軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

観戦

ダンジョンの最奥部にある部屋ではまさにボス戦が始まろうとしている様ですな。

大きな広間の奥でドラゴンが来訪者を待ちわびておりました。若干神殿っぽい内装をしております。

やはりダンジョンの管理をしていた主はドラゴンの様ですぞ。

戦おうとしている冒険者は……知らない奴ですな。

「あれ? 確かあの冒険者って……」

「ユータとか言う一行だな。こんな所にまで来ていたのか」

「むしろここに挑戦するためにあの町に来たのかもしれませんよ?」

「ここまで来れたと言う事はなかなかの腕前なんだね」

俺達は遠くから戦いを見守りますぞ。

ああ! コーラでしたな。

存在を完全に忘れていました。

「お前の持つ宝は俺達が頂く! その宝で――」

何やら戦闘前に喋っているようですな。

相手のドラゴンも知性があるらしく、応答していますぞ。

「ここの主が持つ宝が目当て?」

「魔法効果の強い道具とかあるんじゃないんですか?」

「ああ、伝承に存在するそうだ。このダンジョンの主が所持する道具の話を聞いた事がある」

エクレアが補足しますぞ。

ふむふむ、その宝欲しいですな。

俺が活躍して、お義父さんに献上する流れですな。

コーラよ、負けろですぞ。

「へー……まあそんなもんだよね」

で、コーラの問答に答えるようにドラゴンは咆哮を上げて、配下の魔物達と一緒にコーラ達を取り囲んで戦闘になった様ですぞ。

「ブー!」

「ブブ!」

「ブヒー!」

「行くぞ!」

とまあ、コーラは町では見なかった高そうな剣を振りまわしてドラゴンと戦闘を始めました。

「ああ、やっぱり本当の武器は別にあったんだね」

「目立ちたくないから業物の武器は隠して安物の武器で絡んで来た冒険者を返り討ちにしたと言う事じゃないんですか?」

「それで絡まれたら元も子も無い気がするがな。目立たずに居ようとすると返って面倒事に巻きこまれるんじゃ本末転倒だ」

で、まあ動きを見ていると、コーラ一行には余裕がある様に見えますな。

ドラゴンの方の強さー……場所の狭さもあって屋外での強大な竜の面倒さがありませんな。

代わりにブレス攻撃等が確実に命中出来る所ですかな?

そう思っていたのですが、コーラ達の攻撃を鱗で弾いております。

「ダンジョンを縄張りにしているドラゴンって外の山とかを住処にしているドラゴンよりも頑丈なのかな?」

「どっちかと言うと鱗は硬いと思うなの」

「個体差じゃないんですか? 部屋も広いですし、飛んで攻撃を避けるくらいはありますよ?」

「しかし……俺達は随分と偉そうに観戦しているな」

「そうだね……微笑ましいとばかりに見てちゃいけないんだろうけど……」

などと話をしながら俺達はコーラ達の戦いを見守っておりますぞ。

「く……この剣じゃ歯が立たない!」

歯が立たないでは無いですぞ。

俺から言わせてもらえば硬いうろこの部分に剣を振ってどうなるのですかな?

柔らかそうな蛇腹の部分や目、口を狙わなくてどうするのでしょう?

「イミアちゃんなら何処を狙う?」

お義父さんもその辺りを考えていたのでしょうな。

「え、えっと……目とか口、難しいならお腹……」

「正解だね」

「あ、あと、動きを抑えるために魔法で上の岩盤を脆くしてドラゴンの上に降らせます」

「そこまで考えて行動出来るなら合格だ」

「ええ、その点で言えば随分とごり押しな戦い方をしていますね。戦闘後に偉そうに出てレクチャーしますか?」

「やめとこうよ。後から来た癖に偉そうとか思われるよ」

「ミスを指摘出来ないこんな世の中じゃ……」

「樹もネタに走る様になって来たな。尚文に似てきたぞ」

「どういう意味かは後で聞こうかな」

なんて感じに俺達はコーラの戦いを傍観していたのですぞ。

「ブブブ」

「ブブブブブ!」

「ブヒー!」

と、そこでコーラの仲間らしい豚がコーラに向けて何やら言いましたぞ。

そしてコーラはドラゴンを豚共に任せて距離を取りました。

「何か決め技的な事をしようとしているみたいだね。必殺技みたいな感じでカッコ良さそう」

「エクレールさんも時々やりますよね。魔力を小剣に込めて突く奴です」

「スキルじゃなく魔法剣の剣技らしいな」

「うむ。魔力を剣に込めて威力を上げた必殺技だ」

「必殺技……良い響きだよね。俺も覚えたいな」

「勇者殿達はスキルがあるだろう」

「元康くん、最初の世界の俺は何か必殺技を持ってなかった?」

「スキル無しでお義父さんが放つエアワンウェイシールドの再現や、敵の魔法を集める技を使っていたと思いますぞ」

「あ、そうなんだ……」

俺の説明にお義父さんは若干がっかりしておりますぞ。

馬鹿に出来ない程強かったのですぞ?

反撃も出来るので、お義父さんは満足しておりました。

なのにこの差は何なのでしょう?

「どんなにがんばっても攻撃技は無いようですね。尚文さん」

「呪いの武器に手を染めるくらいしか俺には強力な攻撃手段は無いのかー……」

ああ、それがお義父さんの悩みだったのですな。

「問題ないですぞ! お義父さんは強力な援護魔法を覚えるのですからな」

「カルミラ島だっけ? 早く覚えに行った方が良いかもね」

「ですね。近日中に起こる次の波が終わったら行くのも手ですね」

「活性化はまだ先ですぞ」

メルロマルクの波が終わってまだ三週間と少しですぞ。

前兆はあるかもしれませんが時期尚早ではないですかな?

「Lv上げじゃなくて魔法習得だよ」

「あの辺りは風の動きが複雑らしくて飛行船や飛行機じゃ危ないそうですよ」

「何だかんだで浮遊する岩とかあるから飛行機も飛ばすのが大変だしね」

「ガエリオンがひとっ飛びするなの?」

「ドラゴンならいけるのかな? どっちにしても船の方が安全……なのかな?」

と、雑談をしている間にコーラが掛け声と共に両手を前に出して魔法の玉のようなモノを出現させております。

「はぁああああああああああああ!」

次の瞬間、俺達は驚きに彩られました。

「エアストスロー! セカンドスロー! ドリットスロー! トルネードスロー!」

コーラの手から三つの武器が投擲され、それが回転しながらドラゴンの周りを飛びましたぞ。

そして三つの武器が干渉し合い、竜巻を起こしてドラゴンを縛り上げました。

「ギャオオオオオオオオ!?」

「トドメだ! チャクラムシュート!」

そして動けなくなったドラゴンに向かって光り輝くチャクラムを投げつけますぞ。

完全に決め技とばかりにチャクラムはドラゴンの心臓目掛けて飛んで行き、貫通して消え去りました。

「ギャ――」

ドシンと音を立ててドラゴンは絶命した様ですな。

「ブブー!」

「ブブブブブ!」

「ブブブヒ!」

「ああ、俺達の勝ちだ! これでこのダンジョンも制覇だな」

と、勝利を喜んでおりますな。

ですが俺達はそれぞれの顔を見合っております。

主な原因は、今コーラが持っている武器ですぞ。

「エアストってスキルだよね?」

「コンボスキルも放っていますし、スローとはスローイン……投げる意味のスキルでしょう」

「だが、アイツは勇者じゃないんだろ?」

「いや、あの手元を見てよ。アレって投擲具なんじゃないかな?」

俺も見覚えがあります。

ヤンデレ豚が所持していた投擲具に間違いないと思いますぞ。

しかし、あやつは冒険者ギルドで剣を使っていたはずですぞ。

「とりあえず、アレが勇者なのなら現場を抑える為に踏み込んだ方が良さそうだ」

「そうだね。下手に抵抗されたら危ないからみんなは下がってて」

「う、うん」

モグラが代表して頷きました。

味方かどうかわかりませんからな。

それに……何か嫌な雰囲気がありますぞ。

「わかった。イワタニ殿、出来る限り刺激しない様に交渉をするのだぞ」

「任せてよ」