軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

フィーロスキン

「あ、サクラは最後にしろなの。で、フレオンは好みだと思うからそのコンパクトを開いて手をかざしながら「メルフィロ・メタモルウイング!」って叫ぶなの」

「なんだかわかりませんが、わかりました! メルフィロ・メタモルウイング!」

フレオンちゃんが言われるがまま、叫びますぞ。

するとまばゆい光とともにフレオンちゃんに光が集まっていき、衣装が変わっていきますぞ。

おお……フィーロたんとよく似た髪型のフレオンちゃんがふわふわのボリューミーなツインテールになり、衣装がミニドレスへと変貌ですぞ。

リボンが多めの衣装ですな。

シャキーンとフレオンちゃんは決めポーズをとりましたぞ。

「これは……素晴らしいです! ほかの皆様も確認しないといけませんね。フレオンはなんと名乗るべきでしょう。マジカルフレオンと仮に決めましょう!」

ボウっとフレオンちゃんの瞳がより一層炎を灯して輝いておりますぞ!

樹が一緒に遊んでくれなくてちょっと残念そうでしたが今のフレオンちゃんは生き生きとしてますぞ!

「朝の変身ヒロイン路線ですか」

遠くで樹がフレオンちゃんの変身を見て分析していますぞ。

そういえばメルフィロのアイデアは元々錬と樹でしたな。

「ガエリオンさんもやりますね。これでフレオンさんの意識が僕から離れたら万々歳です」

樹……お前がフレオンちゃんと一緒にいてあげればこんなことをしなくてもフィロリアルマスク2号として楽しんでくれるのですぞ!

「……」

呆然とお姉さん、婚約者と助手が変身を終えたフレオンちゃんを見ておりますぞ。

「ラーフー」

お姉さんに抱えられたラフ種がそんな様子に鳴いておりますぞ。

「これは様々な世界で現れる伝説の戦士メルフィロの変身コンパクトなの。選ばれた少女達に授けられる力なのー」

初耳ですな。

何よりメルフィロはフレオンちゃんと再会してからお前がやり始めた事ですぞ。

「どんな路線? そもそもメルフィロってネーミングに元ネタが何なのか察する事ができるんだけど」

「ナオフミちゃん、すごく楽しそうね!」

「なに騒いでいるんだい?」

ここでパンダがフレオンちゃんの変身シーンで出た光に誘われてやってきたのですぞ。

「随分と妙な格好をしてるねぇ。ゼルトブルの奇妙な商品でも買ったのかい?」

「あるの? こういうの?」

「こういう際物はあそこの名物みたいなもんさね」

「さすがはパンダですな。この手の造詣に深いのですぞ」

実はかわいい物好きらしいですからな。

「勝手に決めないでもらいたいもんだね!」

「あらー? ササちゃんも参加する?」

「あたいを巻き込むな! ったく……で、どういう状況なんだい?」

「なんかガエリオンちゃんが作ってバラまいてたみたいなんだよ」

「あらま、随分と凝った代物を自作してバラまいてるみたいだねぇ。そこにいる連中が持ってるもんだろ? パッと見たところ随分と手が込んでるみたいだよ。金になるんじゃないかい?」

「本物を売り物にする気は無いなの。もちろん使える人は限定してるなの」

ライバルがきっぱりと言いました。

分別を弁えている様な面をしてますが、そんな事ありませんぞ。

「次はラフーなの」

「え……」

お姉さんの顔が青ざめました。

表情だけで嫌だと言っていますな。

「ラフー!」

ササっとラフ種がコンパクトを開けて声を上げますぞ。

するとコンパクトが光ってお姉さんとラフ種を包み込み衣装がチェンジしました。

リボンが多めの衣装を意識しているのでしょう。

お姉さんの場合は茶色と黒の縞々な大きなリボンが腰辺りに飾られておりますな。

ラフ種も混ざった影響でミニシルクハットと蝶ネクタイを着用しております。

「ラフ!」

スタッとラフ種がお姉さんの肩で決めポーズですぞ。

相変わらずノリが良いですな。

「素晴らしいです! ラフタリアさんでしたね。あなたは……メルフィロ・イリュージョンとかどうでしょうか」

パチパチとお姉さんのお姉さんが拍手をしておりましたぞ。

「ラフタリアちゃん、かわいいわよー!」

「え、えっと……」

お姉さんがお義父さんやお姉さんのお姉さんに顔を向けて返答に困った様子ですぞ。

「ラッフ!」

ラフ種の方はノリノリでポーズを取っておりますぞ。

「良いようですね!」

「えー……」

「ラフタリアちゃんは全く返事してないよ? その子の意見だけじゃない?」

「ラフー!」

「うん……君はね。ラフタリアちゃんの意思も大事だよ?」

「ラッフ!」

お義父さんの注意にラフ種がお姉さんの方を見てここは任せろと鳴きました。

「その、困ります」

「ラフラフ」

まあまあと、ラフ種はお姉さんの手を握っておりましたな。

「一応その防具で戦闘力が上がるなの。世の中、何が起こるかわからないから、いざって時のお守りにもなるから持っておけなの」

「はあ……」

なんて形でお姉さんの変身は終わりました。

「なんだ今の邪悪な光は!」

「くっ! 光に群がってきたか!」

ここでブラックサンダーがやってきました。

すると錬が逃げるように背を向けて走り去っていきますぞ。

「今ここに闇聖勇者がいなかったか?」

「えーっと……」

「錬さんならあちらへ逃げていきましたよ」

と、逆方向を樹が指さしたので俺は錬が逃げた方角を指さしました。

フレオンちゃんが親指を立ててから俺が指さした方角を指し示しましたな。

「礼を言うぞ愛の狩人<タイムドライブ>よ! どれだけ抗おうとも闇は貴様の目覚めを待っているのだフハハハハハ!」

ブラックサンダーが錬の逃げた方向へと走って行ってしまいました。

「錬も苦労してるんだなぁ……ラフ種製造を賛成したから同情はしないけど」

そんな錬とブラックサンダーの去っていた方向を遠い目をしたお義父さんがつぶやいていましたぞ。

「次は誰にしましょうか!」

生き生きとしたフレオンちゃんが残された助手、婚約者、サクラちゃんの方を向きました。

助手と婚約者がなんとも言えない表情になりましたな。

「ガエリオン……」

「お姉ちゃんのは特別製なの!」

助手の困惑に対してライバルは見当違いな返答をしているように見受けられますぞ。

「特別って……?」

『む……こ、ここは? これは一体!?』

「コンパクトの目が覚めたなの! お姉ちゃんのだけ自我を持ったコンパクトにしてみたの!」

「意思の宿った代物かい? また変わったもんを作ったねぇ」

「あるんだ。そういうの」

「無いわけじゃないねぇ」

パンダの説明を他所に助手がコンパクトをじろじろと見ておりますぞ。

「お姉ちゃんのは変身するとセントウィンディになるなの! そしてこのコンパクトはジャックというなの!」

「ヒーロー名ですね! 素晴らしいです!」

『か、勝手に名前を決めるな!』

「自分で名乗ったのをガエリオン覚えてるなの。さあ、存分にお姉ちゃんを守る役目を全うするなの!」

『何!? く……』

悔し気な声をジャックは漏らしていましたぞ。

それから助手も付き合わされて変身しておりました。

お義父さん曰く、ドレスアップでも良さそうと仰っていましたな。

「後はメルティ王女、こっちは初代メルフィロの片割れなので割愛なの!」

「割愛されてうれしいのかしら……変身を強制されてるけど」

「最後はサクラー?」

ぼんやりとしていたサクラちゃんが挙手して聞きますぞ。

「なの。ではサクラの番なの! これは驚く特別な仕掛けをしてるからやってみるなの! 長年の研究成果なの!」

「サクラちゃん、なんか嫌な予感がするわ。しない方がいいかもよ?」

「そうだね。ガエリオンちゃんも悪乗りは程々にしないとだめじゃない?」

「そうなの? フレオンと弓の勇者の悩みを解決する良い手だと思ったなの」

「あー……まあ、メルティちゃん達と一緒に遊ばせれば樹に絡むことは減りそうではあるね。みんな仲良く遊んでくれるなら俺もうれしいけどさ」

何か裏があるような気がしますぞ。

「サクラちゃん、嫌な予感がするのでやめた方が良いですぞ。ライバルのやることは碌なことじゃないですからな」

「あなたが言っては説得力がありませんよ!」

遠くで樹が抗議しておりますが知ったことではないですぞ。

樹の悩みよりフレオンちゃんですぞ。優先すべきはフィーロたんとお義父さん、そしてフィロリアル様なのですからな。

「まあ、そう言うななの。変身コンパクト強制起動なの!」

ライバルがそういうとサクラちゃんのコンパクトが光り輝きサクラちゃんを包み込みましたぞ。

まばゆい光がサクラちゃんにまとわりつき、若干癖のある髪がスラっとストレートになり金髪に代わり、羽も白く変わっていき、白を基調とした青いリボンの……おおおおおおおおお!?

光が散った所で現れたのは――なんとフィーロたんでした!

「んー? 何これー?」

「うわ……サクラちゃんが元康くんのよく描いてるフィーロって子そっくりに変わった!?」

「色々と研究した結果作り出した初代メルフィロのフィーロ! サクラ限定フィーロスキンなの! これでサクラがいるループでも槍の勇者が多少目の保養になるようにしてやったなの!」

「ふぃーろたぁああああああああ――――」

「にゃぁあああああああああああああああ!?」

次に気づいた時、俺はお義父さんに後ろから羽交い絞めにされて目隠しをされていました。

大きなフィロリアル様と遭遇した時と同じ状況ですぞ。

「な、なにが起こっているのですかな!?」

「元康くん、覚えてないの? いきなり変身したサクラちゃんに向かって某怪盗の三世みたいなジャンプをして飛びついたんだよ!?」

「見事なジャンプでしたよ。あれはそうとしか言いようがない跳躍でしたね」

「もとやすさん、相手の望まない抱擁はだめですよー! そんなことは断固フレオンが許しません!」

フレオンちゃんが怒っているのか注意してきました。

「槍の勇者ってのはケダモノだねぇ」

パンダがやかましいですぞ!

ケモノはお前ですぞ。

「ですが俺の目の前にフィーロたんが降臨したのですぞ!」

ライバル!

お前は基本碌なことをしませんが今回は良い仕事をしたとほめてやりますぞ!

「ガエリオンちゃんもわかっているならこんなことしちゃだめじゃないか!」

「これはさすがに予想外なの。匂いが違うとかいろいろと難癖をつけると思っていたのに予想以上に槍の勇者が暴れちまったなの」

なんですかな?

なぜか俺が怒られて評価を下げられているような気がしますぞ。

「うー……」

「サクラちゃん、とりあえず変身を解除しましょ? じゃないときっと槍の勇者様がまた暴れ出すわ」

「うん。サクラこれいらない! あ、戻ってくる。やー!」

「あ、ちょっと待つなの。紛失防止用の魔法を施してあるから投げ捨てても手元に戻ってくるなの。しかも変身解除して無いなの!」

「うわー……フィロリアル姿もフィーロって子の色合いになってる」

ドタバタと物音が聞こえてサクラちゃんの声が遠ざかっていきましたぞ。

やがて目隠しが外されましたが、そこにはいつものサクラちゃんがお義父さんと婚約者を盾にしてこちらを涙目で見ておりました。

「槍の勇者、少しは抑える事を覚えろなの。まったく……調整がシビアすぎるなの」

「最初からしないという選択を選ぶべきではないですか?」

「そこは槍の勇者と仲良く、となおふみに頼まれてるからガエリオンはやらざるを得ないなの」

「確かにこれ以上ないくらい元康さんに取り入ることができそうですね」

く……ライバルめ、なんて代物を作り出したのですな。

サクラちゃんをフィーロたんにする素晴らしい発明ですぞ。

「非常に不服ですがその技術力は素直に称賛し賛美してやりますぞ」

「やー! ぞわぞわするー! ナオフミー! メルちゃーん!」

サクラちゃんがフィーロたんでペロペロですぞ。

「こりゃダメなの。槍の勇者がサクラに完全に嫌われちまうなの」

「ライバル! 研究を進めるのですぞー! サクラちゃんがフィーロたんの完全証明なのですぞー!」

「やー!」

おお……サクラちゃんがフィーロたんと同じ声を出しておりますぞ。

なんと素晴らしい事ですかな!

「ガエリオン、サクラちゃんが嫌がってる」

助手がライバルを注意しました。

『そうだそうだ!』

ジャックもですぞ。

「元康くんはもう少し我慢を覚えようね。というかフィーロって子がいるループだと元康くんってずっとこんななんじゃ……」

「あり得ますね。完全に変質者のソレですよ」

「もとやすさん! ダメですよー!」

「そうですわ! ドラゴン! 私にそのスキンを張るのですわ!」

「ユキちゃんもどさくさに紛れて何言ってるの?」

「悪いけどサクラ以外だとフィーロにはできないなの。むしろラフーが幻覚見せるのが無難な範囲になるなの」

「くっ……役に立たないドラゴンですわ!」

それからしばらく時間が置かれ、サクラちゃんは婚約者と一緒にどこか出かけてしまいましたぞ。

非常に残念ですぞ。

お義父さんは持ち場に帰ると立ち去る助手からジャックを預かってしまいました。

「元康さんにフィーロさんを会わせるのは危険な行いのようですね。最初の世界やフィーロさんのいる世界での尚文さんの苦労が知れますよ」

「まあ、ね。元康くんの幸せを考えるとフィーロって子に会わせたかったけど劇物だよ、これじゃあ……」

「上手い事フィーロが槍の勇者と顔合わせしないようにしてたり、槍の勇者もある程度、渇望が足りないから大人しいなの」

「ああ、このループにいないという点で普段よりも酷いってことですね」

「どちらにしても迷惑な……」

「ラフー」

くっ……ライバルの調略によって俺の評価が下がっていますぞ。

ここは弁明をするべきですな。

「ですがお義父さん、フィーロたんがいるのですぞ!?」

「槍の勇者、いくらフィーロが好きでも有無を言わせずに抱きつく様な奴、嫌われるなの」

「確かに」

「それは確実ですね」

俺はフィーロたんに嫌われていませんぞ!

「ガエリオンも昔はなおふみのお風呂の水を舐めたりしてヒャッハーしていたけど、あんな事をしたら嫌われて当然なの」

「え……?」

驚愕の表情でお義父さんがライバルを見ていますが、さて、とばかりにライバルがまたもコンパクトを出しますぞ。

お前は何個作っているのですかな!