軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

タワーディフェンス

「それだけ勇者の仲間になるって羨望の対象になるって事」

「最初、何の冗談だ? って本気で思った」

「疑いますよねー……本当だった訳で、おかげで身に余る力と環境を用意させて頂きましたよ」

「問題は……それだけの力を得てもあまり振るう機会がな……」

チラッと何故か奴隷共は俺を見ますぞ?

なんですかな?

「さすがに勇者には敵わないな」

ここで少し話してやるのも手ですかな?

「ちなみにお義父さんには最初の段階で話しては居たのですが、お前等は別のループで各々個人でお義父さんに買われるのがあるのですぞ」

「そうだね。ヴォルフ以外は買ったループがあるらしいよ」

「ほう……」

「そのループのボクとどう違うのでしょうね? ピンときませんよね」

「ヴォフ?」

興味ありげにワニ男とウサギ男が耳を傾けてますぞ。

「具体的には理由があって冤罪からお義父さんを助けられなくてですな。それとなく見守っては居たのですが、最初の世界のお義父さんのように荒れたお義父さんなのですぞ」

「ああ、ガエリオンが言っているワイルドと言う奴だな。その状態で買われるのか」

「ですぞ。一人ですな」

「個別ですね」

「まあ決闘から数日、フィーロたんになるかまでのループだったのですがな」

「そこまでしかないって……何にしても気になるので続けて下さい」

ウサギ男とワニ男が頷いて聞いてきますぞ。

もちろんお義父さんに視線を向けますな。

ヴォルフは会話に入れないのでお義父さんに徐々に近寄ろうとしてワニ男たちに阻止されますぞ。

「ただ、あまり差は無いですな。ウサギ男を選んだ時は決闘相手が樹でありお義父さんを糾弾して、ワニ男の時は錬でしたぞ」

「あの状況だよな」

「露骨でしたよね。あの王女」

「なんか内緒話をしていたが……」

「ああ、ワニ男はエクレアが捕らえられているのは知らなそうでしたぞ? ただ、ブチ切れて今の姿に成れるようになってましたな。ウサギ男も啖呵を切って樹に言い返してましたぞ」

「何と言いますか……」

ウサギ男がお義父さんを凝視しますぞ。

「そのループのボクがちょっと羨ましいとも思いつつ、今の方がいいとも思える複雑な気分ですね」

「どんな感情? いや……俺もなんか元康くんからいろんなループの俺の話を聞くから似たようなもんかな」

「お姉さんと槍の勇者が呼んでる子が居たな。あの子辺りも居るのか?」

「最初の世界のお義父さんが購入したのがお姉さんですぞ。奴隷として購入するのは3人ですな」

「自分、テオ、そしてあの子か……」

「運命って事を実感して良い様な悪い様な。ここに関しては感謝はしてあげますよ。覚えて貰うとかそう言う話はありましたけどね」

何かウサギ男が偉そうですぞ。

お前にはウサギの可愛さで負けませんぞ。

「俺は無い」

「ヴォルフは高いからあのお義父さんでは買えないのですぞ」

「ヴォフ……残念、なら頑張る」

「なにを?」

「ヴォッフー」

鳴き声で何やらヴォルフが誤魔化した気がしますぞ。

「まだ質問良い?」

「何ですかな?」

「俺の兄さん助けられる?」

ヴォルフの兄ですかな?

タクトがツメの七星武器を奪取したのはどうやら波が起こるよりも前らしいのが分かってますぞ。

「無理だと思いますぞ。戻れる限界は召喚直後ですぞ。お姉さんのご友人なら助けられたのですがな」

今回のループだって槍の精霊が決めた最初にループした時のお義父さんを助けられるギリギリの時間でしたからな。

「……ヴォフ、タクトにやられたのははるか前……じゃあ無理か」

肩を落とすヴォルフにお義父さんがポンと手を乗せますぞ。

「気持ちを察することは出来るよ」

「ヴォフ」

「……そうだな。波が起こるよりも前に今の力を持って戻れるのなら……と自分も思う。それが出来そうな相手が居たら託したくもなるな」

「……ボクはそう言う意味では岩谷様たちに会うまで何も無いので幸せだったのでしょうかね」

「ちょっと重いなぁ……テオも何もない訳じゃないし……気を取り直してヴォルフは読書家だった訳でここには沢山本あるね」

お義父さんがヴォルフの家の書斎を確認しますぞ。

「で、ヴォルフの自慢の古書ってのもここにある感じ? それともさっきの自室?」

「ヴォフ、これ」

そう言いつつ、ヴォルフが書斎の奥から一冊の文字が掠れてボロボロの本を出して来ましたぞ。

「わー……凄いボロボロ」

「何なんです? これ」

「マモルって盾の勇者の伝記の初版本」

「なん、ですって」

テオの目の色が変わりましたぞ。

恐る恐ると言った様子でヴォルフが持ってきた本の表紙を見てますな。

「そんなとてつもない代物が現存してるなんて……歴史の中で消えた代物ですよね!?」

「そんな凄い代物なんだ?」

「もちろんですよ! 写本とか複製品なんかを繋ぎ合わせて作られた代物は無数にあれど初版本なんて、どれほど前の代物かわかったもんじゃないですよ!」

「ヴォッフ」

どうだ! とばかりにヴォルフが鼻を鳴らしますぞ。

「本物なんですか? 偽造された代物が多くて怪しむくらいですよ」

「保存場所が良かったから状態は良し、内容はシルトヴェルト創生に関する記述。波に関しても描かれてるけど、参加した所からすると内容が違うから所詮は伝記なんだと思う。ヴォッフ」

「守る……盾の勇者って感じの名前だね。へー……シルトヴェルトを作った勇者ってそんな名前なんだね」

「そう語り継がれている」

ウサギ男が恐る恐ると言った様子でヴォルフから本を受け取り中身を開いて確認するので俺も覗きますぞ。

……シルトヴェルトの文字に見えて、色々と違いますな。

日本で言う古文な感じですな。パッと読むのは無理そうですぞ。

「波が違うって?」

「ヴォフ、なんか……神を名乗る者が主催する死の遊戯をクリアする儀式とか、無数に出てくる魔物の列から拠点防衛をする、勇者たちの話ではたわーでぃふぇんす? ってモノだと書かれてる」

「前半は……元康くんから聞いた話と近い様な気もするけどなんかデスゲームっぽいね、後者はタワーディフェンス……まあ、あれもweve……波って感じだけどね。確かにちょっと違うようなそうではないような?」

「あんまり参考にならない。波に負け、新しい世界が広がったと描かれてて世界は滅んでないし」

「確かにこう……災害を乗り越えたと締めくくられる事が多いのに負け扱いですか」

まあ、最初の世界の出来事から世界融合が波らしいですからな。

負けても世界は存命するでしょう。

「神って奴のデザインもおかしい。獣人に似たマスクを付けた獣人ではない奴として描かれてて、そいつを変わった獣人が仕留めたと描かれてる。ツメの勇者?」

ここっと、ヴォルフがウサギ男から本を取り返して該当のページの挿絵を広げますぞ。

ほぼ掠れてますが……そこには俺にはわかるのですがアークが猫の仮面をつけた紳士みたいな衣装の奴をツメによる斬撃で三枚に斬り落としている姿ですぞ。

色合いが違いますな? いえ、毛量も違うような気もしますぞ。誰が描いたのですかな?

概ね間違っていないような気もしますな。

ただ、アークに関してはあんまり語らない方が良い気がしますぞ。

そう言えば……アークに関してふと思い出した事が一つありますぞ。

何故か、みんなが認識するアークの毛色とか毛の量とかがバラバラだったのですぞ。

村の誰かが黒いと仰ったのですが、他の者は白かった、黄色かった、さび色だった、短毛だった長毛だった等、人によって変わっていたのですぞ。

何故でしょうな?

ホー君はみんな同じデザインで認識していたので神狩りの特徴ではないと思うのですがな。

みんなアークだとは認識するのですが、見てる姿が統一ではないと言うかのようでした。

まあ、トカゲのような形状の毛の生えた尻尾が特徴として認識されていたのですがな。

実に不思議な方ですぞ。