軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

お酒造りを開始します!

「そういえば、この領地はこれからどうなるの?」

「私はもうオディロンと離縁したから、この領地の領主でいることはできないんだけど……」

「この領地については、これから俺が領主になることになった。」

「俺が王族籍から抜ける形でこの領地を引き継ぐことになる。早ければ来年には変わることになるだろう。それまではこれまで通り、ディーナに領主代行を任せたい。」

スフェレライト領の改革も今まで頑張ってきただけに、他の人に引き継ぐのは少しばかり複雑な気持ちがあるけど、エリーに引き継ぐのであれば安心だ。

それに、オディロンと離縁できたことで身軽になったのはとてもありがたい。

「そうなのね……わかったわ!」

「残り半年くらいしかないけど……この間に完成させたいと思っていたお酒造りを頑張らせてもらうわ!」

「それに……できれば今後もアクアマリン領と良好な関係を築いていきたいから、その辺りも引継ぎをきちんとしましょう!」

エリー達と一緒にスフェレライト領に戻ると、私は止まってしまっていたお酒造りを再開することにした。

「まずはビールからね……。」

「取りあえず……作り方をあまり覚えているわけではないから、何となくで作って微調整していくしかないかしらね……」

覚えている限りだと、麦を水に浸して芽を出して麦芽させる。

そこから乾燥させて……確か粉々にする感じだったと思う……。

そのあとは、粉々にした麦をお湯とホップで混ぜて煮沸したあとに発酵させていく。

今回はうまくできているかわからない酵母を使うから、一応一週間くらい発酵させておこう。

そして二週間くらい熟成させたら完成だ。

「酵母がきちんとできているかわからないから、樽ごとに発酵期間と熟成期間を変えて様子見していこう……」

作り方を決めると、麦農家の人に作り方を渡していく。

今回は麦農家の人に全面協力してもらう予定だ。

今後、うまく軌道に乗れば、新たに人を雇ってビール工房を作っていきたいと思っている。

「ムーギルさん。こちらがレシピです。」

「一応比率も書いてあるので、この作り方で作ってみてもらってもいいですか?」

「あとこれは蜂蜜酒なんですけど。良かったらこちらも作ってみてください。」

せっかく蜂蜜を作っているから、一緒に蜂蜜酒の作り方を渡した。

蜂蜜酒は蜂蜜と水、それに酵母を入れて熟成させるだけなのですごく簡単だ。

「わかった。領主様のお陰で領地がよくなってきたんだ。安心して任せてくれ。」

ムーギルさんは少し若い農家さんだが、その分新しいことも積極的に取り入れてくれる、とても頼りがいのある麦農家さんだ。

今回は若めのメンバーが集まっているようで、皆ムーギルさんを慕っているみたいだし、うまく進みそうだ。

そして、次に焼酎……。

米焼酎や麦焼酎、芋焼酎と色々種類があるけど……今回は敢えてサツマイモ焼酎を作っている。

「芋焼酎は去年のうちに熟成させていたのよね……。」

「本当は二年くらい熟成したいところだけど、今年の分も作り始めたいし、どこかで試飲して、問題なさそうだったら同じ原料で作り始めてもらおうかしら……」

焼酎は熟成に時間がかかることもあったのと、ホップを使う必要がなかったので、昨年のうちに作り始めることができた。

勿論地酒もだ。

フレデリクお兄様やベルリック様がノリノリで地酒を作っていたから、一応焼酎の作り方も教えておいたけど……。

もしかしたら米焼酎も作っているんじゃないかなと期待している。

後は梅酒だ。

熟成期間が三ヶ月あれば作れるし……今から漬ければ何とかなるかもしれないと思った私は、早速梅酒を漬け込むことにした。

梅酒を作るのは簡単だ。

梅のヘタを取っていく。

細い棒で簡単に取れるので、子供たちと楽しみながらできる作業だ。

ヘタが取れたら、消毒した瓶の中に梅と砂糖を交互に入れていく。

ここには角砂糖がないので、今回は粉砂糖を使った。

敷き詰めたら最後に焼酎を入れて……二~三ヶ月くらい熟成させたら完成だ。

「フフフ。良いことを思いついたわ!」

「三ヶ月後に試飲会を実施しましょう!」

「フレデリクお兄様とベルリック様を呼んで、作ってもらっていた地酒をもってきてもらって、ビールに焼酎……梅酒、蜂蜜酒も出して。」

「ついでに干物なども出せば、おつまみにも宣伝にもなるし!」

「それ以外にも漬物や梅干しも出して、温泉街の一つの宿であれば三ヶ月あれば改装できそうだから、そこを使って行って……」

スフェレライト領で行ってもよかったが、折角だったらアクアマリン領で行って宣伝するのが一番だろう。

それに三ヶ月後なら丁度機関車が開通しているころだ。

今より行き来も楽になっているはず……。

あとは、この数年たくさんの人にお世話になってきたから……少しでも恩返しができるチャンスになればいいと思う。

「うん!そうしましょう!」

「そうと決まれば……一度アクアマリン領に戻りましょう。」

お酒造りを皆に伝えた後、エリー達にも一度アクアマリン領へ戻ることを伝えてから、急いでアクアマリン領へ戻った。

勿論、リゲルとシリウスをカイトスたちに会わせるために、一緒に連れていく。

エリーが何か言いたそうだったけど……少し急いでいたこともあって、また後で話を聞くことにしてその場を後にした。

***

ディーナが離縁をして一ヶ月。

白い結婚と認められたこともあって、結婚したこと自体なかったことになったのだが、俺はなかなか思いを告げることができずにいた……。

どこかのタイミングで話したいと思っているのだが、なかなか話す時間がない……。

初めはディーナがそういった話を避けているのかとも思ったのだが、どうもそういうわけではないようで、お酒を作るために走り回っているだけのようだ。

思いを伝えようとスフェレライト領にも一緒に来たはよかったが、何故かすぐにアクアマリン領へ戻ると言い出した。

さすがにアクアマリン領へ一緒に行くことはできず……。

「なんだか、すごい急いでいたな。」

「アクアマリン領で何かあったんだろうか?それともフィリベールに会いたかったとかだろうか……」

俺がいない間に二人が深い仲になっていたとかだったら、かなりショックだ……。

まぁディーナに限ってそんなことはないと思っているが。

ラルフに聞いてみると……。

「さぁ……あいつのことだから、思い立ってすぐ行動に移しただけって感じだと思うぞ!」

「フィリベールに会いたいというのもあるだろうがな……」

(仕事をお願いしたくてとかだと思うが……)

やっぱりフィリベールに会いたいと思っているということだろうか……。

ダメだ。

ディーナが絡むと、すぐ後ろ向きにばかり考えてしまうな。

取りあえず仕事に没頭しようと目の前の仕事を片付けていると――

それから数週間後。

ディーナから一通の招待状が届いた。