めたということですので……私から一つだけお願いがございます。この子は私の養子として育てさせていただきますがいいですよね?アレキサンドライト国王陛下。」
一応王族の血が入っている子だ。
アレキサンドライト国王陛下に確認を取ると、アレキサンドライト国王陛下は少し考えてから、
「うむ。寧ろ私からお願いせねばならぬこと。どうか孫をよろしくお願いいたします。それとは別に養育費をお支払いいたします。愚息が本当に申し訳ございませんでした。」
何度も国王陛下が頭を下げているというのに、その息子であるメダルドはただ呆然としているだけで謝ろうともしなかった。
それからメダルドは連れていかれ、レイナの番になった。
「さて、レイナ様。皆さん貴女に唆されたと言っておりますが……メダルド様と二人で行ってきたということでいいんでしょうか。」
メダルドの話が終わり、レイナに声をかけるとレイナがこちらを見る。
「私は関係ないわ!勝手に女を集めてきたのはそいつらなんだから!私が行ったわけではないもの。」
なるほど……。
自分はただ指示を出しただけで、実行したのは他の人だから関係ないと……そう言いたいようだけど、そもそもマラカイト領で起きていたことなのだから、知りませんでした。で終わることではない。
「そうですか。ですが、マラカイト領で起きていたことなんですよ。一応あなたの父親はマラカイト領の領主だったわけですから、もし領民がそのような目にあっていたら調査をしなければならない。そもそもこの国は人身売買も奴隷制度も禁止されています。もし知らないなら貴族失格ですね。それと、貴方は自分の子供を捨てている。その時点でもう立派な犯罪者ですよ。」
レイナが言い返そうとしたら、フレデリクお兄様が立ち上がって話し出した。
「違うわ!私は子供を捨てたわけじゃないの。一時的に預けただけ。子供たちだって私のことを母親だと認識しているはずよ!」
カイトス、アルナイル、ステラに関しては預けただけ……といわれても百歩……いや一万歩譲ってそう見えなくもないが……リゲルとシリウスに関しては違うだろう。
子供にご飯も与えず、そのまま放置。
ネグレクトも良い所である。
「そうですか……では……子供たちに来て確認してもらいましょうか。」
私が五人の子たちを呼ぶと、皆一目散に私のところに来た。
シリウスはまだ赤ちゃんだから、エルザに抱っこされている。
「サン、ライト、ミーナ……ウェン、バン……」
五人の名前を呼ぶレイナ……。
しかし、子供たちは顔を見合わせるだけだった。
誰一人として、自分のことを呼ばれているとは気づいていない。
しかも名前があったなんて……今知ったけど。
「さぁ、皆あそこにいる人に挨拶してあげて頂戴。」
子供たちの背中に手を置き、カイトスから順に挨拶してもらう。
「カイトス・アクアマリンだよ。お姉さん誰?」
「いやだ!しらない人になまえをおしえちゃいけないってママがいってたもん。だからぼくはなまえをいいません!」
「すてらもーいわなーい。」
「り……ぃ……る。」
ちゃんと挨拶をしてくれたのはカイトスだけで、アルナイルに至っては名前すら言わなかった……。
「五人に名前があったなんて知らなかったので、こちらで名づけさせていただきました。それとあなたのことは誰一人認識していないようですね。最近まで一緒にいたリゲルでさえも貴方のことを知らなかった。オディロンの名前には反応していましたが……これで分かりましたか?あなたは親として誰にも認められていないんですよ。その時点で犯罪者も同様です!それと人身売買の罪は重たいですよ。」
五人に親として認められていなかったのが相当ショックだったのか、レイナはそれ以上何かを言うことはなかった。
そもそも人に預けて親として認められると、どうして思ったのか……不思議でならない。
レイナが兵士に連れられて、扉を開けようとした瞬間。
私は最後に一言だけ伝えた。
「レイナ様。色々ありましたが、貴方がオディロンを奪ってくれたことには感謝しております。そのお陰で今の私がここにおりますから。それではごきげんよう。」
そう伝えると、レイナは何も言わずに外へ出て行った。
折角の楽しかった雰囲気が一気になくなり、皆どうしていいか分からずにいたところ、エリーが手を叩いてその場の指揮をとりはじめる。
「皆!折角楽しんでいたというのに、申し訳ない!今から再度パーティーを仕切りなおそう!では近くにあるグラスを手にもって。ない人は声をかけてくれ。」
皆にグラスが行き渡ったのを確認したら……
「アクアマリン領一周年を記念して乾杯!!」
「「「かんぱーい!!!」」」
もう一度ビールをグイっと飲む。
「ぷはぁぁ~~~~!!やっぱりビールはさいっこぉぉ!!!生き返るぅぅぅ!!!」
それからお酒を飲みながら歓談し、色々あった試飲会は無事終えることに成功した。