軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

灰色のイベント

「リポップ……それって不死って事!?」

「完全な意味ではないし弱点はあるはずだけど、即座に仕留めるのは難しいなの。この厄介さは剣の勇者が作ったというのは本当なのかもしれないなの!」

「なんであろうとブラックサンダーは守って見せますぞ!」

「ふ……ドクターアゾットとその装置がお前に対応する方法を考えないとでも思ったか?」

ラフミが余裕の表情で俺を小ばかにするようにいますぞ。

おのれ、錬! 無駄な抵抗しますぞ。

「未来の錬さんの殺意が凄いですね。全力でブラックサンダーさんを消しに来てますよ」

「樹がラフえもんに守られて助かったからじゃない? なんで俺だけ……って感じで闇に落ちてさ。嫉妬も交じってる感じ」

「あり得ますね」

何を外野の様に話しているのですかな!

「では……そろそろやるとしよう」

ラフミがそういうと……ザッザッザと……大量の足音が周囲から聞こえてきました。

周囲を見渡すと……地平線から無数のラ、ラフミ達がこちらに向かって駆けてくる光景ですぞ。

「ラ、ラフミ軍団!? 一体何匹いるんだ!?」

「さすがにやるしかないですよね! ラピットファイアⅩ! ラピッドレインⅩ!」

樹が援護射撃とばかりに無数のラフミ達に向かって攻撃をしますぞ。

俺も合わせて攻撃ですぞ。

「エイミングランサーⅩ! ブリューナクⅩ! グングニルⅩ! リベレイション・ファイアストームⅩ! リベレイション・プロミネンスⅩ! リベレイション・ファイアアイⅩ! 大風車Ⅹ!」

と四方八方からブラックサンダー目掛けて走ってくる無数のラフミ達に向かって攻撃してやりました。

「こう……相手の外見がラフちゃんを大きくしたみたいな感じだから吹っ飛んでいくラフミを見るとこう、心証は悪いね」

「そうも言ってられませんよ!」

「やりますよー! とー!」

「村のみんなー! しっかりと身を守って!」

お義父さんの注意もあって村の者たちも臨戦態勢でラフミへの防衛を……いえ、ラフミはブラックサンダー以外に敵意は無いのか無視して駆け抜けていきますぞ。

「無駄だ……槍の勇者、貴様とフィロリアル達に私を根絶させる事は出来ない」

「くうう……」

倒しても倒してもラフミが無数に出現してブラックサンダー目掛けて走ってくるのですぞ。

倒すことは造作も無いですが数が多すぎますぞ。

「キリが無いです! 錬さん! 何黙って見てるんですか! 冗談じゃ済まなくなってます!」

「あ、ああ……ラフミー! やめるんだ!」

「その命令には従えない。安心して見ているが良いアゾット」

「一応、錬の為って感じなのは一貫しているんだね」

「くう……」

「エアストシールドⅩ! セカンドシールドⅩ! シールドプリズンⅩ! か、数が多すぎる! 効果時間が切れたらヤバイ!」

ガンガンとラフミ達はお義父さんの放った盾を破壊しようと群がっておりますが、壊す事は出来ていません。

おそらく攻撃力自体はそれ程高くはないのでしょう。

実際、エイミングランサーでも撃破出来るので一匹一匹の能力は然程高くない様ですぞ。

ですがお義父さん盾も効果時間があるのですぞ。

「ギャアアアアアアアアアア!」

ブラックサンダーは盾の檻が消えると同時に飛び出して逃げますが、ラフミが群がって行きますぞ。

しかし、ブラックサンダーの逃げる方向がおかしいですぞ!

そのままではラフミ達に捕まってしまいますぞ!

「あ、ま、待って! ブラックサンダーが捕まった!」

「待つのですぞ!」

「邪魔はさせない」

ユラァっとラフミは俺達目掛けて幻覚魔法を発動させました。

く……ブラックサンダーを捕まえたラフミ達が無数に見えてどれが本物か分かりませんぞ。

下手な攻撃はブラックサンダーにもあたってしまいますぞ。

「なんて厄介な状況ですかな!? ライバル! 幻覚をどうにかしろですぞ!」

「解除しても掛けなおしてきてるなの! 数の暴力なの! 免疫付与の魔法を唱えるにしても時間が……」

ライバルが魔法を構築しておりますが間に合わないと抜かしてますぞ。

役立たずなのですぞ!

「は! そうですぞ! 原因と結果! 錬!」

俺はターゲットを切り替えて錬に向かってパラライズランスですぞ!

「やると思ったぁああああ! はぁ!」

錬が俺の槍を弾き、剣を俺に向けてきました。

「チッ! ここで錬を人質にすればブラックサンダーはきっと助かるのですぞ! 何せ奴を作ったのはお前ですからな!」

「やられてたまるか!」

「なに仲間割れしてるの! 元康くん!」

「今、ナチュラルに迷いなく攻撃しましたよね。いつかやるとは思ってましたよ。元康さんの中で僕達よりフィロリアルが優先なのはわかってましたからね」

「仲間割れはだめですよー! もとやすさん!」

フレオンちゃんが注意してきましたがこれは引く訳にはいかないですぞ。

「ギャアアアアアア!?」

ブラックサンダーに無数のラフミが逃げ場はないとばかりに刃物を向けておりますぞ。

「動くな、槍の勇者。既にこちらが動くだけでブラックサンダーは死ぬぞ。アゾットに攻撃するより先にな」

「くうう……」

恐怖の表情で叫び続けるブラックサンダーを前に俺は動くことができなくなってしまいました。

なんて奴ですぞ……どうすればいいのですかな?

「もう嫌がっている闇聖勇者に強引な勧誘はしないか!」

「し、しない! だから助けて!」

「本当か! 嘘だったら容赦しない……何かあったら槍の勇者達が助けてくれると思うなよ? これが結果なのだからな……」

スッとラフミの一体がブラックサンダーの首筋に刃を当てて脅してますぞ。

「わ、わかった! もうしない! だから助けてー!」

「絶対だぞ。しっかりと心に刻め、努々忘れるな……」

「えーっと……」

俺がどう動くか考えている所でお義父さんと樹達がつぶやきますぞ。

「さて……こんなものか」

そういうと無数のラフミ達は消えて一体になり、ブラックサンダーから離れてこちらにやってきましたぞ。

「ミッションコンプリート」

「ヒ……ヒィ……」

ブラックサンダーがあの日のコウみたいな顔で座り込んでおります。

「私は命を殺めたりはしない。その肥大化した自己顕示欲を抹殺しに来たのだ」

「ああ、ブラックサンダーの中二病を治療しに来たと」

「随分と過激な方法ですね、錬さん」

「そ、そうだな……」

「槍の勇者……これが貴様の招いたことだ。わかっているのか?」

「わかりませんぞ!」

こいつは敵ですぞ!

「原因と結果、貴様がブラックサンダーをアゾットに強引に斡旋しなければこういう事にはならない。やりすぎだったという事だ」

ぐぬぬですぞ。

一体どういう因果でこいつは来るのですかな!

フレオンちゃんと再会できたループでは見ませんでしたぞ。

「さて……次の任務に入る。ブラックサンダーの監視とアゾットの警護……槍の勇者が述べたという言葉を贈ろう。『未来からあなたを守りに来ました』」

そう言ってラフミは錬に一礼しました。

パ、パクリですぞ!?

「なんと言いますか……いろんな意味でヤバそうな方が未来から来ましたね、錬さん」

「あ……ああ。だが、ヤバイ奴という意味では元康も同類だろう」

「……確かに。あの状況で錬さんを迷わず攻撃しましたからね」

どうしたら良いんだ? と言った表情で錬はお義父さんに顔を向けますぞ。

「錬、自爆を命じるのですぞ!」

「悪いがアゾットの命令に絶対服従が使命ではないので従えない命令も存在する。私は私の認識に従って動いているのだ」

最初の世界のお姉さんが言っていました。

主が間違っていたら正すのも従者の務めだと。

くっ……コイツをどう処理すべきか考えねばいけませんぞ。

「厄介な奴が来たっきゅ」

「君が言うの?」

「えーっと……」

フィロ子ちゃんとラフえもんが各々言いますぞ。

「ラフミなのにポジションが未来からの刺客なのはどうなんだろうね。液状生命な所もさ」

「剣の勇者との接点的に考えると材料にチョコレートモンスターを使っているのは明白なの」

「あ、なんか言ってたね。バレンタインの時期に出現する季節限定の魔物だっけ」

「なの。最初のワイルドなおふみの世界で騒動を起こしたけど、こっちだとその因子を持った不滅の特性を使ってきてるなの」

「不滅ではない。一時的に増殖したに過ぎない。勇者達に同じ手は通じんだろう」

ラフミがライバルの言葉を訂正しました。

ならば隙を窺って破壊しましょう。

いえ、それでは復活するだけですぞ。

どうすれば完全消滅させられるのですかな!?

「それでラフミちゃん、君はブラックサンダーの矯正と錬の護衛が目的って事で良いのかな? 製作者は未来の錬で」

「肯定だ。私を作り出した装置に記された命令はそのようになっている。であると同時にアゾットの願いとブラックサンダーへの妬みが込められていたのだ」

「願いと妬み?」

「そうだ。覚醒しなければもっと別のより良い未来が得られたかもしれない、と独身で孤独なアゾットがささやかな幸せを求める願いだ。それとクリスマス、バレンタインと色々なイベントの節目で彼女を連れて楽しむブラックサンダーへの妬みが込められている」

ラフミは怯えるブラックサンダーをゴミを見るような目で吐き捨てるように言いました。

ぐぬぬですぞ!

「うわぁ……ブラックサンダー、そういう事しちゃうんだ」

「自身を洗脳した癖に彼女とデートしてやがる、とその日周辺でアゾットは我に返り、孤独に打ち震えるのだ」

HAHAHA、それは笑う所ですな!

ですがお義父さん達は何とも言えない、困った表情になりました。

要するに未来の錬が無様だという事ですな。

そしてイベントが終わると再覚醒し、ブラックサンダーと共に活動を再開するそうですぞ。

「確かにそれは悔しいでしょうね。洗脳した癖に自分は彼女が居て幸せそうに記念日を楽しんでいるとか殺意が湧くでしょう」

「要するにリア充死すべしって事だね」

「あー……最初の世界の剣の勇者も危うくシングルベルとかになりかけたって聞いたなの。バレンタインもお姉ちゃんとエクレールから貰えるか怪しくてポスト辺りに張り付いていたとか聞いたなの」

「やめろ! 同情の目を俺に向けるな! 俺は寂しくなんかない!」

「今はそうでもいずれ虚しくなっちゃうんだろうね……錬、今日は錬の食べたい物を作ってあげるよ? ゴールデンウサピルのシチューがいいかい?」

「優しい言葉を掛けようとするな!」

「本当……良い人が見つかれば良いんだけど……ウィンディアちゃんとエクレールさんにお願いしてみる?」

「や・め・ろ! それと元康、いい加減、隙を窺うのをやめろ!」

錬が一際強く言いました。

ちっ……気づかれていましたか。

「元康くん……君は後で説教だからね」

お義父さんがニコリと、それでありながら背筋が凍り付くような笑みで俺に釘を刺してきました。

「しかし……これで未来は変わるはずですよね? ラフミさんが平然と存在するのはどういう事なのでしょう?」

「ああ、この件でアゾット……レンにはやらねばならぬことがある」

「……なんだ?」

「未来への辻褄合わせに私を創造する装置の製作を行っていただかねばならない」

「なるほどね。ラフミちゃんを作り出す装置の製造をして目的を定めれば結果は同じところに行くと……かなりの強引だけど、先取り約束だと思えば良いのかもね」

「く……面倒な」

「やらなきゃ孤独な生涯を送る事になるみたいだし、しょうがないんじゃない?」

「一応鍛冶の勉強をしているのに孤独なんて悲しいですね」

お義父さんと樹が揃って錬に同情の目線を送り続けておりますぞ。

「武器屋の親父さん辺りから斡旋とかしてもらえないのかな?」

「年齢的な感じで難しかったのかもしれませんよ? むしろ男の世界にどんどんのめり込んで行ってしまって婚期を逃すみたいな感じですよ。愛情より友情を重んじた……それはそれで楽しそうじゃないですか」

「やっぱり彼女が必要なの」

「黙れ! 新しい未来が俺に開いた事を祝えば良いだけだ!」

「自分で言うのもどうなんでしょうね……まあ良いんでしょうけど」

「妙なゴーレム付きになるけどね」

「私の目的はレンの健やかな一生を見届ける事である」

ラフミ……覚えておきますぞ。

貴様は敵ですからな!

絶対に貴様を生み出さないように行動してやりますぞ!

「なんとか事は収束したみたいですけど、元康さんの方は尚文さん、任せましたよ」

「ああ……そうなるね。自らが招いた種なのに逆恨みしてそうだし、元康くんには言い聞かせておくから」

ぐぬぬ……ですぞ。

「とりあえずこれで騒動は終わり……かな? そうであってほしいんだけど」

「尚文さん、そう思うのでしたら不用意な発言は控えてくださいよ。ここで何か新しいネタを言ったら次が出てきそうな気がします」

「ネタって……ラフえもん関連で何か次があるとしたら、熱い友情を誓った個性豊かな六人の親友が――」

「それをやめろと言っているんですよ! 続きを言っちゃだめです!」

「おっと、まあ……これは人気があったのに黒歴史化しちゃった奴だからね。言わない方が良いよね」

「きゅ?」

「その……いつきくん、ぼく達は……いても良いんだよね?」

フィロ子ちゃんは首を傾げ、ラフえもんは樹に申し訳なさそうに小首を傾げてお願いするように聞いてますぞ。

「正直、勘弁してほしいですが住む場所が無いようですからね。仕方がないですよ。ここはみんなの村なんで悪さをしない限りは住んでも良いですよ」

「うん! 改めてよろしくね! じゃあいつきくんには他にも色々と道具を見せてあげるから楽しみにしててね」

「そのポンコツアイテムの上位互換をフィロ子が披露してやるっきゅ」

「良い友情です! ジャスティスさん」

フレオンちゃんがラフえもんと樹の友情に感動してますぞ。