軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

お姉さんの友人

「お義父さん、あやつは俺に任せて欲しいですぞ」

「え? まあ……俺を助けてくれたしね。じゃあ元康くんに任せようかな」

「お任せあれですぞ。では女王、後の処理は任せますぞ」

俺の意図を察したのか女王が静かに頷きました。

そしてタイミングが良いのかお姉さんに鞭を打っていた貴族に来客が来たのか拷問を中断して階段の方……俺達の横を通って行きました。

隠蔽に気づかないとはどれだけ愚かなのですかな?

弱い奴しか甚振れない雑魚ですぞ。

真の強者はどんな時も諦めないのですぞ。

弱い者も強い者も等しく全力で挑むのですな。

そう、俺の様に。

でなければ相手に失礼ですぞ。

「ではお義父さん達は先にお姉さんの治療をお願いしますぞ」

「うん。これは塗り薬で、こっちは飲み薬だね」

「ゲームの様にすぐに効果が表れますぞ」

「へー……この辺りはやっぱ異世界なんだね」

俺は女王に頼んで用意させた傷薬と治療薬をお義父さんに手渡します。

お義父さんはお姉さんの方へ近づき、仕掛けの解除レバーでお姉さんを救いだしました。

「大丈夫!? 今すぐこの薬で治療するからね」

「あ、貴方は――」

「そんな事よりもまずは君の治療に専念させて。あ、女王様、魔法が出来るなら回復魔法とかで手当てを手伝えませんか?」

「私よりも――」

俺はお姉さんを助ける光景をしり目に階段を上る貴族の方へ一人追い掛けたのですぞ。

もちろん、早足ですな。

すぐにあの世へ送ってやりますぞ。

「フフフ……アイツの絶望する顔を早くみたいものだ。その為には準備をしなくてはな。一緒のガキがそろそろくたばるだろうから丁度良い」

などとゲスな笑みを浮かべている様ですぞ。

俺も楽しみですな。

チクタクチクタク……ですぞ。

この階段を登り切ったその時がお前の最後ですからな。

「……?」

やがて地下室への扉……鍵が掛かっているはずの扉が破壊されている事に気付いた瞬間――

「ガハ――!?」

背後から胸目掛けて槍を貫通させてやりました。

何が起こっているのかわからない様ですぞ。

ジタバタともがいております。

「ほら、これが串刺しで宙吊りにされる感覚ですぞ? 嬉しいですかな?」

「き、貴様――な、何奴!?」

「よく喋れましたな。Lvが少し高いのですかな?」

「名を名乗れ!」

「今までのお姉さんの仇ですぞ! ああ、これも必要でしたな。サイレンスランスⅩ!」

沈黙効果のあるスキルを放って俺は暴れる貴族を中庭まで宙づりのまま連行します。

「――!? !!」

全く喋れず抵抗する貴族ですが、さすがにぐったりし始めていますな。

さらに俺は隠蔽状態を維持して屋根に跳躍し、見張りの兵士が気付けない様に空に掲げてスキルを放つ為に力を入れます。

「では死ね、ですぞ! ブリューナクⅩ!」

「――――……!」

天高くブリューナクを放って仕留めてやりました。

バーストランスでは音で見張りや兵士が聞きつけてくるかもしれませんからな。

魔法で音を消せる範囲の攻撃と言ったらこれが一番ですぞ。

貴族は無音の中で誰にも気付かれる事無く、塵となって消滅しました。

外道には相応しい末路ですぞ。

「さて」

中庭に着地した俺はその足で地下室に向かいました。

秘密裏に消しましたが少々警戒が強すぎましたかな?

考えてみれば貴族さえ抹殺出来ればお姉さんの保護は造作も無いですぞ。

「あ、元康くん!」

お義父さんがお姉さんらしき人を背負って地下室から出てくる最中でした。

「どうにか助けられたよ。あの貴族は?」

俺は親指を立てて答えました。

「やりましたぞ!」

「え? やったって……?」

「まあ……因果応報ですよね」

「そうだな。なんて言うか殺しても許される相手なのは間違いない。あの牢屋にどれだけの人骨が落ちていたか……」

「ゾッとしますね。マンガやアニメならともかく、現実でこんな事がまかり通っているなんて……今にも吐きそうです……」

「朝の光景でどうにか耐えられる様になった……んだろうか?」

おやおや? 前回のお義父さん達みたいなテンションですぞ。

きっとこの世界の闇を知って、夢から覚めたのですな。

これで錬と樹もまともになっていく事でしょう。

「お姉さんを勧誘出来ましたかな? ならば見張りを気にする必要すらありませんぞ。さっさと逃げましょう」

「その事なんだけど……」

という所でお義父さんの脇でお義父さんに支えられる様にお姉さんが立って俺を見上げていました。

おや? お義父さんが背負っているのは誰ですかな?

お姉さんではない、子豚ですぞ。

耳と尻尾があるので、きっと亜人豚ですな。

その耳の形状は丸く、尻尾は細長いですぞ。

……何の亜人豚ですかな?

「二人いたんだ。この子は衰弱が激しくてね。一命は取り留められそうだけど、助けが来た事に安心しちゃって意識が無いんだ」

ポータルで連れていくのが難しいと言う事ですかな?

しかし……どっちがお姉さんなのかよくわかりませんな。

見た感じだとお義父さんの脇にいる方が狸と言うかお姉さんを幼くした様に見えなくもないですな。

ちょっと小汚いので判断に悩みますぞ。

「リファナちゃんは大丈夫!?」

と脇にいるお姉さんだと思う方がお義父さんに声を掛けます。

背にいるのは別人の様ですぞ。

「大丈夫だよ。さっきの薬を飲んで呼吸は安定してるみたいだから、とりあえず少しでも早くここから逃げよう」

「キタムラ様、この度の問題の報告、誠にありがとうございます。ここまでしてくだされば後々の問題は全て私が片付ける事が出来るでしょう。ですが、今は少しでも早く撤収するのが先決かと」

「わかりましたぞー! では壁をぶち破って派手に行きますぞ!」

「お、おい! 元康?」

「何をする気ですか!?」

俺は地下室の壁の隣に槍を向けて叫びますぞ。

「バーストランスⅩ! ブリューナクⅩ!」

ドカンと壁をぶち破って、更に柵まで破壊して風穴を作ってやりました。

後はそこを通って逃げれば余裕で逃げ切れますぞ。

「うわ……凄い強引な方法……」

「さあ皆さん、早く行きましょう」

女王が指示を出しました。

「な、なんだ!?」

見張りが音を聞きつけて来た様ですな。

「素早く撤収しますぞ」

「物凄く力技での撤収ですね」

「時に力は何物にも勝ると言うのを実践して見せられた気がするな」

錬と樹が若干呆れ顔で俺に付いてきますぞ。

ああ、見張りの魔物が俺達に気づいた様ですが、近寄ってきませんぞ。

敵わない事を悟ったのですかな?

見張りが追い掛けてきそうでしたが既に俺達は逃走済みで町の裏路地に逃げ込みました。

厳戒な体制が直ぐに敷かれる事になるでしょうが、その頃にはポータルで逃げ切れるでしょうな。

仮に見つかっても女王の権力でもみ消せますぞ。

何せ秘密裏に滞在していた女王の視察とか言い訳が出来ますからな。

お義父さんの背で気絶していた奴隷に回復魔法を施し、覚醒を促す魔法で勧誘しました。

「ブ……ブブ……?」

「気が付いた? まだ逃げてる途中だけど、君がパーティー勧誘を承知しないと逃げられないんだ。無理を承知で頼めないかな?」

お義父さんが必死に声を掛けますぞ。

「リファナちゃん、しっかり!」

「ところでその子はお姉さん……ラフタリアという子で良いのですかな?」

俺がお姉さんだと思う子に声を掛けますぞ。

「はい。わたしが……ラフタリアです」

なんと言いますか少し気色の悪い笑い方をしていますぞ。

無理して笑っている様に見えますな。

張り付いた笑みに違和感が拭えません。

ですがなんとなくお姉さんであるのは間違い無いと感じられますぞ。

「そちらの……ぶ、者は何者ですかな?」

危ない危ないですぞ。

危うく豚と言い掛けました。

怪しまれたらアウトですぞ。

お姉さんからもフィーロたんとの婚約を許してもらわねばいけませんからな。

「わたしの友達なんです! お願い、助けて!」

おお、お姉さんの友達ですか。

という事は豚では無く人間なのですな。

おや? 俺の記憶の中でキールが抗議をしていますぞ。

キールの様に豚に変身する訳ではないでしょう。

お義父さんが目覚めた子に薬を服用させていますぞ。

治療薬よりも少し効能の高い奴ですな。

女王も準備が良いですな。

汗まみれの血まみれで少々小汚いですが、それを全く気にせず介抱するお義父さんはやはり優しい方なのでしょう。

「もう大丈夫だと思いますぞ。後はパーティー勧誘を了承するだけで逃げられますからな」

「リファナちゃん……で良いのかな? お願いするよ。俺達が送った勧誘を受けてくれれば良いから」

「は、はい……」

ピコンとパーティー項目に人員の加入が表示されましたぞ。

「では逃げますぞ! ポータルスピア!」

サクッと俺は転移スキルを使って逃走を完了させました。