軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

複数の説

「名前は決まっているんだっけ?」

「もちろんですぞ。お義父さんが持っているのはサクラちゃん、この白いのはユキちゃん、黒いのはクロちゃんで、黄色はコウですぞ」

「雌が三匹で雄が一匹か」

婚約者がフィロリアル様達を確認します。

「この子はアリア種で……うわ、この子は血統良いんじゃないかしら? あれ? この子は雄でこの子も雄……」

「クロちゃんは雄ですぞ」

さすが婚約者、フィロリアル様の性別を一目で見抜きましたぞ。

「なんでコウって子が呼び捨てなのにクロはちゃん付け?」

そういえばそうですな。

みどりとコウは呼び捨てですが、クロちゃんだけ雄なのにちゃん付けでした。

まあ……。

「特に意味はありませんぞ」

「「「「ピイ!」」」」

ははは、ここ数日のフィロリアル様不足を補う楽しい声ですぞ。

「可愛いね。ほら、みんなも見て」

「さすが尚文さん、子供相手に動物を見せて近寄る気ですね。可愛いヒヨコを見せて上げると言って子供に近寄る事案発生」

「樹、誤解を呼ぶような説明はやめてくれない?」

「まったく……尚文にはこういうのが一番だろ。ショタロリコン」

「錬、後で話をしようか……」

ゆらぁっと珍しい段階でお義父さんのスイッチが入った様ですぞ。

楽しそうで何よりですぞ。

「ピイ!」

サクラちゃんが元気よく鳴きます。

「メンバーはある程度揃いましたな。では出発するのですぞ!」

「そうだね。じゃあみんな、思う所はあるかもしれないけど、しばらくの間一緒に来てくれないかな?」

「ブ……ブウ」

「他に行くあても無いし……エクレールって人が信用できるかわからないもんね」

「うん。なら知ってるリファナちゃんやラフタリアちゃん達といた方が良いよね」

話はまとまった様ですな。

パーティー項目を確認していると次々と確認が出来ましたぞ。

「では俺達が勇者である事を証明する力を見せますぞ。出発の準備は良いですかな?」

「準備は出来ているよ」

「元より手荷物なんて少ないしな。必要な物があったら後で調達するんだったか?」

「初期の強化に必要な素材は転移先で調達する予定ですぞ」

ポータルで近場に移動し、馬車で移動する前に調達すると話は付けています。

俺も自身の武器の強化に必要な素材は熟知しています。

お義父さん達も、武器のコピーをする為に、ゼルトブルの武器屋に顔を出していますので、準備は既に出来ている様なものですな。

「じゃあ問題ないね。出発しよう」

「わかりましたぞー!」

エクレアは来ないのですかな?

まあ、女王の警護とかをきっとしているのでしょう。

今回は置いて行きますぞ。

というわけでキール達を勧誘し、少数のフィロリアル様を連れて俺達はポータルでドラウキューア山脈近隣の国へ移動したのですぞ。

さて、ドラウキューア山脈での活性化がどの辺りで発生しているのかというと、メルロマルクから北西の方角に随分と移動した先ですぞ。

距離にしてフィロリアル様の足で一カ月ちょっと。

既に活性化が発生しているのなら出発しても間に合いませんな。

ポータルで移動出来るからこそ参加出来る場所……と言うのがピッタリですな。

そんなこんなで移動した先の国に女王が書状を出し、馬車などを借りて出発しました。

その国からしてもやはり僻地の様ですな。

「「「ピイ!」」」

ユキちゃん達が馬車の中で愛嬌を振りまいておりますぞ。

ガタンガタンと揺れる馬車にお義父さんと婚約者以外が酔い始めて気持ち悪そうにしております。

「元気だな……コイツ等」

「ただぼんやりと到着するのを待つよりは見ている方が気が紛れますね」

ユキちゃん達のハイテンションな雛状態の踊りに、酔い始めたみんなが癒しを求めている様な気がします。

「ブー……」

俺は先行してユキちゃん達のLv上げをするかと思っていましたが、もう少しユキちゃん達の楽しげなダンスを見ていたいと思ったので見ていましたぞ。

とても良い物ですな。

「可愛いね。ラフタリアちゃん」

「うん」

そう言ってお姉さんがユキちゃん達に近寄りますが、ユキちゃん達はお姉さんから離れる様にぴょんと移動して行きます。

お姉さんの友人やキール辺りには良くじゃれている様に見えるのですが、どうしたのですかな?

「ピイ!」

活性化イベントですな。

最初の世界でみんなで行ったカルミラ島が思い出されますぞ。

まあ、良く行く場所なので割と知っている島となっていますがな。

ゲームだった頃のイベントを思い出すと、イベントマップにキャラバンが駐在し、現地でしか採れない鉱石等を通貨代わりにして宿泊する物でしたな。

これはカルミラ島もそうでしたが、この辺りは普通に通貨で取引されている様でしたぞ。

ま、普通はそうでしょうな。

「ドラウキューア山脈かー……どんな場所なんだろ?」

「俺も行った事の無い活性化地ですからな。よくわかりませんぞ」

「他には何処へ行ったの?」

「カルミラ島、ノースフェラト大森林ですぞ。カルミラ島は諸島で海がとてもきれいですな。ノースフェラト大森林は言うまでも無く森……幻想的な森で森林浴が楽しめますぞ」

俺はお義父さん達に他の活性化地の話をしました。

どちらも色々と便利な場所ですぞ。

「その理屈だとドラウキューア山脈は山登りした先の秘境とかになるのかな?」

「だと思いますぞ。ただ、両方とも宿泊施設に城を改修したホテルがありますな」

「僻地にある城ですか……」

「何か楽しそうだね!」

お義父さんの目がとてもキラキラしています。

あんまり海外旅行はした事が無いと教えてくれたのは何時の周回のお義父さんでしたかな。

確かに、見方によれば幻想的ではあると思いますぞ。

カルミラ島も朝方は霧が発生していて朝焼けはとても美しい島でした。

ノースフェラト大森林も同様に絶景でしたぞ。

観光地の側面がある場所なのは確かですな。

「吸血鬼名を捩った地名なのは何か意味があるのか?」

「そうなのですか?」

婚約者が首を傾げています。

そうなのですかな?

「何分、名前の由来に関しては複数説があるのですが……」

「過去の勇者が名付けたとかでは無いのですかな? そう聞きましたぞ」

確かそういうレクチャーを到着先に必ずいる案内係の伯爵が教えてくれますぞ。

この世界は異世界ですが、過去の勇者達が色々と伝えている様ですからな。

俺達にとって馴染みの深い物があっても驚きませんな。

「そうなんだ?」

「一説では……です」

婚約者はユキちゃん達の踊りを見ながら同意しました。

「他に、その地を牛耳った悪魔系の魔物名……という伝承もありますので真偽はどうか……」

「吸血鬼の魔物がいるかもしれない所へ行くのは怖いなぁ」

「亜人に類する種なので、盾の勇者様は恐れる必要はありません」

「魔物枠じゃないのか……」

お義父さんが若干がっかりというか呆れ気味に呟きます。

「割と吸血鬼がいるんですね。この世界は……」

「噛まれたら吸血鬼にされるのか?」

「勇者様がそう尋ねたという由来はありますが、期待に応えられず……そういう魔法を研究している種族だと耳にします」

「出来れば辞めて欲しい研究だね」

「今では一時的に変化させる事が出来る様になっていますよ。任意で治療する事が出来ますが……病の様に感染性は無いそうです」

「勇者の期待に応えるためにって言うのが善良なのか悪なのかわからない所がなんとも」

「作られた吸血鬼というのも夢がないな」

なんて感じに雑談をしながら移動していると夜になりました。