軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

協力者。

今後の動きについてディーナに話を聞いた後、俺とフィリベールは王都に戻ってきていた。

理由はトンネルについて話すのも一つだが、オディロンとその愛人のレイナ、レイナの父親であるマラカイト子爵について調べるためだ。

ここ二、三代のマラカイト子爵はそこまで目立つようなことはしていないが、それ以前のマラカイト子爵家は商家として名を轟かせていた。

マラカイト商会と聞いて、近隣諸国でも知らない者はいないほどだったという。

しかし、それも五十年以上前の話。

時代は刻々と進化し続けているし、それに合わせた対応ができなくなり始めてからは、一気に衰退していったと聞く。

それでも爵位だけは落とさず、何とか持ちこたえているといった感じだ。

「フィリベール。オディロンの居場所は分かったか?」

「いえ、それがまだ……王都にはいないようでして……ただ、一か所気になる所があります。」

「マラカイト子爵領……か?」

マラカイト子爵家の所有する領地。

子爵家だからそこまで大きい領地ではないものの、それなりにいい領地を下賜されている。

過ごしやすい気候に、温泉地帯まであり、貴族の中ではマラカイト子爵領を自分の領地にしたいと思っている者は多いだろう。

「はい。距離があるので確認できていませんが、マラカイト子爵邸にいる可能性が高いのではないかと思います。マラカイト子爵領は立地もよく過ごしやすいですし、避暑地としても人気でしたからね。まぁ、今では衰退してしまって、さびれた宿場町……みたいな感じですが。」

「ディーナは恐らく一年で南の地を何とかするだろう。昔から自分で決めたことは絶対やりきるからな。だから、それに合わせてオディロンとレイナの金回り……それと子爵家の状態を探ってほしい。頼めそうなやつはいるか?」

この一年間はできる限り南の地に時間をかけてほしいところだし、オディロンのことで時間を割かせることは、できる限りしたくはない。

それでも、あいつのことだから自分で調べかねないんだが……。

フィリベールに誰か頼めないか聞いていると、

「オディロンの件は、私の方で調べますよ。エリオット兄上。」

弟のサミュエルが執務室の中に入ってきた。

「久しぶりだな。サミュエル。いつ帰ってきたんだ?」

サミュエルは四つ下の弟で、ディーナと同じ年。

隣国ジルコン国に留学していたはずなのだが、どうやら俺がいない間に帰ってきていたようだ。

「つい最近ですよ。父上に呼び戻されたんです。なんでもエリオット兄上が王族を抜けて公爵になる可能性が高いから帰って来いと言われまして。」

サミュエルは第三王子ということもあり、王族を抜けるつもりで色々留学をしながら他国について学んでいたようだ。

悪いことをしてしまったとは思うが、他国で学んできたことについては役に立つことばかりだろう。

「そうか……すまないな。」

「いいですよ! それにジルコン国では妃となってくれる姫に出会うことができましたので。それに、エリオット兄上にはジェラルディーナがお似合いだと思いますので。その前に従兄弟であるオディロンをどうにかしないといけませんし、オディロンの件は私に任せてください。兄上は他にやらないといけないことがあるのでしょう?」

全てを見透かしたように話してくるサミュエル。

サミュエルと、ハルトムート兄上、それに父上はそっくりだ。

いつも全てを見透かしたような目で見てくるし、王族としての威厳もある。

だからだろうか。

自分が王族を抜けられると思ったら、少しほっとした気持ちになったものだ。

この件については、オディロンに感謝しなければならないかもしれない。

まぁ、それ以外はクズ野郎だし、尊敬できるところは一つもないがな。

「ありがとう。恩に着る。」

そう一言伝えると、サミュエルは片手をあげて執務室から出て行った。

それを見て、俺とフィリベールも父上の元へ向かった。

「父上。話があるのですが、今お時間よろしいですか。」

父上が執務室にいることを知っていたため父上の元へ向かうと、中から「入れ」と短い声が聞こえてくる。

丁度休憩中だったようで、母上と一緒にお茶を飲んでいた。

「すみません。お邪魔でしたか?」

「大丈夫だ。ディオナも一緒で構わないか?」

二人の前のソファに腰を下ろし、フィリベールは俺の斜め後ろに立つ。

「勿論です。今回はお願いがあってまいりました。今後の投資として国家予算を出していただきた――」

「いいぞ。」

……

……

「「え!?」」

……

……

「だから、いいと言っている。」

父上の言葉にフリーズしてしまうと、父上の隣にいた母上がクスクスと笑い出した。

「クリス。貴方は言葉が足りなすぎるわ……二人とも吃驚しているじゃない。エリー。今回の件は元々予算を動かすつもりでクリスも動いていたのよ。南の地の課題は今までもずっと上がってきていたの。それが少しでも良くなるのであれば、領民のためだけでなく国全体のためになると思っているのよ。」

「そういうことだ。まぁ、予算を出すにしても、きちんと計画書と概算は出してもらう必要があるがな。計画書については用意してあるのだろう?」

母上の言葉の後に続けるようにして父上が話すと、フィリベールは計画書を父上たちの前に置いた。

それから俺たちは、この計画について話し出した。