軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

攻略不可

「この子はどんな感じ?」

「えっとー……『仕事が終わったら別種の魔物になってもっと強くなりたい』って言ってるなの」

「おいおい、自身の種族を嘆いてるのか……」

「魔物はクラスアップする時にそういう事も出来るから叶えて上げると良いなの」

「なんだかなー……とは思うけど、とりあえずはラトさんの所に預けに行こうか」

「そうですね。これだけ応答が出来て潜在的な強さを持たせれば研究が進みますよね?」

「だな。これで上手く行かなかったと言われたらどうした物か……」

「急務って訳じゃないから問題ないでしょ」

そんなこんなでサクッと育成を終えた俺達は主治医の所へソウルバキューマーを預けに行ったのですぞ。

主治医はソウルバキューマーとしばらく話をしているようでしたな。

「さすが四聖勇者ね。こっちの要望通りの子を連れて来てくれたみたいで何よりよ。じゃあ実験として怪しいって子の所へ行ってみましょうか?」

「え? もう?」

「こっちはこっちで準備は出来てるのよ」

と、主治医は何やら首輪のような輪と、コンプレッサーのような道具をソウルバキューマーに取りつけました。

なんとなくわくわくしますな。

「じゃあローリックさんに連絡を取って、怪しげなお嬢様を誘き出してもらうから……」

と言う訳で割とアッサリ、作戦は実行されたのですぞ。

俺達が身を隠しているのはフォーブレイの騎士が寝泊まりしている宿舎……国が管理している森の近くですぞ。

フォーブレイの城から若干離れた演習地ですな。

騎士が豚を連れて、見た感じだと……豚相手に騎士達が軽く雑談している様ですぞ。

あまり見るのも嫌なのですが、豚の目線の行く先が気になりますな。

俺から見て、顔が良いと思う相手の方しか向いていませんな。

一定の基準でもあるのでしょうな。

それ以外の奴等へは一ミリも視線が向きません。

で、ローリックという騎士の幼馴染二人のうち、一人は無視されているように見えます。

顔は……俺からしたら悪くないと思いますがな。

若干暑苦しい顔ですが、気が良さそうなタイプですぞ。

「で? どうなの?」

「――」

ソウルバキューマーが主治医とお義父さんの問いに音にならない音で答えますぞ。

「ふむふむ……」

主治医が頷きますぞ。

「なの?」

ライバルはそれを聞いて首を傾げながら見ております。

助手は目を細めておりますな。

「どうだって?」

「えっと……ちゃんとしているように見えるけど……なんか途中から色が違うって言ってる」

助手がお義父さんに答えますぞ。

「と言う事は黒か?」

「では、デストロイですな」

俺が槍を握ると錬と樹が抑えてきますぞ。

何をするのですかな?

「じゃあこれね」

主治医がバシっと何やら装置の電源を入れますぞ。

若干パチパチとソウルバキューマーが痙攣しているように見えますな。

「――!!」

お? 活発に動き始めましたな。

それから再度、何やら発していますぞ。

「繋ぎ目や強引にコーティングしているのが見えてきたって言ってるなの! 凄いなの!」

ライバルが今度は代弁を始めましたぞ。

「精度が上がった……のかな?」

「研究段階だったんだけどね。魔物の能力を一時的に向上させる機能があるのよ。ただ、長期使用は勧められないけどね」

「じゃあどうすればいいんだ? 黒って事なんだろ?」

「一概に黒と言う訳じゃないとは思うけど……」

「次の段階への対処も出来るわよ? どうする?」

「とりあえず、ローリックさんに報告しよう」

お義父さんは茂みから出てローリックさんたちを呼びつけますぞ。

目標の豚は着いてきたがったみたいですが、一人が足止めする形で騎士がきますぞ。

「今、とある方法で魂の目利きをしたんだけど、なんかかなり怪しいらしいんだ」

「え……そんな……」

騎士が驚愕の表情で豚に向かって振り返りますぞ。

「ブブー!」

何やら豚が首を傾げて鳴いていますな。

それから豚が何やら俺の方に向かって手を振っております。

すぐに豚の隣に立っていた、ローリックの仲間らしき豚が俺の方へとやってきました。

「カクシキャラ来たーと何やら小声でテンションを上げていましたが、何の事を言っているのでしょう?」

「隠しキャラ……元康くんがそれとか?」

錬が何やら溜め息を漏らしておりますぞ。

「とんだクソゲーだな」

「ですね。あの方では完全に攻略不可能なキャラクターですよ?」

「むしろもらってほしい位だ」

「というか、割と本気でどうやって攻略するんだろう……」

攻略不可能? 俺を攻略など豚には絶対にさせませんぞ。

俺は既にフィーロたんに攻略されておりますからな。

浮気など絶対に致しません。

「どうがんばってもルートに入らず、デッドエンドだろ。あの女じゃ」

「元康くん曰く、愛に目覚める前にここに来る事があったかもしれないんじゃない? それなら僅かに可能性があるよ」

「と言うかあの女、俺達にも僅かに視線が……」

「あ、錬には気付いた見たいだよ。樹にも……凄く……醸し出すオーラが隠しているけど、ホモォ……」

お義父さんが変なポーズを取っています。

言いたくないですが、ちょっと気持ちの悪いポーズですぞ。

お義父さん自身も理解しているみたいですがな。

「尚文さん、なんですかその発音は……」

「オタクにはオタクがわかるってね。アレは間違いなく黒だね。隠していてもわかる。僅かに見えるリアクションで黒だと」

みんなに見られていないとでも思っているのですかな?

全員が視線を逸らしていると見たのか僅かに手や目つきが変な時がありますぞ。

そんなんだから勘づかれるのですぞ。

「そ、そうなんですか? 僕にはまったくわからないんですけど……そんな動作してます?」

「だな……俺も言われるまで気付かなかったぞ?」

「ですね。何かおかしな動作をしているのですか? 言葉くらいしか察する手掛かりが無いんですけど」

「……見るまでも無いと言うか、俺をモブとかその程度の認識しかしてないからじゃないかな?」

「んー……尚文は認識の範囲外って事……なのか?」

「お義父さんの顔は悪くないですぞ」

確かに四人の勇者の中で考えれば個性が無い方だとは思いますが、イケメンかそうではないかと言われたら良い方だと俺は思いますぞ。

まあ、印象に残らないのはその優しげな目と若干緩んでいる表情の所為でしょうかな?

最初の世界のお義父さんは、俺から見ても胸がキュンとする様な鋭さが滲み出ていましたぞ。

「元康くん、乙女の目をして俺を見るのをやめてね。で、ローリックさん。俺達の協力者であるラトティルさんが次の対処も出来るらしいんだけど、どうする? 俺達は悪魔って訳じゃ無く、悪事を未然に防げるなら労力は惜しまないよ」

「お願いします! 本当の姫様を助けてください!」

「実際は死んでいるかもしれないけど、それでも良いのかしら?」

「はい。姫様の体を操って姫様のフリをしているなど……我慢できません!」

「わかったわ。じゃあ勇者達、このソウルバキューマーに魂の吸引を命令しなさい。ちゃんと狙う様にね」

「え? わ、わかった」

お義父さんが豚を指差して魂を吸う様に命じましたぞ。

ソウルバキューマーは命令に応じて思い切り息を吸い込み始めました。

「ブブ!?」

辺りに風が吹き始めましたな。

すると豚が何やら壁にもたれ掛かりながらよろめき始めましたぞ。

そこまで強い風ですかな?

「ブブ……ブブブブゥ!」

何やら豚が隣に立っていた騎士に助けを求めますぞ。

「え? え?」

求められた騎士は俺達と豚を交互に見つめております。

「ブブブブ! ブブブ!」

やめさせようと何か呟いているようですが、俺には理解できませんな。

豚語の命乞いですかな?

「あ、こっちの研究品も実験しなくちゃいけないわね」

と、主治医が何やら青白いルーペを何個から取り出して俺達に手渡しますぞ。

「これで相手を見てみて」

言われるままに俺達はルーペで豚を見ますぞ。

すると豚の体から豚の頭が生えて抜けでようとしているのが見えますぞ。

これはなんですかな?