軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

勇者だけで勝てる

「な、なんだ?」

霊亀内部の異変にお義父さんが反応していますな。

ですがすぐにゴトンと音を立てて静かになります。

が、その後も頻繁にゴゴゴと音を立てては静かになるを繰り返しますぞ。

「霊亀が動き始めたのかな?」

「心臓への道が開けたから死んだふりを辞めたのではないですかな?」

「かもしれないね。で、錬と樹、女王様に頭を飛ばされて再生を繰り返してると思えば良いか」

概ね間違いないと俺も思いますぞ。

つまりこれは大きく前進したと言う事ですな。

霊亀が追い込まれて必死になっていると言う事ですぞ。

「早く行こう」

「ですな! ユキちゃんの出場するレースを見られるように早く仕留めるのですぞ!」

「元康くんは相変わらずだなぁ。そうだね、元康くんじゃないけど、何事も無いかのようにユキちゃんの晴れ舞台をみんなで見られるようにがんばろう」

お義父さんが苦笑いをしながら同意してくれましたぞ。

さあ! サッサと霊亀を仕留めるのですぞ。

前回は仕留められませんでしたが、今回は錬も樹も協力しているのです。

今の俺たちなら四霊が全部揃って封印を解かれたとしても勝てる自信がありますぞ。

それほどに盤石の布陣なのですぞ。

そんなこんなで揺れる洞窟の階段を降りて行くと生々しい肉壁へと変わって行きましたぞ。

血管が浮き出ていて気色悪いですな。

「なんだろうコレ?」

お義父さんが道の途中で生えている赤い筋を指差します。

「わかりませんな。とりあえず切ってみますかな?」

「下手に触ったら危なそうだけど……試してみようか。流星盾!」

お義父さんが結界を生成して、みんなを守れる様にしてから俺に指示をします。

俺は赤い筋を切りますぞ。

すると近くの肉壁に亀裂が走って道が出現しました。

「あー……なるほど。そういうギミックな訳ね。御丁寧に青い筋もあるし、切ったら魔物も駆けつけてくるみたいだし」

お義父さんが察した様です。

なんとなく俺も僅かにやったゲームの経験で理解しますぞ。

つまり赤い筋と青い筋を駆使して心臓への道を目指すのですな。しかも警報装置付きですな。

霊亀の使い魔にはいろんな種類が居るのですな。

そう言えばお義父さんがくれた素材に居た様な気がしますぞ。

「とりあえずゲームの攻略じゃないけど、道なりにギミックを駆使して行こう」

「わかりましたぞ!」

「なんか面倒なの!」

「んー?」

「ちょーっとナオフミちゃん」

そこでお姉さんのお姉さんがお義父さんに声を掛けます。

「何? サディナさん」

「お姉さんにちょっと試させて欲しいのよ」

お姉さんは肉壁に振れ、赤い筋と青い筋で駆使するギミック部分に、雷の魔法を唱えた様ですぞ。

バチッと二つの筋に電気が走りましたな。

シューっと音を立てて……二つの筋を駆使するギミックが沈黙しました。

「おお……」

「薄い壁くらいならどうにか出来そうね」

「す、凄いけど……まあ、楽しんでいる余裕は無いし、良いか。じゃあサディナさん、ギミックがあったらお願い出来る?」

「任せなさーい」

さすがはフィーロたんも頼りにするお姉さんのお姉さんですな。

「俺も似た様な事が出来なくもないですがな。高密度の魔法で肉壁をぶち抜きますぞ!」

「まあ、そうだけどー……うん。この布陣だと余裕で心臓部まで行けそうだね」

という訳で、お姉さんのお姉さんの協力の元、俺達は心臓部目掛けて移動しましたぞ。

もちろん、その道中で沢山の霊亀の使い魔共と戦いましたな。

確かエメラルドオンラインで似た魔物を見た様な気がしますな。

もっと別の……何か巨大な生き物の体内ダンジョンだったと思いますし、形状に違いはありますがな。

白血球や赤血球のような使い魔というか細胞型の魔物共って感じですな。

「か、壁から人型の使い魔が――」

「ブリューナク! ですぞ!」

確認する必要も無く人型っぽい使い魔を消し飛ばしてやりましたぞ!

「ま、まあ進もう」

そんなこんなで俺達は体内ダンジョンの最奥部っぽい所へと向かいました。

心臓らしい物を発見しましたぞ。

その前には何やら青い龍刻の砂時計がありましたな。

「青い龍刻の砂時計?」

「確か鳳凰の時にもありましたな」

確か鳳凰の封印された国の広場に立っていたのを覚えていますな。

砂の量が随分と少なく思えますぞ。

前回の時は結構な量の砂があった覚えがあります。

俺はお義父さんにこの事を説明しました。

「たぶん……結界生成に必要な魂の量を目安として表示してるってことなんじゃないかな?」

「おそらくそうでしょうな」

「どっちにしても一つの国を一日で壊滅させたんだ。素早く仕留めるべきだよ」

「ですな!」

外での攻防が聞こえますな。

まあ、錬と樹が強いので、定期的にドスンドスンと聞こえるだけですがな。

俺はドクンドクンと俺がフィーロたんを思う事で聞こえる心臓の音よりも若干安く聞こえる霊亀の心臓が焦りの表情を浮かべている様に見えましたぞ。

目玉がある不気味な心臓ですな。

アレをタイミング良く潰せば勝利ですぞ。きっと。

前回は最初の世界通りに潰してもダメだったのはお義父さん達の推理通り、他の四霊が復活していたからだと思うほかありませんな。

「よし……外側が拍子抜けだったけど、心臓部が弱いとは限らない。元康くん、先陣をお願い出来る?」

「わかりましたぞ!」

俺の返事にお義父さんは頷いて魔法の詠唱を始めました。

「リベレイション・オーラⅩ!」

お義父さんの援護魔法を受け、俺は霊亀の心臓に意識を向けますぞ。

「では行きますぞ! 流星槍Ⅹ!」

樹に倣って牽制の意味も込めて流星槍をぶちかましてやります。

もちろん、タイミングを合わせて霊亀の倒れる音に合わせましたぞ。

「――!?」

いきなりの奇襲に霊亀の心臓は驚きの表情を浮かべた後、流星槍が命中して弾け飛びましたな。

「おお! 頭の時もそうだったけど呆気なく消し飛んだ!」

「タイミングは合わせましたぞ」

錬と樹がおそらく戦っているであろう事は想定済み、頭を飛ばしたと思わしき振動に合わせて心臓を消し飛ばしてやりました。

「こんな簡単ならガエリオン達、いる意味あるなの?」

「勇者だけで勝ててる……」

ライバルと助手が不満の声を漏らしますぞ。

「いや、今回は余裕過ぎただけで、徐々に勇者だけじゃ厳しくなるはず……」

お義父さんが冷や汗を流しながら説明しておりますぞ。

それは事実ですな。

実際、前回のループでは沢山の仲間達がいなければ四霊を追い詰める事すら出来ませんでした。

そもそもライバルの事など気にする必要ありますかな?

「そもそもこのくらいの強さならガエリオンちゃん達でも勝てそうではあるね」

「なおふみを煩わせる必要無いなの!」

「念には念なのよね? ナオフミちゃん。で、モトヤスちゃんの言う通りならこれで終わりなのよね? お姉さんホッとしたわー」

「これで元康くんの知識通りなら霊亀は倒せる……はずなんだけど」

お義父さんが不安げに心臓のある場所を見ますぞ。

確かに……変ですな。これで霊亀は倒されて、次の四霊である鳳凰の予告時間が出現するはずですぞ。

なのに相変わらず砂時計は七を示していますな。

やがてうごうごと心臓が再生を始めましたぞ。

「変ですな……最初の世界のお義父さんの話が間違っているとは思えませんぞ」

俺もあくまで人伝で聞いた話ではありますが、お義父さんが発見した討伐方法で倒せるはずなのですぞ。

「元康くんの知識が間違っていたら、俺が冤罪に掛けられた時に助けられるはずもない。だけど……何かしらの要因で霊亀を倒せない。どうしたら良いんだろう」

お義父さんが知恵を絞っていますな。

きっとすぐに名案が浮かんできますぞ。

俺はその時間を稼ぐべく、再生しつつある心臓部を消し飛ばしてやります。

心臓の再生は遅いのか、外で戦う錬や樹が相手をしている頭よりも再生のサイクルが遅いですぞ。

「面倒ですな。この部屋だけでなく霊亀の内部を全て魔法で消し飛ばしますかな?」

さすがに内部でリベレイション・プロミネンスを最大出力で放てば内臓全てを消し飛ばせるのではないですかな?

きっと他に条件があったとしても霊亀自体を蒸発させられますぞ。