軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第二回勇者会議【上】

温泉から出て、火照った体を夜風で冷やしている内に、錬や元康が温泉から出てきた。

樹とリーシアは既に上がって二人で涼んでいる。

アベックにしか見えないが、樹は無表情で、デートと呼ぶには冷めきった感じに見えなくもない。

「尚文」

錬に呼び止められた。

まだラフタリア達は騒いでいるのか、上がってこない。

長湯をしているようだ。

「なんだ?」

「さっきこの島の伯爵に尋ねたのだけど、前回会議した部屋を貸してくれるそうだ。そこで勇者全員で少し話をしないか?」

「別に村でも良いんじゃないか?」

「そうなのだけど、思えばあの場所が俺達にとって他の勇者を否定した始まりの場所なんだ。だからあの場所でもう一度話し合いをしたい」

「難儀な事だな」

「既に樹や元康とは話を付けてある。女の子達が上がる前に話をしたい」

「待っているのは時間の無駄だからな。良いだろう」

どうせ待ち時間を持て余していたから丁度良い。

錬がそれで満足するならな。

俺達は前回、会議した部屋への階段を上って行く。

前は階段の途中にある窓から隣の島を見たんだったか。

同じように島の方角に目を向けるが、その先は夜の闇で島の影しか見えない。

既に活性化は終わってしまっているようだな。

オフシーズンと言う奴だろう。

活性化がまた来るのは10年後なのか?

そういやここの領主に聞いたな。

別にオフシーズンでも冒険者は割と来るそうだ。

観光地でもあるし、魔物の強さも手頃なので狩り過ぎない範囲で狩るのを許可されているらしい。

あんまり見ない魔物でもあるからな。その辺りの素材が珍しいのか?

高く売れなかったけどさ。

で、俺、錬、元康とみどり、樹とリーシアであの円卓の様な部屋に入って椅子に座った。

「では、これから第二回勇者会議を始めたいと思う」

錬が手を上げて宣言した。

「司会進行が居ないから一応、俺が代表して話す」

「わかった」

錬は最近、やる気に満ちた感じで話をするよな。

波に立ち向かおうとする使命に燃えている感じだ。

俺は生き残り優先だからな。ここまで真面目になれない気がする。

自分に酔っているという意味では錬はあんまり変わらないのか。

まあ以前と比べれば遥かに良い傾向だとは思うけどさ。

「で? 何を話したいんだ?」

「ここで中断してしまった会議の続きだ」

「確か強化方法の議論だったな」

「ああ……」

錬が剣を前に出して目で何かを追う。

「尚文が影に伝言させた……俺達全員の強化方法は、それぞれ存在し、合わせる事で強くなるという話。俺は最初信じられなかった……だけど、その全てを実践した尚文が俺達の起こしてしまった災害を止めてくれた。つまり、それは真実だったんだ」

「そうだな」

元康も樹も頷く。

樹は頷かされている感じか?

「俺は呪いの影響で精錬と強化が上手く行かなかったが呪いに効く温泉に毎日入るようになってどうにか少しずつ出来るようになってきた」

「お義父さんが嘘を言うはずありません。自分が実践出来るようになっていますよ!」

元康がこれ幸いとでも言うかのように宣言する。

「わかったから落ち付け。樹、お前は?」

「……わかりました」

ポチポチと強化アイコンを弄っているのか、樹の目が何かを追っている。

「出来ました」

イエスマンだからなぁ。

今の樹に疑うとか出来ないんだろう。

そういう意味では確認を取るだけでも有意義ではあるのか。

「……本当だったのですね。もしもあの時、僕が驕らなければあんな事は起こらなかったのかもしれない」

ただ、樹も少しずつ症状が改善されてきている所為か、自分から後悔の言葉を呟く時がある様になった。

それが呪いの所為なのか、それとも本心で言っているのかはわからないが。

「だから、もう一度、俺はここから話を続けたいんだ」

「もう話は終わったんじゃないか?」

「いや、まだあるはずだと思う」

「何を話すんだ?」

既に錬や元康、樹の情報は出揃っているはずではないだろうか?

「尚文、最近俺はエクレールやリーシア、そして村の連中と付き合っている内に、一つ教えておきたい事が出来た」

「なんだ?」

「これだ」

錬が剣の形状を変えて俺に見せる。

紐と紐を繋げたような形状の、変わった形をした剣だ。

正直、あまり強そうには見えない。

「なんだそれ?」

「仲間の剣という名前の剣だ。習得できる技能に『仲間の成長補正(小)』という物が出た」

「出す条件は?」

「……わからない。気が付いたら解放されていた」

「ふむ……」

仲間の成長補正(小)か……俺の奴隷の成長補正と同じ系統だろう。

今の錬を見る感じ、そう何個も案は無いな。

「ゲーム感覚で言うと仲間を心から信頼しているとかか?」

無難な所から尋ねる。すると錬は頷いた。

「多分な……」

苦い表情で錬は呟く。

「やっぱり俺は前の仲間を心から信じていなかったんだろう。この剣がもっと早く出ていればあいつ等も死んでなかったかもしれない」

「そうかもしれないな。だが、必ずしも無意味だった訳でもない」

「……尚文らしいな。こんな感じで発見があったら話そうと思うんだ」

「なるほど、考えはわかった」

確かに俺だけじゃ発見出来ない物も多いと思うし、色々と聞いて回るのも手だろう。

俺が盾に吸わせていない素材で、俺の欲する技能があるような物があるかもしれない。

仲間の剣……俺の奴隷使いの盾と似たような効果がある技能があるみたいだ。

……待てよ。効果は重複するのか?

だって錬の信頼する仲間って谷子と女騎士だろう?

女騎士は違うが、谷子は俺の奴隷だぞ。

その仲間の成長補正とやらが奴隷の成長補正と重複するなら、かなり有効的な方法になる。

これから谷子のステータスを注意深く確認するべきだな。

ちなみに俺も似たような研究を色々としている。

「じゃあ俺からも教えるか」

「何かあるのか?」

「ああ、奴隷共の髪の毛とかを盾に吸わせたりもしている。そこで出た盾によってステータス補正が習得できるぞ。錬の場合、キールと谷子の武器がオススメだ」

判明するのはその種族の盾系だ。

ただ、ツリーが満たされていない連中もそれなりに居る。

アトラやフォウル、サディナ辺りがその筆頭だな。

解放するとその種族のステータス補正が手に入る。

「オススメって……尚文はそんな事までしているのか」

「さすがに骨や肉を入れた事は無いがな」

そんな狂気的な事できるか。

勇者とか以前に人として終わってるだろ。

「そうだ。錬、女騎士の髪も入れてみろ。仲間の剣が出る位だ。仲間の剣Ⅱとか出るかもしれないぞ」

「エクレールがなんて言うか……」

確かに文句の一つ位言われそうだ。

アイツ、地味に髪は女の命とか言いそうな顔しているし。

「お義父さん。私もみんなの羽を槍に入れて出してますよ」

「フィロリアル系は全部コンプリートしている」

「さすがお義父さん! どうやって集めきったのですか! 教えてください」

「元康、うるさい。自分で考えろ」

基礎の能力も相当上がっては来ているんだよな。

そういえば……サディナはラフタリアがラクーン種では無いとは言っていた。

ラクーン系列なのは確かなんだろう。

確かにラクーンシールドは名前の項目はあるけど、開いていないんだよな。

今までどうしてかわからなかったが、ラフタリアは亜種なんだろう。

だから、納得した様な気もする。

ちなみにサディナのも出ていない。

あいつの素材も盾に吸わせたんだが、ルカシールドという名前はわかったが開けなかった。

サカマタ種だったか?

谷子はヌイ種と言うらしい。その後、キールの毛髪を入れたらワーヌイシールドが開かれた。

パッと見、どっちも犬耳と尻尾だが、犬種が違うみたいな感じだな。

まあ、キールは変身できるしな。

ともかく、亜種や近隣種となると基礎の方はわかるけど他の種はわからないみたいなんだ。

要するにラフタリアは、バルーンとオレンジバルーンの様な違いがある。

いや、バルーンとバルーンレギオス並の違いか?

まあいい。

ともあれ、ラフタリアの強化を図るにはキー素材が足りない。

ラクーン種の髪の毛とかを頂いたら分かるか?

ちなみに分からなかった。

点灯はするんだけど解放できない。

名前はわかるはずなんだけど、微妙に遠くてわからない。

伏せられた所が若干点灯しているから、どの系列なのか分かるが変化出来ない。

ラクーンから繋がるのはハイラクーンとかイーストラクーンとか色々と種類が多いようだ。

これはフィロリアルのツリーを参考にしてみると良いかもしれない。

フィトリアから羽を貰った時と同じように上位は条件を満たすまで???と名前が不明になる。

そんな感じだ。

フィロリアルシリーズは素材は揃っている扱いだから、Lvさえ上がれば使える様になる物も多いが、未だに使えない奴も結構ある。

ラフタリアの方は素材すら足りないからな。

あれだ。髪だけじゃダメとか?

だが、魔物じゃあるまいし、骨とか肉とか取れるはずもない。

……しかし良く考えると、コレって人も素材にできるって事だよな。

勇者の武器って一体なんなんだ。

「お義父さん」

「……なんだ?」

またどうせフィロリアルとか言い出すんだろう。

「処刑予定の罪人を武器に吸わせるというのはどうでしょう?」

「…………………………錬、どうする?」

「いやいやいや! その一線は越えちゃ行けないと思うんだが……」

「そうだな。そこはやめておこう」

元康、お前の狂気は色々やばい。

やはりコイツとはさり気なく距離を置いた方がいいな。

誤魔化す為に話題を変えよう。

「そういや、この島にある勇者の碑文、お前等は読んだのか?」

樹はまだ勉強途中だし、魔力が回復しないから魔法言語は読めない。

それでも文字の勉強はしている。

だから、この問いは錬と元康に尋ねている。

「ああ、読めた」

「もちろんですよ、お義父さん!」

「どんな魔法だった?」

碑文で覚えられる魔法は、人それぞれである可能性がある。

俺はツヴァイト・オーラだったが、錬や元康が同じ魔法とは限らない。

「ツヴァイト・マジックエンチャントだ」