軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

装置破壊

「せめてもう少し大きかったらなおふみに抑えてもらうとかはきっと出来たなの。でも穴が小さすぎるなの。これを突破するのは何個か手があるけど、魔力を思い切り込めるなの――」

ライバルが意識を逸らすと穴がスッと閉じてしまいましたぞ。

「ああもう。また閉じたなの! 陰湿なの! 作った奴は性格悪いなの!」

少しでもライバルが気を抜くと穴が閉じてしまうようですな。

「僕の命中の能力も的が見えればどうにかなるんですけどね……」

樹の能力は必中ではないですからな。

見えない物に当てられる程の能力ではないという事でしょう。

「あの」

そこでお姉さんの友人が手を上げます。

「どうしたのリファナちゃん?」

「小さな穴なら私が通って、装置を壊して来ましょうか?」

「え? うーん……大丈夫かな?」

確かに、この状況で友人一人に行かせるのは不安ですな。

お義父さんがお姉さんのお姉さんに視線を向けますぞ。

「リファナちゃんは十分強いと思うわよー」

簡単には負けない強さを持っているとは思いますが、お義父さんの不安はそういう事じゃないと思いますぞ。

「サクラ達もやるー」

更に負けじとサクラちゃん達が立候補します。

ふむ……サクラちゃん達がいるなら……。

「うん、リファナとがんばるー」

「しょうがないですわね。ひな鳥の姿になるのは不服ですが、みんなの為ですわ」

「お日様がクロを焼くならばクロは前に進むー太陽に背くためにー」

ユキちゃん達フィロリアル様もやる気ですな。

あの殺人的な太陽光によって、みんなの心は一つですぞ。

「ち! しょうがないなの。ガエリオンも小型化してもこの穴はちょっと小さいなの。不服だけど譲ってやるなの」

ライバルは意識を集中しますぞ。

お義父さんがライバルの魔法の威力を上げるためにオーラを唱えております。

「がんばってガエリオンちゃん、ファスト・オーラⅩ」

やっとの事習得したファスト・オーラをⅩにして唱えた様ですな。

まだリベレイションも、応用で覚えるツヴァイト・ドライファも未収得ですからなぁ。

とはいえ、後少しで理解出来る所まで来ております。

オーラ以外の魔法は魔法書経由でドライファまで覚えておりますからな。

「こういう時は更に……ドライファ・マジックブーストⅩ!」

「これで行けるなの! むむむ……」

ライバルが穴を開けるために力を溜めております。

その間にお義父さんはお姉さんの友人とサクラちゃんに次々と魔法を唱えて行きました。

「じゃあ行くなの! ドラゴン・サンクチュアリなのー!」

バチッとライバルが前日唱えた様に空間に領域魔法を当てて、穴を作りました。

スパークしながら穴が僅かに開いては閉じようとしております。

「では行きます!」

「ピヨー!」

ひな鳥形態になったサクラちゃん達がお姉さんの友人の後を追う様に次々と穴の中に入って行きました。

それからすぐに穴は閉じてしまいましたぞ。

みんな、がんばれですぞー!

やがて……20分くらい経過した頃ですかな?

少し遅いのでお義父さん達が不安に思い始めた頃、バキンと前日と同じようにガラスが砕ける様な音と共に景色が変わりました。

「やりました!」

「おお!」

お姉さんの友人とサクラちゃん達の背後には何やら石造りの大きな目玉が何個も転がっていますぞ。

大きさは俺の三倍くらいですな。

なんですかなこれは?

「これがガエリオンさんが開けた穴を閉じさせようとしていた物みたいでした。破壊するのに時間が掛りました」

「魔物……と、呼ぶには変ですね」

「ゴーレムか何かかな? 魔法の力で定められた命令通りに動く感じで」

「そうね。魔術的な役割が強いみたいだけど、ゴーレムの一種で間違いないと思うわ。でも少し違和感があるわね……ガーゴイルに近いのかしら?」

「結構硬かったー。みんな褒めてー」

サクラちゃんが剣を鞘に収めて感想を述べました。

「厄介でしたわ」

「これで結構速く動くー……リファナに慣れてたからコウも戦えたー」

「黒い稲妻<ブラックサンダー>のクロの前では造作も無かったー」

ユキちゃん達も各々誇る様に応えておりますぞ。

素晴らしい活躍ぶりですぞ。

前日はライバルに一歩、遅れを取りましたが、これで挽回出来たのではないですかな?

「これで帰れるんですか?」

「うーん……見た感じ、違うみたいだよ」

お義父さんが前よりも近づきつつある赤い輪郭を指差します。

「また日が昇るんですか?」

「まだ夜は始まったばかりだし、出来る限り行ってみるしかないんじゃない? 帰るのは……どうやら難しいみたいだしね」

「なの! こんな装置があるなら、奥にある奴を壊せば帰れる様になるかもしれないなの」

「うん。帰り道の穴ってこう……魚を取る仕掛けみたいに帰るのは難しい構造なのかもしれない」

「どうするんですか!」

「前には進めてはいるんだ。何が出てくるかわからないけど、どうも活性化とも違うみたいだし進んで行くしかないんじゃ……」

という所でお義父さんは視線を上に向けました。

錬も樹もお義父さんの視線の先を見て同様の表情を浮かべております。

「な、なの!? 槍の勇者! アレに見覚えあるなの!」

「不服ですが、ありますな」

ライバルと俺は、その姿を見て別の意味で唖然としましたぞ。

何が飛んでいたのかと言いますと……。

「なんだ!? アレは!」

と、錬がアレを見た時と同じ台詞を吐きました。

錬が空に指を向けたので、もう一度見ますぞ。

空に邪悪そうな悪魔みたいな生物が飛んでいきました。

そう……前回、メルロマルクを完全に禍々しい城下町にビフォーアフターした時に見た悪魔タイプの魔物が空を飛んでいたのですぞ。

「お義父さん、前に前回のメルロマルクで三勇教が悪魔召喚をした事を説明しましたな」

「うん。悪魔が飛んでたって話しだね」

「何故か、その悪魔が空を飛んでいるのですぞ」

もしかしたら一夜にして滅んだ、というのは悪魔召喚をした所為ですかな?

「悪魔召喚で一夜にして滅んで、そのまま封印された地だったという事でしょうか?」

「わからないな。逆に悪魔共の拠点となっているのかもしれないぞ。侵入者を排除するためとか」

「竜帝の知識だと悪魔は過去に魔王と呼ばれた存在が作ったとか言われてるの。ただ……直に見た物じゃないから確証はないなの」

「どちらにしても、日が出る前に涼しそうな場所を見つけるのが先決だ!」

暑がりすぎですぞ!

錬の言葉に樹が頷き、お義父さんが苦笑いしながら同意しました。

「悪魔型の魔物ね。アレは会話が成立しないのよねー……」

「魔物と言うより魔法生物なの。それと……汚れた力の濃度が高いなの。汚染が酷いから悪魔の能力も上がってるはずなの。十分注意するなの」

「うん。とりあえずは進んで行くしか、なさそうだね」

という訳で、調査のために来たのに悪魔との戦いが始まりそうになっているのでした。

無数とばかりに出てくる悪魔共を蹴散らしながら進んで行くと、赤い輪郭のある廃墟が徐々に近付いてきました。

その途中で何個か、昨夜や今夜見かけた結界にぶつかりましたが、その度にお姉さんや友人が気づいて、結界を破壊して行ったのですぞ。

その道中には複雑な破壊条件のある結界がありましたな。

人が通れそうな程、開いたかと思うと勇者は弾き飛ばす罠があったりしました。

その時はお姉さんのお姉さんと主治医が活躍して機械の破壊をしましたがな。

今度の防衛装置は魔物だったそうで、主治医が見事に解体しておりました。

「こう……物凄く厳重な場所だね。何を守っているのか想像も付かないよ」

「言ってはなんですが、悪魔の本拠地とかじゃないんですか?」

「ここは魔界か……まあ、そんな雰囲気を醸し出しているな」

結界を突破して行く毎に、砂漠の色が黒く禍々しく染まって行って来ていますな。

まさに悪魔の本拠地と言った趣ですぞ。

「とは言いつつ、滅びた国の首都に辿り付けたみたいだね」

砂漠の中にある石造りの門……その先にある廃墟に俺達は到着する事が出来ました。

中々に苦労しましたが、俺達の敵ではありませんでしたな。