軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ただしイケメンに限る

「確かに僕達の知識では盾職は弱職と言われていますが……」

「でも北村くんの話だとそれは違うんじゃなかったっけ?」

お義父さんが懇願するように俺に目を向けます。

良いでしょう。この元康、お義父さんの為に一肌脱ぎますぞ。

「お義父さんは弱くありませんぞ!」

「そ、そうだよね」

「それに経験値の良い狩り場を含め、俺が武器の強化方法をお義父さんにレクチャーして最強の勇者に育て上げますぞ。なに、何も勇者同士の武器が反発するからと言って教え合えば勇者同士の情報共有は――」

一歩踏み出して言い放つと、クズが手を叩きましたそ。

「勇者同士の情報交換は素晴らしいですじゃ。ですが、今回は仲間を募る話! 弱い盾の勇者には仲間が集まらないのも道理なのでしょうなっ!」

このクズ、人の話を聞いていたのでしょうか。

お義父さんは弱くありませんぞ。

そのお義父さんはクズの言葉を聞いて、悔しげに拳を握りしめてますぞ。

俺も悔しい気持ちでいっぱいです。

今すぐにでもこのクズを血祭りに上げたい気持ちが溢れてきます。

「錬、お前の仲間は五人もいるんだから分けてくれよ」

「そうですぞ!」

が、錬の仲間になりたい地味な連中は錬を盾にして隠れますぞ。

この国で盾の勇者の仲間をしたらどんな罰があるか脅えている顔ですな。

「俺はつるむのが嫌いなんだ。付いてこれない奴は置いていくぞ」

錬の言葉でも動く気配がありませんな。

「樹! どう思うよ! これって酷くないか」

おや、この時お義父さんは俺に声を掛けて下さったと思いましたのに、樹の方を向きましたぞ。

「偏るとは……なんとも」

樹の方も断れないと言う態度ですな。

俺は自分の仲間に成りたいと主張する連中を見ますぞ。

一人は殺害確定! 赤豚ですな。

他二人は、記憶にありませんな。

割と直ぐに抜けましたぞ。

「無理やり人員を割いても士気に関わりますし……」

「だからって、俺は一人で旅立てってか!?」

「お義父さん、なんなら俺の仲間をフォーユーですぞ」

「え? 良いの? っていうかフォーユーって……」

「ブヒ!?」

豚共が騒ぎ始めましたぞ。

ですが知りませんな。

どうせ赤豚には、俺がお義父さんに信用してもらうための生贄になってもらうのです、渡りに船では無いですかな?

「ほら! 行け豚共!」

蹴り飛ばしてお義父さんに差し出しますぞ。

「北村くん! 女性になんて事をするんだ!」

お義父さんが豚共を心配して俺を睨みつけました。

豚共はお義父さんに抱き起こされるのですが……何事も無かったかのようにお義父さんの手をパシッと払って俺にすがりついて来ますぞ。

「え……?」

そう唖然とした表情で呟いたお義父さんが、何やら悔しげに俺を見つめております。

この顔は愛に目覚める前、現実世界に居た頃にも向けられた事があります。

多くは男だったかと。

リア充爆発しろ、とか言われた事もありますな。

違うのですぞ、お義父さん。

俺はお義父さんの為に、僅かな時でも仲間はずれにされたと思う不快感から守ろうとしたのですぞ。

「勇者殿、勝手に仲間の交換はやめて頂きたい」

クズが悠々とした表情で言い放つ。

このクズ……いい加減殺すか考えておきましょう。

「ブヒ!」

赤豚が手を上げて何やら泣きわめきましたぞ。

「え? 良いの?」

お義父さんが赤豚に視線を向けますぞ。

そいつは地雷ですぞ。

お義父さん気を付けてと言いたくなる気持ちをぐっと堪えます。

これも未来のお義父さんの言い付けの為、この元康、歯ぎしりをしながら堪えて見届けますぞ。

「他にナオフミ殿の下に行っても良い者はおらんのか?」

辺りが静かになっております。

最初から決まっていた八百長の仲間選定なのですからな。

予定通りにならねば困るのでしょう。

クズが白々しく溜息をしてお義父さんを見ますぞ。

「しょうがあるまい。ナオフミ殿はこれから自身で気に入った仲間をスカウトして人員を補充せよ、月々の援助金を配布するが代価として他の勇者よりも今回の援助金を増やすとしよう」

「は、はい!」

と近くにいた兵士が頷いて金袋を持ってきましたぞ。

「それでは支度金である。勇者達よしっかりと受け取るのだ」

この支度金で何を買うかを考えておいた方が良いですな。

いや、お義父さんが無一文になる事を前提にするのでしたら無駄遣いは出来ませんな。

まあ……ギルドの仕事とか色々な所で金を集める事は出来ますがな。

ですが、余り大っぴらに動くとお義父さんの身が危険になりますぞ。

当面はお義父さんの強化を重点的にするべきですな。

前回の反省点を参考にしますぞ。

「ナオフミ殿には銀貨800枚、他の勇者殿には600枚用意した。これで装備を整え、旅立つが良い」

「「「「は!」」」」

ブヒブヒうるせえ!

ああ、やっぱり豚の鳴き声は不快ですな。

謁見を終えた俺はお義父さんに近寄るか考えますぞ。

前々回の最初のループの時、お義父さんと話をしようとしたら付いてきた豚共が邪魔をしたのでしたな。

コイツ等、速攻で解雇しても一日中俺に付きまとって面倒でしたな。

かといって近寄られるのも鬱陶しいですぞ。

ま、この辺りは仮にループした場合に合わせてお義父さん達の行動を遠目で監視するに留めますかな?

「ブヒー! ブヒー!」

俺に向かって何やら泣きわめいております。

人の言葉でOKですぞ?

ちゃんと人間になって人の言葉を話すのですぞ、下劣で劣悪な自己中心的な下等生物。

話す価値はありませんな。

錬ではありませんがクールを気取って無視をしましょう。

無言で、ゴミを見る様な目で見つめた後は黙って城を後にしましたぞ。

おお……やはりお義父さんに露骨に仲良い態度を示さないと邪魔は無いようですな。

黙って豚共が付いてきますぞ。

ですが、これは危険でもありますな。

つまりコイツ等は監視の役割も持っていたのでしょう。

赤豚の命ですかな?

どちらでも良いですな。

速効解雇をせずに無視をしている分には問題はなさそうですな。

……どうしますかな?

お義父さんを守るのにタイミングは重要ですぞ。

その場合、明日の呼び出し……はおそらくありませんな。

夜の酒場で赤豚は追い返す予定なのですぞ。

ともすれば、魔物商の所へ行くのも手ですがな。

ああ、良い手がありましたぞ。

「グア!」

「おや? 槍の勇者様ですよね? 城のフィロリアル達に何の用で?」

俺は昨夜一晩を共にしたフィロリアル様達の所へ行きましたぞ。

「俺はフィロリアル様が大好きなのですぞ。だから少し面倒を見せて欲しいのですぞ」

フィロリアル様の管理をなさっている高尚な兵士相手に俺はフィロリアル様達を撫でながら答えますぞ。

昨夜の事もあって、ここのフィロリアル様達とは仲良くなれましたぞ。

「は、はぁ……」

「グア!」

フィロリアル様達を存分に撫でまわしてからお世話をさせていただきますぞ。

そうなのです。

お義父さんは明日、ほぼ無一文で追い出されてしまいます。

だとすれば俺がする事は無駄な浪費を極力抑えて置く事ですぞ。

でなければ、今度の活動に若干の支障が出てしまいますからな。

「ブヒブヒ!」

今は監視の目があるので厄介なのですぞ。

豚共がずっと俺に付きまとってますな。

撒くこと自体は簡単ですぞ。曲がり角とかで、足早に動いてポータルで逃げれば一瞬ですな。

ただ、問題は撒いた事で起こる騒ぎですなぁ……。

んー……この辺りは監視の目を潜りぬけたとかで誤魔化せますかな?

とにかく、この豚共はお義父さんに真実を告げる障害と見ていいですぞ。

消し去るのも手ではありますがな。

どちらにしても明日が勝負で、俺の所持金からお義父さんの装備の確保は最重要な所ですなぁ。

どうしますか。

鎧などは魔物のドロップをお義父さんに着せる案もありますが、前回はお義父さんが着れるようになるのに少し時間が掛りましたぞ。

それに……なんとなくですがクズ達の動向、というか目的を考える必要がありますぞ。

前々回に該当する、お義父さんを助けた時の後を考えてみますぞ。

確かに安全ではありましたが、俺に刺客が襲いかかって来ましたな。

ともすればお義父さんにも刺客が来た可能性も十分にあり得ますぞ。

ですがー……最初の世界でお義父さんが何故、刺客に襲われる事が無かったのか考えてみます。

前にもこの考えはしましたな。

言ってはなんですがあの時のお義父さんの装備は、みすぼらしい、低級装備だと俺は思っておりました。

活動範囲も狭そうでしたし……精々メルロマルクの城下町近隣の弱い魔物としか戦っておられなかったのではないかと思います。

推定Lvも成長が早い勇者とその仲間なら20前後だったのでしょうが、一般人だと15以下と思われていた可能性はありえなくありません。

そんな、他の勇者共の活躍からしたら取るに足らない強さしか持っていないと思われるお義父さんに刺客を送る必要は……あったのでしょうか?

そもそもお姉さんを救うためにと俺を嗾けた赤豚達ですぞ。

もしかしたらあの時、俺にお義父さんを殺させる算段だったのではないでしょうか?

ありえない話ではありませんぞ。

今にして思うとぞっとしますな。

俺の推理はおそらく正解だと思いますぞ。

前回もこの結論に達し、行動したのですからな。

となると結論は一つですな。