軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

遠方の活性化

「放せ! ワシは、ワシは盾とそれに組みする偽勇者共を殺さねばならんのじゃ! 放せ! お前等は本当にメルロマルクの国民かぁああああああああ! マルティイイイイイイ!」

俺は静かに近づき、抵抗するクズの眉間をパラライズランスで突いてやります。

ビクンビクンと痙攣してクズは倒れました。

麻痺したクズはそのまま連行されます。

お前の用はまだですから大人しくしていろですぞ。

「い、一体何が……」

「そういえばここに来る前に城が騒がしかったな」

「何があったんですか?」

「母上、どうしたのです?」

クズを見ていた女王はため息交じりにお義父さん達へと顔を向けます。

「いえね……また身内の恥なのですが、赤豚がどうやら昨晩、幽閉処分を不服に思ったのか兵士と共に逃亡を図ろうとしたのです。何処へ行こうとしたのやら……」

「はぁ……」

「あの元王女は舌の根も乾かないうちに問題を起こそうとしたのか……」

錬が呆れる様に呟きます。

「あの……それで、どうしてあの王……じゃなくて、クズが俺達に襲いかかろうとしたのですか?」

お義父さんが困惑気味に女王に尋ねますぞ。

「逃走経路はメルロマルクの地下水路を使おうとした様なのですが……どうやら地下水路に住みつく強力な悪霊に襲われたようで発見された時には放心状態で見つかりました」

「なんとまあ……どんな恐怖体験をしたのでしょうか……」

樹が困惑した様に頬を掻いております。

で、女王は何故か俺を凝視していますぞ。

「……共に逃亡した兵士達は赤豚を見捨てて逃げたのか消息は不明。クズはこの事を、勇者様方が居たから起こった出来事だと関連付けて乗り込んで来たのでしょう」

「姉上……」

婚約者も呆れ気味に呟きますぞ。

ははは! 暗殺大成功ですな。

「まあ、死んだ訳じゃないなら良いんじゃないの?」

「まったくです。ずっと放心して、何も問題を起こさないなら良い事です」

女王が完全に同意する様に頷きました。

大丈夫ですぞ。

赤豚の魂は俺が処理しました。

おそらくずーっと赤豚はあのままだと思いますぞ。

「立ち直る事が望まれないというのもどうなのでしょうね」

「ふん。それだけ問題の多い奴だったという事だろ。運悪く悪霊に遭遇しなかったら何を起こしていたかわかったもんじゃない」

「では本日の予定ですが、勇者様方は何を予定しておられるでしょうか?」

「えっと……まずは元康くんに聞かないといけないと思うけど」

お義父さんが俺に視線を向けますぞ。

「未来の話をするんだったな。昨日もある程度は話を聞いたが」

「急務の出来事があるんじゃないの?」

「そうですなー……Lv上げをするとしてもまずは戦力を集めるべきですぞ」

お義父さん達をパワーレベリングするにしても俺だけじゃ不可能ですぞ。

やる事と言ったらフィロリアル様の調達ですな。

他にお義父さん達にはお姉さんのお姉さんからの指示で、お義父さんが開拓した村の奴隷達を宛がいますかな?

村の復興のために集めて欲しいとの話でしたな。

「仲間は元康、お前が全部吹き飛ばしただろ」

「吹き飛ばした? 誰の事を言っているのですかな?」

まったく心当たりがありません。

俺がそんな非人道的な事をするはずがありませんな。

「昨日まで仲間だった人達の事ですよ」

「ああ、どの世界でも敵に周る連中の事ですな。あやつ等は仲間じゃないですぞ」

「随分とハッキリ言ったな……」

「そうですな。じゃあこういうのはどうですかな? 序盤限定のゲスト参戦ですぞ」

「中途半端にゲームっぽくて嫌な表現だね……」

と、お義父さんが嫌そうな顔をしています。

そして、表情を戻した後、お義父さんは続けました。

「リファナちゃんやラフタリアちゃんを戦わせる訳にはいかないし、仲間は必要だよね」

と言う所でお姉さんと手を繋いだ、友人がお義父さんの腕を突いて自己主張します。

「あの……私は強くなりたい。です。コホ」

お姉さんの友人はどうもやる気を見せていますぞ。

まだ完治していないので、戦うにしても療養が必要ですがな。

「え……」

逆にお姉さんの方は驚いている感じですな。

「そうだけど、まずはリファナちゃんとラフタリアちゃんは生まれ故郷の村に戻るべきなんじゃない?」

「あ、はい。もちろん。それは前提です……だけど助けてくれた勇者様達の力になりたいです。ね?

ラフタリアちゃん」

「う、うん!」

お姉さんの友人の提案にお姉さんは頷きます。

そしてまた、張りつけたような笑顔をしていますぞ。

お義父さんはお姉さんのその表情を苦しそうに見つめていました。

「あの、まずはラフタリアちゃんとリファナちゃんが住んでいた村の方々の復興をお願いできないかな?」

女王にお義父さんは頼みこみますぞ。

「もちろん、その手配は既にしております。国内の奴隷商と貴族にセーアエット領出身奴隷の解放を命じました」

「あ、そうなんだ。それは良かった」

「ただ、昨日の今日なので、命令が行き届いていないのが歯痒い所です。しばしのお待ちを」

「……」

若干お義父さん達が不安そうな顔をしていますぞ。

「元康さん、それで仲間の調達はどうするんですか? リファナさんとラフタリアさんだけでは心もとないですよ」

「何故この二人だけだと思うのですかな? もちろん、俺が斡旋しますぞ」

「ふん。フィロリアルとか言うんじゃないだろうな?」

何を言っているのですかな?

当然フィロリアル様達ですぞ。

俺の表情に錬と樹が何やら呆れております。

察したのですかな?

「フィロリアル様は天使なのですぞ! 俺が育てればすぐに強くなってお義父さん達を無敵にしてくれますぞ」

「わかったわかった」

「どうせメルロマルク内では元康さんから離れられませんしね。むしろゼルトブルでも何処でも良いですから三勇教の刺客が来ない所で戦わせてくれるなら問題ないですよ」

「それでは時間が掛りますぞ」

お義父さん達は如何に早く成長してもらうかに掛っていますからな。

と言う所で女王が手を上げました。

「キタムラ様」

「なんですかな?」

「キタムラ様は世界各地に移動できるのでしょうか?」

「もちろん、大体網羅しておりますぞ。今までの周回で確保しましたからな」

何せ前回の周回でお義父さん達との協力の元、ポータルはほぼ確保しました。

まあ、それでも大きな国近隣と定めていますがな。

「では現在、活性化中のドラウキューア山脈へと向かうのはどうでしょうか?」

おや? 活性化イベントが発生しているのですかな?

「何?」

錬と樹が若干興奮して前に一歩踏み出しますぞ。

「活性化?」

「経験値増加イベントですぞ。この時期にあるとは初耳ですな」

「何分、我が国から向かうのは遠い地域なので、辿り着いた頃には終わっているからでしょう」

おお、なるほど。

徒歩でもフィロリアル様でも遠い場所で開かれているのならば行く必要は本来無いと言う事ですな。

「既に開催中って奴だね」

「元康のポータルで近場に行けるなら行った方が良さそうだな」

「ですが問題は勇者を殺そうとする連中がこの世界にはそれなりにいる事ですぞ」

俺は前回の周回で知った転生者と転移者の話をしましたぞ。

お義父さんは神の先兵と仰っていましたな。

「そんな敵までいるとなると、そういう場所に居ないとも限らないな」

「ですがカルミラ島には居なかったんですよね?」

「メルロマルクは何だかんだ言って地方ですからな。奴等はフォーブレイなどの大国に集まっている様ですぞ」

もしかしたらメルロマルクにもいたのかもしれませんな。

……そういえば最初の世界でも勇者と知って噛みついてくる冒険者が居なかった訳ではありませんぞ。

Lvとかいろんな関係で知らず知らずの内に返り討ちとかにしていたのかもしれませんな。

「じゃあ、そのドラウキューア山脈って所に行けばいいのかな?」

「期日が迫っていますので早めに行く事を勧めます」

「とは言っても育てる人手が足りませんぞ」

ユキちゃん達は元より、お姉さんのお姉さん等の方々の確保が出来ていません。

にも関わらず出発して良いのですかな?

「活性化中の地域ではポータルは出来ませんぞ」

「となると出発前に準備って事になるのかな? 日数が少ないなら今日明日辺りに確保できる戦力だけで一度行って、俺達が十分に育ってから再度、戦力増強を図るって感じに」

「道理だな。まずは俺達の強化を先行させるべきだ」

「ですね。僕達は思ったよりも時間が無い様です」

話がまとまって来てしまっていますぞ。

まあ、確かに一週間で、お義父さん達が十分な強さを得られるのならば行動はしやすくなりますぞ。

何分、今の状態では刺客が来る事が何よりも怖いですからな。

三勇教が今にも乗り込んでくる可能性を捨てきれませんぞ。