軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

さて、ユキちゃん達が変身を終えたので、俺は宿の店主に追加で金を払って部屋にユキちゃん達を連れていきますぞ。

少々お金が掛かりますが、ユキちゃん達を馬小屋で寝かせるのは忍びないですからな。

「わかっておりますな?」

「当り前ですわ」

「うん!」

寝たふりをして、同じようにポータルを発動させるのですぞ。

ユキちゃん達には何度かしているので既に理解していますな。

それから俺達はベッドに入ってもぞもぞと寝たふりをしたのですぞ。

少しして、ベッドから出ますな。

「くー……」

「まったく、コウったら……ほら、起きなさい」

ユキちゃんが呆れるようにコウを揺すって起こしますぞ。

ベッドに寝ているように見せかける細工を施してから、俺はポータルを使ってシルトヴェルトに飛びましたぞ。

視界が一瞬で、シルトヴェルトの城下町に変わりますぞ。

シルトヴェルトは亜人の国、そして亜人は夜行性の者も少なくは無いのです。

ですので、メルロマルクの様に夜は閉まっている店と言うのは、思いのほか少ないのですぞ。

もちろん、昼間しかやっていない店もあるでしょうが、メルロマルクに比べて少ないですな。

俺はシルトヴェルトで服を扱っている店を探し、魔力を糸に変える機材のある店に入りましたぞ。

「この子達の魔力を糸に変えてほしいのですぞ」

「は、はぁ……」

「よろしくお願いしますわ」

「よろー!」

人間の俺がユキちゃん達を連れてきたのを見て怪訝な目をする亜人でしたが、元気そうなユキちゃん達を見て答えてくれましたぞ。

ボフンとフィロリアル様の姿に変わった時、店員は多少、驚いているようでしたが問題ないですな。

やはり本場だけあって魔力の糸化は安めに済みましたぞ。

後はこれを生地にするだけですな。

お義父さんではありませんが、買い取り商人を見つけて路銀の調達をしておきましょう。

……考えてみれば、シルトヴェルトの冒険者ギルドで普通の冒険者の振りをすれば金の調達は出来るのではありませんかな?

そうですな。ついでにやっておくのも悪くはありません。

ですが、今回はユキちゃん達の服の調達が先決。

糸を手に入れたと同時に生地にする機材に通して貰いますぞ。

そんなに時間は掛りませんが、生地から服にするので朝になってしまうでしょうなー……。

まあ、時間は十分にあるのです。

行商中に考えている作戦もありますので、その時にでもやりますかな。

生地を入手した足で俺たちはメルロマルクの村の宿に戻りましたぞ。

「ふわぁ……コウ眠いー」

「ゆっくり寝ていて良いですぞ」

「元康様は眠らないのですか? ふぁあ……」

「寝ますぞ。ですが、その前にユキちゃん達の服を仮止めの段階まで作っておきたいのですぞ」

「じゃあ見てて良いですか?」

「良いですぞ」

俺がチクチクとユキちゃん達の服を縫っていると、ユキちゃんとコウはベッドで静かに寝息を立て始めましたぞ。

「んー……」

連日の狩りで少し疲れましたな。

服の裁縫は慣れた作業ではありますが、程々に切り上げて寝ますかな。

寝ているユキちゃん達に、仮止めで作った服を合わせて見せますぞ。

うん。ユキちゃん達にピッタリですな。

この元康、フィロリアル様のサイズは一目で当てられますぞ。

等と思いつつ、ユキちゃん達と同じベッドで眠りました。

その日の夢はフィーロたんに再会する楽しい夢でしたぞ。

お義父さんも優しげに俺に微笑んでおります。

フィーロたんとお義父さんの為なら火の中水の中、何処へだって馳せ参じますぞ。

若干現実との違和感を覚えましたが、とても楽しい夢でした。

翌日。

今日はお義父さんと出会う予定はありませんぞ。

ですが良く考えたらサクラちゃんが天使になる時ですな……。

大丈夫ですかな?

まあ、お義父さん達の事ですから問題は無いと思いますぞ。

「元康様、本日はどうしましょうか?」

夜に狩りを行ってますが、こう……搦め手な動きに若干ストレスがありますな。

強引にこちらの勢力が強いと露見する様な事を見せられないのが原因ですぞ。

いい加減、クズと赤豚、そして教皇をぶち殺してやりたくなりますな。

あの燻製の様に暗殺するのも良い手段なのですが、そうすると色々な点で最初の世界と差が出てしまうのです。

……このストレスをどうしてくれましょうか。

「峠をしますぞ」

「キタムラーとうげって何?」

「山道の下りの事ですか?」

コウが首を傾げています。

それはユキちゃんも同様ですな。

意味的にはユキちゃんの言葉が正しいですな。

ですが、俺の言う峠とは別の意味ですぞ。

「峠というのはフィロリアル様達が山道でレースをする事ですぞ」

「わぁ……思いっきり走って良いの!?」

「もちろんですぞ」

コウが目を輝かせますぞ。

ユキちゃんは品を重視してはしたないと言うかのような態度を見せつつ、そわそわしております。

フィロリアル様は総じて走るのが好きですからな。

とても良いストレス解消になるのです。

何より運動をする事で健康な身体を維持できるのですぞ。

尚、俺の場合はフィロリアル様の背中で峠をするだけでストレスが吹き飛びます。

「運が良ければ山賊とかに会えるかもしれませんぞ。返り討ちにしてアジトで馬車でも手に入れれば一石二鳥ですな」

「山賊って美味しい?」

「食べちゃダメですぞ」

お義父さんがダメと言ってましたぞ。

俺としては犯罪者など鳥葬位ならやっても良いと思うのですが。

まあ、個人的にはフィロリアル様に変な物を食べてもらいたくないので、盗賊など食べさせたりしませんが。

「コウねー……キールくんの尻尾が目の前でフリフリしてたから凄く美味しそうって思ってたの」

恍惚とした表情でコウが呟きますぞ。

ふむ……あの犬の尻尾に興味があるのですかな?

そういえばフィーロたんもお姉さんの尻尾をよく目で追っていましたな。

お義父さんのいない時に、『前々から思ってたけど、ラフタリアお姉ちゃんの尻尾って丸くておいしそうだよね。食べて良い?』と聞いて、笑顔で威圧するお姉さんが『食べてもいいですが、その代わりフィーロの翼をナオフミ様に料理してもらいますね』と答えられて『やー!』と声を上げてましたな。

婚約者も呆れるようにそのやり取りを見ていましたぞ。

「きっとそんな事をしたらお義父さんに怒られますぞ」

「そっかー……残念ー」

「今日は羽を伸ばしますぞー!」

「わーい!」

フィーロたん捜索……ではありませんが服も準備出来た俺がすべきことなど、殆ど終わってますぞ。

精々行商に使えそうなあの種の調達くらいですな。

翌朝。

峠を終え、あの種のあるダンジョンの攻略を終えた俺はその足でお義父さんの所へ向かいましたぞ。

お義父さんは、リユート村で宿を取っておりました。

リユート村でお義父さんを探す様に歩いていると宿の窓からお義父さんに呼び止められましたぞ。

「やあ、元康くん! ちょうど良かったよ! こっち来て」

お義父さんに言われるまま、宿に入ってお義父さんの部屋まで行きますぞ。

「昨日はキールくんやサクラちゃんと一緒に薬草の採取とかこの辺りの魔物退治とか色々とやったんだけど……サクラちゃんがさびしがると思って納屋で休んでいたんだ」

お義父さんの話は要点を得られませんな。

「ブブー!」

キールに至っては、まだ豚語を使っていて俺は理解できませんぞ。

「そしたら……」

「天使の姿になったのですな!」

「結果的にはそうなんだけど! って元康くんの後ろにいるのはもしかしてユキちゃん!? 話に聞いていたけど……幼いね」

「幼いですと?」

ユキちゃん達はフィーロたんと殆ど同じ背格好ですぞ。

まあ、俺の知っているフィロリアル様は天使の姿の時は大半がこの辺りの身長をしていますな。

ですが、お義父さんの言い方ではサクラちゃんは違ったのですかな?

「サクラちゃん! こっち来て」

「んー? どうしたの?」

スタスタと……サクラちゃんの声がする方向へ目を向けます。

すると、その方向には桜色の髪をした、17歳前後の背中に羽を生やした……少しおっとりした顔の天使様が立っておりました。