軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

種回収

「うーん……まさかこんな事になるなんて……」

パンダ獣人に注意されてお義父さんが呻いています。

「元康くん、どうする?」

「わかってますぞ。丁度伐採の時期ですな。この程度、この元康が片付けて見せますぞ」

やはりメルロマルクで植えなくて正解でしたな。

シルトヴェルトの荒野に植えてこれなのですからな。

もちろん、危険かもしれないと紹介状を持ちながら俺が注意していたので、この地域は国が侵入禁止にした区域として指定されております。

国の指示を無視して近づいたのなら自業自得ですぞ。

定期的に俺は確認しております。変異してから、まだそんなに時間が経過していないので、範囲はまだ狭いですぞ。

現にまだバイオプラント本体が森の端から見えますぞ。

「では行きますぞ、ユキちゃん!」

「わかりましたわ」

俺はメキメキとマメの木の様に伸び始めているバイオプラントへユキちゃんの背に乗って近づきますぞ。

他にプラントリウェという魔物もおりますが、無視ですな。

まずは本体を潰すのが先決ですぞ。

するとバイオプラントが歯を生やした花のような部分をこちらに向けて噛み付こうとしてきました。

「甘いですわ!」

ユキちゃんはバイオプラントが放つ蔓の攻撃を俺を乗せたままバク転して避け、先を蹴り飛ばしながら、蔓に乗っかって、滑るように近づきますぞ。

「グングニル!」

バイオプラントの花の部分に向けて俺は槍のスキルを放ちましたぞ。

葉を破る様な音を立てて、バイオプラントの花の部分はけし飛びましたが、特に問題も無く動いています。

面倒ですな。

どうやら何処かに本体に該当する部分があるのですぞ。

もしも、このような暴走を未来のお義父さんが遭遇していたのでしたらどうやって退治したでしょう?

簡単に屠る事は可能ですな。

この辺りを魔法で焼き払えばどうとでもなりますぞ。

ですが、それではバイオプラントの種などは回収不可能になる可能性は高く、しかも再度発芽するかもしれません。

……そういえば最近、お義父さんが除草剤とか言っていた覚えがありますな。

現にお義父さんが後方で除草剤と言ってますぞ。

なるほど、確かにこの魔物は植物ですから除草剤は効果的でしょう。

この土地にも良いでしょうな。

「すげー……あたいだって負けられるか!」

パンダ獣人が何やら張り合っているようですな。

腕を交差させて意識を集中させていますぞ。

『力の根源足る。あたいが命じる。理を今一度読み解き、大いなる植物よ。愚かなる者を貫け!』

「ツヴァイト・バンブースパイク!」

パンダ獣人が地面に拳をぶつけると地面から竹が出現して辺りの魔物を串刺しにしましたぞ。

「おお! やっぱカッコいい姉ちゃんすげー! 俺もやるぞー!」

「キールくん待った! むやみに突っ込んだら危ないから離れちゃダメだよ」

「……サクラも頑張る」

サクラちゃんが脇差にしていた剣を抜いて駆け出してきましたぞ。

まるで舞う様に、近寄る魔物を切り飛ばすその姿はまるで竜巻の様ですな。

ですが、その速度は中々素早いようですな。

最低限の動きでお義父さんの所へ戻ってきましたぞ。

守る為に剣を振るっております。

さて、バイオプラントがどのあたりまで根を張っているのか分かりましたから、やる事は少なくなりますぞ。

除草剤で仕留めるか、火の魔法で焼き払うか。

「キールくん、サクラちゃんと一緒に除草剤をあの本体に向かって撒いて来て」

「わかったぜ兄ちゃん!」

サクラちゃんに乗ったキールがお義父さんが手渡した除草剤を撒きましたぞ。

俺も負けじと除草剤を槍から出して散布してみますぞ。

「――――!?」

バイオプラントにダメージが入った様ですな。

悲鳴のような叫びが聞こえてきますぞ。

ですが、それだけに留まり、一部は枯れましたがメキメキと残った部分が再生しましたぞ。

「うーん……変異性が高くて除草剤じゃ倒せないタイプになった……のかな?」

「どうすんだコレ!」

パンダ獣人が部下を守るように前に立って、伸びてくる植物をツメで屠りましたぞ。

おお、中々強靭な腕を持っていますな。

「元康くん! 多分、本体はまだ根じゃないかと思うんだ。ここは元が荒野だったんなら……地中深くに本体があると思う。お願い出来る?」

「わかりましたぞ」

ゲームでは得られない敵の情報、お義父さんの推理、おそらく正解ですぞ。

「エイミングランサー!」

複数指定で、辺りの根目掛けてエイミングランサーを放ちます。

ドスドスと地面が盛り上がり、バイオプラントの根が千切れ飛びます。

本体が何処にあるかを見極める必要がありますな。

千切れた根の部分の先の動きが止まりましたぞ。

その内側の地中深くにあると見て良いですな。

「やる事は一つですな」

地中に向けて俺は槍を突き刺して、スキルを放ちますぞ。

「アースイグニッション!」

ボスンと地面が大きく盛り上がってから噴火するように地中にあった物を吐きだしますぞ。

その中に芋の様な根が張り巡らされた……バイオプラントの本体と思わしき物が露出しました。

「ブリューナクⅩ!」

すかさず俺は、芋に向けてブリューナクを放って、消し飛ばします。

すると、見る見る内にバイオプラントは枯れ果てましたぞ。

そして消し飛ばしたバイオプラントの根の部分から光る種が辺りに降り注ぎました。

これは……どうやら一つの種が複数に増えてしまった様ですぞ。

「急いで回収して! 芽が出たら大変だ!」

沢山のこぶし大の種を集めて俺達は一息付きますぞ。

シルトヴェルトの国の管理者も遠目からこちらを監視しているようですな。

表立ってお義父さんは城に行く事は出来ないですが、こうして国内で活動しているのを目撃されたご様子。

とはいえ、お義父さん自身は目立つ活躍をしていないので、疑いの域を出ていませんが。

「まったく……なんだってんだい」

パンダ獣人が集め終わった種を握りながら呟きますぞ。

「あー……まあ、こっちにも色々と仕事がね」

「変わった仕事をしてる連中なんだね。あんたらは」

「そう……なるね。あんまり気にしないで欲しいかな。今の所は」

「あたいに似合わない格好をさせてそれかい? まったく……盾の勇者はメルロマルクにいるらしいし……あんたらは何者なんだろうね?」

「う……」

「前回も妙にタフな奴だとは思ったけど」

それとなくパンダ獣人は事情を察しているのではないですかな?

一緒に狩りに行けばお義父さんの硬さから嫌でも理解できるでしょうな。

「兄ちゃんはな! 盾の――」

「キールくんストップ」

お義父さんがキールの口を塞ぎましたぞ。

「ま、あたいも傭兵だ。危険に意味も無く顔を突っ込むような真似はする気は無いよ。変わった経験は出来たけどね」

コクコクとパンダ獣人の部下が頷きますぞ。

錬の仲間の様な地味さですな。

「とりあえずはー……」

お義父さんが盾にバイオプラントの種を入れましたぞ。

他にも色々と素材を収拾いたします。

「植物改造? ……ふむふむ」

お義父さんは盾を変えて技能を作動させましたぞ。

俺も槍に種を入れて確認致しました。

おお! 確かに植物を改造する技能が出ました。

おそらくお義父さんはこれでバイオプラントを改良して行ったのでしょうな。

プラントリウェ等の植物型の魔物から出た槍も技能を拡張する効果がありそうですぞ。

ま、こういう細かい作業はお義父さんに任せましょう。

バイオプラントの種は魔物の扱いでもあるので、ドロップを確認しましたぞ。

するとバイオプラントの種が出ました。

……取り出す事が出来るのですが、意味をあまり感じませんな。

「で? これからどうするんだい?」

「こっちの用事は終わったから、ラーサさん達と魔物退治でもして小銭を稼ぎに行こうか。それとも何処かの店にでも行く?」

「そうだねぇ……」

「可愛い洋服屋があるなら付き合うよ。色々と手伝ってもらってるし」

「あたいをからかうんじゃないよ!」

パンダ獣人はお義父さんとずいぶん打ち解けて来ているようですな。

「じゃあ元康くん。俺はラーサさんたちと一緒に出かけてくるね」

「わかりましたぞ。では時間になったらまた合流ですな」

「うん。じゃあ行こう!」

パンダ獣人の腕を掴んでお義父さんはサクラちゃん、キールと共に出かけて行きましたぞ。

ユキちゃんと俺が残された元荒野で、管理人のシルトヴェルトの者に事情を説明しましたぞ。

とりあえずは、植物改造の技能を習得して、俺なりに色々とバイオプラントで何かを作れないか模索してみるか考えましたが、かなり面倒そうでしたし、フィロリアル様を再現するなどが出来そうに無かったので放置しましょう。

という所で懐に入れていた卵が孵りましたぞ。

「ピイ!」

紺色のフィロリアル様でしたぞ!

性別はー……雌ですな。

フィーロたんではありませんでした。

この子の名前は何に致しましょうか。

「ピイ!」

元気でよろしいですぞ。

うーん、そうですな。

お義父さんに後で決めてもらいましょう。

「では、ユキちゃん。この子の餌とLv上げを致しますぞ」

「わかりましたわ!」

「では、近所の峠を走りますぞ!」

「はいですわ!」

ユキちゃんは走るのが好きですな。

その日も日が落ちる寸前までLv上げに勤しみましたぞ。