軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

存在価値

「御馳走ね。ナオフミちゃん」

「そうだな」

「いっぱい食べちゃおうかしらー」

「好きなだけ食えば良いだろ」

「あ、高いお酒発見。ナオフミちゃん、今日も飲み比べしましょうよ」

「する訳ないだろ。毎晩毎晩、いい加減にしろ」

なんてコントみたいな会話をしているお義父さんに俺は詰め寄りました。

「おい! 尚文! ですぞ」

「……なんだよ」

キザったらしく手袋を片側だけ外して俺は投げつけました。

今、考えると茶番ですな。

「決闘だ!」

「いきなり何言ってんだ、お前?」

ああ、お義父さん。申し訳ありません。相手がお姉さんのお姉さんですが、出来る限り最初の世界をなぞる様に戦わねばならないのですぞ。

「聞いたぞ! お前と一緒にいる獣人は奴隷なんだってな! ですぞ!」

「あら?」

陽気にお姉さんのお姉さんは酒に口を付けております。

まあここから先は変わりばえは……ありますな。

俺が怒っている振りをしていると、何やらお姉さんのお姉さんが俺に探りを入れるかのような目を向けて来ておりました。

……気づかれてませんな?

「だからなんだ?」

「『だからなんだ?』……だと? お前、本気で言ってんのか! ですぞ!」

「ああ」

経緯は十分知っていますからな。しかもお姉さんのお姉さんは勘がとても鋭いですから注意しなくてはいけませんぞ。

「アイツは俺の奴隷だ。それがどうした?」

「人は……人を隷属させるもんじゃない! 例え獣人であろうとも、俺達異世界人である勇者はそんな真似は許されないんだ! ですぞ」

「何を今更……俺達の世界でも奴隷は居るだろうが」

あの時と同じ返答に俺は若干安心しますぞ。

上手い事最初の世界通りに決闘できそうですな。

「許されない? お前の中ではそうなんだろうよ。お前の中ではな!」

ぶっちゃけ俺は今までの旅路を見てお義父さんの奴隷紋は忠義の証にしか思えませんぞ。

俺も刻んで貰えるなら貰いたいですな。

もしも最初の世界に帰れたなら刻みますかな?

お義父さんに囁くのですぞ。

フィーロたんと同じ紋様ですぞ……っと、耳元で。

「生憎ここは異世界だ。奴隷だって存在する。俺が使って何が悪い」

「き……さま!」

怒るのが本当に面倒ですぞ。

むしろこんな茶番をしなくちゃいけない現実に苛立ちを覚えますな。

早くフィーロたんに逢いたいですぞ。

「勝負だ! 俺が勝ったらおね――そこの奴隷を解放させろ!」

「なんで勝負なんてしなきゃいけないんだ。俺が勝ったらどうするんだ?」

「そんときは好きにするがいい! 今までのように」

「話にならないな」

確かにそうですなーお義父さんに何のメリットもありませんぞ。

「と言うか……サディナが勝手に俺の奴隷になっただけなんだが? 奴隷紋を外しても警戒はしても意味は無いだろ」

「あらー?」

そうなるでしょうなー。

ですがそれは俺も困るのですぞ。

だから言いますかな?

「フフフ、お前、一緒にいて何もわからないのか? ですぞ?」

「……それはどういう意味だ?」

「モトヤス殿の話は聞かせてもらった」

クズが問答に入り込み、お姉さんのお姉さんを国の兵士を使って抑えこもうとしてきますぞ。

「あら、私を抑え込めると思っているのかしら?」

バチッと魔法を詠唱して雷を纏ったお姉さんに国の兵士が仰け反りますぞ。

「ワシの意向に逆らうという気か!」

お義父さんがお姉さんのお姉さんの態度に若干笑みを浮かべております。

「お姉さんはそんなふざけた事を、許すとでも――」

非常に申し訳ないですぞ、お姉さんのお姉さん!

俺は高速で槍をお姉さんのお姉さんに向かって突き刺しました。

もちろん、聞こえない様に小声でスキル名を言いますぞ。

「……パラライズランスⅡですぞ」

効果時間は……そうですな。

お義父さんとの決闘が終わる頃にしましょう。

更に俺の外道感を見せますかな?

「前々から見ていたんだが、コイツ……良い女の匂いがするのですぞ」

ソウルイータースピアに槍を変えてお姉さんのお姉さんの魔力をソウルイートで奪います。

ソウルイータースピアはいろんな使い方があって便利ですな。

SPの無い相手には魔力を奪う効果があるのですぞ。そして応用で魂まで引きぬける。

今回は魂の引き抜きはしませんぞ。

お姉さんのお姉さんの変身が解けて亜人形態になりますぞ。

「な……」

お義父さんが絶句しております。

まあ、この時のお義父さんにどう見えるかわかりませんがな。

女性恐怖症であったのは確かだそうで、お姉さんにさえ脅えていたそうですぞ。

「俺が勝ったら尚文、お前の女は解放し、強くて素敵な俺の物になってもらうとするか。どっちにしてもお前には過ぎた仲間だよ。この強姦魔、ですぞ」

胃から激痛が走りますぞ。

ぐふ……血を吐かない様に飲み干しますぞ。

ギリッとお義父さんは歯を食いしばって拳を握りしめております。

「本人が主の肩を持たないと苦しむよう呪いを掛けている可能性がある。奴隷の言う事は黙らさせてもらおう」

「……決闘には参加させられるんだよな」

「決闘の賞品を何故参加させねばならない?」

「な! お前――」

「では城の庭で決闘を開催する!」

まあ、後は最初の世界通りですな。

今のお義父さんのバルーンの代理攻撃など痛くもかゆくもありませんが苦戦している様に見せ掛けました。

そうすると予定通り赤豚の援護射撃。

俺が勝利を宣言し、お義父さんが激怒した殺意の表情を浮かべます。

「お前の仲間が決闘に水を差したんだよ! だから俺はよろめいたんだ!」

「ハッ! 嘘吐きが負け犬の遠吠えか? ですぞ」

「ちげえよ! 卑怯者!」

わかっておりますとも……これは俺の罪ですぞ。

そして申し訳なく思いますぞお義父さん……俺はこうしないと本当の貴方の下へ帰れないのですぞ。

後は何も知らない振りをして赤豚の下へ行きますぞ。

「いやぁ……俺もあの時は驚いたよ。マインが王女様だなんて、偽名を使って潜り込んでたんだな」

「ブブブブ、ブブヒー!」

抑えられているお姉さんのお姉さんの元へですな。

「確かサディナちゃんと言いましたな!」

と、俺はお姉さんのポジションに居るお姉さんのお姉さんの麻痺を解きますぞ。

立ち上がったお姉さんのお姉さんは持っていた酒を一杯飲み。

「……ファスト・サンダーボルト」

「「ギャアアアアアアアアアアア!」」

お姉さんのお姉さんの周りにいる兵士が雷を受けて仰け反りました。

僅かに回復した魔力でぶっ放したのでしょう。

ははは、俺はノーダメージですぞ。

「ちょっと……お姉さんも苛立ちを覚えたわねー……」

「我が国の兵士になんて真似を!」

「待つのですぞ!」

クズを止めて俺はお姉さんのお姉さんを見ますぞ。

「いつお姉さんが助けてほしいと言ったのかしら? お姉さんは望んでナオフミちゃんの元に居るのよ?」

でしょうな。

それは知っておりますぞ。

むしろお姉さんのお姉さんが俺の予想を裏切って強引に奴隷化したのは予想外も良い所です。

ああ、お姉さんのお姉さん。

貴方の探しているお姉さんは俺が保護していると伝えたいとは思います。

ですが、これは試練、出来ないのがここまで苦しいとは思いませんでしたぞ。

「で、でも、サディナちゃんはアイツに酷使されていたんだろう? ですぞ」

「無いわねーむしろ自由にさせてくれる事の方が多かったし、ナオフミちゃんはいつも私の話を聞いてくれたわね。こう……お姉さんが養って上げないと戦えないダメな子よ。可愛いわ」

う……お姉さんのお姉さん、言い回しがあるのではないですかな?

これではお義父さんがお姉さんのお姉さんに寄生しているヒモですぞ。

それからお姉さんのお姉さんは俺の耳元で囁きます。

「貴方のそのウソ臭い演技、何が目的なのか教えてくれると嬉しいわね」

やっぱりばれてました!

どんだけ観察能力が高いのですかな!

ですがこれだけは話す事は出来ません。

俺がフィーロたんに出会う為ですぞ。

出会えるなら俺は喜んでお姉さんを差し出せますぞ。

お義父さんの味方だってしてみせます。

そうですぞ!

お姉さんが来るまでの間に、フィーロたんと出会えたらネタばらしでもしてクズと赤豚の息の根をお義父さんの目の前で止めてやりますぞ。

「知りたければ、明日からリユート村の復興を盾の勇者と共にするのですぞ」

そう指示を出します。

このままではお義父さんを連れて何をするかわかりませんからな。

「あら? それは当たり前にする事でしょ? 波の被害を経験すれば……あの村の人達が私がいた村の復興を手伝ってくれるでしょ?」

おお、お姉さんのお姉さんの企みは先を見ておりますな。

そしてどうやらお姉さんのお姉さんはやはり村の復興……お姉さんの捜索に集約している様ですぞ。

お姉さんのお姉さんは亜人の姿でお義父さんに近づき、手を掴みます。

魔力の回復の為に酒を飲んでおりますが、それでも敢えて亜人の姿ですぞ。

「は、放せ!」

「ナオフミちゃん。落ちついて……脅えているのは分かるわ」

「手を放せ!」

お姉さんのお姉さんではお姉さんの代わりには成らないですかな?

かなり不安ではありますぞ。

これで問題が起こるようなら錬か樹を仕留めましょう。

ブリューナクの準備をしますぞ。

人垣の中に紛れて出てくる錬と樹を狙いましょう。

「俺はやってない!」

するとそこでお姉さんのお姉さんはお姉さんと同じく、お義父さんを……おや? 後ろから抱き締めていますぞ。

「そうね。ナオフミちゃんはそう言う事をする子じゃないわ。短い付き合いだけど、それは十分にわかるわよ」

とまあ、お姉さんのお姉さんなりにお義父さんの説得をしている様でしたぞ。

「黙れ! お前等はまた俺に罪を着せる気なんだ!」

「しょせん噂は噂よ。一緒にいれば違う事くらいすぐにわかるわ。誰が悪いのかもね」

殺伐としたお義父さんの顔がキョトンとした表情に変わってお姉さんのお姉さんの方を向きますぞ。

「私は信じているわ。ええ、最初は利用しようと少し思っていたけど、今はナオフミちゃんの事が大好きよ。だからこそ言えるわ。ナオフミちゃんはみんなが言う様な事はやってない。断言するわね」

お義父さんの瞳孔が大きく開かれましたな。

驚きの表情をしております。

「俺は……俺は……」

「ええ、一緒に居れば分かるに決まってるでしょ?」

ボフンとお姉さんのお姉さんは獣人の姿に変身してお義父さんを抱えましたぞ。

「さ、奴隷紋が無いって事はお姉さんがナオフミちゃんと楽しい事をしても罰せられないのよね? お姉さんがナオフミちゃんを襲っちゃおうかしらー」

「は、放せ! やめろコラ!」

「……それくらいお姉さんはナオフミちゃんを大好きよ? お姉さんと最後までお酒で付き合ってくれるのは生まれてこの方ナオフミちゃんだけなんだもん。逃がしたくないわ」

ふざけるお姉さんにお義父さんは安堵の表情を向けますぞ。

「お姉さんはナオフミちゃんの事を信頼してるわ。だから一緒にいちゃ、ダメかしら? 信用できないならまた奴隷紋を、ナオフミちゃんの愛の証を刻みに行きましょ? ね」

という所でお義父さんは号泣し始めてお姉さんのお姉さんの胸で泣き始めました。

俺の後方から錬と樹が現れて俺の反則負けの事を説明しましたぞ。

そんな事、百も承知ですぞ。

で、非常に気になるのですが、お姉さんのお姉さん。

お義父さんを抱き締めつつ、獲物を前にするオオカミのような気配を出しているのはどうかと思いますぞ。

絶対にこの後、お義父さんを貪る気がしますぞ。

翌日、お義父さんはお姉さんのお姉さんと手を繋いで恥ずかしそうにしていました。

やったのですかな?

……さて、翌日に報奨金をもらったのは良いですが、お義父さんにサクラちゃんの卵を購入する様にし向けないといけませんぞ。

そう思って、さりげなく赤豚を城に放置して、お義父さん達の後を追いかけます。

ああ、魔物商はその辺りを気にして城を出ると同時にお義父さんに声を掛けていたみたいですぞ。

お姉さんのお姉さんの奴隷紋の再登録を斡旋する様に近づいた様ですな。

あとは……どう転ぶかですな。

失敗しだい、錬か樹を仕留めに行きましょう。

なーに、自分が死んだ事すらわからないはずですぞ。

そう思っていると、お姉さんのお姉さんと仲良くなったお陰かお義父さんは奴隷と魔物を購入するつもりの様ですな。

見覚えのある村の奴隷を一人と魔物商がオマケとばかりに俺が斡旋したサクラちゃんの卵を持たせました。

これから奴隷を集めて行く方針なんでしょうな。

後はリユート村に滞在させる名目ですな。

お姉さんのお姉さんはそこへ行かせるつもりの様ですがな。

ま、そんなこんなでお義父さん達はリユート村の方へ赴き、復興作業を手伝っておりました。

サクラちゃんの卵の登録もしており、後はどう転ぶかですぞ。

まあ、お姉さんのお姉さんは亜人形態でいる事が増えた様ですがな。

お義父さんと仲良さげにリユート村に滞在して、新しい奴隷とサクラちゃんの雛を育てる方針の様ですぞ。

お姉さんのお姉さんがいればかなり楽なのではないですかな?

そう思いつつ、サクラちゃんがどう育つか物陰からずーっと俺は覗きこんでいましたぞ。

ああ、もちろん、お姉さんの方は定期的に確認しております。

状況次第でお姉さんをお義父さんに明け渡すつもりですからな。

で、最初の世界通りという事で馬車で荷運びをしている所を赤豚達を連れて通りかかります。

ああ……フィーロたん柄のサクラちゃんですぞ。

そう思っていると赤豚がサクラちゃんを指を差して。

「ブブブゥー!」

などと嘲っています。

いつ見ても殺したくなりますな。

俺はフィーロたんの色合いのサクラちゃんを笑えませんぞ。

サクラちゃんがムッとしながら赤豚を見ていますぞ。

「もっと近づいて笑うと良いですぞ」

「ブブブ」

俺はこれまでの周回を思い出して赤豚にそう囁きました。

すると赤豚は俺と一緒に近づいてサクラちゃんを嘲ります。

「クエエエエエエエエエエエエ!」

ゴスっと赤豚の胴をサクラちゃんが蹴り飛ばし、錐揉み回転して行くのですぞ。

俺は蹴りを避けましたぞ。

「ブブブブブヒィイイイイイイイイイイイイ!」

「ああああああああああああマインんああああああああああはははは!」

これを見ることで胸がスッとしますぞ。

ま、後は昏倒した赤豚が目を覚ますまで治療院にぶちこんでおくだけですな。

ガラガラと音を立てて荷車はお義父さん達を乗せて去って行きました。

でー……うん。

確かにサクラちゃんはフィーロたんみたいな色合いに成長していきました。

そうして……サクラちゃんがフィロリアルクイーン形態になってお義父さんが魔物商に預けに行きました。

頃合いですな。

俺はシルトヴェルトで預けていたお姉さんを受け取り、深夜に魔物商がお義父さんを迎え入れる時を待ちました。

「どうしたんだよ。明日まで預ける約束だっただろ?」

「そのつもりだったのですが、勇者様の魔物が些か困り物でして」

「クエエエエエエ!」

サクラちゃんが暴れて檻を何個も壊しておりましたな。

今、お姉さんと一緒に俺はテントの奥の方で見ておりますぞ。

ああ、騒がれると困るので、もう少し静かにしていたらお姉さんのお姉さんに会わせてあげると教えております。

騒いだらダメだという事をお姉さんは理解しているのか、駆け寄りたいのを我慢とばかりに大人しくしております。

既に薬を飲ませて病は完治しておりますぞ。

「鉄の檻を三つ程破壊し、取り押さえようとした部下5名を治療院送り、使役していた魔物三匹が重傷を負いました。ハイ」

「弁償はしないぞ」

「こんな時でも金銭を第一に考える勇者様に脱帽です。ハイ」

俺も脱帽ですぞ。

ああ、お義父さんは素晴らしいですな。

この金銭観念からフィーロたんは育って行くのですぞ。

で、お義父さんは魔物商からフィロリアル様の事を聞いておりましたぞ。

やがてお義父さんの背後の方で……おお……俺は滝の様に目から涙が溢れて行くのを感じておりました。

「……さま」

「ん? いま、聞き覚えの無い声が聞こえなかったか?」

「はて? 私もそのような声が聞こえた気が」

「あら?」

お姉さんのお姉さんが俺とフィーロたんを交互に見ておりますぞ。

若干癖っ毛がありますが、見紛う事無きフィーロたんですぞ!

フィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたん!

「お前は元康! なんでこんな所に!?」

「フィーロたぁああああああああああああああああああああああん!」

「な、なになに!? やあああああああああああああああ!」

邪魔な檻ですが俺はフィーロたんにこれでもかと頬擦りをしましたぞ。

とても、とても長い旅だったのですぞフィーロたん!

「あ!?」

「あ、あの……サディナお姉さん」

お姉さんがお姉さんのお姉さんを見つけて助けを求めるように駆け出しました。

「あら! ラフタリアちゃ――」

という所で世界が灰色になりましたな。

それでもフィーロたんへの頬擦りをやめませんぞ!

フッと空間を突き抜けてお姉さんが姿を現しました。

なので昂ぶる気持ちのまま、お姉さんに言いました。

「どうですかお姉さん! 俺はフィーロたんに出会えましたぞ!」

お姉さんは辺りを見渡します。

そしてお姉さんとお姉さんのお姉さんを見ます。

目が殺伐としている様に見えるのは気の所為ですかな?

「……どうして私が子供の姿で、サディナ姉さんがここにいるんですか?」

「ちょっと悪い偶然が重なってお姉さんのお姉さんにお姉さんの代わりをしてもらっただけですぞ」

クラッとお姉さんは仰け反りました。

「いやぁ、最後の最後で赤豚がやらかしてしまい、お義父さんが奴隷を購入せずに移動をしてしまったので焦りましたな」

俺はこれまでの経緯を若干震えているお姉さんに説明しました。

「ですが諦めずに行動してどうにかなったのですぞ!」

「うう……こんなのを見せられるくらいならもう一周くらい待って上げても良かったのに……尾行なんてするから……」

何やらお姉さんが膝をついて呻いております。

どうしたのですかな?

そうですぞ!

俺はフィーロたんに抱きついているのですぞ。

すりすり、くんかくんか……。

「私はナオフミ様に必要としてもらえている……ええ、そうです。フィーロの出来あがるプロセスに私が不必要であっても必要としてもらっている……心で繋がっている……」

お姉さんが何やらぶつぶつと呟き始めておりますぞ。

暗示か何かですかな?

どうしたのですぞ?

「今までの周回や出来事で私がナオフミ様と共にいられている周回が……うう。いえ、これは運命なんです。う……何かサディナ姉さんとナオフミ様が仲が良さそうな顔をしています。違います。そこは私の立ち位置です……」

お姉さんが苦しそうな表情で何か言ってますな。

別に俺はお姉さんに『お前なんていなくてもフィーロたんは生まれるんですぞ』などと言いたい訳ではありません。

そう、結果的にお姉さんのお姉さんが実現してくれただけですぞ。

お姉さんには存在価値が十分ありますぞ。

すりすりですぞ。

何やら嫌そうな顔で硬直しているフィーロたん。

「お姉さん、時間を止めるのをやめてほしいですぞ。俺はフィーロたんに頬ずりをするのですぞ」

「何のために貴方はフィーロに会おうとしていたかわかっているんですか!?」

「もちろんですぞ。フィーロたんに会う為ですぞ!」

俺はキリッとした表情で答えました。

それ以外に何の意味があるのですかな?

しかし……サクラちゃんがやり方次第でフィーロたんになるとは驚きですぞ。

「違います。戦っているナオフミ様の元へ帰る為にこうしているんですよ。誰の所為で遅れたと思っているんですか! まったく……嫌な物を私に何度も見せつけて! 貴方は私に恨みでもあるんですよね! そうですよね!」

「そのつもりは全くありませんぞ」

「悪意が無いのが尚悪いです! 貴方は私の敵です! 絶対に許しませんからね!」

おお……とてつもない程の敵意をお姉さんは俺に向けていますぞ。

違うんですぞ。俺は誠心誠意やったのですぞ。

「結果的にフィーロたんが出来たのが幸運ですぞ! まさに奇跡!」

「うう……どうしてこんな人を連れて行かなきゃいけないんでしょう。リファナちゃん……貴方の決意の為に苦渋を受け入れる事にします」

「さて、ではお姉さん、このフィーロたんは連れて行けないのですかな?」

「無理です!」

「嫌ですぞ嫌ですぞ! やっと会えたのですぞー!」

俺は駄々をこねますぞ。

しかし、最初の世界ではフィーロたんはこのようにしてお義父さんの仲間として加入したのですな。

「黙りなさい!」

「うぐ!」

お姉さんが素早くハンマーを巨大化させて俺の脳天をぶったたきますぞ。

俺は避ける事も出来ずに倒れてしまいました。

……おや?

「ここは何処だ?」

どうも記憶が混濁してぼんやりする。

俺は何をしていたのでしょうか? いろんな情報が交錯して混乱してる気がする。

「挙句、記憶喪失とでも言うつもりですか?」

「記憶喪失? 俺は北村元康! フィーロたんとお義父さんに忠誠を誓う愛の狩人」

「はぁ……まあ良いでしょう」

「あ、フィーロた――」

俺が言い切る前にお姉さんが手をかざすと視界に浮かんでいた時計が砕けました。

そしてふわりと体が浮かぶ感覚を覚え……俺は元の世界へと帰還する事が出来たのです。

まあ、概ねこんな感じでループを抜けたのですぞ。

さあフィーロたん! 貴方を助けにこの元康が舞い戻ります!

この時の事を思い出すのに多少時間が掛りましたな。口調も変でしたぞ。