軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

未来への恐怖

「しかし……尚文はフィロリアル共の面倒を見るのが上手いな」

「元々面倒見がとても良い方なんですよ。初めて会った時からそう思いませんでしたか?」

「そうだな。調子は良いが同時に臆することなく誰とでも話せるタイプだ。あれで遊び好きなんだから自然と面倒見も良いんだろ」

そんな錬と樹の会話にエクレアが割り込みますぞ。

「確かに、勇者殿達の中では一番話しやすい相手だと私も思うぞ。次はカワスミ殿だな」

「樹は、初対面の印象は温和に見えるぞ」

「その言い方だと僕の内面はとんでもない人物に聞こえますよ?」

「これまでの経緯を見てると分かるが、正義感が強い。元康の話を聞く限りだと俺も含めて問題を起こすほどにな」

「……そうでしたね。召喚される前にあった鬱憤をこの世界で解消させようと思って居た事は否定できません」

「俺も似たようなモノだ。最強になりたいと思っていた」

はぁ……っと錬と樹は同時に溜息をしておりますな。

なんとなくトラウマになっている様に見えますぞ。

「尚文は多才な所に嫌味を感じさせないしな」

「一緒にいるからこそ、僕達が気付けたと言うのもありますものね」

「最大の短所は人の恋路に関心を持ち過ぎな所か。アレさえなければ嫌な奴だとレッテルを貼り付けられるのにな」

「短所すらも利用して人と親しくなるなんて……まさしく勇者ですか? とはいえ、他にも短所がありますが」

「なんだ?」

「男ですよ。アレだけ家庭的で男と言うのは致命的な短所では無いですか?」

「……そうだな。女だったら今頃、俺達は惚れてそうだ」

「はは……」

「ははは……」

錬と樹が何やら乾いた笑いをしておりますぞ。

「あんまり自虐はしない事を勧める。アマキ殿もカワスミ殿も良い所を沢山持っているではないか」

「世辞はやめろ」

「だが、イワタニ殿はアマキ殿は冷静な分析能力、カワスミ殿はとても強い正義感を持っていると褒めていたのだぞ。例え未来で何があろうとも、今の二方とは違うのではないか?」

「……そうだな。尚文があまりにも家庭的な、他者の面倒を見る事に特化した才能があるから後ろ向きになっていたんだな」

「ええ、僕達だって尚文さんに負けないくらいの才能が眠っているはずです。がんばって行きましょう」

なんて話している姿を盗み見ながら、俺はフィロリアル様と遊んでますぞ。

もちろん、手など抜いていません。

フィロリアル様と遊ぶのは至高の喜びですからな。

「そうそう、元康くん。もう少し、みんなが勝てそうって所まで手加減、それを悟られない様にね」

「クエエエエ!」

「ユキちゃん、本気の元康くんと相手したら絶対に勝てないから少しずつ努力をして行こうね!」

ユキちゃんはどの世界でも高貴ですな。

きっと手加減されている事に不満を持っているのでしょう。

「ところで……キタムラ殿の長所や短所の考案はしないのか?」

「「……」」

錬と樹に凝視されている様な気がしますぞ。

俺がサッと顔を向けると逸らされてしまいました。

「後先を全く考えない猪みたいな奴だな」

「ええ、どうやら信じる相手を何処までも信じて突き進む方みたいですからね」

「そう言われると主人公みたいな性格だな」

「実際、勇者ですからね。主人公みたいなモノでしょう。最初の世界の元康さんも、周りさえ良ければ良い方向に行ったと思うんですけど、どうでしょうか?」

「信じた相手があの国の王女と王じゃな……」

なんですかな?

赤豚とクズの話ですかな?

「あれですよ、裏切った仲間が実は何か理由があって、主人公はその仲間を最後まで信じるんですよ。で、最終的に強い絆で結ばれるんですよね」

「王道だな。俺もマンガで見た事がある展開だ」

「つまり信じる相手を間違うとああなってしまうんですか……」

「……そういう事になるな」

ふむ、俺の話ですか。

俺が信じているのはお義父さんとフィーロたんですぞ。

お義父さんを信じて進めば、必ず栄光が俺達を照らしてくれるでしょう。

「ある意味、尚文に面倒を見させれば問題は無いとも言える」

「ええ、尚文さんに任せるべきでしょう」

「しかし、尚文だけで抑えられる奴でも無いからな……」

「未来で何があったのかを聞きたくないが、何故あんな性格になったのか大いに興味はある」

錬と樹とエクレアの議論が白熱しております。

「元々って訳じゃあ無いらしいしな」

「資質はあったのでは無いですか?」

「ふむ、何処までも自分を信じてくれる男性か……女の目で見たら良い男かもしれんな」

「逆を言えば女にとって都合の良い男という事ですよね。周りが悪かった所為で歪んでしまったのでしょう」

「聞く限りじゃ、あの……人を罠にかけて笑う王女とずいぶん一緒に行動していたらしいしな」

「自慢げに裏切られて絶望している時に尚文さんが育てたフィロリアルに慰められたと言っていたので、そこでネジが飛んだのでしょう」

「キタムラ殿は元々恋多き男の様だし、追う恋はと言うのではないか? 私も物語でしか知らんが」

おお、エクレアは良い事を言いますな。

追う恋……俺はフィーロたんを追いかけているのですぞ。

その道に後退などありません。

槍の様に真っ直ぐ突き進むだけですぞ。

「それにしたって、アレはどうなのでしょう」

「俺達の武器には呪われた武器があって、人格に影響を及ぼすものがあるらしいからな……相性が良くて定着したとか思うしかないだろ」

「キタムラ殿の話す、最初の世界と言う所ではイワタニ殿は元より、アマキ殿やカワスミ殿も人格に障害を抱えていそうだな」

「「はぁ……」」

その間に俺達は、様々な遊びをしている最中ですぞ。

お義父さんがサクラちゃんにお手を教えておりますぞ。

サクラちゃんは犬ですかな?

そういえばフィーロたんもお義父さんに『ハウス!』と言われて家に帰って行くのを見た覚えがありますぞ。

他の魔物達には『アタック!』『下がれ!』『ダブル!』等、掛け声に合わせて陣形を取る様な指示をしていた覚えがあります。

まあフィロリアル様には滅多にさせておりませんでしたが。

「よーし! じゃあ元康くんの頭に付けた棒を、みんなで取ってみよー!」

お義父さんが新しい遊びを閃きました。

これなら皆で遊べますな。

俺はユキちゃん達から必死に逃げますぞ。

「さあ! 狩りの時間だ!」

「「「クエ!」」」

おお……ユキちゃん達に追われるなんて……ここは天国ですかな?

一秒でも長くこの時間を楽しみますぞー!

「ほらほら、ここまで来るのですぞ」

「ユキちゃんは直進、コウとサクラちゃんは回り込んで!」

アハハ、ウフフと俺達の追いかけっこは続いたのですぞ。

なんて楽しげな時間が過ぎ去って、大分夜も更けてきましたぞ。

「おーい。尚文ー、何時まで遊んでるんだー?」

錬がお義父さんに向かって大きな声で呼びかけますぞ。

「ああ、そうだったね。じゃあそろそろ帰るかな?」

「クエ!」

ユキちゃん達は満足したように鳴いておりますぞ。

「俺は遊び足りないですな」

「元康くんはもう少し、幼心を抑えようね。と言うか君が駄々をこねてどうするの」

「と言うか……いい加減、人化すると言うのを見せて貰いたかったのですけどね」

「元康だからしょうがない。元康の目には人化して見えたのだろうさ」

等と失礼な事を錬は言いましたぞ。

違いますぞ!

フィロリアル様は天使なのですぞ!

「ユキちゃん、コウ、サクラちゃん。良ければそろそろ天使の姿になって欲しいですぞ」

「「「クエ?」」」

俺が手を合わせて祈ると、ユキちゃん達は応じるように頷いて羽毛を逆立たせて、天使の姿に変身を始めましたぞ。

「うわ」

「少しまぶしい」

淡く輝いてユキちゃん達は姿を変えました。

「元康様ー」

「お遊び楽しかったー」

ユキちゃんとコウが元気良く手を上げて喋り始めましたぞ。

なんとも微笑ましい姿ですな。

さて、後はサクラちゃんですな。

そう思ってお義父さんの近くに居たサクラちゃんに目を向けると。

「ナオフミー」

おっとりした口調で……前々回と同じ背格好のサクラちゃんがお義父さんに飛びかかっておりましたぞ。

「うわ!」

そう……何故か幼い外見のサクラちゃんがそこにおりました。