軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

三年目の成果。

機関車も無事出発し、事故などもなく試運転の日を終えることができた。

明日からは本格的に運転が始まる。

機関車の数もまだ二台しかないため、ホワイトベリル領からスフェレライト領と、スフェレライト領からホワイトベリル領を一日一本ずつしか走らせることができないが、少しずつ台数を増やすことで調整をする予定だ。

そしてスフェレライト領に戻ってきた翌日。

国王陛下から話があるため応接室に集まってほしいと声を掛けられた。

「ジェラルディーナよ。なかなか会えなかったが、息災だったか?」

「クリストフ・カルブンクルス国王陛下。お久しぶりでございます。はい、風邪など引くこともなく元気に過ごさせていただきました。国王陛下もお元気そうで何よりでございます。」

国王陛下に膝をついて挨拶をすると、すぐに立ち上がってソファに腰掛けるように言われた。

「今回は謁見の間で話しているわけではないからな。そんな堅苦しくせず気楽に話そうではないか。」

私、フィリベール、お父様、ホワイトベリル宰相、フレデリクお兄様、ベルリック様と、とても豪華な顔ぶれの人たちが皆で一つの机を囲む。

「ありがとうございます。ではお言葉に甘えて……」

私の言葉を聞くと、皆がソファに腰を掛けた。

エルダが気を利かせてコーヒーとスイートポテトを用意してくれたので、テーブルの上に置いて行く。

「こちら、我が領地で作ったコーヒーとスイートポテトです。スイートポテトはサツマイモで作った最新作のお菓子ですので、よろしければ感想をいただけますと幸いです。」

スイートポテトについて簡単に説明をすると、皆がフォークをもって食べ始めた。

「うむ。これはうまいな。他のケーキとは違って甘すぎないのが丁度いい。もしよければ王宮にも卸してもらえないだろうか。毎日でなくて構わん。」

どうやらスイートポテトを気に入ってくれたようだ。

サツマイモは長持ちするし、これから王都にあるお店で売ろうと思っていた商品だ。

王宮御用達になればさらに売れること間違いないだろう。

少し考えてから国王陛下に返事をした。

「構いません。その代わり、我がお店に王宮御用達の印をつけたいのですがよろしいでしょうか?」

「王宮御用達とはなんだ?」

「王族が食べておいしいと言った食べ物を売っていますという印です。今考えたのですが、こちらを付けることで他の方も買いやすくなると思いますし、特に貴族は同じものを食べたいと買いに来ると思うのです。」

「お金は持っているだけでは回りません。回らせることで経済も回っていく。ですから貴族にお金を使ってもらうためにも“王宮御用達”という印をつけたいと思いまして……勿論、他の店舗でも同じことを始めたらさらに良いかと思うのですが……」

簡単に説明をすると、国王陛下はあごひげを触りながら考える。

前もそうだったけど、何か物事を考える時はあごひげを触る癖があるらしい。

しばらくして考え終えると、目をぱちりと開けた。

「確かに、経済を回すためにもそういったものがあるといいかもしれんな。それに王宮御用達という看板を下げることで、他の店も看板欲しさにさらにおいしいものを作ろうと思うことだろう。そうすれば自ずと経済は回っていく。」

「その案、採用だ。早速王宮に戻ったら話を進める。フィリップよ。構わぬか?」

ホワイトベリル侯爵は国王陛下が頷くのをわかっていたのか、今話したことをすべて書きとどめている。

フィリベールやベルリック様も同じように書きとどめているところを見るに、やはり親子なのだろう。

「わかりました。こちらについては戻り次第動き始めます。」

ホワイトベリル侯爵はすぐに返事をして、次の話に移った。

「さて、ここからが本題だが、この一年。ジェラルディーナはまた色々なことを行ってくれたな。」

「まず蒸気機関車については話を聞いたとき吃驚したぞ。それに今回乗ったときもだ。馬車よりも揺れが少なく、スピードは速いはずなのにスピードを感じさせなかった。窓から見る景色もとても綺麗だったしな。」

ここに集まったのは、この一年の成果についてだったらしい。

蒸気機関車については前もってホワイトベリル侯爵から話してくれるとは言っていたが、ここまでいい反応をいただけるとは思ってもみなかった。

「ありがとうございます。私もまさか一年でここまで進めることができるとは思ってもみませんでした。これも共同出資してくれましたホワイトベリル侯爵のお陰でございます。」

「それと……レールの上を走っているため、歩道よりも揺れが少なくなるのだと思います。」

汽車がどういう原理になっているのか、模型と図を見ながら説明をしていくと、お父様やフレデリクお兄様も食い入るように話を聞いてくれていた。

やはり男の人はこういう乗り物の話が好きなのかもしれない。

「なるほどな……こういう原理になっているのか。今まで石炭とやらは捨てるに捨てられず、山に放置していることが多かったのだが、これから役に立つ場面が多くありそうだな。」

「そこで……だ。少しずつだが、蒸気機関車のルートを広げていきたいと思っておる。」

国の地図をホワイトベリル侯爵が机の上に広げて話を進めていく。

ゆくゆくは国全体にと思っているらしいのだが、すぐには難しいため、まずはスフェレライト領から王都までと、スフェレライト領からフローライト領までの道を繋げてほしいらしい。

「スフェレライト領から王都までは間に他の領地があるわけではありませんし可能でしょう。ですが、スフェレライト領からフローライト領までの間にはマラカイト子爵領がございます。」

「私事で恐縮ですが、マラカイト子爵領とは因縁がございまして、蒸気機関車を通す気は毛頭ございません。」

フレデリクお兄様もその話は知っているのか頷いている。

昨年の謁見の間での一件から始まり、マラカイト子爵の娘のレイナ。

それに恐らく税金を搾取しているのはオディロンとレイナだけでなく、マラカイト子爵もだろう。

私はあの親子を許すつもりもないし、あの親子に力を貸す気もない。

何なら早く滅びてほしいところだ。

「あぁ……そうだったな。だが、その件に関しては憂いを取ることができるだろう。」

「そのためにも一緒についてきてほしいところがある。明日の朝いちで出発するからそのつもりでいてくれ。」

憂いを取ることができる……ということは、マラカイト子爵領にでも行く気だろうか。

何があるかわからないが、とりあえず国王陛下に「行きません」とは言えないため、「わかりました」と頷いた。