軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

雑種のリザードマン

「……また何がどうなってこうなったんですか?」

ループした後、俺は更に努力したのですぞ。

具体的には今度はお義父さんを罠に掛ける役を樹では無く錬にさせました。

コレが意外と難しかったですな。

樹に赤豚が来れない様にするのに苦労しましたぞ。

ま、最初の俺の所へくさりかたびらを持ってきた時に盗品である事を指摘し、その足で樹が飲み交わしている酒場に行って一緒に酒を飲んでいただけですがな。

赤豚の奴、俺を見るなり踵を返して出て行ったのは笑いが止まりませんでしたぞ。

今度こそフィーロたんに出会って赤豚の息の根を止めてやりますかな。

ま、翌日には目にクマを付けた赤豚が錬の隣にいました。

錬一行は随分と先に進んでいましたからな。

むしろ見つけられた赤豚が気持ち悪いですぞ。

「異世界に来てまで仲間にそんな事をするなんてクズだな。ホントお調子者な奴だ! 俺はお前のような奴が大嫌いだ!」

そんな台詞でお義父さんを罵っていました。

お前は中二病という病に冒された恥ずかしい闇聖勇者<シャドウセイント>では無いのですかな?

ハハハ!

まあ、疑い深い錬も初日に赤豚に囁かれると冷静な判断が欠落するという良い教訓ですな。

なんて思っていたのですが、三日くらい経過した頃の錬を見るととっくに赤豚は城に戻っておりました。

ま、錬の前では樹よりも早くぼろが出るのは誰の目にも明らかでしたからな。

今回の周回では時々俺の前に謎の刺客が現れましたな。

クズ曰く、シルトヴェルトの刺客だとか言い張ってましたが誰が敵なのか一発ですぞ。

前回も含めて殺伐としたお義父さんの姿を見て二カ月……いい加減、胃に穴が空き始めました。

最近では薬に頼って来ていますぞ。

というのは置いておいて、中庭の騒動をお姉さんは指差しております。

「また貴方は……なんで貴方がそこにいるんですか!」

「何か問題があるのですかな?」

「大ありです!」

まあ、俺も見ていれば多少は差異が分かりますぞ。

中庭で武器を片手に錬と睨みあいをしているのはガタイの良い巨漢のリザードマンですな。

ワニみたいでとても筋肉質ですぞ。

お義父さんがどういう経緯でリザードマンを仲間にしたのかよくわかりません。

確か、召喚後二週間くらいで目が据わっている人間寄りのリザードマンっぽい奴を購入していたと思いますが……アレがどうやったらああなるのですかな?

とても攻撃力が高そうですぞ。武人っぽいですな。

「邪魔をするな! そいつは自分の主を貶したのだ。自分は望んで主と共にいるのがわからないのか!」

赤豚がお義父さんの前に現れてこの強姦魔! まだこんな所に居たの! とかぶっ放したらしいですぞ。

ブー! ブー! と泣き喚いているので殺したくなりましたな。

お義父さんが、切れそうになって手を上げた瞬間、クズが権力を使って割って入り、リザードマンを強引に押さえつけて、錬とお義父さんが決闘する様に申し渡した様ですぞ。

勇者が奴隷を使役する事は認められないとかクズは言って、更に赤豚に手を上げようとした罪の罰を与えようと言う所で処刑しようとしている様でしたな。

で、クズと赤豚のお気に入り、因縁の相手という事で錬がお義父さんの処刑人として抜擢されました。

錬も調子に乗っていつつ若干首を傾げながらも、お義父さんに赤豚に謝罪するなら許してやるとか言っておりました。

勝てば無罪放免だな? そうお義父さんは仰り、錬が頷きました。

樹もそれを見て首を傾げていましたな。

なんで戦う必要があるのか? まあ、かなり強引ですな。

赤豚もお義父さんを錬に殺させたいと言う魂胆なのと、奴隷を使役している事で錬が怒るタイプでは無いのを知っているからこそ、強引に決闘をさせようとしているのでしょうな。

ま、結果は俺とお義父さんが戦った時と同じですな。

錬を組み伏した所で後方から赤豚が魔法援護、勝負はお義父さんが負けた様に見えた所でリザードマンが覚醒した様に姿を変えてお義父さんを守る様に錬の前に立ちはだかったのですぞ。

「え? え? クロコダイルっぽい? ワニ系?」

お義父さんの方も唖然とリザードマンの方を見ております。

「自分です。偉大なる盾の勇者様……どうやら、自分は血の力に、目覚めてこのような姿に……」

お義父さんを立たせたリザードマンはお義父さんをハグしました。

混血っぽかったのが獣人になった感じですぞ。

「自分は貴方様が立派な方だと知っています。どうか御力を貸して頂きたい。このような不条理を許す訳にはいかないのです」

「あ、ああ……」

「盾の勇者様がお前のような下劣で卑劣な女を強姦した? そんな汚れる行為をするはずはない!

即刻謝罪せよ!」

「ブブブブ!」

赤豚がそこで鳴き喚き、雰囲気に付いて行けない錬が目を細めて赤豚を睨んでおります。

そこに樹が間に入ってクズと赤豚を睨みましたぞ。

「先ほどの決闘、勝ちそうになった尚文さんに後方から魔法を放って妨害していましたよね? 神聖な決闘に横やりをする事が、この国は正しいのですか?」

「何? そんな事をしていたのか?」

「ええ、錬さんも抑え込んでいた尚文さんが突然よろめいた事を疑問に思いませんでしたか?」

「ブブブブ!」

「暴論だな。最初から怪しいと思っていたんだ」

「ええ、会わなければ良いのに自分から顔を見せに行ってなんですか?」

「……本当に尚文が強姦したのか?」

「勇者達よ! 同じ異世界人だからと言って肩を持つのは止めるのじゃ! 仕方あるまい。今回の無礼は大目に見るとしよう」

という所で空気がお義父さんを味方しようと成りかかり、クズと赤豚は強引に去っていきましたぞ。

赤豚はかなり悔しそうですな。

「盾の勇者様。ご無事ですか?」

と、リザードマンはお義父さんの触診を始めました。

「だ、大丈夫だ」

「そうですか……自分は、盾の勇者様の身に何かあったらと思うと」

という感じでリザードマンはお義父さんを親身になって心配している様ですぞ。

それからお義父さんを無理やり背負って歩き始めました。

「自分はいつでも貴方の味方です。自分は盾の勇者様の駒……どうか共に……奴隷として共に居させてください」

「あ、ああ……」

なんともホロリと言った感じでお義父さんはリザードマンの背中に顔をうずめておりました。

雰囲気的に泣いているのではないですかな?

「……なんか悪い事をした気がする」

錬と樹が悶々とした様子でその背中を見届けておりました。

「ついにフィーロたんに会えますぞー!」

「……これで上手く行くとは思えませんが」

「結果オーライですぞ。今度こそ成功すると思いますぞ」

「いや、無理でしょうきっと……」

俺は期待に胸を膨らませておりますぞ。

数日後にはフィーロたんに会えるのですな。

ちなみに失敗でした。

前回と同じくグラマーなフィーロたんっぽい方になっておりました。

しかし、若干違いありますな。

具体的には前回よりもアメリカンな雰囲気のグラマーですぞ。

「やっぱりそうじゃないですか!」

今度はテントから出てくるお義父さんとフィーロたんっぽいグラマーフィロリアル様を見届けてお姉さんが言いました。

「おかしいですな?」

「おかしいのは貴方の頭です! わかってますか? 時間が無いんですよ!」

むう……お姉さんの怒りが大きくなってきていますな。

「やはりサクラちゃんはフィーロたんではないんですぞ!」

「黙りなさい! 貴方がちゃんと守れば良いんですよ! 私をナオフミ様と出会わせれば良いんです!」

しかし……冤罪の肩棒を担ぐ人物によってお義父さんは購入する奴隷を変える様に見えますな。

その後の結末はどうあれ、お義父さんをみんな慕うのですな。

「わかりますか? 貴方のナオフミ様への忠誠心というのは自身が嫌な仕事から逃げる事で果たせる物なんですか?」

「なん、ですと!?」

お義父さんへの忠誠心……確かに俺はお義父さんを苦しめる役割をしたくないと嫌な役を錬と樹に押し付けておりました。

その中途半端な忠誠心がこのような結果を招いたと言うのですかな?

「わかりました! この元康、お義父さんの為、フィーロたんの為に心を鬼にしますぞ」

「本当にお願いしますよ! リファナちゃんの決意を無駄にしないでください!」

「はいですぞ!」

「返事だけは一人前に聞こえるのが不思議です。ナオフミ様ではありませんが、ですぞじゃないです!」

お姉さんが深深と溜息をしてから魔法を唱え始めました。

視界にループする時のアイコンが浮かび上がり、カタカタと槍が振動し、またもループを始めました。

「今度こそ、最初の世界通りに貴方がナオフミ様に冤罪を被せるんですよ!」

「はいですぞ!」

この元康、胃に穴が空き始め、血を吐きそうになっているのを堪えながらもお義父さんを追いこんで見せますぞ!

「あ、あれ……? 間違った事を言ったつもりはないのに、何だか凄く胸が締め付けられます……」

お姉さんが良心の呵責に苦しんでいますな。

きっと並行時空とはいえ、お義父さんに冤罪を被せようと思っているからですぞ。

そう、お姉さんも心を鬼にしているのです。

俺もがんばらなければいけませんな。

という事で俺は更にループしたのですぞ。