軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

機関車完成!?

フィリベールと話をして数ヶ月が経ち、あっという間に三年目も終わりを迎えようとしていた。

エリー達は一度王都に帰ると言ってから戻ってきていない。

ラルフお兄様曰く、「今はそっとしておいてやれ……」とのことだった。

「今はそっとしておいてやれ……」って言葉が出るということは、きっと何か落ち込むようなことがあったということなのだろう。

もしかしたら縁談が失敗したとか……。

エリーは自分がすごい王族としてしっかりしていると思っているけど、意外に子供っぽいところがあるから、なかなか合う人がいないのだろう。

ただそんなこと言っても、もういい年だし、周りはエリーに結婚しろと言っているのではないかと思う。

まぁ、エリーのことはそっとしておくとして、私は今家族皆でホワイトベリル領へ来ていた。

理由は……蒸気機関車が完成したからだ!

ラルフお兄様はエリーと一緒のためお留守番である。

その代わり今回はフレデリクお兄様とエルミーヌお義姉様がホワイトベリル領に来てくれている。

エルミーヌお義姉様はフレデリクお兄様の奥様で、私の結婚式の時は妊娠中だったため、フローライト領にお留守番していたのだ。

今回は子育てもだいぶ落ち着いたからと、二人で一緒に来てくれたらしい。

「フレデリクお兄様、エルミーヌお義姉様、お久しぶりです。お元気でしたか?」

二人に声をかけると、私の声に気付いたのかゆっくりこちらに向かって歩いてくる。

「ディーナ! 手紙ではやり取りしていたが……久しぶりだな。地酒の話もしたいところだが、また後でにしよう。蒸気機関車についてはベルリックから話を聞いていてね。今日を楽しみにしていたんだよ。」

「ディーナ。色々大変だったと聞いているわ。何も助けられなくてごめんなさい。今日は貴女と貴女の子供たちに会えることをとても楽しみにしていたの。今は忙しいと思うから、また後で時間を取ってくれると嬉しいわ。」

軽く二人と挨拶をすると、私はホワイトベリル駅のある所へ皆と移動する。

今日はたくさんの人が集まっていた。

ホワイトベリル領からスフェレライト領までにある領地の領主も呼んでいるからだ。

「お二人ともまた後でお話ししましょう。今は式典に行ってまいります。それでは……」

軽く挨拶をすると、フィリベールと一緒に移動をする。

「フィリベール。領主の方々は皆集まってる?」

「はい。集まっています。今回乗る予定のご家族の方たちも一緒です。」

蒸気機関車を作るまで、色々と大変だった。

それこそ、それぞれの領主を集めて話し合いを重ね、どこにレールを引くのかの話し合いから、駅を作るのはどうするかの話をしたり、領民たちの説得をしたり、レールを引いた場所に住んでいる人たちの家の確保と、やらなければいけないことがたくさんあったからだ。

それでも一年という短い期間でここまで進んだのは、ホワイトベリル侯爵兼宰相であるフィリップ様が味方にいてくれたからだろう。

式典の場所に行くと、すでにたくさんの人たちが集まっている。

前には今回協力してくれた領主と、国王陛下が参列していた。

私もその中の空いているところに立つと、フィリベールが話し始めた。

「皆さん、今日は遠路はるばるホワイトベリル領までお越しくださりありがとうございます。このような新たなる門出に皆さんと立ち会えたこと、とても嬉しく存じます。これより、蒸気機関車完成式典を開催させていただきます。」

フィリベールの言葉に、たくさんの拍手が鳴り響いた。

「では、まず初めに国王陛下よりお話を伺いたいと思います。」

国王陛下が前に立って話を始める。

ホワイトベリル侯爵が一応声をかけると言っていたが、まさか本当に参列してくれるとは思っていなかった。

「蒸気機関車の作成、まことに大儀であった。この機関車がこの地を行き来し、それが上手くいけば国中へと広がっていくことになるだろう。そうなれば今まで以上に流通が盛んとなり、他の地域にも行きやすくなる。今後の皆の生活がより豊かになることを私は信じている。」

簡単に話を終えると、次にホワイトベリル侯爵が話し始めた。

ホワイトベリル侯爵は蒸気機関車とはどんなものなのか、どのように動くのかを簡単に説明していった。

そしてなぜかトリは私らしい……。

フィリベールが私に話を振ると、皆の顔が私の方に一斉に向く。

中には「なんで女が!?」みたいな顔をしている人も見えたけど、気にせず話し始めた。

「この度はお集まりいただきましてありがとうございます。今回この蒸気機関車を考えたのは、少しでも領地の間の行き来が早くなれば……という思いから始めました。」

「領地の行き来が近くなれば、収穫した野菜を新鮮なまま大量に運べるようになります。そうなれば、それだけ皆さんの収入も増えていくでしょう。」

「そして行き来が早くなることで、たくさんの人が気軽に行き来できる。そういったことができれば、さらにより良い国になっていくのではないかと考えたのです。」

「今日という日を無事迎えることができたこと、とても嬉しく思います。初めてのことで不安も多くあるかもしれませんが、これを機に他の領地との輪を広げて協力関係を築いていけますと幸いです。」

簡単に考えてきた言葉を話すと、大きな拍手が聞こえた。

この拍手が、これからのより良い領地経営につながっていけばいいと心から思う。

式典が終わると、それぞれの領主とその家族が機関車に乗り込んでいく。

今回は機関車が通る領地に駅を設定したため、ホワイトベリル駅からスフェレライト駅まで順番に駅に停泊し、それぞれの駅で降りていくという感じになっている。

勿論最後はスフェレライト駅で私たちが下りて終わりだ。

今回はなぜかスフェレライト駅で国王陛下とホワイトベリル侯爵たちも降りるらしい。

皆が席に着くと、汽笛が鳴って機関車がゆっくりと出発した。