軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

予言の石碑

「その……」

教皇が困ったように俺達を見渡していますぞ。

少し頼り無いですな。

温室育ちっぽい感じですなー。

まあ、悪さをしたらあの世に行ってもらいますが。

「まあまあ、一応見せてもらえば良いんじゃない? もしかしたら読めるかもよ」

「勇者文字と呼ばれる勇者達の世界の言葉で書かれている物も存在する。勇者殿達の役に立つ情報があるかも知れん」

「元康、何か知らないか?」

「ここに来たのは初めてですな」

「じゃあ行ってみる価値はありそうですね」

俺達は立ち上がりますぞ。

すると教皇はこちらですと、案内を始めました。

フィロリアル様とライバル達は若干暇そうですな。

俺も暇ですぞ。

そう思いながら大きな教会内を歩いて行きます。

所々で教会関係者が興味深々とこちらを見ている時がありますな。

「城へはどのようにして来場する予定でしょうか? 何なら我が教会から大々的に凱旋する事も出来ますが」

「あんまり目立つ動きはしたくないな」

「そうですね。歓迎してくれるのは結構ですけど」

錬と樹は目立つのがあまり好きではないですからな。

俺は結構好きですぞ。

お義父さんはどうなのでしょう?

「元康くんの作戦もあるし、下手に陰謀に巻き込まれたり、顔を覚えられたら面倒そうなのは確かだから今回は……やるなら余裕が出来てからでお願い出来ませんか?」

「わかりました。ハイ。では機会があったらよろしくお願いします」

物分かりが良いですな。

基本的には四聖教は四聖勇者には逆らわない感じでしたから問題は……無いのですかな?

まあ、お義父さんの話では組織は得てして腐るそうですから、この教皇もそれなりに曲者なのは確かでしょうな。

今までの経緯からして大人しい様ですが。

「こちらです」

と、案内されたのは地下室ですぞ。

「せまいなの!」

ライバルが通路で詰まりそうですぞ。

ざまあないですな。

そこで一人で詰まっていろ、ですぞ。

「じゃあ上でガエリオンちゃんは待っててくれない?」

「いやなの! ガエリオンはなおふみと一緒にいたいなの!」

「とは言っても……なんか重要な物があるらしいからね……」

お義父さんが困って頬を掻くと助手とモグラがライバルを宥めますぞ。

「ガエリオン、我慢して。その代わりに私も一緒に待っててあげるから」

「私も……」

「うう……わかったの……ガエリオン我慢するの」

「良い子だね。じゃあウィンディアちゃん、イミアちゃん、お願いするね」

「はい」

こうしてライバル達は途中で待っている事になりましたぞ。

そうして通されたのはまるで墓地のような部屋ですぞ。

四隅には本棚があるようですが。

「四聖教にこの様な場所があるとは……」

そうエクレアが言いました。

他国とはいえ騎士でも知らない事があるのですな。

「代々教皇にのみ伝わる聖域なので。ハイ」

「む……勇者殿達はともかく、そんな神聖な場所に私などが入ってもよろしかったのか?」

「預言者様は、勇者様達が終末の波と戦う為の助けになるようにと、碑文を残したと伝わっています。そして、予言に書かれる波は実際に起こっています。これを残した預言者様の意思を汲み取り、勇者様と共にやって来られた方々には、ご覧になる権利があるかと思いますです。ハイ」

「なるほど……ならば貴重な経験をさせてもらおう」

そんな問答をしているエクレア達を余所に、部屋を眺めますぞ。

エクレアはああ言ってますが、聖域の割にはしょぼい部屋ですな。

「こちらの石碑をご確認ください」

と言われて、見ると確かに石碑が何個も並んでいますな。

ですが、所々ヒビが入っていたり、欠けています。

これでは例え文字を理解していても、読むのは難しいのではないですかな?

「かなりボロボロですな。ちゃんと管理していたのですかな?」

「元康……毎回お前はどうしてそんなに挑発的なんだ……」

錬に呆れられてしまいましたな。

言い分はわかりますが、こんな状態の物では読みたくても読めないですぞ。

「その事については謝罪しても仕切れません。古いというのも然る事ながら、何代か前の教皇が発狂し、碑文を傷付けたそうで……ハイ」

「それじゃあ読めないんじゃ……」

どこかで聞いた様な話ですな。

前にもありましたが、霊亀や鳳凰が封印されていた地の碑文などと同じ状況ですぞ。

古い物なので、しょうがないのかもしれませんがな。

「ともかく、一度目を通していただけないでしょうか? その手前に存在するそれぞれの武器の印がある所を、それぞれの勇者様に書かれた物だと言われています」

「何か罠がありそうで怖いが……」

「しょうがないですな。では俺が行きますぞ」

と、俺は槍のマークが刻まれた碑文の前に立ちますぞ。

どうやら碑文には色々と書いてあるようですな。

などと思いながら碑文を目で追おうとすると……なんですかな?

文字が泳いで読めませんぞ。

「おや?」

首を傾げていると槍の宝石が光って、碑文にある槍の刻印が光りましたな。

すると文字も光り出し、読めるようになってきました。

光の文字なので、欠けていても影響はありません。

しかも日本語ですぞ。この世界で言う勇者文字ですな。

というか、それまで書かれていた文字と、光の文字では内容が違いますぞ。

勇者にだけ伝わる様に何か細工がしてあったのですかな?

「これは……さすが勇者様方です。ハイ」

教皇が感嘆した様な声を漏らしています。

どうやら霊亀や鳳凰の時の様な失伝は無さそうですな。

なんて考えていると、何行もある光の文字は二段目を残して、消えていきますぞ。

しかし魔力痕なのか、黒い文字の痕を残しているので読む事が出来ます。

えっと……。

二段目が光っていますが一段目から読みますぞ。

「この文字が輝く者よ。汝の産まれは不幸であるだろう。汝の父は異なる世界の産まれなり、この世界で汝の産まれの謎が解ける日が来るだろう。その謎を追うには竜帝に聞くのが近道である。汝は陰謀を跳ねのける眼力は称賛に値する。その鋭い槍のような眼力で腐敗した王政の膿を出し世界を波の脅威から救い給え」

……誰の事を言っているのですかな?

俺とは全く関係の無い話ですな。

俺の両親は普通な連中ですぞ。

産まれの不幸?

まったく身に覚えがありませんな。

むしろ豚共に殺されるまでは、自分はなんて恵まれているのか、なんて考えていた位ですぞ。

今にして思えば、自分で自分を実に愚かしいと思います。

「元康の産まれって不幸なのか?」

「知りませんな」

「光っている二段目の奴が元康さんへの碑文なのでは?」

「ああ、前任者とかそんな感じなのかな?」

なるほど、まったく身に覚えが無いのは俺と無関係だからでしょうな。

考えてみれば俺達よりも前に召喚されている四聖勇者がいるのですから、そやつらの碑文かもしれません。

そういう訳で俺は二段目の光っている箇所を読み解きますぞ。

「この文字が輝く者よ。汝が異世界に来る時に願う信頼は尊きものである。だが、その信頼は信ずるに値する相手にのみ汝に幸を運ぶであろう。願わくば、信ずる相手を見間違える事の無かれ。さもなくば陰謀により、汝が更なる災いを運び、世界を救う勇者の光を摘む事になる。天からの使いを信じ、戦う限り、汝の未来が光り輝く道となろう」

と、書かれていました。

なんと……確かに俺に当てはまる部分が結構ありますな。

豚を信じて痛い目を見たとか、結構思い当たる所がありますぞ。

そして最後に少し離れた所にまだ文字が続いています。

「……汝がこの文を読む時、それは幾度も同じ時を歩んでいる時であろう。世界の救済を願うならば苦痛の選択を受け入れよ」

ここで文は途切れて、次の段落に行ってますな。

ふむ、これを書いたのは預言者とやらだそうですが、本物かもしれません。

血液占いなどよりも遥かに信用出来る記述だと思いますぞ。

「どう?」

「なんとなく当たっている様な気がしますな」