軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

フェアリーまん

「若干出遅れていた方々の強化合宿に良かった結果になりましたね」

島での滞在最終日のホテルの展望室で俺たちは集まって夜景を見ながら話をしますぞ。

ライバルが霊亀の洞窟での処理をしなくて良いというので十分満喫しましたな。

「そうだね。後は修行をする場所としての側面が強くて娯楽が思ったより無かったからサーカスとかの商売の入り込める余地はかなりあるみたいなのが分かって良かったよ」

ちなみに浮上した島を見に行くツアーが別料金で、島では管理されていたようでしたな。

勇者が調査中なので勝手に入ったら罰金と治安維持がされていたとか。

まあそれでも侵入者は多いのですが、メインの建物には勇者無しでは入れませんからな。

ともかく島で行われたイベントは特に問題なく終わりましたぞ。

尚、暗黒料理人ケルススとして錬も屋台デビューをキールやユキちゃんとやっておりました。

「エミアさんがこんな贅沢をしていいのかと想像通り悩んでましたよ」

「上手く行ったかい? こっちは手はず通りにイミアちゃんと遊んでたんだけど」

「……ええ、尚文さんの所の奴隷たちが威圧してたら申し訳ないと頭を下げられて仲良くして欲しいと言われたと僕に報告してましたよ」

「なんか怖がられちゃってたもんね。ヴォルフなんて島に居る間、ずっとペックル姿で遊びまわってたよ」

「おかげさまでエミアさんも遠慮するのが少なく有意義な時間を過ごせましたよ。リーシアさんにも着ぐるみを与えて元康さんと話がしやすくなりました」

「そう」

からのお義父さんがちょっと楽し気な笑みを浮かべて樹に尋ねましたぞ。

「エミアさんと楽しい事、出来たかい?」

「サディナさんみたいな事を……何だかんだその辺りの反応、よく似てますよ」

「そ、そう?」

「まあ少しは楽しませて貰いましたよ。僕が幸せに出来る自信はこれっぽっちも無いですが自虐を極めすぎて幸せを捨てられるくらいなら幸せにさせなきゃいけませんからね」

何やら樹はモグラに強めな押しをしているみたいですな。

「とはいえ尚文さんがイミアさんに先に幸せにして貰えないと彼女も守りが固いのですけどね……」

「あはは……まあ、イミアちゃんは働き者だから、お礼はするつもりだよ」

モグラはサーカス内での仕事として服作りをもう覚えてますぞ。

他にもサーカスの仕掛け作りの手伝いなどもでしたな。

「島の名物料理の開発をしたぞ!」

錬が包丁を掲げてお義父さんが開発するフェアリーまんを差し出しますぞ。

「れ……ケルススも楽しんでくれてよかったね」

「手本は尚文さんが作った奴ですよね」

「正確にはラーサさんが原住民をモチーフにした饅頭とか売れば良いんじゃないかい? って言うから厨房で試作をね。むしろ無いのが不思議だけど」

「元々似たのはあったみたいですよ。原住民の正式な姿が分からなくなった所為で違う代物になったようですが」

ああ、普通の饅頭みたいなお菓子が売ってましたな。

アレですかな?

「さて、強化合宿が終わる訳だけど……島から出た後に関して錬も樹も行っちゃいけない所はわかったかい?」

「ええ、霊亀の封印は解いてはいけないって事でしょう?」

「興味ないな。剣の勇者の噂の範囲だろ」

錬の返答にお義父さんが困った顔をしてましたぞ。

「ふふふふ……一時の安らぎはこれくらいにして地獄への道連れを探す戦いの日々の続きを明日からしませんとね」

「モグモグしててよ樹は……はぁ。エミアさんみたいなタイプは俺が直接頼んだ方が樹には効果的かもしれないな」

「ちょっと、エミアさんに何をお願いする気ですか。返答次第じゃ尚文さんでも許しませんよ?」

「樹を幸せで満たして戦いを忘れさせるのが君の罪滅ぼしだ! とね」

「く……僕の弱点を的確につく気ですか! させませんよおおお!」

と、言いつつ樹はお義父さんに拳を向けて何も行動できずに地団駄を踏んでますぞ。

「君は幸せに覚えていて欲しいよ本当、錬くらいに」

「剣の勇者は幸せじゃないワン! 謎の中二で称賛されてるワン!」

「ああもう面倒くさいなぁ……」

「というか元康さん! 何黙ってるんですか! 黙ってこっち見てる時が一番嫌なんですよあなたの!」

スタタン! っと樹が俺を狙撃して来るので避けてやりますぞ。

「まあ、元康くん黙ってると何か隠してるような時あるから嫌なのは間違いない。ウサウニーの件もあったし」

「特に何もないですピョン。むしろラフミ辺りが悪だくみしてるんじゃないかですピョン」

「まああの人は面白ければ何をしても良いという態度が非常に多いですが」

「身構えちゃうのはしょうがないか……まあ攻略情報に頼らず、行っちゃダメってところ以外は自身の決断を優先しながら行こうかね」

「尚文さんの場合は誰ルートですか? モグモグですよね? イミアさんはどうです?」

「なんかそこだけ樹は昔っぽくなってくれるけどさ……ちょっと違う気がする……まあイミアちゃんに関してはルーモ種の方々からも約束はしてるから将来的にはね」

樹のモグラ漬けをお義父さんは画策するようになったようですぞ。

幸せに沈めて殺伐とした生活から足を洗って貰いたかったようでしたな。

「まあ、樹はルーモ種の人たちと交流しながらテオとリーシアさんと一緒にガエリオンちゃんと活動をしてね。ある程度はやりたい事は斡旋してくれるみたいだからね。ただ、エミアさん達は大事にするんだよ?」

「ええ」

「れ――ケルススはまあ、キールくん達と楽しく、時々は村に来てね」

「おう!」

「元康くんは大人しくしててね。まあみんなの底上げでもして貰おうかな。シルトヴェルトの方とかの波を鎮めたりフォーブレイに挨拶にいかないと」

「はいデスピョン!」

という訳で俺たちはカルミラ島での夜に今後の予定を再確認したのですな。

そんな訳でカルミラ島でのバカンスを終えて帰還した俺たちは各地に移動をして波を鎮める戦いは続くのですぞ。

霊亀騒動が起こる頃、最初の世界では各国の波に挑んで沈める戦いをしてからお姉さんの村の復興手伝いなどを行いましたな。

そうした中で……フレオンちゃんは仙人の所に遊びに行ったり、メルロマルク内を色々と移動しているようでしたな。

何か気になる相手がいるようでお出かけをよくするようになりましたぞ。

十分強くなっているので襲われる可能性は低いですぞ。

それで問題と言えば……やはりメルロマルク国内の治安が悪いとの事がエクレア辺りからお義父さんに相談を受けてましたな。

もちろんラフミというより錬にも治安維持の協力をお願いされているらしいですぞ。

まあその辺りは降りかかる火の粉は払っていくしかないですな。

そんな日々の中ですな。

シルドフリーデンの方に出かけていたライバル、ウサギ男、樹たちが一端戻って来ましたぞ。

「あ、樹おかえり、シルドフリーデンはどうだった? ガエリオンちゃんが闇とか見せてくれるって話だったけど」

「そうですね……亜人も獣人もどうしようもない方というのは居ますね。自由を本当にはき違えてますよ。ふふ……メルロマルクでは小悪党ばかりでしたが歯ごたえのある連中が見つかって楽しんでますよ」

「そ、そう……」

「いやー……本当、面白い位汚職しかしてない町がありましてね。タクトでしたっけ? その方の息が掛かった者たちが多いのですけど、面白いですよ。あそこまでクズが居るのですね」

クススと笑いながら……心なしか表情が軽いですな。

「まあ、正義の味方として後腐れなく叩ける相手ではありますね。しかもテンセイシャって方々と新たに繋がっているようでしたよ」

ウサギ男もちょっと呆れ気味な感じで答えてますな。

「じゃあガエリオンちゃんが用意した衣装で夜の町とかを飛び回っているのかい?」

何やら樹は新ユニフォームでシルドフリーデンの町を飛び回って悪人を捕まえて回っているようですぞ。

この辺りは想定内ですな。

そもそもフォーブレイに行った時の樹だって悪人を捕まえる仕事はしてましたぞ。

「そうなりますね。小悪党も多いですし、捕まえても捕まえてもキリが無くて、本当……どうしようもないですね」

なんて言いつつ樹は前より明るく笑ってますな。

邪悪な笑みとも言えますな。