軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

神鳥騎士団

「現在、国を挙げて厳戒態勢を取って探しております」

「錬や樹にも帰ってきたら報告して探させるか。元康、フィロリアルは元より魔物共とラフちゃん、キールとかを使って草の根を分けてでも探し出すんだ!」

「は、はい! ただ、キールくんは遠出中ですので別の鼻の良い子にお願いします」

そんな訳で俺達は手分けしてクズの行方を捜す事になりました。

ですがクズは見つける事が出来ませんでした。

お義父さんの推測では匂いでの追跡などを想定してポータルスキルで逃げたのだろうとの話でしたな。

おのれクズめ!

アレだけ心を壊したのに立ち直るとは化け物ですぞ!

この元康がどれだけ逃げようとも報いを受けさせてやりますぞ。

フフフ……この機会にお前を惨たらしく殺してやりますぞ!

と言った感じで俺達はクズの捜索を続けましたが……見つかる事はありませんでした。

「逃げるのが上手いと言うか何と言うか……これも転生者やビッチの背後にいる奴の手引きか? くそ……」

お義父さんはクズを見つける事が出来ずに苛立っておりましたな。

「こんな時に錬と樹はどこへ行きやがったんだ。ヒーロー出動のチャンスだろうに」

「隣国の方でそれらしい情報があるので村に帰って来た時に説明しましょう」

なんて感じに捜索は続きつつ日々は過ぎて行ったのですぞ。

錬や樹はお義父さんの村での日々が飽きたのかぱったり来なくなりました。

一応噂話等で各地でそれらしい者を見たとの報告があるのですがな……。

フィロリアル様を連れたヒーロー達ですぞ。

ですので居るのは分かるのですが、錬と樹達……フレオンちゃんもお出かけ中なのでしたな。

不安ですな……。

そんな不穏な気配はありましたが日々は特に問題なく過ぎて行きました。

ユキちゃん達も元気ハツラツでフィーロたんも婚約者と一緒に楽しくしております。

お義父さんとお姉さんは今までのループの中でもとびきり仲良しに見えますな。

そしてお姉さんのお姉さんが遊び相手にとパンダを呼びよせ、その祖父なんかを老婆に合わせるなど、村はどんどん賑やかになって行ったのですぞ。

やがて最後の波の日になりましたな。

この途中、俺は気が気じゃなくて世界中をユキちゃんと共にドライブモードで駆け回りました。

「うう……フレオンちゃん」

「元康、落ち付け……錬と樹、クズがどこへ行ったのかの不安があるのはわかるがな……」

そうですぞ。

錬や樹はどこへ行ったのか完全にわからなくなってしまっていたのですぞ。

ああ、錬の仲間も一緒に消息不明ですな。

国外のフィロリアルヒーローに関してはキールが錬の真似して悪人をルナちゃんと一緒に捕縛したとか、フィーロたんが婚約者と共に盗賊退治をしたとかの話が混ざったモノだったという真実が明らかになりました。

しかもフレオンちゃん達の行方も不明なのですぞ。

魔物紋が解除された形跡は無いのですが範囲外のままなのですぞ。

錬と樹に関しても死んではないと四聖教会での探査でわかっているとの話ですが、転生者が関わってくるとそれも信用できないですな。

ただ……錬と樹は既に聖武器の強化を全て実践している状況でした。

転生者程度、寝ている所を殴られたって蚊に刺された程度の傷も負わない次元ですぞ。

厄介な……。

「皆さんで遊んだ罰が下ったんだと私は思います」

「ラフタリアは元康への当たりが強くなったな」

「ラフー」

お姉さんをお義父さんが親しげに撫でますぞ。

「す、少しは感謝する所はありますけど、許せないのは事実です!」

「んー?」

「ラフーはねーキタムラが嫌なんだってー」

「うるわしゅーのお陰でごしゅじんさまに撫でてもらってるのに贅沢だねー」

コウとフィーロたんが微笑ましいやり取りをしてますぞ。

「まあ……ちょっと槍の勇者はやり過ぎな所があるわよね。なんせあのラフタリアさんがこうなってしまったんですもの」

婚約者はお義父さんと一緒に波に挑む様になっておりますぞ。

フィーロたんと一緒に変身ですな。

「姉御、そんなに兄貴に構われるのが嫌なら亜人姿で居れば良いんじゃないか?」

「……」

虎男の提案にお姉さんの尻尾が不自然に揺れていますぞ。

アレはまんざらでもないから敢えてあの姿でいるのですぞ!

虎男にはわからないかもしれませんが、乙女心は複雑なのですな。

「あらーラフタリアちゃんも複雑ねー」

「ラフフ」

「ラフちゃんは笑わないでください! あなたの所為なんですからね!」

「ラフー」

良かったね! とばかりにラフ種はお姉さんにエールを送っておりますぞ。

「どっちにしても攻略本と解読書の話じゃ波はこれで最後だ。みんな! 気を引き締めて行くぞ!」

「これで俺の仕事も一区切りって所だな」

なんて感じで虎男も戦いに備えて拳を握りしめておりました。

やがて波のカウントダウンが0になり、最後の波の場所へと俺達は転移しました。

……おや?

途絶していたフレオンちゃんやブラックサンダーの反応が復帰しましたな?

そう思った所で波の亀裂から魔物が出てくるのに合わせて毎周回のお約束の如く、転生者共が――。

「お、おい早く行けよ! じゃねえと逃げられねぇだろ!」

「うっせ! 今やってる所だろ!」

「どこでも良いから別の世界に逃げて力をつけねーといけねえだろ! 早くどけよ!」

「邪魔だ! アイツらが来るだろ!」

いきなり転生者共が追い込まれたとばかりに亀裂から顔を出そうとしていますぞ。

しかし、随分と切羽詰っている様ですな。

「やあやあ、そっちの世界の人達ですか。俺達に敵意は――」

転生者達はなんか親しげにこっちに助けを求める様な交渉……にしては目つきが内心上から目線なのが分かる態度で俺達の方に手を振ろうとした所で……波の亀裂が漆黒に染まり空間が歪みました。

「ギャ――!?」

「うわ――!?」

「ブヒィ――!?」

転生者と共に紛れ込んでいた豚も合わせて、空間の歪みへと消えていき……波は即座に終わってしまいました。

亀裂から出現する魔物達も巻き込んで一瞬で波が終わりましたな。

「今のはなんだ?」

「えーっとあっちでガエリオンさんが追い詰めていて、テンセイシャと言う方々を瀬戸際で殲滅した……と言う事でしょうか?」

「どうなんだ? 元康、何かわかるか?」

「波の空間が歪むなんて初めての現象ですな。後、先ほどの波が起こった時にフレオンちゃん達の反応がありました」

まさかフレオンちゃん達はあっちの世界に……?

波が終わってしまったと言う事は取り残されてしまいました!

ライバル! お前はツメの七星武器を持っていましたな。

絶対にフレオンちゃん達だけでもこちらへ連れ帰り、お前だけそっちの世界に永住しろですぞ!

「何? あの洗脳フィロリアルが?」

俺の言葉にお義父さんが深く考え込むように口に手を当てて亀裂があった場所を凝視していますぞ。

やがて……ヒューンと言う風切り音と共に空中に船が出現しました。

あの船、見覚えがありますぞ。

確か最初の世界でラフ種……ラフちゃんが所有者になった船の眷属器と言う奴ですな。

む? またフレオンちゃん達の反応が復活しました。

船は徐々に高度を下げて俺達の前に着地しました。

「なのー……ただいまなの……」

ライバルは困惑の表情で船から降りて来ました。

しかし、珍しい反応ですな。

「ガエリオンじゃない。おかえりなさい」

助手がここでライバルを出迎えますぞ。

「ただいまなの。お姉ちゃん、なおふみ」

「あ、ああ……これはお前の差し金か? さっき転生者っぽい連中が来たが、何かに巻き込まれて消えたぞ」

「アイツ等を一網打尽にしたのは事実なの……ただ……」

チラッとライバルは船の方に僅かに視線を向けますぞ。

「ライバル! お前の方の世界にフレオンちゃんが行ってませんかな? 魔物紋の反応があるのですぞ!」

「バリバリ来てたなの。まったく、こっちが平和になったからってアイツら、ガエリオンの予定を滅茶苦茶にしやがったなの!」

と言う言葉と共にお義父さんは眉を寄せて険しい表情で船に視線を向けますぞ。

ザッザ……と何やら船から大量の人の足音が響き、俺達の方へ姿を見せました。

そこには――。

バッと早技で背を向けて走り出そうとするお義父さんを、婚約者とお姉さんが腕だけ動かして掴み、拘束しました。

「くっ……ポータル――」

「待ちなさいよ! 逃げてどうするのよ」

「ナオフミ様、落ち着いてください!」

お姉さんと婚約者に抑えられてポータルスキルで逃げようとしたお義父さんを更に呼びとめました。

「メルティ、後は任せた!」

「嫌よ! むしろ母上に丸投げしたいからナオフミも付き合うの!」

「うぐ……そうだな! こう言う時は女王とか偉い奴に投げつけよう!」

「それもどうなんでしょう……もっと事態が悪化する様な気がするのですが……」

「何なんだアイツらは? 鳥の仮面?」

虎男の言葉はもっともですな。

船から姿を現したのはフィロリアルマスクを付けた集団でした。

一体何人モノマネがいるのですかな?

とは思いましたがフレオンちゃんやブラックサンダーも発見しました。

お? よく見たら錬や樹も混じってますぞ。

しかも錬の配下も一緒ですな。

後でお義父さんから聞いたのですが、付き合わされていただけらしいですぞ。

そんな異様な集団の先頭に立つのは、マントで体を覆い、金属質なフィロリアルマスクの……鉄仮面を着けた男かと思わしき人物ですぞ。

「異世界の者達よ! 警戒しないで欲しい! 我等は争う為に来たのではない! 世界同士の友好を築く為に来たのだ! そこにいる聖武器の盾と槍の勇者殿、我々は貴君達との会談を要望する!」

……よくわからない人物が友好を築こうと近寄ってきているのですぞ。

こんな奴、今まで見た事が無いのでブリューナクで消しますかな?

と言う所で扇を持った豚が降りて来てお義父さんの下へとやってきて手を強引に握りますぞ。

「お前はグラス……」

「ブブヒブブブブブブ……」

ここでユキちゃんが俺に扇豚の台詞を訳して下さいました。

「『ナオフミでしたね……ええ、彼らが何者かは魔王の方から聞いていますし、色々と助けられたのは事実なのですけどね……私も止む無く協力関係を結ばされましてね……ええ……』だそうですわ」

「魔王って言うのは……ああ、わかった。お前も俺へのクレームにまぎれて来たのか」

「『クレームではないのですけどね……助けられたのは事実ですよ。この方々が居たお陰で世界を我が手にしようとする野心が溢れた転生者達を倒す事は出来ましたからね。しかもどこからか現れた魔王とも和平を結んだのも事実……』」

なんとも歯切れの悪い物言いですな。

「元からお前等の手助けをする予定だったなの。地盤固めを早急にしている所でいきなりコイツ等が台頭して世界を一気に占拠しちまったなの。行きすぎた力は暴力と変わらねーけど力もやりようなのは間違いないなの」

ライバルはため息を吐きながら何度も頭を横に振りますぞ。

「槍の勇者、コイツ等の暴れられるスペースを確保しないとこんな事まで仕出かすって事がわかったなの」

ライバルの視線の先は錬と樹、そして鉄仮面男ですぞ。

「……で、俺達は何をどうしたらいいんだ?」

「アイツらと話をすればいいだけなの……」

「激しくやりたくないんだが……」

「じゃないとアイツら勝手に和平会談を各国にし始めるのなの。間違いないなの。なおふみを御指名なの」

「後々を考えればそれで良いとは思うが……」

お義父さんが鉄仮面の男に視線を向けると堂々とした佇まいで喋り始めました。

「自己紹介が遅れた事を謝罪しよう。我が名はフィロリアルクロス! 種族と種族! 世界と世界を繋ぐ者! そして彼等は私と同じ志を持つ者達だ」

種族と種族? 世界と世界?

フィロリアル様の名を語り、クロスを名乗る謎の男ですな。

なんとも妙なテンションの連中ですぞ。

フレオンちゃんもブラックサンダーと合わせて妙なポーズで船に乗っておりますな。

「我等の名は神鳥騎士団! 世界を背負わんとする勇者達よ! 我々は貴君達の味方である! 人間であろうと亜人であろうとスピリットであろうと何者であろうと……共に歩む事が出来ると、このフィロリアルクロスは信じている!」

「……」

お義父さんは久々に宇宙が背景の猫の様な顔になりました。

この世界のお義父さんの特徴かもしれません。

「だが! 神を騙る者とその加護を授かった者達は卑劣にも歴史の中で暗躍し、意味の無い争いを引き起こした! 故に我らが報いを受けさせた!」

なんとも演説くさい台詞回しですなー。

「我々は戦う事を悪としない。我々は平和の為に、正義の為に、差別無き世界の為に尽力する事を誓おう! 転生者が世を乱し、人々を苦しめるならば、直ぐに駆けつけ裁きを下す。奴等が例えどれだけ強大な存在であろうとも! 我等神鳥騎士団は屈しない! このフィロリアルクロスの名において、真なる平和の為に差別無き世界を求め続ける!」

「「「クロス! クロス! クロス! クエーーーー!」」」

クエー! ですぞー!

神鳥騎士団の声に合わせて俺も荒ぶるフィロリアル様のポーズをとりました。