軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ドラゴンの眷属

それからお義父さんは東の村の代表らしき人にドラゴンの死骸を早めに処理しないと大変な事になるかもしれないと注意していました。

しかし、反応は鈍い様でしたな。

やがて足早に出発したのですが……フィロリアル様達はガエリオンを馬車に乗せる事を嫌がり、ガエリオンも馬車に乗るのを拒んだので、ガエリオン自体は歩いてついてくる事になりましたぞ。

「ウィンディアちゃんは兄ちゃんの奴隷にしないのかー?」

「本人の自由意志もあるからねー……強くなるにはなった方が良いけど、どうしたい?」

「……」

助手はだんまりしていますな。

一応は迷った様な顔をしていますが、どうしたものでしょう。

「というかウィンディアちゃんに聞きたい事があるんだけど」

「何?」

「これから俺達はウィンディアちゃんやガエリオンちゃんを強くさせるために魔物と戦ったりする訳だけど、魔物を傷つけるのが嫌とか……言われたら困るんだけど」

「なんで私がそういう事を言う必要があるの?」

「え? でも君はドラゴンに育てられたんでしょ?」

「魔物は弱肉強食、お父さんも言ってた。生きるため、強くなるためには必要な事だって」

「ああ……そういう認識な訳ね。なら安心かな。最悪奴隷にならなくても……方法はいくらでもあるし」

「兄ちゃん優しいから奴隷になった方が安心だぜ?」

「んー……」

「キールくんとは事情が違うしね……そもそもキールくんも奴隷じゃなくても良いんだよ?」

「大丈夫だぜ! むしろ今はこれがあるお陰で兄ちゃんに守ってもらえていると思えるんだ!」

キールが自慢げに奴隷紋を見せますぞ。

「誇りにしてくれるのは嬉しいけど」

「そっかー?」

「そう。まあ、潜在能力を引き上げるとか色々と出来る事も多いし……奴隷にならなくても大丈夫だよ。仮面奴隷で加護だけ掛けるのも、何時だってできるし」

「はい」

「じゃあウィンディアちゃんは奴隷にならずにいて……それに、君のお父さんを殺した勇者の知り合いの奴隷なんてイヤでしょ」

「……」

助手は黙りこんで俯きました。

復讐心はまだあるようですな。

この場合、おかしな事を仕出かしたりしないようにむしろ奴隷紋は必要なのではないですかな?

とは思うのですが、お義父さんの事ですからきっと考えがあるのだとこの元康は思って黙っておりますぞ。

「……まあ」

お義父さんは続く言葉を遮りました。

復讐する相手が俺達には都合が悪すぎますからな。

阻止するのを前提にはしますが、助手の暴走を管理した方が良いでしょうな。

「ガウ!」

「ガエリオンちゃんは……君が魔物紋で縛ると良いね。ちゃんと……一人と一匹で強くなるんだよ」

「ガウ! ガウガウ!」

「え? 盾の勇者の魔物にもなる……の?」

「ガウ!」

助手が連れている魔物が鳴いて、助手がお義父さんに言いましたぞ。

「え? ウィンディアちゃんが君の主だって登録した方が良いんじゃ……?」

お義父さんが再度尋ねると、魔物はまたも鳴きました。

「強くなりたいって……あと、盾の勇者が私を助けてくれたからその分に応えたいって……」

「ガウ!」

飛び跳ねながら魔物は自己主張しております。

その様子を、サクラちゃんが面白くない様に見て、お義父さんの腕にこれ見よがしに、自分の腕をからませますぞ。

「サクラちゃん?」

「ナオフミは渡さない」

「ガウゥウウ!」

何やらバチバチと視線がぶつかり合っているような気がしますな。

お義父さんと助手はその様子を困惑して見ております。

「と、とにかく……じゃあガエリオンちゃんの主登録は俺とウィンディアちゃんとでやろうか。良いね?」

「う、うん」

困ったように助手は頷き、サクラちゃんと魔物の睨み合いは続きましたぞ。

それから怠け豚の領地で栽培した食料は問題なく処分が終わりました。

ですから再度、積載するために怠け豚の親の領地へと戻りますぞ。

「ブー……」

怠け豚のコネで魔物の登録が出来る商人を呼び、助手の魔物は正式に人が使役する魔物へと登録が終わりました。

「さてと……とりあえず、当面はウィンディアちゃんとガエリオンちゃんのLv上げをしようか。あんまりラーサさんにも会って無いし」

そうお義父さんが呟いた瞬間。

「……ドラゴンの眷属を育てるのはイヤー」

「イヤですわ」

「イヤー」

「ピヨ!」

「俺もドラゴンは嫌ですぞ」

フィロリアル様達と俺は拒みました。

当然ながら総スカンですな。

お義父さんは疲れた様な表情を浮かべました。

「はぁ……仲が悪いのは知っていたけど……」

「兄ちゃん! 俺はやるぜ!」

「うん、キールくんには協力してもらおうかな。ルナちゃんは……お留守番する?」

「ピヨー……」

「ブー……」

「エレナさんは違うでしょ。露骨に面倒そうにしないでよ……」

ボリボリとお義父さんは困ったように頭を掻きました。

助手のLv上げは百歩譲ってやっても良いですが、ドラゴンの眷属のLv上げなど死んでも御免ですぞ。

「とりあえず、今回はサクラちゃんが留守番で、シルトヴェルトへ秘密のLv上げに行くか」

「え? 留守番になるの?」

「嫌なんでしょ?」

サクラちゃんがとても困ったような表情でポツリと呟き、お義父さんが答えました。

「じゃあ……嫌だけど我慢する」

「ピヨー……」

「ガウ! ガウガウ!」

「むー!」

再度サクラちゃんと魔物の睨みあいが始まりましたぞ。

助手はその様子を見て首を傾げております。

「シルトヴェルト?」

「ああ、このメルロマルクからは離れた国の名前だよ。ウィンディアちゃんは知らないのかな?」

「お父さんが教えてくれる事くらいしか……人の世の中は知らない」

「そっかー……ウィンディアちゃんはドラゴンに育てられたから魔物の価値基準しか知らないんだね」

「……うん」

「少しずつ、人の世の中を学んで行こ?」

「……」

返事をしない助手にお義父さんは教えるように軽く肩に手を置きます。

「魔物の世界の事だけを考えるのは簡単だし、楽かもしれない。だけど……君はこれから人の世の中を経験して行く事になるんだ。無知は死を招く。経験が浅い魔物はあっという間に外敵に殺されるでしょ?」

「うん。お父さんも言ってたから知ってる」

「これから学んでいく事は人の世……それは魔物の世界とは違う常識で動いていると思う。だけど、弱みを見せたり、知らない事で命の危険を招くのは同じなんだ。俺はこれから、君に色々と、人の世でも生きていけるように教えて行きたいんだよ」

「ガウ!」

魔物が助手に鳴きました。

すると助手も納得したように頷きます。

「うん、わかった。やられない様に勉強する」

「良い返事だね。人の世の常識を学べば、負けない様になれるかもしれない。知恵を絞って強い相手を倒せるかもしれない。卑怯な事をする人達から大切な者を守れるようになるかもしれない。頑張って」

「それで、どうやってシルトヴェルトに行くの?」

「えっと、それはー……ユキちゃん。馬車を引くのを一旦止めて」

「わかりましたわ」

馬車が止まりましたぞ。

「ユキちゃん達はガエリオンちゃんが馬車に乗るのを嫌がるからせめて引いてない馬車にガエリオンちゃんを乗せて」

「ん」

助手が手招きすると魔物は馬車の方へピョンと入り込みましたぞ。

なんですかな? 馬車が臭くなりますぞ。

「シルトヴェルトに飛ぶけど、元康くんはどうする?」

既にお義父さんはポータルを所持しております。

毎度おなじみの手段ですな。

「俺も行く必要があるのですかな?」

既にお義父さんは十分に強いですから、各自自由行動でも良いと思いますぞ。

お義父さんに頼まれたアクセサリー作りをしなくてはいけませんからな。

「行く事は出来るけど、帰りは元康くんの隠蔽が無いと飛んで色々としている事がばれちゃうから……どっちにしても待ち合わせとかしないと行けなくなるよ?」

「問題無いですな。決められた時間に迎えに行きますぞ。今日はこれからアクセサリー作りの為に鉱山の方へ行こうと思っておりましたからな」

「そう? じゃあ夕方になったら迎えに来てね」

「わかりましたぞ」

「じゃ、行ってくるね。ポータルシールド!」

お義父さんとサクラちゃん、キールにルナちゃん、助手と魔物がフッと消えましたぞ。

「ではお義父さんの留守を守って出発ですぞ」

「はいですわ」

ユキちゃんが馬車を引くのを再開しましたぞ。

「ブー……」

怠け豚はこの揺れの中でも平然と寝息を立て始めました。

何処までやる気が無いのですかな?

「キタムラーアクセサリーって、どうするのー?」

「まずは怠け豚の親からもらった紹介状で鉱山に行くのですぞ。ユキちゃん」

俺は馬車から顔を出してユキちゃんに地図を見せますぞ。

道は知らない訳ではないですがユキちゃんにも教えておく事に越した事はありませんな。

「では出発ですぞ」

「行きますわー!」

ユキちゃんは強く馬車を引いて爆走を開始しましたぞ。