軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

レインボーブラスト

「う……うーん……」

「な、ナオフミ様、もしかしなくてもあの方は……」

「ねえねえ、ごしゅじんさま、あの人ってもしかして」

「――ヒーローの正体を暴こうとしてはいけません!」

ここでフレオンちゃんがお姉さんとフィーロたんの台詞を遮る様に大声で注意してきました。

まあどこからどう見ても樹ですからな。

「よろしいですか?」

「は、はい……」

「えー?」

フィーロたんが小首を傾げていますぞ。

「フィーロ、面倒だから合わせてやれ。アイツらの正体は気にするな」

「わかったー」

と言う所で高笑いが聞こえてきました。

「んー?」

フィーロたんが耳を澄ませております。

可愛らしいポーズですな。

「ハーハッハッハ! どうやら激しい戦いが起ころうとしている様だな! ここが決戦の地≪カタストロフィ≫か!」

土煙を上げて黒いシルエットが姿を現しましたな。

バサァっと高らかに跳躍してポーズをとりますな。

「俺達を忘れてもらっては困るな……」

ブラックサンダーに合わせるように隠蔽状態から黒マスクを付けた錬がマントをはためかせて姿を現しました。

「闇の剣士<シャドウセイント>……参上」

「フ……ここに闇聖勇者<ダークブレイブ>冒険記<クロニクル>の新たな一ページが刻まれる事になるな。闇の剣士<シャドウセイント>、この漆黒の稲妻に後れを取るなよ」

「フッ……わかっている。お前こそ、俺の闇の力に遅れるんじゃないぞ」

「ハッハッハ! では行こうではないか! 神聖を謳う邪悪な宗教の教皇<イビルビショップ>! 闇の旋風に刻まれて消えよ!」

そう言って再度、錬とブラックサンダーはポーズを取りました。

フレオンちゃん達とは雰囲気の違うポーズですな。

指が凄い角度で曲がっていて、不安になりますぞ。

あの指のポーズはどうやるのですかな?

「えーっと……アレもフィロリアルよね。黒いフィロリアルね」

「フィーロのバーゲンセールだな」

「えー……」

婚約者とお義父さんがブラックサンダーを見て話していますぞ。

「あの……ナオフミ様、私はどうしたら?」

「知らん……」

お義父さんが何故か俺を睨んでおりますぞ。

樹と錬にそれぞれフレオンちゃんとブラックサンダーは出会えた様ですな。

二人ともとても楽しげに錬と樹と戯れております。

錬も樹も二人に合わせて遊んでくださっている様ですぞ。

心なしか楽しそうですな。

やはりフィロリアル様と出会う事で人は変われるという事ですな。

「ブブー! ブブブヒ! ブブヒ! ブヒブヒ!」

赤豚が更に喚いておりますが、全くわかりませんぞ。

「しらばっくれるのは良いですが、まずは戦わねばならない悪がそこにいるのでは?」

フレオンちゃんが赤豚を指差して注意していますな。

「ブビブヒー! ブブ!」

赤豚がここぞとばかりに俺の腕に絡みついてきますぞ。

ええい! 放せですぞ!

「これは……どこのどなたか知りませんが世界を救うべく祈りをささげ、盾の悪魔の討伐に乗り出した私達を悪とは……とんだ正義を騙る者達ですね。皆様、惑わされてはいけません。悪しき真実は常に盾の悪魔が関わってるのですよ」

「何か悪い事があったら全部俺の所為か……ふざけやがって」

お義父さんが苛立った口調で教皇に言い返しますな。

「先ほどの攻撃は見過ごせる物ではありませんな。それに……お前らの考えなどお見通しですからな。真実がなんであるか、俺は見極めましたぞ!」

「例え、あなた達に不利な事を神鳥の聖人一行が行ったとしても、その行いで救われた者達がいるのも事実です!」

「手を取り合う事も出来たはずです。にも関わらず救いの手を出さなかったあなた達が罰する権利などありません!」

フレオンちゃんの台詞に樹が合わせて宣言しますぞ。

「そうだ! 貴様等悪しき教会に真の闇が何たるか、その身に刻んでやろう」

「フ……深淵に比べれば貴様等など、生ぬるい」

ブラックサンダーと錬の言っている事はよくわかりませんな。

と、俺達が決別の言葉を教皇に言うと、教皇は笑顔のままバカの一つ覚えのあの武器を出しました。

「残念ですね。では……全てはこの国、果ては世界の為の聖戦です。人々を誘惑し先導する盾の悪魔と人々の信仰を揺らがせる三人の偽勇者を我が教会が駆逐し、権威と威信を確固たる物にする為の戦いです。悲しい事ですが、あなた達を盾の悪魔に与する者として断ずるとしましょう……どうやら今回の勇者を騙る者達は、揃って盾の悪魔の僕だったようです」

教皇が愚痴る様に言いますぞ。

「せめてもの情けです。あなた達の悪事をここでお教えしましょう」

どうやらどうしても言いたいようですな。

フレオンちゃん達も語りあいをまだしたいのか、教皇に襲いかかる様子は無いですぞ。

「ええ……各地でそれぞれ問題を起こす偽勇者によってこの国の信仰が揺らいでいるのです。剣の偽勇者は疫病を蔓延させ、生態系を狂わし、槍の偽勇者は封印された化け物を解き放ち、弓の偽勇者は権威を示さず我が教徒を苦しめる。挙句……こちらの行動を察して奇妙な行動に出るとは……」

「そうだ! 貴様ら! 絶対に許さんぞ!」

おや?

何故か教皇の後ろに燻製がいますぞ。

「そこにいるのは! やはりそうだとは思っていましたが、貴方だったんですね! このフィロリアルマスク2号が成敗いたしますよ!」

「うるさい! 弓の偽勇者! そんな鳥女の戯言に騙されるお前等は勇者でもなんでもない! 神の裁きを受けて正義の名のもとに滅びるがいい!」

燻製が教皇側とは、下手に動かれるよりも良い展開ですな。

この流れのまま消してやりましょう。

「やれやれ……一度僕達に裁かれたというのに、懲りもせずに敵の下に下るとは……やはり貴方は私腹を肥やす為に身勝手な正義を振りかざしていたのですね」

自分の事を完全に棚に上げているはずの樹が嘆くように燻製に答えますぞ。

「フィロリアルマスク2号の観察眼は確かな様ですね。正義の心を持っているのは……どうやらリーシアさんだけだった様ですね」

「ぶ……ぶえぇ……?」

腰が抜けているのかビクビクしているストーカー豚を樹が見つめますぞ。

「ブヒブヒヒ!」

赤豚がここで何やら勝ち誇ったように鳴いてますが、何を言っているのかまるで興味がわきませんな。

どうせ碌でもない事ですぞ。

「マルティ王女。貴女の代わりに国を継いでくれる者はこちらで準備しております。全ては神のお導きです。槍の偽者と共に処分して差し上げましょう」

「ブブブヒブブ!」

赤豚が無駄に余裕ぶって振り払っていますな。

きっと俺が何か代わりに戦うと思っているのでしょう。

ここでお前が行くのですぞ! と、蹴りとばしたらどれだけ良い気分になれるかわかった物ではないですが、我慢ですぞ。

「盾の悪魔諸共浄化をしなくてはいけない様ですね」

教皇が武器に力を込めて振り被りますぞ。

「ナオフミ! 気をつけて、あれは――」

婚約者は教皇が持つ武器を見てハッとしております。

「まずは盾の悪魔からです。神の裁きを受けるが良い」

と、教皇が武器を振り被ったので俺は前に出ようとするお義父さんの更に前に出て槍を振り被って衝撃波を跳ね返してやりますぞ。

「な、何!? ぐわぁあああああ……――」

おお、燻製にカスッて吹き飛んで行きました。

しかし、あの程度では死なないでしょうな。

現に吹っ飛んでいますが、ふらふらと立ち上がりました。

ちっ……今の内に消しておきたかったですぞ。

「な――いえ、そ、そんなはずはありません」

お? 教皇は驚きの声を上げ、尚冷静を装っている様ですぞ。

お前等などお呼びで無いのですぞ。

どちらにしてもあと少しで女王達がここに駆けつけてきますな。

もはや戦いは早期に終わらせても良いでしょう。

「みなさん! 力を合わせて行きますよー! ほら、武器を重ねて必殺攻撃です! まずはなおふみさん! 貴方が土台として盾を一番下に、次にもとやすさんの槍、それから3号……いえ、パーフェクト・ジャスティスさんの弓で、最後に闇の剣士<シャドウセイント>さんの剣。そして私と漆黒の稲妻が左右で力を注ぎ、えー……あなた!」

「フィーロー?」

フレオンちゃんがここでフィーロたんを指差しますぞ。

「そうです。貴方がなおふみさんの後ろで翼を広げて力を集中させるんです。それで、後はそこの王女様二人が魔法を紡ぎます」

「あの、私と……そこの方が無視されているのですが……」

「ぶ、ぶぇえ……?」

お姉さんとストーカー豚が寂しそうですな。

耳と尻尾がペタンと下向きですぞ。

「ブブ! ブブヒブブブ! ブヒー!」

赤豚が不快な声で喚いていますな。

お前はもう黙れですぞ。

「えー……っと」

婚約者は赤豚を見た後、フレオンちゃんとお義父さん達に顔を向けました。

「ノリが悪いですね。ここはみんなで力を合わせるべきなんです。いっせーのせー! で、撃つんですよ! 掛け声はレインボーブラストです! いっせーの――」

「誰がやるか! そんな気色の悪い事!」

お義父さんがここでフレオンちゃんの提案を蹴りました。

おや? 発射のタイミングに合わせてブリューナクを放てばそれっぽく出来ると思いましたがな。

「誰からそんなネタを……と言うかそんな事出来るのか!?」

「やった事は無いですな」

「決め技として良さそうですね」

「よくない」

「俺は群れるのは趣味じゃない……」

「なら来るな。お前はなんのためにここに来た!」

「運命≪サダメ≫に導かれた」

お義父さんが錬に向けて呆れた様なため息を漏らしますぞ。

「お前等、僅かな時間で何があった……いや、洗脳って本当にあるのかもしれん……」

「ナオフミ様しっかりしてください!」

「さあ! 皆さん、裁きの詠唱に入ってください。偽者に与する者達は全て悪なのです」

教皇がこの隙とばかりに配下の連中に儀式魔法の指示を出しました。

「させませんぞ!」

「ジャスティスさん!」

「ええ! 流星弓!」

樹がここで弓を引いてスキルを放ちますぞ。

「「「ぎゃああああああああああああああああああ!?」」」

樹の放った矢から無数の星が降り注ぎ、三勇教徒達に降り注ぎました。

バキンと魔法防壁が飴細工を砕くように壊せましたな。

ほぼ一撃で教皇の背後に居た連中の右翼部分が戦闘不能になりましたな。

「ハンドレッドソード!」

錬が剣を掲げてスキルを唱える事で無数に作られた剣の雨が左翼部分に降り注ぎました。

「「「な――うわぁあああああああああああああ!」」」

それで今度は左翼部分が全滅ですな。

この威力……どうやら錬と樹はそれぞれフレオンちゃんとブラックサンダーに教えさせた強化を信じてくれた様ですな。

「そんな……バカな……聖戦に備えた教徒達が……」

唖然とした表情で教皇が背後を振りかえってみておりました。

「さて……では締めは俺ですな!」

槍に力を込めますぞ。

「ブヒ! ブヒヒヒ! ブヒィ」

「姉上……」

数多の世界で生き残られたら非常に面倒な奴らが雁首そろえていますからな……一気に仕留めてやりましょう。

「みんな! 行きますぞ! はぁあああああああ!」

「ブヒィイイイ!」

ブリューナクを放つ為に槍に力を込めてぶっ放しますぞ!

レインボーブラストですな!

うっ……赤豚が魔法を唱えておりますぞ。

槍に赤豚の魔法が組み合わさり、合体スキルが作動してしまいました!

「フレアブリューナクⅩ! ですぞー!」

ブンと火属性のブリューナクを横凪ぎで教皇達を一網打尽にしてやりますぞ。

「な――か、神よ――」

「ぎゃ、ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

一瞬にして教皇共、三勇教の連中は一掃出来ますな。

燻製は相変わらず声がうるさいですぞ。

なんて思いましたが、フレアブリューナクが命中すると同時に教皇達は爆発四散して行きました。

ゆらぁっとフレオンちゃんや樹、錬やブラックサンダーが背を向けてポーズを取っております。

なので俺も合わせてお義父さんの方に振り向いて決めポーズですぞ。

ボーンという爆発音と共にその場にいた燻製などの樹の元仲間と教皇、三勇教が駆逐されました。

「勝利です!」

「悪とはこの様に消えるモノですね」

「ぶ、ぶえぇ……」

フレオンちゃんと樹がそう言いますぞ。

そしてストーカー豚がよくわからない声を出していますな。

「また一つ、闇に消えて逝った……」

「闇は闇へ還るのみ……フ……」

錬とブラックサンダーが何か言ってますぞ。

こちらはまた指が凄い角度で曲がっていますな。

独自の表現かもしれませんぞ。

「ブーヒッヒ! ブブ! ブブブ!」

赤豚がここで何やら声を上げた後、お義父さん達に向けて距離を取って鳴き喚きましたな。

どうやら第二回戦を始めようとしている様ですが、もう終わりですぞ。

遠くから無数の足音……軍勢が近づいてきますからな。

その先頭には女王がおりますぞ。

「あ、母上」

婚約者が女王に気づいて声を掛けますぞ。

「これは……三勇教の教皇一派が出現したとの報告を聞いて急いで駆けつけたのですが……」

女王は周囲を見渡して事情を説明する様ですな。

「お前が例の女王か……一足遅かったな。ここにいる連中がなんか訳のわからん偉そうな宗教関係者を怪人が爆発するみたいに仕留めた所だぞ」