軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

突然ですが、帰省することになりました。

「お味噌、お醤油も何とか出来たし、あとは今年の税の徴収ね……」

今年は何回かに分けて視察もしたし、これと言って大きな災害もなかったから問題なく税金を徴収できるのだが、一つだけ大きな問題があった。

それは印章だ……。

オディロンの持っている印章に効力がある以上、税金の回収に行かれてしまえば、私たちの家に税金が入ってくる可能性はなくなってしまう。

そうなってしまえば、今年も税を納められないという状況になりかねない……。

「取り敢えず、エリーに話を聞くのが一番ね……」

そう思ってエリーの元へ向かおうと立ち上がった瞬間、執務室の扉をノックする音が聞こえた。

「ディーネ。話があるんだ。入っていいかい?」

まさか、会いに行こうと思っていた相手から来てくれるとは、とてもありがたい。

「えぇ。丁度私も聞きたいことがあったのよ」

扉を開けて中へ入るよう促すと、エリーはそのままソファに座った。

エルダが紅茶を二人分準備してくれる。

「ここに来て一年くらい経っただろう。そろそろ一度王都に戻ろうと思っていてね。急だが明日一度王都に戻るよ。それで、ディーネにもお願いがあるんだ」

一度王都に戻ろうと思っているということは、またこちらに帰ってくるということだろうか。

この一年でカイトスもアルナイルも少し大きくなっているし、事業も安定して来ている。

今回きちんと税収が納められれば、舗装などの工事も可能になってくるだろう。

一年でだいぶ安定してきたし、第二王子殿下なのだから王都にいればいいのにと思うのだけど……。

「私にお願い? エリーが珍しいわね。お願いって何かしら?」

「俺と一緒に一度登城してほしいんだ」

え……?

何故私がエリーと一緒に登城しなくてはならないのだろうか……。

一応これでもオディロンという旦那がいる身。

もし、第二王子殿下と一緒に登城なんてしたら、“不倫している”なんて言われかねない。

それどころか、エリーに傷がつく可能性だってある。

「ちょっと待って。私、一応オディロンっていう旦那がいるのよ。それなのにエリーと登城なんて、女性たちの目に留まれば噂になりかねないわ!」

「あぁ~……その辺りは大丈夫だ。それに、印章の件もあるだろう。あれはこの国の国王陛下しか印章登録証を出せないんだ。だからこそ君についてきてほしい」

印章についてはずっと気になっていたし、王都に行って話が片付くのであればこれと言って問題はないんだけど……。

今はできる限り、マイナスになるような動きはしたくない。

オディロンに付け入る隙を与えたくないのだ。

「本当に大丈夫だ。ディーネがこの一年、商会を立ち上げて頑張ってきているのをこの国の全員が知っている。君のおかげで食が豊かになってきているし、お米というものが普及したことで以前より体調を崩して亡くなる国民が減ってきているという話も聞いているほどだ。それに知育道具なども作っていただろう?」

お米についてはパンよりも腹持ちがいい。

そのお陰で体調を崩す人も減っているのだろう。

本当は麦で食べたほうがいいんだけど、これについては徐々に普及していくつもりだ。

知育道具は、カイトスとアルナイルが大きくなる時に使えたらいいかと思って作り始めたものだ。

例えば文字カードゲーム。

カルタのようにカードを広げておき、単語が乗っているカードを裏返して重ねておく。

それを上から順番にめくっていって、単語と同じ絵が描いてあるカードを見つける。

カードを多く集めた人が勝ちという単純なゲームだけど、絵が描いてあるカードを重ねて、単語文字が書いてあるカードを広げて遊ぶこともできるから結構人気が高い。

それ以外にも積み木や、パズルゲームなど色々なものを作っている。

まだ一歳になったばかりのカイトスやアルナイルにとっては、積み木で遊ぶのが精一杯という感じだけど。

この知育道具が商会ではかなり人気になっていた。

「そうね。知育道具や、赤ちゃん用のベビー服、赤ちゃんとお揃いの洋服、涎掛けなども人気のお陰で儲けが出ているわ。それに、お弁当屋さんがいい感じに儲かっているわね。この辺だとそこで食べるというのが主流だから、持って帰れるというのもいいみたいよ」

「そうだろう。その件で、父上が話を聞きたいと言っている。だから安心してほしい」

なるほど……商会として軌道に乗り始めたから、今のうちに話を聞きたいということなのね。

王都に行けばオディロンがどこにいるのか、わかる可能性もあるし、とりあえず王都に行ってみるしかないか。

王都ならカイトスやアルナイルも連れて行けるし、お母様も一緒に連れてフローライト家に泊まろう。

「わかったわ。明日よね。カイトスとアルナイル、お母様にも話をして、皆でフローライト家に行こうと思うのだけどいいかしら?」

「あぁ、構わない。それに、カイトスやアルナイルを連れていけるならちょうどいい。父上も会ってみたいと言っていたから一緒に登城しよう。そうと決まれば、明日に向けて準備をしないとな。大所帯での移動になるから、少しいつもより慎重に動こう」

「そうね。急いで準備をしましょう!」

お母様に伝えると、カイトスやアルナイルが一緒なら良いということで、急いで準備をすることになった。

そして次の日。

王都に向けて出発した。