軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

結婚式。

「ジェラルディーナ。」

私が準備を終えると、家族皆が部屋の中に入ってくる。

「お父様、お母様、ラルフリードお兄様にフレデリクお兄様まで……遠路はるばる来てくださったのですね。」

十三歳でオディロン・スフェレライト様と婚約して五年。

今年十八歳を迎えた私は、遂に今日、結婚をする。

「当たり前だろ。大事な妹の結婚式だ。きちんと顔を見ておめでとうと言いたかったんだ。」

フレデリクお兄様は、お父様やラルフリードお兄様の代わりにフローライト伯爵領の領地経営をしている。

そのため、フレデリクお兄様が領地から出るのはとても珍しい。

「ありがとうございます。私もフレデリクお兄様にお会いしたかったので、とても嬉しいです。」

私の頭に軽く手を乗せてポンポンするお兄様。

八歳離れていることもあるのか、フレデリクお兄様の中では子供のままなのかもしれない。

「そう言ってもらえてよかった。しばらく見ない間に随分と大人っぽくなったね。とても綺麗だよ。ジェラルディーナ。」

言葉と共に、にこりと笑うフレデリクお兄様……お兄様の方がとてもかっこいいです。

二人で盛り上がっている事が許せなかったのか、フレデリクお兄様の少し後ろでムスッとした顔をしながら立っているラルフリードお兄様の顔が見える。

「ラルフリードお兄様も来てくださってありがとうございます。」

「“も”ってなんだ“も”って!! 本当は俺が一番に綺麗だと伝えたかったのに……」

言葉のあやだと言うのに、変なところに突っかかってくるラルフリードお兄様を見て思わずクスッと笑ってしまった。

「まぁまぁ、兄上落ち着いて。僕も悪かったよ。でも兄上はこれまでずっと一緒に居たんだし、このくらい譲ってくれてもいいじゃないか。」

フレデリクお兄様に諭されて少し大人しくなったラルフリードお兄様。

これじゃあ、どちらが歳上なのか分かったものでは無い。

ラルフリードお兄様はもう二十八歳になると言うのに未だに独り身だし、婚約者もつくらずフラフラしていて……正直この先不安しかない……。

「ふん……仕方ないな。今日だけだからな。」

「ありがとう、兄上。」

少し和やかな雰囲気になったところで、結婚式の準備ができたとシスターが呼びに来た。

私はお母様にベールを降ろしてもらい、お父様と腕を組んだ。

「お父様、お母様、ラルフリードお兄様、フレデリクお兄様。今までお世話になりました。

フローライト伯爵家に生まれることが出来て、お父様とお母様の子供に生まれることが出来て、お兄様達の妹として生まれることが出来て、ジェラルディーナはとても幸せでした。」

皆に挨拶を終えると、ゆっくりと前に進んだ。

教会の扉が開くと、赤い絨毯が中央に敷かれている。

お父様とこの道をゆっくり踏み締めながら進んでいく。

小さい頃、親戚の結婚式に行った時、いつか私も赤い絨毯の上を歩きたいと思っていたけど、まさかこんなに早く歩くことになるとは思っていなかった。

あの時、私はお父様と結婚するって言ってたっけ。

お父様の顔をベール越しに見ると、あの時よりも歳をとったなと思った。

きっと皺の数の分だけ、色々なことを乗り越えてきたのだろう。

祭壇の前には旦那となるオディロン様の姿がある。

オディロンの近くに来ると、オディロン様は私の前に手を差し出した。

お父様の腕に添えていた手を離し、オディロン様の手に軽く自分の手を乗せる。

「ジェラルディーナ。幸せになりなさい。」

小さい声で一言発したお父様の言葉に、「はい」と聞こえるか聞こえないかの声の大きさで返事をした。

二人で祭壇に立ち、神父様の方を見ると神父様と目が合う。

こちらの緊張を汲み取ったのか、神父様が柔らかい笑みを向けてからオディロンの方へ顔を向ける。

「新郎オディロン・スフェレライト。あなたはジェラルディーナ・フローライトを妻とし、健やかなる時も病める時も、喜びの時も悲しみの時も、富める時も貧しい時も、これを愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」

「はい、誓います。」

オディロン様が誓いの言葉を言うと、神父様は軽く頷いてから私の方へ向き直った。

「新婦ジェラルディーナ・フローライト。あなたはオディロン・スフェレライトを夫とし、健やかなる時も病める時も、喜びの時も悲しみの時も、富める時も貧しい時も、これを愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」

「はい、誓います。」

誓いの言葉を返すと、私達は神父様が用意した結婚証明書にサインをした。

神父様がサインを確認すると、結婚証明書を高らかと掲げ、結婚式の終わりの言葉を告げる。

「この結婚証明書を持ってオディロン・スフェレライトとジェラルディーナ・フローライトの結婚を認めることとする。」