軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

童貞厨

「元康さんは……」

「なんですかな?」

「フィロリアルならどんな姿でも好きですよね?」

「当たり前ですぞ!」

何を言ってるのですかな?

俺にとってフィロリアル様はどんな姿であろうとも愛すべき対象ですぞ。

「錬も樹も自分の事を棚に上げて……フィロリアル達は元康くんに集中してるし!」

「浮いた話が無いのが救いだったな!」

「ですね」

何を勝ち誇っているのですかな?

よくわかりませんが、お姉さんのお姉さんに軍配が上がったと見てよいのでしょうか?

そう言えば最初の世界のお義父さんも似た様な約束をしたとかフィロリアル様達が言っていた様な気がしますぞ。

「年齢が気になるなら成人年齢に達した時にでも受け入れてやれ。尚文、お前の保護した連中には少なからずそういう奴がいるんだ」

錬の言葉にお義父さんはがっくりと力が抜けた様になりました。

「なんで錬と樹がサディナさんのおかしな言動に合わせたのかわからないけど、責任は持てってことか……」

「下手にイミアさんクラスの好意を持ってる方をフッたら、胸が痛むでしょうね」

「この世界は勇者と関係を持った、勇者の子供ってだけで重宝されるそうだからハーレムの夢くらい持っても良いらしいぞ。ほら、フォーブレイ王みたいにな」

「豚王化は却下! はぁ……イミアちゃんが年齢的に大人になるまでは先延ばしに出来る様がんばるよ」

「あらー。お姉さん見守ってるわ」

「絶対に参加させようとしてくるよね? その態度!」

お義父さんがお姉さんのお姉さんにツッコミを入れましたぞ。

ですがお義父さんも若干楽しげに見えるのは俺の気の所為ですかな?

「勧めてしまった僕達が言うのもどうかと思いますが、尚文さんってあんまり外見で判断しませんね」

「確かにな。サディナとラーサは亜人形態があるから大丈夫な奴も多いだろうが、獣人クラスになると無理だと思う奴もいるんじゃないか?」

「タクトはハーレムを作っていましたが、イミアさんクラスの獣人はいませんでしたね」

「ああ、イミアを悪趣味呼ばわりしたんだったか……」

そんな事もありましたな。

まあタクトは見た目で判断する様な奴ですからな。

お義父さんの心を重視する精神を理解する事は出来ないでしょう。

あやつは昔の俺の様に外見で選んでいるんですぞ。

きっと見た目が悪ければ、気持ち悪いとか言う様な外道ですぞ。

モグラを悪趣味呼ばわりしたのが証拠ですな。

尚、俺はフィーロたんがどんな姿でも愛していますぞ。

フィロリアル姿のフィーロたんの美しさならば、永遠に語っていられますな。

天使化した姿も好きですが、フィロリアル姿もまたフィーロたんの可愛らしさを現しているんですぞ。

何より俺はフィーロたんの外見だけでなく、その心が好きなのですからな。

「あれですかね。盾の勇者に選ばれる方ってそういう適性もあるんでしょうかね?」

「まあ亜人の国の勇者らしいからな。人型なら問題ないんだろ。イミアは完全なモグラではないからな」

「あのね……」

お義父さんが何か言いたそうにしてますぞ。

「ガエリオンループしたいなの……」

そこでまたもライバルがポツリと呟きながらうらみがましくお姉さんのお姉さんを睨みますぞ。

「この結論からするとガエリオンさんも宴に参加出来るんじゃないですか? ドラゴンですし」

「いや、ガエリオンちゃんは幼いでしょ! 仮にイミアちゃんが大人扱いに入る様になったとしても!」

「ガエリオンループしたいなの……」

「ねえ……最近ガエリオンがこれしか言わなくなっちゃったんだけど……」

助手が困った様に俺達に向かって抗議しますぞ。

そうなのですかな?

ライバルの事など、どうでも良いので全然気付きませんでした。

「ウィンディアさんは最近の変化に関して理解していますか?」

「うん。盾の勇者がサディナさんとくっ付いて、夜にラーサズサさんと一緒に交尾してるってことでしょ?」

「う……ウィンディアちゃんにまで言われるとショックが……」

「というか交尾って言い方が生々しいですね」

「元々ドラゴンに育てられた娘だからな。ウィンディアは」

助手は視線は魔物基準だそうですからな。

人間らしい言い方、セッ○スと言わないのですな!

「そこにガエリオンを混ぜたいの? まあ、ガエリオンはずっと盾の勇者を誘惑してたし、お父さんの所へ挑む時も『少しの間離れてガエリオンがいない寂しさを理解させるなの! 恋愛は駆け引きなの!』って言ってたし」

「確かに言ってたな」

「そんな事を言っていたのか……」

「ガエリオンループしたいなの……」

また言ってますぞ。

それが鳴き声なのですかな?

というか目が死んでますな。

「強い雄が雌を囲むのは当然、イミアちゃんが盾の勇者を好きなら良いと思うし、ガエリオンが望んでるなら良いんじゃない?」

「冷めてますね」

「感覚がまだ野生なんだな。これを人に近づけさせる教養を教えないといけないのか」

「それこそ、尚文さんやサディナさんの仕事ですよ」

「その点に関しては賛成だけど」

「あらー」

「ガエリオンループしたいなの……」

お姉さんのお姉さんが楽しげに笑っておりますぞ。

しかし先程からライバルがループループうるさいですぞ。

「今までの経緯からなんとなく察するんですけど、ガエリオンさんは尚文さんをサディナさんに寝取られたと思って言ってるんじゃないのですか?」

「寝取られって……俺はガエリオンちゃんと交際はしてなかったよ」

「寝取られなの!」

そこでライバルが地団駄を踏むように言い放ちました。

突然キレるとは……所詮はドラゴンですな。

「後少しでなおふみを陥落出来る所まで来ていたのに、そこの女にインターセプトされちゃったなの!」

ビシッ! っとライバルがお姉さんのお姉さんを指差します。

「迂闊だったなの! フィロリアルなんかにライバル意識を持っていたのが失敗だったなの! なおふみの好みが実は守ってくれる年上の女だったなんて気づかなかったガエリオンの失策だったなの!」

「フィロリアルなんかとはどういう意味ですかな!」

返答次第ではぶち殺しますぞ!

「元康、落ちつけ!」

「そうです。落ちついてください。相手は錯乱してるんですよ!」

俺が槍を強く握りしめると錬と樹が俺を抑えますぞ。

ちっ! 邪魔が入りましたな。

「あらー? 確かガエリオンちゃんは人間の姿に変身してるのよね。ならお姉さんくらいの年齢に変化を合わせれば良いんじゃないかしら? 一緒に肉欲の宴を楽しみましょうよ」

「だから、それは――」

「嫌なの!」

力強くライバルはお姉さんのお姉さんが差し出した手を払いのけました。

おや?

「ガエリオンは尚文の初めてが欲しかったなの! それからなら幾らだって良かったなの!」

「なんというか……処女厨という言葉はありますが、童貞厨という方は初めて見ました」

「物語とかだと単純に食べる意味で処女を所望するドラゴンとか聞いた事があるが、童貞を望むなんて……嫌なドラゴンだな」

「あのねー……」

なんともおかしな雰囲気になってきましたな。

最初の世界のお義父さんだったら既に堪忍袋の緒が切れてますな。

おそらく、お姉さんのお姉さんが宴の話をし出した頃には。

「既になおふみはそこの女に童貞を取られちゃったなの。ガエリオンの物にならないなのー……なのおおおおおぉおおー……」

滝の様にライバルは涙を流して地団駄を踏んでおります。

ふ! ライバルの思い通りに俺はさせませんぞ!

良かったですな、お義父さん!

俺が勝利の笑みを浮かべて親指を立てるとお義父さんが脱力しておりました。

「つまり尚文さんの童貞を手に入れるにはループしかないと」

「なのぉおおおおー……」

泣きながらライバルはコクコクと頷きました。

「ですがループしているのを正確に認識しているのは元康さんだけですし、仮にループしたとしてガエリオンさんは認識できないと思いますよ?」

「しかも元康はドラゴンを嫌っている。お前に教えるとは思えないな」

そこでライバルは涙を拭ってからキッと俺達を睨んで一歩踏み出しますぞ。

「大丈夫なの! 既にガエリオンはその問題を解決する手段を見つけているなの!」

「何?」

「どういう事?」

ライバルが涙目で勝ち誇ったように胸を張りましたぞ。

何を企んでいるのですかな!?

「こんな事も想定して、全てが無かった事にならない様に、ガエリオンは槍の勇者の槍にずっと接触を繰り返していたなの」

「え? そんな事をする暇あった!? 初耳なんだけど」

「最近、槍の勇者が寝ている時にフィロリアル臭い所を我慢してがんばっていたなの!」

「なんですと!?」

なんでしょう。

嫌な鼓動が徐々に高まり、冷や汗が停まりませんぞ。

何が起こったのですかな!?

「な、何をしたんですか……?」

樹が恐る恐るライバルに尋ねますぞ。

「ふふん。ガエリオンは槍の勇者の槍にガエリオンの記憶を移植してループに便乗する事が出来るようになったなの。竜帝の力があれば槍にアクセスする事も不可能じゃないなの」

「なんだって!?」

とんでもない事を誇らしげにライバルは言いましたぞ!

なんて下劣で卑怯な事をしているのですかな!?

ドラゴンの記憶が俺の槍の中に入っているですと!?

「ループ後に槍の近くにドラゴンの卵があればアクセスしてガエリオンの魂を引きよせて記憶をそのまま継承出来るなの。なのなの!」

それからライバルはうっとりするかのように遠い目をしていますぞ。