軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

試練。

「さて、ジェラルディーナ。スフェレライト領の件について少し話をしよう。まずここ数年の税金についてだ。災害があった年の分は免除されるから良いだろうが、それ以外の税金が四年分支払われていない。この四年分については支払ってもらう必要がある」

四年分……。

お義父様たちが亡くなった年から支払われていないのはわかっていた。

それぞれの町や村と税金徴収証明書を交わすように、領主と国王陛下の間でも税金徴収証明書を交わすからだ。

そして税金徴収証明書は十年間保管しなければならない。

それが四年分無かったのだ。

「はい。知っておりました。そちらについては必ずお支払いいたします」

オディロンが原因なのだから支払う義理は一切ないんだけど、このまま行くと領地を取り上げられるどころか、爵位も取り上げられかねない。

それだけはカイトスとアルナイルのためにも絶対阻止したいところだ。

「そうか。まぁ、このまま支払われなかったら督促、領地没収、最悪爵位剥奪なんてことにもなりかねなかったがな。税金については既にお前の父から支払われておる。勿論、これから返すことになるのだろうが……すぐに爵位剥奪ということにはならずに済んだというわけだ」

お父様の方を見ると、サッと顔を逸らす。

まさか、支払ってくれていたとは……かなりの額だったはずなのに。

「いいか、五年以内に返済するという条件は変わらん。返済できない時は分かっているな」

「はい! ありがとうございます! お父様。必ず五年以内に条件を達成してみせます!!」

お父様の耳が少し赤くなっているところを見ると、少し恥ずかしいようだ。

本当にお父様には頭が上がらない。

「さて、ここからが本題だ。ジェラルディーナよ。お前には私からもひとつ試練を与えよう。それをクリア出来れば、ジェラルディーナをスフェレライト公爵家の代理領主として認め、印章を新しく発行することを許可する」

印章が新しくなるということは……オディロンが持っている印章が使えなくなるということだ。

これから税金を私利私欲のために使われずにすむはず……。

「わ、わかりました! 私でも出来ることか分かりませんが……その試練! 受けて立ちます!!」

私が試練を受けると伝えると、分かっていたかのように国王陛下がにやりと笑った。

「ジェラルディーナだったらそう言ってくれると思っておった。では、試練の内容を伝えよう……。なぁに。そんなに身構えんでも大丈夫だ……。簡単な内容だからな」

簡単な内容って……国王陛下がわざわざ出す試練に簡単なものなんてあるのだろうか……。

いや、絶対ないと思う……。

「試練の内容は、スフェレライト領にある地域の領地改革をすることだ」

国王陛下が試練の内容を伝えると、ホワイトベリル侯爵が地図を出してきた。

以前全ての地域を回ったときは、あまり時間がなかったのもあって気づかなかったが、スフェレライト領の南側の地は税金を支払うのでやっとの状態なんだそうだ。

「昔から南側の地は気候が暖かすぎるせいか作物が育たなくてな。そのせいで土地が痩せているところが多い。小麦などの作物も育ちにくいのだ。そこでジェラルディーナの知恵を借りて、復興してほしいと思っているのだ。これが上手くいけば、他領の暖かい地域を復興することができる可能性も出てくる」

暖かい地域……。

前世で言うと、沖縄とか九州、四国あたりの気候ということなのだろうか……。

それとももっと暑い砂漠みたいな地域なのか……。

少し気になる所だが、地域ごとによって収穫できる作物は変わってくるし、うまくいけば新しい作物などを見つけることもできるかもしれない。

そしたら商会で売れる商品も増える。

売れる商品が増えれば、借金の返済が早くなる。

全てうまくいくとは限らないが、やってみなければ始まらない。

「どうだ……やってくれるか?」

「勿論、やります! やる以外の選択肢は私にはございません」

前世の知識が色々と役に立つかもしれない。

そう思った私は、前のめりになりながら返事をしていた。

顎髭を触りながら、目を瞑って色々考える素振りをする国王陛下。

「一年だ。一年以内に成果を出しなさい。百%にしろと言っているわけではない。零が十になるだけでも構わない。確実に変化しているという結果を見せること。できるか?」

零が十になればいい……ということは、極端な話、種を植えて芽が出るだけでもいいということだ。

勿論、そんな成果ではダメなことくらいわかっているが……。

「わかりました。やります。その代わり、一年間は私に全権を委ねてほしいのですが……」

「いいだろう。ではこの一年はスフェレライト公爵家を王家預かりとする」

…………。

「……へ!?」

急に話の展開が変わって、思わず変な声が出てしまった。

「私だって一年間、オディロンをそのまま放置しておくつもりはない。印章を勝手に使わせるつもりもないということだ。王家預かりとなれば、印章も一時的に効力を失う。それであればジェラルディーナも安心して領地経営に手を出せるだろう」

国王陛下の言葉が一瞬信じられず、お父様やエリー、お兄様の顔を見てみると、笑顔で頷いていた。

“お前ならできる”と背中を押してくれているのだろうか。

「色々と手をまわしてくださりありがとうございます。必ず成功させて見せます」

「それじゃあ、王家預かりになるわけだからな。エリオットは今後一年間、今と変わらずスフェレライト領で生活するように。ラルフとフィリベールにはこのまま王城に残って、それぞれ父親の仕事を手伝うようにな」

それだけ伝えると、国王陛下はさっと席を立ち、謁見の間を出て行った。