軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

爆走の被害者

「まだ日が出ている内に酒場で酒を飲む……か」

「何のために異世界に来たのかわからなくなりそうですね」

ついでに昼食を取る錬と樹が愚痴を言いますぞ。

前回あれだけ酒を飲みたがっていたというのに……ですな。

「俺は群れるのが好きじゃないが……騒がしくなりそうだな」

「そうも言ってられませんぞ?」

「わかっている。アレだけの強さを見せられたらな」

錬も素直に応じてくれますな。

前回の周回を見るに、物分かり自体は悪くは無いみたいですからな。

上手く強化方法を教えるのが重要ですな。

「明日にはフィロリアルの雛が孵るのね」

婚約者が用意した卵を見ながら呟きます。

ちなみに既にお姉さんとその友人とは話し仲間になっているようですな。

「メルティ王女様はフィロリアルが好きなんですか?」

「メルティで良いです。はい、フィロリアルは長い旅の供として見ている内に好きになりました」

などとお姉さんの友人と世間話をしているようですな。

「三勇教の刺客は……さすがに来ないだろうし、Lv上げとかを空いた時間にするべきじゃないか?」

「出来なくはないですな」

さすがにポータルで移動する俺達の所在を特定出来たら凄いですぞ。

ただ、何処に刺客がいるかわかりませんから注意はするべきですな。

「じゃあ各自ゼルトブル近隣で自由行動というのはどうでしょうか?」

「狩り場まで送りますかな? ガラの悪い傭兵に絡まれたら面倒ですぞ」

「ああ、そうしてもらうとするか。尚文は一人で戦えないし、そのサディナって奴を見つけてもらわないと行けないから、悪いが留守番だな」

「何の話?」

酒場のマスターと会話を終えたお義父さんが戻ってきましたぞ。

「これから少しの間、自由行動をしてLv上げをするかと話していたんですよ」

「で、尚文は人探しとそいつらの世話がいるから留守番を頼むか……てな」

「まあ……攻撃力は無いのは一昨日の時点でわかっているから良いけど」

お義父さんが微妙な顔をして頷きますぞ。

「私達が代わりに戦うよね?」

「え……」

お姉さんの友人がお姉さんに向けて言いますが、お姉さんは怖がっている様な態度をみせますぞ。

ふむ……お姉さんもこういう時期があったのですな。

最初の世界ではとても勇敢だったので、ギャップが凄いですぞ。

「わたしも手伝います。魔法の心得がありますので」

婚約者が手を上げました。

「じゃあどうするんだ?」

「うーん……ぶっちゃけると戦闘に興味はあるよ。だけどラフタリアちゃんやリファナちゃんの保護者って訳じゃないけどサディナさんを見つけないと行けない気もする」

お義父さんは腕を組み、悩むように傾げながらお姉さん達を見て言いました。

「もちろん、二人の意志は尊重するけどね。経験値やパーティーのシステムも聞いただけで実践しないといけないよね」

「昼間から酒飲みが来るのか?」

「問題はそこだね。まあ、日が沈む前なら弱い魔物相手に練習とかは良いかもね。みんなは狩り場とか知ってるよね。教えてくれるかな?」

そこで錬と樹は俺を見ますぞ。

これはきっと魔物の生息地などの変化はあるのか? と聞きたいのでしょうな。

「そうですな……弱めの魔物なら特にゲーム時代と差は無いですぞ。生息図も問題は無いと思いますな」

ですが雑魚は雑魚なりですぞ。

日が沈むまで戦ってLv4~5行ったら良い方では無いですかな?

練習という意味では悪くは無いかもしれませんな。

「ですが注意は必要ですぞ。特に錬と樹は強化方法を勘違いしてはいけませんぞ」

「わかっている」

「ええ、固定観念は持たない様に意識して戦いますよ。初期の武器に必要な強化アイテムももらったお金で買ってから狩り場で実践混じりにやって確認します」

「さて、じゃあどう班分けするか……」

「僕と錬さんはソロで良いんじゃないですか? 雑魚相手なら問題ないですよ」

「そうだな。出来る限り注意する。時間になったら早めに切り上げるで良いな」

「じゃあ俺はこの子達と一緒に行動になるのかな? というか……」

お義父さんはお姉さん達に目を向けます。

そこでお姉さんは友人の手を握って震えますぞ。

「わかるだろ尚文、その二人は離れさせられない」

「メルティさんはどうしますか?」

樹が婚約者に尋ねますぞ。

うーむ……お義父さんの護衛として一緒に居るのも良いですがエクレアと同じく下準備として育てるのも悪くは無いと思いますぞ。

明日にはドラウキューア山脈に出発しますから、一人位護衛は育てるべきですぞ。

「では婚約者は先行で俺がスパルタLv上げをしますぞ」

「え? 決定事項なの?」

「あんまり身に合わないLvだけの成長は好ましくないのですが……」

そういえば婚約者はそう言うポリシーがあるから低Lvだとか聞いた様な気がしますな。

ですが悠長な事は言っていられませんぞ。

「それを言ったら俺達の立つ瀬がないな……」

「す、すいません……」

婚約者が申し訳なさそうに頭を下げましたな。

それから俺の方を見て頷きます。

同意したと言う事でしょう。

「ついでに強力な武具を調達してきますぞ」

「た、頼りにしてるね。メルティちゃん、元康くんとがんばって」

「はい」

婚約者は少々不安そうな顔をしながら俺の勧誘を受け取りました。

「じゃあ日が落ちた頃に合流って事で」

「わかりましたぞ」

「ゼルトブルはメルロマルクみたいにバラけた狩り場がある訳じゃないから途中までは一緒だな」

「町の外は海に面している所も多いですからね」

「裏路地とかは危険なんだっけ? 気を付けないとね」

「元康がまたループするらしいからな」

お義父さん達が武者ぶるいをしている様ですぞ。

俺は諦めませんぞ。

「じゃあ……少し出かけて行こう」

と言う事で俺達はそれぞれ狩りに出かける事になったのですぞ。

もちろん、途中まで俺が送って行きました。

それから俺は婚約者を連れて……山奥の危険な魔物がいる狩り場まで走って行きました。

「エイミングランサーⅩ! ブリューナクⅩ! グングニルⅩ! リベレイション・ファイアストームⅩ! ハハハ! 弱い! 弱過ぎるぞぉおお!」

エクレアと一緒に狩りに行った時も同じ戦いをしましたな。

前回よりも敵が遥かに弱く感じられますぞ。

もはや周囲を焦土に容易く出来る気がしますが、俺は環境破壊が目的では無いのでやりませんが。

前々回の周回でお義父さんとライバルの関係者が仰っていました。

魔物との無意味な殺戮はせず、戦い自体には覚悟が必要だと。

俺は常に覚悟を持って挑んでいますぞ。生態系が変化し過ぎない程度に行動するのを心がけますぞ。

しかし、考えれば考えるほど、この世にはゴミが多いですな。

魔物の方がまだマシですぞ。

ハハハハハハッ!

「や、槍の勇者様! 止まって! お願いだから止まってください! きゃあああああああああ!」

何やら婚約者が悲鳴を上げていますが知りませんぞ。

面倒だったので途中で背負って山道を爆走混じりに魔物を仕留めて行きますぞ。

「でりゃああああ! ですぞ!」

魔物にも縄張りとかがあって無謀にも挑んでくるので相手をしてやります。

俺の目的は世界平和ですぞ! その為にお前等を礎にしてでも進んで行くのですぞ!

なんて感じに狩り場を進んで行き、婚約者のLvをその日の内に38まで上げておきました。

「うう……」

婚約者が何やら気持ち悪そうに目を回しています。

この程度で目を回していたらフィロリアル様の乗り心地に耐えられないのではないですかな?

「さーて、お義父さん達の手土産はどうしますかなー?」

魔物を解体してお義父さん達に送り届けるにはフィロリアル様はおりませんし荷車を用意するにしても今日だけになりますな。

……しょうがないですな。

持っていける程度の素材を袋に詰めて、後はドロップを渡す様にするとしましょう。

倒した魔物達は槍に収めました。

「う……」

婚約者が何やら真っ白になっていますぞ。

赤豚では無いのですから放心してはダメですぞ?

……どちらかと言えばエクレアですかな?

「ほら婚約者、行きますぞ」

「うう……これが、勇者の戦い……? ここまでやらなきゃ波を乗り越えられないなんて……母上、事は想像よりも深刻で、す……」

ガクッと婚約者が意識を失ってしまいました。

しょうがないですな。

俺は婚約者を背負ったまま、ポータルでゼルトブルに帰還したのですぞ。