軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

潜在的同性愛者

「しょ、しょうがないですわね。元康様、今回だけですからね!」

と、ユキちゃんが怒るのをやめて許してくれました。

「あらーモトヤスちゃんは女性の扱いに慣れてるのかしらね?」

「俺はフィロリアル様への愛をユキちゃんに伝えただけですぞ」

その為に豚共の尻を追っていた頃のテクニックを使ったに過ぎませんな。

あの時は通過儀礼的な臭いポーズだと思いましたが、今は心からフィロリアル様達に出来ますぞ。

何せ、霊亀如きにユキちゃんの夢の妨害などさせられませんからな。

「あらあら」

お姉さんのお姉さんはくすくすと笑っております。

何かおかしな事をしましたかな?

「まあいいや。とりあえず霊亀は倒せたし、次の鳳凰の封印が解かれるまで一カ月はあるんだもんね。準備はしておいた方が得策かな?」

「そうだろうな」

「しかし一ヵ月ですか……世界中の砂時計が休止状態になったのですから良くはありますが、何をしましょうか?」

「予定通りに二週間後、ノースフェラト大森林に向かうつもりだよ。それまでは地道に戦力増強になる」

「ふむ……フィロリアル以外の兵士の育成とかもしておいた方が良さそうだし、やる事は多そうだな」

「これからの方針ですな。ところでユキちゃん、生産者から次のレースは何時になるか聞きましたかな?」

俺も後で聞くつもりでしたが、念の為に確認しておきましょう。

鳳凰の封印が解かれる日がレースだったら事前に断る必要がありますからな。

「次のレースは三週間後ですわ。今回の優勝羽には優先的に参加出来るのですわ」

「おお! という事は鳳凰の復活とはスケジュールがずれていますから問題ないですな」

「今度こそ参加しますわよ!」

ユキちゃんの背中に闘志が見えてきましたぞ。

そうですぞ! ユキちゃんは今までの周回で七星武器に選ばれた事がある偉大なフィロリアル様の一人なのですぞ。

「結局、僕達がやる事はあまり変わらないと言う事ですね」

「だな。戦力を増やして行く方針に変化は無い」

「育てる戦力内にタクトみたいな転生者や転移者が居ない事を確認さえ出来れば割とね」

お義父さん達は色々と頷き合っていますぞ。

「ところで元康くん。七星武器の勇者に選ばれたハクコ種の男ってどんな子だったの?」

お義父さんがこれからの方針とばかりに俺に尋ねてきますぞ。

ふむ、ハクコの男ですか。

あやつはお義父さんに度々喧嘩を売っていましたな。

最終的にお義父さんの忠実な配下になった覚えがありますぞ。

「ラーサさんは雇えたし、残りはその子くらいなモノだと思うんだけどー……」

「ハクコですな。前回のお義父さんに誤解を与えない様にと言われていますぞ」

そう、前回お義父さんに男と一緒に寝ていたと言って注意されたので黙っていたのですぞ。

なのでこれまで詳しく話をしていませんでした。

「な、何が? その子と何か俺に問題でもあるの?」

お義父さんが不安そうに俺を見ていますぞ。

「な、何でしょうか? 元々奇抜な事ばかり説明する元康さんですが、輪を掛けて不吉な空気がありません?」

「それでありながら凄くくだらない事を言いそうだな」

「あらーみんなモトヤスちゃんの事を理解してるのね」

「まあ付き合いも長くなってきましたからね……」

「なんの話をしてるんだい?」

金袋を数えていたパンダがこちらを向きますぞ。

お前は金勘定に力を入れ過ぎでは無いですかな?

「元康くんがね。ループの話題で俺と何か関わりが深い不吉な話題を説明しようとしてるからさ」

「何せ、この話をした途端、お義父さんは俺を北村くんと他人行儀になったのですからな。もちろん、信じてもらえるようになって元康くんと呼んでくれましたが」

親しげにもっくんと呼んでくれるのはいつになるでしょうな?

お義父さんとの距離感が中々縮まりませんぞ。

いつか息子と呼んでもらいたいものですな。

「元康くん、そのハクコ種の子と俺は何があった訳?」

お義父さんが割と緊迫した表情で俺に聞いてきました。

「お義父さんは、ハクコ種の男と一緒に寝ていたのですぞ」

「は?」

前回の事を思い出すと、更に詳細的な説明をしなくては行けなかったのでしたな。

ですが俺がその事実を言うと錬と樹、そしてパンダがサッとお義父さんから距離を取りました。

「あらー……」

「なるほど、だからアレだけ周りに女を囲って手を出さない訳か」

「納得が出来ましたね」

「誤解だ! 俺はホモじゃない!」

お義父さんはその事実に対して弁解するように言い放ちますぞ。

「ですが、元康さんの言葉ですよ? 尚文さん、どうやら貴方は自身すら自覚していない潜在的な同性愛者なんですよ」

「そうだぞ。元康がループ時の知識を言っているんだ。間違いない」

「うう……違う! 俺は、俺はホモじゃない!」

「あらー……ナオフミちゃんがねー?」

お姉さんのお姉さんが思わせぶりな感じでお義父さんを見つめております。

お義父さんがハクコと寝ていた事に納得でもいったのですかな?

「サディナさんは俺の事を信じてくれるよね?」

「そうねー今のナオフミちゃんはそういう感じはしないわね? でもそれも楽しそうではあるけど」

「いや、楽しくないよ!?」

お姉さんのお姉さんは陽気ですな。

この雰囲気が皆に人気があるのでしょうか?

「肉欲の宴を楽しんだのかしら? きっと男も女もナオフミちゃんは行けたのよ」

おや? 聞いた事のある台詞ですな。

お姉さんのお姉さんが前に言ってた台詞ですぞ。

「穴なら何でも良いと」

「ち、違う! 俺はそんなんじゃないよ!」

「ここにガエリオンさんがいなくて良かったですね。この前、竜帝は相手の性別関係無しに子供を作れると言ってましたよ」

「そうか。ガエリオンはオスの方がよかったのか?」

「どうしてそこでガエリオンちゃんの話題が出てくるかを問い詰めたいけど、違うから! ほら、元康くんも説明して! 何かあるんでしょ?」

おお、さすがお義父さんですな。

その後のフォローも俺は覚えていますぞ。

「最初の世界のお義父さんは赤豚に騙されて好意を寄せる者達を信じられなかったのですぞ。その所為でお義父さんに好意を寄せていた者達を拒む為、ボディガードとしてハクコ種の男と一緒に寝ていたそうですな」

俺の補足を受けてお義父さんは胸を張りました。

「ほら! やっぱりそうじゃないか! ボディガードだったんだよ。別に肉体関係まで至った訳じゃないんだよ」

「まあ、そのハクコ種の男はお義父さんを兄貴と慕っていましたし、熱意は十分にあったようですからな。実際はわかりませんぞ」

近寄ろうとした錬と樹の足が止まりました。

「元康くん、俺にホモのレッテルを付けたいのか付けたくないのかどっちなのかな?」

ゆらりとお義父さんの殺気が俺に向かって放たれた気がしますぞ。

違いますぞ。俺は事実を述べただけなのですぞ!

「とりあえず、その方が今までのループ内での最後の七星武器候補者という事になるのでしょうか?」

「名前は何か覚えが無い?」

「確かフォウルとか呼んでいたのを覚えていますぞ」

「あ!?」

そこでパンダが反応しました。

なんですかな? なぜお前が反応するのですかな?

「フォウルってこの国のコロシアムで出てくる奴じゃないかい? あたいも何度か戦ったぜ?」

「知り合い?」

お義父さんがパンダに尋ねるとお姉さんのお姉さんも同意します。

「そうね。ハクコ種でフォウルって子ならあの子じゃないの?」

「だろうな。確かアイツは奴隷闘士だから、何処かの奴隷商人の所に厄介になってるだろうねぇ。高いだろうが金で買える」

「知り合いなら話が早いな。尚文、お前が保護をすれば」

「出来れば錬や樹……元康くんがやって欲しいな。俺はホモじゃない」

お義父さんが何やら目元が暗くなった感じで距離を取っていますぞ。

どうやら今回も伝え方を間違えた様ですな。

「なるほど、尚文さんがノーマルでその子が後にホモになった可能性もある訳ですか」

ビクッとお義父さんが反応しますぞ。

お義父さんは何をそんなに怯えているのですかな?

「大丈夫よ。お姉さんがナオフミちゃんが道を踏み外さない様に見ててあげるから」

それを宥めるようにお姉さんのお姉さんが抱擁します。

おや? 何やらお義父さんとお姉さんのお姉さんが親しくなっているように見えますな。

「あー……まあ、しょうがないですね。ラーサさん、サディナさん、その方が何処で買えるかの調査をお願いしてよろしいでしょうか?」

「あいよ。こっちも雇われの身だしね。もらってる金の分は働くよ」

「そいつを加入させられたら候補者はほとんど揃うな。後はフィロリアルの収拾――」

そこで錬は腕を組んでしばし考え始めました。

それからお義父さんを宥めるお姉さんのお姉さんを見てから俺の方を見ますぞ。

「なあ元康」

「なんですかな?」

「そのハクコ種の男を雇えば七星勇者になった可能性のある奴でフィロリアル以外は揃うんだな? 死んでいるメルロマルクの王を除けば」

錬の言葉にお義父さんと樹が俺に視線を移しますぞ。

同時にお姉さんのお姉さんも何やら目が普段と違う意志を宿らせた様に見えますな。

「違いますぞ」

確かに殆どは揃っていますな。

最初の世界だとツメがフィーロたん、槌がお姉さん、杖がクズ、鞭が助手、投擲具がストーカー豚、斧がみどり、小手がハクコ種の奴隷。

前回のループでは槌がサクラちゃん、投擲具がユキちゃん、鞭が助手、杖はクズ、そしてツメはパンダでした。

この中からフィロリアル様を抜き出し、俺達の仲間になっていないクズとハクコ種の奴隷以外の者と言うと一人しかいませんな。

「やはりか……元康、もしかしたらそいつはお前が、お姉さんと呼んでいる奴じゃないか?」