軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

共通の敵

「このまま城に行って奴らを処分しに行かないんですか?」

樹がお義父さんに乗っかったまま意見しますぞ。

「僕はやる気満々ですよ? アイツ等、調子に乗りすぎなんで。ここで完膚なきまでに報いを受けさせないとこちらの腹の虫も収まりませんよ」

「樹……本当、君は……」

「行かないんだったら僕一人でも行って奴らを皆殺しにしますがよろしいですか?」

「行かせられるわけ無いでしょうが。何の為にこうして妙な段取りを踏んでる事になるんだよ」

「無駄な手間だと思ってますよ? まあ、エミアさん達の為にもこの地域の復権は必要らしいので成り行きを見てましたが」

「わかってるじゃないか。とりあえず三勇教との争いに終止符を打って、その後は女王様に国内の治安回復をお願いする流れが自然なの」

お義父さんが樹に段取りの説明をしましたな。

「まったく……本当、元康くんが二人になった位に血の気が多いよ、樹」

「それは不服ですね」

「俺も不服ですぞ! お義父さん!」

樹と俺が同類扱いというのは大きな間違いなのですぞ!

「手の速さが同じなんだよ。もう少し大人しくしてて欲しいの」

「何も言えねえなの」

「そこ! 五月蠅いですよ!」

樹がライバルを指さしましたぞ。

「元康くんと樹はともかく……」

お義父さんがクズへと話を再開するつもりで顔を向けましたな。

「いい加減、俺への風評被害もうんざりしてるし、この機会に利害の一致もあって三勇教には退場して貰う予定なんだよ。錬も元康くんも……樹もね。神様たちが揃って排除の判断を下した。世界の為にも消えて貰いたいんだよ」

「うぐぐ……」

状況が状況故にクズは拳を握りしめ苦虫を噛み潰したような顔で睨んでいましたぞ。

その三勇教と敵対関係になってしまったが故に何も言い返せないのが悔しいのですぞ。

「弓の勇者であるカワスミ殿はこの場に居ないではないか!」

「おや? 気づいてなかったんですか? まあ、話してませんでしたからね」

樹がお義父さんに乗ったままヤレヤレと言った様子で答えてますぞ。

「いつきぃ……いい加減、俺に乗ってないで勇者の証明してくれない?」

「今更、人間に戻るのも嫌なんですけどねー……」

渋々と言った様子で樹はお義父さんから降りた後に弓から布を出して羽織った後にラフミにフェアリーモーフを命じて元の姿に戻って弓をポンポン形状を変えましたぞ。

「これで良いですか? 早く戻して下さい」

「樹、元に戻したという意味だと人姿が元の姿なんだけど?」

「はは、良いから早くしてください。高等存在人間姿は反吐が出るんですよ」

「はあ……」

お義父さんが嘆くようにため息を吐いてました。

「な……くうう。盾! 一体何をしたぁああああ!」

樹がリスーカ姿で化けていた事に気づき、今までの様子と随分と違う事に何やら確信をもってクズが怒鳴りますぞ。

「俺は何もしてない。したのは元康くんかな。それとこの国の貴族が樹に色々と邪悪なものを見せたのが原因」

お義父さんが嘆くようにため息を何度もしてましたな。

エクレアの隣で黙って見ていたワニ男も頷きながらため息をしてましたな。

クズへの軽蔑の視線は相当ですぞ。

尚、樹はリスーカに戻って何事も無かったかのようにお義父さんによじ登っております。

「いやぁ……僕も色々と見させて貰いましたよ。亜人獣人にあんな、許されざる行いをして、挙句僕にまでしたわけですからねー」

「オルトクレイ、勇者様方の心境の変化に噛みつくのはいい加減にしてください。話が進みませんよ」

女王が間に入る事で樹の変化に関しては後回しにしたようですな。

「これでわかりましたか? 四聖勇者の全員が決めた事です。色々と見聞きした話だと勇者の権力は中々強力みたいですから、満場一致で三勇教を潰す流れになったんですよ」

クススと樹がクズに対して小ばかにするように不気味な笑みを浮かべましたぞ。

「あの時の魔法攻撃の雨は誤解では無かったという事ですね。フフフフ……」

「ぐぬぬ……おのれ盾めえええ」

「何もかも俺の所為にしないで欲しいよ本当……」

「その所為でどれだけの者達が苦しんだか」

「シオン、口が過ぎるぞ」

エクレアがワニ男に注意してますぞ。

「……」

「言いたいことはわかる。その責任を王は今、取る事になっているのだ。だから我慢してくれ」

「わかっている。もはやここまでくると哀れにも思えてきている」

エクレアがワニ男の言葉に眉を寄せていましたがそれ以上は注意しませんな。

「イワタニ殿の苦労が実に理解できる気がする」

そうエクレアは樹を見て呟いてましたぞ。

「世界の不幸はすべて尚文さんの所為なんでしょう? 哀れな男ですよ。もう殺しておいた方が早い様な気もしますけどね。不服ですが元康さんの意見に賛成ですよ」

「勇者殿たち……」

「それは何卒勘弁をお願い申し上げます」

エクレアと女王が樹の提案に釘をさしましたな。

「まあ、共通の敵がいるんだから今だけは共闘って事で良いでしょ。そもそも俺の指名手配を取りやめる王命を無視した訳だし、王の面子としても何かしら重い処分を関係者にさせるでしょ?」

「ぐ……」

お義父さんの返答にクズもこれ以上は抗議出来ないと悔し気にしてましたが黙りましたぞ。

「そんな訳だから、まあ……手っ取り早く城を占拠している連中の掃除には協力するよ。女王と王が一番人気の勇者である錬を代表とする勇者たち全員で共に城に乗り込んでいけばどっちが正しいかも国民に知らしめる事も出来るし」

「……既に三勇教の所為で国内は暴走しているので……そうですね」

「おい……その流れだと俺がリーダーをするのか!? 尚文だろ! この中で一番なのは!」

今まで黙っていた錬が困惑するようにお義父さんに抗議しますぞ。

「そうは言ってもねー……メルロマルクで一番の勇者の錬がリーダー役をするのが無難なんだよ。王様と女王様を連れて誰が悪いかを宣言しながら城に行くのがね『この国の真実を俺は見極めた! 城を占拠する邪教集団を女王たちと協力して駆逐した!』ってね」

「そ、そんな! おい!」

と、錬がラフミに顔を向けるとラフミはいつの間にか姿を消していましたぞ。

「どこに行ったぁあああああああ! ラフミィイイイイイ!」

「間違いなく楽しんでいるなのあいつ」

ライバルが逃げたラフミの事を言いながら呟きましたぞ。

こうしてモグラの巣で錬の叫びが木霊したのでしたな。

そんなこんなで婚約者とフィーロたん、虎兄妹は安全な拠点にポータルで移動して貰い、女王とクズを連れて俺たちは急遽城の奪還をすることに決まったのですな。

ヴォルフが来るかと思いましたが、ヴォルフはシルトヴェルトの勇者なのでその場に居ると問題があるという事のようですぞ。

で、ウサギ男を連れて行くようですぞ。

「流れで自然ではありますが……ボクが同行して良いんですかね?」

「留守番させても良いんだけど樹が何か仕出かしそうになったら止めて欲しいんだよね」

「止められるものなら止めてみてくださいよ。フフ」

「無茶言わないでくださいよ……」

ちなみに勇者パーティーという事で錬の仲間とは合流することになりましたぞ。

それと女王が率いた軍も国内に移動させて城を占拠して開城後に大々的に城下町で喧伝を行うらしいですな。

普段は国境辺りでドンパチ、その際に三勇教の連中を捕縛が流れでしたが今は奴らは城を占拠している状態らしいのですぞ。

「なんで俺がこんな事を……」

錬の足取りがとても重い様子ですぞ。

「レン様! 頑張りましょう!」

「ここを乗り越えればレン様こそ最強の勇者です!」

「うるさいお前等!」

錬はどうもイヌルトだった頃の仲間たちの態度から距離が離れてしまっているようでお義父さんを盾にして文句を言ってるのですぞ。

「あはは……何にしても、俺は顔を隠しておいた方が良さそうだからローブを羽織っておいてっと」

お義父さんは顔を隠すように深々とローブを被りました。