軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キスブースト

「うるさい! お前等……後からやって来て何のつもりだ!」

「質問をしているのはこっちだよ。君はどうやってこの武器を手に入れたのか、本来の持ち主はどうなったのかって聞いているんだ」

お義父さんは呆れ気味に応じますぞ。

「尚文、このふざけた奴が何なのかを白状すると思っているのか?」

「突然の事態に冷静で居られなかっただけ……だと思いたいよ。彼からしたら突然現れてひた隠しにしていた事を見られた訳だしね」

錬と樹が何時でも対処できるように睨みを利かせていますぞ。

俺も前に出ますかな?

「何度も聞くけど、君は正式な七星勇者ではないよね? 七星武器に見限られたのならこうして剥奪は出来るかもしれないけど……」

「元康さん、使命放棄で剥奪は出来るんですか?」

「前回の周回ではクズには効かなかったので出来ないと思いますぞ。奴は実質使命放棄していましたからな」

杖が何処までクズに心酔していたのか分かりかねますが、剥奪は出来なかったと思いますぞ。

確か……最初の世界でのお義父さんが四聖の方が高位に位置するそうで、選ばれた者でも資格を剥奪する事は出来るとか言っていましたが、俺には出来ておりません。

何か命令が異なるのでしょうな。

「元康くんの命令を反芻すると『愚かなる力の束縛を解き、目覚める』……つまりこのキーワードから察するに何かしらの力で七星武器を束縛していたと言う事になる」

お義父さんはコーラ達に向けて睨みますぞ。

もはやタクトと同類なのは確定ですからな。

「俺達の推測は間違っているかな? 君は何かしら不正な力で七星武器を束縛して使っていた……鞭の勇者の様にね」

「でしょうね。タクトの前例を考えるにこのユータという方も同等の力を持っていると見て良いでしょう」

「ブブー!」

何やら豚共が鳴き喚いていますぞ。

相変わらず何を言っているのかまったくわかりませんな。

「四聖勇者だからって横暴に何をしても許されると思っているの? って……だから言ってるでしょ? そこのユータくんが持っていた武器は七星武器の投擲具で、本来は勇者の所有物なんだ。だけどユータは正式な所持者じゃない。だから事情を聞いているんだよ」

「この世界でいう所の僕達は国の兵士のような者ですよ。犯罪者であるかどうかを問い詰めているだけで、横暴でも何でもないです」

「むしろお前等は自身が犯罪行為をしているかもしれないんだ。自覚が無いのか?」

お義父さん達は半ば呆れるように答えております。

説得など無理なのではないですかな?

情報を聞き出すならば、縄でグルグル巻きにした後、おしおきをして聞き出すのが無難だと思います。

またの名を拷問ですな。

「ブブブ、ブブブブ!」

「ブブブブヒー!」

「く……」

コーラの顔色に焦りが見えますな。

豚共は相変わらずコーラの味方をするようで、構えを解きませんぞ。

「ブブブ!」

そして飛びかかろうとしてきたので、樹が銃を撃って持っていた武器を弾き飛ばしました。

「これ以上の狼藉は許しませんよ?」

「お前等に勝ち目は無い。素直に投降するんだ。そうすれば命までは取らない。で? お前等、投擲具の勇者に何をした?」

お義父さん達は穏便ですな。

こんな完全に黒な連中は皆殺しが一番早いと思いますぞ。

「ブブブ!」

そこで豚が何やらコーラに向かって叫びました。

「ああ、わかった! 本気で行くぞ!」

「まだやるのか?」

「どうしてそこまで頑なに拒むのか理解に苦しみますね」

「……犯罪である自覚があるんだと思うよ。もう遠慮はしない方向で捕まえよう」

「わっかりましたぞ!」

やっと本気でいけますな!

デストロイですぞ!

と、俺が槍に力を込めようとしたその時、コーラに寄り添う様に集まった豚の一人に、コーラがキスをしました。

「え……?」

「な、何……?」

何やら濃密な、豚と人間の吐き気を催す見るに堪えない口づけによって俺は元より、お義父さん達も硬直してしまいました。

コーラは豚を思い切り抱き締めて深くやっておりますぞ。

おええええええ……。

吐き気がします。

どうにかしてこの吐き気を抑えるためにフィーロたんを思い出しますぞ。

「ん……ん……んんんん」

「ブ……ブブ」

「な、何をやっているんだろう? もしかして死ぬ前にやりたい事をやってるとか……?」

「そ、そうだな。生け捕りにするのを目的にしているのに、コイツ等……死ぬ気で戦おうとしてるのかもしれないな」

「お義父さん、歌います!」

俺はフィーロたんに励まされた時の思い出深い曲を歌いますぞ。

そうでもしないと吐き気を催す気色悪いシーンに耐えきれませんからな。

豚王と豚の交尾は動物だから良いですが、人と豚のキスなど吐き気以外ありませんぞ!

そしてコーラは代わる代わる一緒に居た豚共とキスをして行くのですぞ。

「元康くんが突然歌いだした!」

「気にしない方向で行きましょう! それよりも……」

樹の顔色が若干青ざめております。

何があったのですかな?

「尚文さん、何か心当たりありませんか? この中で成人で、一番オープンなオタクだったのですから」

「え? え~っと……」

お義父さんが樹に尋ねられてからコーラの方に目を向けますぞ。

「キス……大人……ゲーム……まさか!?」

お義父さんも何やら察した様ですぞ。

本当に物知りですな。

「ん……」

チュパッとコーラは豚とのキスを終えた様ですぞ。

「ブブブ!」

「ああ、これで俺達は勝てる!」

「「ブブー!」」

コーラと豚共が各々、予備の武器らしき物を取り出し、後方の豚が魔法の詠唱を始めました。

「錬、元康くん! 気を付けて! コイツ等は――」

お義父さんが説明をするよりも早くコーラ達が動き始めました。

「ブブブ!」

「俺達の力! 受けてみろ! 例え勇者であろうとも、これを見切れるか!」

そう言って、豚とコーラが先ほどの倍くらいの速度で走ってきました。

「ブブブブ!」

「な、さっきよりも速い!?」

錬が意表を突かれた様に防御の構えを取りました。

確かに先ほどよりも早いですな。

ですがフィーロたんの速度には遠く及ばないですぞ。

「やっぱり……キスブースト!」

「尚文さんの世界ではそう呼ぶのですか?」

樹がお義父さんに答えますぞ。

ですが……。

「対処出来ない速度では無いですぞ」

ドスっと豚の胸目掛けて俺は槍を突き立てました。

どんなに速かろうと捕まえてしまえば無意味ですぞ。

「ブ、ブヒ――!?」

「リ、リネル!」

俺に豚が貫かれてコーラは信じられない様な顔をしておりますな。

この程度では俺の攻撃を避けるなど無理な話ですぞ。

「樹、お義父さん、それは何ですかな?」

「元康がまたやらかしたぞ!」

「元康くん!」

おや? お義父さんが注意してますぞ。

わかりました!

「バーストランスⅩ!」

ボンと爆発して豚を爆殺してやりましたぞ!

「リ、リネルー!」

コーラが何やら叫びましたぞ。

「うわあああああああああああああああああああああああ!」

「ぶうううううううううううう!」

そして放心から立ち直ったかと思うと、一緒に居た豚と呼吸を合わせて俺に襲いかかってきました。

確かに早くはなっておりますな。

目算ですが、お義父さんが初期のツヴァイト・オーラを唱えた程度の速度ですかな?

能力アップして、その頃のフィーロたんの足元にも及ばない速度ですぞ。

「流星槍ですぞ!」

「ぎゃああああああああああ!」

俺の流星槍でコーラと豚は吹き飛びましたな。

もちろん、コーラは色々とお義父さんが聞きたい事があると言っていたので加減はしましたが。

「ああああああ……また元康くんが虐殺を……」

「勇者殺しは死よりも重い罰らしいですから、彼の仲間達の事を考えたら……かもしれませんよ」

「ブ……ブヒ!」

「良かった。まだ息がある――」

お義父さん達が安堵の息を吐きました。

むむ、流星槍を当てた方の豚が生きてますぞ。

しぶとい豚共ですな。

ですが……。

『ブブブブブヒヒヒブブブ』

「ブブブブブブヒーーーー」

ドスっと仕留めずにいた豚に後方援護をしていた豚が、トドメとばかりに魔法を唱えました。