軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

豚王

翌日。

ヴィッチを連行した元康がポータルで帰還し、ヴィッチがフォーブレイの豚王に犯されるグロ映像を見させられる羽目になった。

一緒に連れてきた兵士がいる。

俺がその映像を見たかどうかを確認して貰うためらしい。

さすがに俺だけが見るのは嫌だったので、錬、元康、樹を連れて部屋で観賞会風にして見る事にした。

あんまり良い映像では無いと兵士も注意していたので他の連中には見せない。

一応、ラフタリアとリーシアが同伴している。

女騎士は……見せたら危なそうなので追い出した。

「盾の勇者さん見てるー?」

うわ……肥え太ったしわしわの豚っぽいデブだ。

何かに似ているなぁ。

宇宙戦争で有名な映画に出てきた化け物を連想する気がする。

年齢は幾つだ? クズより年上なのだろうけど、そんなのよりも見た目の悪さが付きまとうな。

年を感じさせない化け物って感じ?

「いやああああああああああ!」

ヴィッチが叫んでいる。

「うるさいぞ。盾の勇者さんにメッセージを送れないだろ」

乱暴に髪を握ってぶんぶんと全裸のヴィッチを振りまわす。

「うぐ……いやああああ!」

もはやヴィッチは錯乱しているようだな。

なんかスッとしてくる。

「黙れっての」

ぶよぶよの手で、手慣れた様子でヴィッチの首を絞める。

おい。ニワトリの首をへし折るみたいな動作だったぞ。

「あ……く……」

ヴィッチは懸命に抵抗するが、それも叶わず、しばらくして泡を吹いて失神した。

そこからは豚王が楽しげに自己紹介し、ヴィッチの顔をビンタして意識を戻した後のグロ映像が流れだす。

豚の交尾+サディスティックな映像だ。

元の世界でこんなのを作ったら警察に捕まる次元だぞ。

他の奴等を連れて来なくて正解だったな。

メルティとかはまだ良いかもしれないが、キールや谷子だったら怯えるんじゃないか?

それじゃなくてもトラウマ持ちが多いから、次送ってきても見せるのは無い方向で行こう。

「う……」

錬が開始三分で口を押さえて吐きに行く。

同時にラフタリアも一緒に出て行った。

まあ、俺も気持ち悪くなってきたのは同じだ。

元康と樹、リーシアはどうだ?

「ふーふふふん」

元康は……紙を広げてスケッチをしている。

何を描いているのか覗きこむと、フィーロだった。

こんな映像を見ながら描ける精神は凄いと素直に称賛したい。

っていうか見て無いだろ。

俺がこんなに不快な気分なのに鼻歌なんて歌いやがって……。

「余所見せず見ろ」

「豚の交尾映像なんて何処が楽しいんですか? しかも一回見た内容ですよ、お義父さん」

「平気なのか?」

「魔物を殺す時と大差ないですよ。ははは」

うん。元康に狂気を感じるな。

取り巻きの三匹はその映像を涎を垂らしながら見ている。

「あの豚さん。脂が乗ってて美味しそうよねー」

「でも硬そうじゃない?」

「十分腐らせれば柔らかく美味しくなると思うよ。腐敗は任せてよ」

発想が獣だな。

まあフィロリアルなんて皆こんなもんか。

尚、後で知るんだがみどりは毒とか腐敗攻撃を使える種類なんだと。

でもこの映像を見て平然としている所はやっぱり魔物なんだと思った。

ちなみに後日、フィーロに見せたら気持ち悪がっていた。

この辺りは個体差なのだろうか?

ああ、それでも最初は美味しそうな豚とは言っていた。

もはや豚王は人間のカテゴリーに入っていないんだろう。

で、樹とリーシアなんだが……。

リーシアは泡を吹いて失神していた。

樹は平然とした表情、というか無表情で映像を見ている。

「樹、感想は?」

「何が楽しいのかわかりません」

「奇遇だな。激しく同意だ」

なんでこんな映像を撮って来いと言ったのか自分で後悔してきた。

いや、証拠映像として欲しかったんだが、まさか最後まで見ないとダメとは思わなかったんだよ。

飛ばし飛ばしでいいじゃないか。

「ではちゃんと視聴している事を確認するための映像を取りますね」

兵士が俺に向けて水晶をかざす。

「一応は見ている振りをする」

「はい。その……迷惑を掛けます。勇者様」

物分かりの良い兵士で助かった。

文句があるなら帰るまでずっとこの映像を見せ続けさせるつもりだった。

俺はぼんやりと見ている振りをしながら、ステータス魔法で奴隷共のチェックをしながら終わりまで時間を潰した。

「では後日、また届けに来ますね。王も盾の勇者様が行為の映像を欲したと言うのをいたく気に入ったようで、送り続けるそうです」

「……今取った映像を加工して、いつも見ている様にしてくれないか? なんなら演技でもして種類を増やしても良い」

「はい。当たり前ではないですか」

兵士はそう言って一緒に持ってきていた翌日の映像を再生させずに止めた。

心は一つだった。

こんなグロ映像を毎度見させられたら頭がおかしくなるぞ。

映像の最後にはボコボコにされ、首を絞められて失神寸前のヴィッチが片腕を落とされたし。

そのショックで締りが良かったんだろうな。恍惚とした表情を豚王はしてやがった。

いや、グロゲーとか陵辱ゲーとか、俺も以前はやった事位あるけどさ。

これは無い。

こんな物、俺の世界じゃあ、持っているだけで捕まりそうだぞ。

で、これは最終的な事なんだけど、ヴィッチの事をアッサリと殺したのは、俺が映像を見てくれていると錯覚した豚王が俺を楽しませる為に、いろんな女を犯すのを見せた方が楽しいと思った所為だった。

お気に入りとして長く遊ぶよりも、もっと楽しい事を見つけてしまったらしい。

もっと苦しめろよ。なんで他の女を犯すグロ映像を見なきゃならないんだっての。

結果残ったのは、用途不明の映像水晶が村の倉庫に溜まっていく事位だった。

本当、フォーブレイの王とは会いたくない。

俺は再度、豚王と会わない事を心に誓った。

「あー、気持ち悪かった」

あれからしばらく経った後の夕方。

カルミラ島の温泉に入った俺は呟く。

各自に仕事を任せ、夕方になった頃に樹とリーシアをポータルで連れてカルミラ島にやってきた。

樹は魔力もSPも回復しないからポータルが使えない。

だから俺が連れていく事になっている。

で、男湯にリーシアが同伴して入浴するのを許可して貰った。

なんでも俺と二人で入っていると、樹が溺死するんじゃないかと心配してとの事。

白装束を着たリーシアが樹と一緒に温泉に浸かっている。

水着でも良いんじゃないか?

他にラフタリア、フィーロ、メルティを連れてきた。

アトラもついてきたがったが、フォウルによって阻止された。

ゆっくり休むには温泉は身に染みるな。

体を洗って、さあこれから入るぞという所で、垣根を越えてフィーロと背中に乗ったメルティが男湯にやってきた。

「ごしゅじんさまーまた一緒にはいろー」

「フィーロちゃん! ここ男湯! ナオフミがいるじゃないの!」

タオルで胸元を必死に隠すメルティが恥ずかしそうにフィーロを揺すって拒もうとしている。

フィーロめ、また面倒な奴を面倒な場所に連れてきたな。

「大丈夫だよメルちゃん。今はごしゅじんさまと弓の人とリーシアお姉ちゃんしかいないもん」

「ナオフミと弓の勇者が居るのが問題なんでしょうが!」

「えー?」

不思議がっているけどなフィーロ、メルティの反応が正しいぞ。

こういう教育はラフタリアとメルティに任せよう。

俺が言うのもちょっとおかしいしな。

「でもごしゅじんさまと一緒に入ると楽しいからメルちゃんも一緒にはいろ」

「イヤよ! 汚れるわ!」

「抜かせ」

湯船に浸かりながらメルティに言う。

この潔癖と言えそうなまでの羞恥心を見ると本当にヴィッチの妹なのか怪しくなってくるな。

まあいいか。

フィーロはこれ見よがしに人型になって俺の隣に座った。

「「ピイ!」」

腰に巻いていたタオルからフィロリアルの使い魔が現れる。

「お前等は何処から現れるんだ!」

「な、ナオフミがフィロリアルを産んだわ!」

とか言ってるメルティの胸元から下、タオルで隠れた部分からも雛が顔を出す。

話には聞いていたが、やはりメルティも寄生されているのか。

「お前が言うな!」

「う、うるさいわね!」

「あははーごしゅじんさまとメルちゃん楽しそう」

「「楽しくない!」」

まったく、空気を読まない鳥共め!

「ごしゅじんさまー背中流しっこしたい」

「ああ、はいはい」

フィーロはやらないとうるさいんだよな。

もうここで療養を始めてある程度日数は経ち始めている。

フィーロが男湯に来る事も日常化していた。

メルティを連れてくるのは初めてだけどな。

俺は石鹸を泡立ててフィーロの背中を洗う、背中に羽があるから良く泡立つんだ。

「ほら、メルちゃんも背中流しっこしようよー」

「い・や!」

メルティも頑固だな。

まあ、俺もよくやるとは思うけどさ。

なんだかんだでフィーロは女湯から誰かを連れてくる事があるんだよな。

ああ、最初にフィーロと一緒に男湯へ来たのはキールだ。

なんだかんだで男女の精神を持つキールに取って女湯と言うのは慣れない場所らしく、一匹で男湯に行こうとしたフィーロを呼びとめてついてきたんだ。

その後、当たり前の様に温泉で泳ぎ始めたキールとフィーロを叱ったっけ。

なんで俺が温泉で子供に叱る親みたいな事やってるんだよって感じだ。

ラフタリアが毎回男湯に行くんじゃありませんと注意するけど聞いちゃいない。

「ほら、綺麗になったぞ」

「はーい」

お湯を掛けて泡を洗い流すとぶるぶると獣のようにフィーロは全身を振るわせて滴を飛ばす。

「ごしゅじんさまありがとー、フィーロきれいになったー?」

「そう思うんなら自分で洗え」

「ぶー」

拒否するフィーロと湯船から体を出さないメルティ。

相変わらず騒がしいな。

「じゃあ俺はゆっくり浸かるからさっさと女湯に帰るんだぞ」

「はーい」

俺が湯船に浸かって呪いの治療をしているとフィーロがフィロリアル形態に変わって隣に座る。

若干浮いてるぞ。

水鳥かっての。フィーロは泳げるけどさ。

「あ!?」

フィーロが何かを察したように声を出し、メルティを担いで背中に乗せる。

「フィーロちゃん何を――」

メルティが言いきる前にフィーロは垣根を飛び越えて女湯に戻って行った。

「な、なんだったんですか?」

リーシアがその様子に尋ねてくる。

「さあな」

「リーシアさんも女湯へ行かないのですか?」

樹が首を傾げて聞いている。

中途半端に常識は残っているんだよな。

まあ樹の常識がどこまで信用できるか、という疑問は残るが。

「私は大丈夫ですよ。イツキ様」

この二人は相変わらずバカップルをしていやがるな。

そういや、この療養を始めたお陰か樹の様子も少しずつ変化が見受けられるようになった。

相変わらず無表情だけど、少しずつ優柔不断である所が改善されてきている。

現にこうして尋ねるのが証拠だ。

「やあ! お義父さんではありませんか!」

ああ、フィーロが急いで女湯へ戻ったのは元康の気配を察したからか。