軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

魔導ゴーレムの妹

「ガエリオンと仲良くなったなおふみのループだとラサえもんだったなの」

「なんでラーサさん?」

「ラフーもサディーも接点薄かったから盾の勇者と仲が良かったって伝承が広まったんだと思うなの」

「あらー……?」

「完全に俺の趣味な外見なの? え? もしかして前に言っていたアレって……」

お義父さんが首を傾げたところで樹がハッとしました。

「ってガエリオンさん!」

ズビシ! っと樹がラフえもんを名乗るゴーレムを指さしましたぞ。

「ラフ種を作る際にサディナさんでもラーサズサさんでも良いと言いつつ、ドラゴンがダメと言ったのはこれが理由ですか! しかも僕にも聞いたのは確信犯ですね!」

「え? え? いつきくん、どういうこと?」

「ラフえもんさん、あなたは気にしなくていいんですよ」

「なのなの!」

ライバルが楽し気に頷きましたぞ。

ドラゴンではなぜダメなのですかな?

何となくですが俺の世界でも子供の頃に見たアニメで見たことありそうな感じではありますな。

「ドラゴン由来の名前ではなくガエリオンさんから取ってガエえもんで良いじゃないですか!」

「ガエリオンは名前であって種族にはできないなのー。ガエ種やなの種を作ってもそれはドラゴンなの」

「確かに……ドラゴンでその名前になるといろんな意味で危ない。デザインが違ったとしても、ね」

なの種とは自己評価が高いような気がしますぞ!

お前如きの媚びた語尾を後年になど出させませんぞ!

「まあ……それとなく樹に誘導して聞いていたのは何か裏があるとは思ったけどさ……これって後年で俺はラフちゃんを愛でてたって事になるわけ? 元康くんの知る最初の俺みたいにさ」

なんか違くない? とお義父さんはお姉さんのお姉さんを見ますぞ。

「あらー」

「じゃあ尚文さん、ラフえもんさんをサディえもんさんにしましょうか」

「いや……さすがにそこまでしなくていいよ。それくらいはね。ところでラフえもん」

「なんだい?」

ラフえもんが小首を傾げてお義父さん達を見ますぞ。

「ラフー」

「……」

お姉さんとラフ種と並んでいると近い種族にしか見えませんな。

「君にはやっぱり妹がいるのかい? ガエリオンちゃんが君を送った後の君の作り主を捕まえるっぽいけど」

「尚文さん……気にするところはそこですか」

「だって重要じゃない? むしろ転生者からすると俺よりも警戒しなきゃいけない相手がいるでしょ」

なぜかお義父さんは俺の方に視線を向けますぞ。

「確かにそうですよね。最も警戒しなきゃいけない危険な相手は元康さんかと思うんですが……そこでなんでラフえもんさんに妹を聞くんかですね……」

「ん? もしかして樹は知らない? いや、樹の方の世界だと無いのかな? 原作で5話しか登場しない幻の妹が居てさ――」

と、お義父さんが嬉々として話し始めました。

その幻の妹が鳥型のロボットなのだそうですぞ。

「結局、やっぱり妹というとラフミちゃんとかかな? 俺はフィロ子ちゃんの可能性もあると思うんだけどさ」

「ラフミに関しては何となく察することができますが、フィロ子の方は直球ですね。元康さん対策ですね」

お義父さんが樹に説明しようとしているとラフえもんが答えますぞ。

「え、えっと……ぼくは知らないよ。ぼくの後に作られるかもしれないけど」

というところでバチバチと樹の家の方から音がして何かが飛び立ってフレオンちゃんの方へと飛んでいきました。

「なに、今の音?」

するとすぐにフレオンちゃんが折り返してきてこちらに降りてきました。

「皆さん、集まっていますねー!」

隣には犬姿のキールより少し大きな不自然な体型をしたフィロリアル様っぽい何かがいました。

こう……それなりに小さいけれどクイーン姿なフィロリアル様といいますか、そんな感じですな。

スカートを着用していますぞ。

なかなか悪くないデザインではないですかな?

「うわー……なんか元康くん対策で作られたっぽいのが出てきた」

「この子はフィロ子ちゃんと言うらしいです。なんでもフレオンのお手伝いをしたいと言ってますよー」

「フィロ子だっきゅ」

……語尾がちょっと変ですな。

若干ガラ声ですぞ。

「……本当に来ちゃいましたよ」

ここで錬が小さくガッツポーズを取っています。

お義父さんも樹も気づいていませんが、俺は見ていました。

しっかりと見ていました。

「えっと、ラフえもんの妹とか?」

「そういう設定だっきゅ。そこのポンコツゴーレムの妹、フィロ子っきゅ」

「ポンコツゴーレムじゃないやい! ぼくはラフえもんだぞー!」

「うるさいっきゅ! 作ったのがクソザコ転生者じゃ程度が知れるっきゅ」

「ひ、酷い……」

ラフえもんはあまりの言い様に樹に泣きついておりますぞ。

脳内のお義父さんが羨ましそうですな。

「……兄妹設定なのに仲悪いなー……それでガエリオンちゃん、この子は?」

「なの? こいつは知らないなの。初めて見るなの」

「え? ちょっと待って。知らないってどういうこと!?」

「フィロリアルクロスもそうだけど、本当ループって何が起こるかわからねぇなの」

おや?

ライバルが知らない出来事が起こっていますぞ。

「フィロ子の目的はフレオンちゃんの活動の補佐だっきゅ! 一緒に歌うっきゅ!」

ガチャっとフィロ子の背中から音響装置っぽい物が展開されてフレオンちゃんにマイクが渡されましたぞ。

そしてリズムが良い曲が流れ始めましたぞ。

「良いですねー! 歌いますよー!」

曲に合わせてフレオンちゃんが衣装チェンジして歌い始めました。

「うああ……そんな……未来の道具があるのに……くううう」

「い、いつきくん、しっかりして!」

樹が悶え始めました。

HAHAHA、覚醒も近いですな?

「ストップストップ! 自己紹介がまだだから歌は後で!」

お義父さんが制止してフレオンちゃんに注意なさいました。

樹、命拾いしましたな。

「あ、後でもしないでほしいもんですよ! せっかく対抗策をラフえもんさんが持ってきたのに、これじゃあ意味が無いじゃないですか!」

「そんなクソザコ転生者の作ったポンコツアイテム、フィロ子には効かないっきゅ! フレオンとの正義活動をするっきゅ。弓の勇者、そう運命づけられているっきゅ!」

「ああ……ラフえもんが来ても抗えないのか」

「樹の未来に合掌だね」

錬の言葉にお義父さんが手を合わせて合掌しますぞ。

俺も合わせて祈っておきましょう。

どうやら樹はフレオンちゃんの歌で正義に目覚めるのは確定しているようですな。

錬が拳を握って喜んでいた事も俺は覚えておりますぞ。

「またですか! 勝手に決めないでください! 覚醒なんて絶対にしませんからね!」

「しかし、この転生者に対する嘲笑には覚えがあるんだが……」

「まあフィロリアル造形だしね。無関係ではなさそうだよね」

どうやらお義父さん達は心当たりがある様ですぞ。

何故か俺をチラチラ見ていますがな。

「運命は抗う為にあるんですよ」

などと、何故か樹は俺に言いました。

俺に言う理由がわかりませんな。

樹の運命はフレオンちゃんとヒーローになる事ですぞ。

「観衆を楽しませるのがお前の役目っきゅ! アイドルっきゅ!」

「何が楽しませるですか! 正義の味方にもアイドルにもなりませんからね!」

「アイドルかぁ……樹も元康くん程じゃないけど美形だからねー……やる事すれば人は付いていきそう。歌って踊る感じでさ。元康くんも錬も樹も顔良いしね」

「尚文さんが顔面偏差値で劣等感を持っているのはわかってますけど余計なお世話です!」

お義父さんは味のあるお顔なので気にする必要などないですぞ。

むしろお義父さんこそ色々な界隈で人気があるのではないですかな?

「尚文、お前は亜人獣人に人気だろ。きっとそっち基準で俺達より美形なんだ」

錬がここでフォローをしましたぞ。

そうですな。顔の基準など世界毎に変わるのですぞ。きっと。

「なんでこのタイミングで俺がフォローされてる訳? いや、俺に注意を向けさせようとしてるだけだね。気を取り直して……フィロ子ちゃんだっけ。君に関する事をもう少し色々と教えてくれないかな? ラフえもんからも聞いているんだ」

お義父さんがフィロ子を名乗るフィロリアル様似の方に尋ねますぞ。

「ラフえもんさんが尚文さん対策と考えると元康さん対策で裏には何か目的があるって所ですかね」

「ガエリオンちゃんも知らないらしいからね。聞くしかないよ」

「なの、大方槍の勇者が何かしら暗躍して生み出されたとかじゃないなの?」

「ありそうですね。フレオンさんの応援のために未来でサポートメカ……ではなくゴーレムを作るように命じたとかでしょうか」

「そうだな。ブラックサンダーの応援技能も持っていそうだ」

確かにフレオンちゃんのお手伝いとして樹はササっと正義に覚醒させたいとは思いますな。

そうして闇聖勇者やフィロリアルマスクV3になるのですぞ。

「当たらずとも遠からずっきゅね。でも違うっきゅ」

「違うんですか?」

「制作者関連に関しては弓と剣の勇者には教えられないっきゅ」

「元康犯人説の信憑性が高まったな」

「つまり尚文さんと元康さんには教えられるって事じゃないですか!」

「尚文!」

「まだ教える気はないっきゅ。でもフィロ子のデザインは槍の勇者の好みに合わせているのは間違いないっきゅ」

「ああ……そう。元康くんと仲良くね」

フィロリアル様をモデルにした存在であるならお近づきになるのは素直に嬉しいですぞ。

そして共に樹と錬を覚醒させるのですぞ。

「樹と錬の覚醒ですぞ」

「やる気まんまんじゃないか!」

「訂正、あんまりやりすぎないようにね」

「で、少しだけ情報開示をするならフィロ子に爆弾の類は無いっきゅ。そしてそこのポンコツゴーレムと違って最新の技術を持って作られたゴーレムっきゅよ」

シャランと翼を広げて高級品であるとフィロ子ちゃんは言いますぞ。

「具体的にはポンコツゴーレムを作ったクソザコ転生者なんて屁でもない技術で作られているっきゅ」

「ポンコツポンコツって失礼だぞー! 君はぼくの妹だろー!」

「チッ! 無能な兄がいるってのは面倒だっきゅ。部品も形式番号も製作者も違うっきゅ。同じなのはコアに使われている鉱石だけっきゅ」

もはや原材料が同じという程度の話ではないですかな?

それでも兄弟という設定なのは何か理由があるのでしょう。

「何となくですが最初の世界の虎娘と虎男みたいですな」

「フォウルさんとアトラさんですか? ラフえもんさんとフィロ子さんのような……? 全然つながりませんね」

「確かに似てるような気がするなの」

ちなみに虎男は虎娘に会いに出かけて今は居ませんぞ。

虎男は最近、お義父さんの命令を聞いて色々とお姉さん達の補佐もしているようですな。

「フォウルくんがねー……アトラちゃんとは少ししか話をしてないけど……フィロ子ちゃんとは似てないと思うけど」

「確かに虎娘が兄に喧嘩を売るようになるループは滅多に無いなの。最初の世界のワイルドなおふみは虎娘が大人しくしてほしい的な感じで呟いていたなの」

「うーん……何が原因でそうなってしまったんだろう」

「虎男曰く、なおふみに会った所為らしいなの」

「俺とねぇ……」

「尚文さんを仲間に引き入れるにはラフ種ではなくアトラさんと長時間話させるべきですかね。いえ……アトラさんには尚文さんが、僕にとってのフレオンさんなんでしょう」

「樹がまた命中の異能を発揮させて……ともかく兄妹仲良くしてほしいね。できれば仲良く未来に帰ってほしいんだけどね」

未来への帰還をお義父さんは提案しますぞ。

「片道キップで帰るのは無理っきゅよ。時間跳躍はとても難しい技術だっきゅ」

「え? ぼく帰れないの!?」

「ラフえもんさん、知らなかったんですか」

「まあ鉄砲玉らしいし、教える意味は無いか。帰って来れないよと言うよりいずれ迎えが来る方が来やすいだろう」

なんとも哀れですな。

「タイムマシンは無しなのか……あったら未来とか過去に行ってみたいもんだけど……特に過去を変えるのはね……サディナさん達の事を考えるとさ」

「フィロ子達の時代で伝承にある波が発生した時期より過去には行けた話は無いっきゅ」

「古代魔法や伝承、禁呪などに時間跳躍系の魔法の話があるなの。ただ……波より過去に行くのは難しいと聞くなの」

「ふむ……元康くんのループする謎に近そうだね」

確かに俺はループしておりますからな。

ある意味タイムスリップですぞ。

「ともかく、ラフえもん達は片道でこの時代に来たと」

「そうだっきゅ。最も過去の時代がここっきゅ。それも滅多に出来ない事っきゅ」

最も過去ですかな?

つまり俺のループでいう召喚された直後がフィロ子ちゃん達の今なのでしょう。

「的確に送って来たんだなーラフえもん達を……話を合わせると樹とリーシアさんの関係者辺りが開発に関わってそうだね。何となく」

「否定はしないっきゅ」

「ある意味、ラフえもんが刺客であるならフィロ子ちゃんは味方って事になるのかなー……」

「とてもそうは思えませんけどね」

「気にする必要はないっきゅ。盾の勇者がラフ種を好んで連れ歩いた伝承に合わせて他の勇者に遣わされたと思えっきゅ」

「既にラフえもんさんで充分です。お帰り下さい」

樹が頑なに拒みました。

帰る場所が無いのでは保護するのですぞ。