軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

帳簿

「さて、フィロリアル様達はある程度は変化出来たと思いますぞ」

サクラちゃんにユキちゃん、コウ、ルナちゃん。

四匹ものフィロリアル様がいるならば、どんなに重い荷物も軽々と運んでいけますぞ。

「うん……だからピヨピヨでキールくんと一緒にいる。そうすると楽しい」

「そ、そっか。がんばってね」

お義父さんがそう言うとルナちゃんはキールをギュッと優しく抱きしめました。

ルナちゃんはキールがお気に入りの様ですな。

「すげーやわらかくて気持ちいけど……あっちぃ……」

キールがまさしく犬のようにハッハと舌を出して呼吸していますな。

フィロリアル様の温かさを嫌がるとは、理解できませんな。

「あんまり長い事抱きしめない様にね。サクラちゃんもそうだけどみんな体温高くて俺やキールくんじゃ安眠できないから」

「うん……じゃあキールくんが寝たらルナがキールくんに包んでもらう」

「包んでもらうって何をする気だ!」

「……」

ルナちゃんが光ってどんどん縮んで行き、キールの手に乗っかりましたぞ。

その姿はフィロリアル様の雛ですな。

「ピヨ」

「あ……うん、わかった。それなら一緒に寝れるよな」

「ピヨピヨ」

「ルナちゃん? なんで話さないんだ?」

ルナちゃんがピヨピヨとキールの手の上で鳴いております。

「キール、この姿だと喋れないよ?」

サクラちゃんがキールの問いに答えましたぞ。

「この姿だと喋れないんだ?」

「へー……そうだったんだ?」

「そうだよ。ナオフミ、知らなかったんだ?」

「サクラちゃん達はここまで小さく変身しないじゃないか」

「んー? そうだね」

サクラちゃんは首を傾げてから答えましたぞ。

のどかな様子ですな。

こうして夜は更けて行ったのですぞ。

そんなこんなでお義父さんはフィロリアル様達にバイオプラント産の食糧を載せた馬車を引かせてメルロマルク中を進んで行きました。

道中、薬売りの面でも病に苦しむ老婆を治療したりなど、手広くメルロマルク中の人々の食料事情を解決して行っている状態です。

何度か往復していても解決しない南西の村には贈与用の種を渡しておりました。

Lvも大分上昇しているので、シルトヴェルトの方での狩りは行っておりませんな。

まあ、そろそろお義父さんもポータルスキルを習得しているので、俺が送り届ける必要も大分無くなりましたがな。

ただ、お義父さんの話では行商をしておいた方が良いだろうとの事で、行商に専念する事になりましたぞ。

ですが、さすがはお義父さん。

暇なときは魔法や文字の勉強をなさっていますぞ。

今ではファストクラスの魔法を習得しておりますな。

これが波が終わってから一週間と少し程した頃でした。

そして現在、移動中の馬車の中での事。

「うーん……」

お義父さんが帳簿とにらめっこをしながら呻いております。

「どうしたんですかな?」

「ああ、あのね。最近の行商の売り上げなんだけどさ」

お義父さんが何やら見せてくださいます。

これは……その日の売り上げ表ですかな?

昨日は伸びが良いですが、一昨日はそれなりですな。

もちろん、お義父さんが目標にしていたラインはどちらも満たしております。

「これがなんなのですかな?」

「うん、これはね、キールくんとエレナさんが交互に売り子をしている時の総売り上げなんだ。と言うよりも担当かな? 片方は補佐をしてもらっている訳だしね」

「ほう……では売れていない方が怠け豚ですな」

と、俺が言うとお義父さんは困ったように頬を掻きますぞ。

「残念だけど……逆なんだ。エレナさんが売り子をしている時の方が収益は良いんだよね」

なんと!

あの怠け豚の何処にそんな売り上げに貢献する様な要素があるのですかな?

いつも寝てばかりではないですか。

アイツが横になっていない所を見る方が珍しいですぞ。

「どういう事ですかな?」

「うーん……これはメルロマルクって国の事情も関わっているのかもね。何だかんだでキールくんは亜人だから、差別する人は買ってくれないとか……」

なるほど。

穢れた亜人の触った薬や食料など、口にしたらどうなるかわかったものじゃない。

みたいな感じですな。

この国の連中が思い付きそうな事ですぞ。

「そうとしか思えませんな」

「とは思うのだけど……エレナさん、接客時は普段のやる気が無いのを隠して、営業スマイルで話をするから愛想は良いんだ」

俺を騙し続けていたのですから、わからなくもありませんな。

ですが……うーん、納得し難いですぞ。

「ブー……」

怠け豚は相変わらず寝ておりますぞ。

この豚が何故ですかな?

「色々と相手の値切りを掻い潜るのも上手だし、いつの間にか値上げして相手に売りつけるのも弁えてる。キールくんは何だかんだでお得意様が買って行ってくれるけど、その場限りの取引の場合はエレナさんの方が上手だね」

ふむ……すぐにお払い箱になるかと思っていましたが、怠け豚も程々に役に立つようですな。

精々お義父さんのお役に立てる様、奉公すると良いですぞ。

「まあ、最近だとキールくんの相棒としてルナちゃんが愛想を振りまいているから、人気も増してきてるけどね」

俺達が乗るのとは別の馬車を引くルナちゃんの馬車でキールはルナちゃんの背に乗って雑談をしている様ですぞ。

微笑ましい光景ですな。

「ナオフミー次は何処へ行くのー?」

「エレナさんの領地で食料を積み終わったら次は国の東の方へ行こうか」

「わかったー」

こういった具合に馬車は進んで行きましたぞ。

最近ではユキちゃんとコウ、ルナちゃんが加わったお陰で運べる量が増えておりますからな。

馬車に満載した食料を売りさばくのでもかなり日数が掛っております。

怠け豚の領地でも販売を始めたようで、中々盛況な様ですぞ。

神鳥の聖人が配る食料というのは怠け豚も譲らない一線だったようで、お義父さんと共に怠け豚の母親を説得しておりました。

「そういえば……」

お義父さんは他に何か、販売する事をしていたとフィーロたんが言っていたような覚えがあるのですが、思い出せませんな。

「どうしたの?」

行きがけに商人を載せようと言う話が来た時、怠け豚が断りを入れていた様でしたぞ。

……なんでしたかな?

お義父さんもその相手とは軽く話をしただけで断っておられました。

「何か未来のお義父さんは他にも売っていたと聞いた覚えがあるのですぞ」

「へー……何だろうね?」

「ブー……」

「料理って……流れの料理人じゃないんだから、そこまではしないでしょ」

キール達のはしゃぐ声が近づいてきますぞ。

「兄ちゃん! クレープはいつ作ってくれるんだー?」

「……」

お義父さんが怠け豚に向けていた視線を外しましたぞ。

ありえなくは無いと思ってしまったのですな。

ですがこの元康、お義父さんが料理の販売をしても売れると確信していますぞ。

「うーん……なんだろう。元康くんの話じゃ他に出てくる物が浮かんでこないんだけど……」

「そうですな」

俺も何だかんだで未来ではお義父さんの命ずるままに動いていただけなので知らないのですぞ。

ただ、お義父さんの部屋に遊びに行った時、部屋の隅にあった機材を思い出せば何か導ける物があるかもしれないですぞ。

「エレナさん、何か……俺がフィロリアルと奴隷一人ずつで行商して居たら閃きそうなのある?」

「ブー……」

怠け豚がハンモックで揺れながら鳴きましたぞ。

「え? この前、馬車に乗ろうとした相手はアクセサリーで有名な商人なの?」

「ブー」

「となると……その人から何か教わったのかな?」

「ブー」

「守銭奴だから気に入られるのは難しいんだ? でも未来の俺はこの国に居るだけで商売を成功させたし……ありえなくないかもね」

ふむふむ、そう言えばフィーロたんが宝物にしていた物にシャレたヘアピンがありましたぞ。

アレはお義父さんが自作したのでしょうか?

思い出せばキールも何か腰にボーンアクセサリーを着けていたような覚えがありますな。

「アクセサリーってどうやって作るんだろ? 機材とかはわかるけど、鉱山とか……」

「シルトヴェルトに行った時にでも頼めば良いのではないですかな?」

「それだと出土不明のアクセサリーを所持してる事になるでしょうが」

難しい塩梅ですな。

次の波までの辛抱ですが、歯痒いですぞ。

「ブー?」

「エレナさんのお母さんにかけ合って見る? そうだね。それが良いかもね」

「決まりましたな」

「とは言っても、色々と忙しいから期待しないでね。というか、こういうセンスが物を言うものは元康くん向きな気がするんだけど」

「ははは、お義父さんの命ならばこの元康、全力で取り組んで見せますぞ」

「それが良いかもね……元康くん、馬車に乗ってる時は暇そうにユキちゃん達と戯れてるだけだし」

お義父さんが半眼で俺を見ていましたぞ。

これは心外ですな。

お義父さんの命ならば、俺はなんだって致しましょう。

「じゃあ、元康くんには服とアクセサリー作りをお願いしようね」

「わっかりましたぞー!」

こうして、俺は馬車での作業としてアクセサリー作りをする事になりましたぞ。

そうそう、これだけの人数で運んでいると時々、盗賊が襲ってきますがお義父さんが出る前にユキちゃん達が倒してしまいました。

なので、盗賊が出たと言われてもお義父さんは流星盾を唱えるだけで出ませんぞ。

盗賊は資源ですからな。

回収は俺が行っています。

その後はリリースですが。

最近ではだいぶ大人しくなっております。

三勇教徒が偽装した盗賊も行商再開時に出てきましたが、こちらは即座に仕留めてやりましたぞ。