軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

見知らぬ誰かの為に

「逆に波を無視して被害をしっかりと出して、勇者が必要だと見せつけてやった方が良いんじゃないですか?」

「うーん……」

「だって高等存在人間様方は波を乗り越えて理想の世界にさせるのでしょう? 頑張って自分たちで解決させたら良いじゃないですか」

「まー……樹が言いたいことはわかるんだけど、次の波の場所って元康くんの話だと変幻無双流の老師の村が近いらしいんだよ」

「ああ、ラーサズサさんのお祖父さんの稽古仲間のあの方ですね」

「だから出来れば迅速にさ、収めておきたいかな」

「ですぞ」

ライバルの出現を阻止するのですぞ。

脳内でお義父さんがお前は話を聞かずにライバルの出現阻止しか考えてないだろと指摘してますが、結果が同じなら問題ないのですぞ。

「しかしまあ……エミアさんもそうですし、あの王に噛みついたリザードマンの彼もですけど、あんなひどい目に遭っているのに見知らぬ誰かの為に波に挑んで被害を抑えたいって凄いですよね」

憧れるような遠い視線で樹がポツリと呟きました。

「いくら酷い目にあっても……この世界で大事な人が居るから波の被害を抑えたいって戦うんだよ。樹、君だってそうだろう?」

「そうですね……僕も参加しておきましょうかね」

不参加を検討していた樹ですが参加したいとの様子ですぞ。

「手加減せずに一気に片づけるので樹の出番は無いですぞ?」

「まあ、教わった強化をしっかりと使えば波なんて容易いのはわかってますけどね」

「樹は波に参加も良いけど……ゼルトブルでイミアちゃん達の親戚が入荷され始めたからそっちの方で色々と話をしていてくれたりしない? 樹には良いかもしれないよ」

ああ、そういえば忘れてましたがモグラたちがどうやらゼルトブルに色々とあって到着したみたいですぞ。

なのでお義父さんがモグラを連れて各奴隷商の売買ルートに顔を出しているのですな。

「確かにそれは魅力的な提案ですね。錬さんはどうなんです? キングアゾットが出撃ですか?」

「その名前を呼ぶのをやめろ! こんな姿で参加できるか!」

「出来なくはないと思いますよ? だって勇者の仲間枠で出れば良いじゃないですか。よく似た子もいるでしょうに」

錬とキールのコンビですな。

ちなみにルナちゃんが錬とキールを交配しようとしている件で、お義父さんにお説教されましたぞ。

俺と一緒ですな。

長いお説教でしたがルナちゃんは全く引いてませんぞ。

「嫌だ。俺の偽者が活躍している所なんて見たくない」

「錬はしょうがないかもね……わかったよ」

「尚文はどうなんだよ」

「さすがに指名手配を王様が解除しようとしてるのに阻止されている状況でノコノコ姿を現すのってどうかと思わない? ぶっちゃけ元康くんと樹で速攻で解決した後に離脱だろうし、後処理はラフミちゃんにお願いするかな」

俺一人でも即座に終わらせますぞ。

なのでお義父さんの出番はメルロマルクに留まったループのようにありませんな。

「それより気にしないといけないのはシルトヴェルトの方ですぞ。好機と見て攻める気はないのですかな?」

メルロマルクに留まったループでは好機と見て攻め込んで厄介な状況になりましたぞ。

「それは今の所ないね。ヴォルフがあっちで色々と宣伝してるのもあるし、こっちがその……売った奴隷でガス抜きされてるっぽい。というより、連れてった奴隷で実質侵略しちゃってるような感じで満足してる流れかなぁ?」

少しばかり後ろめたいとばかりにお義父さんは視線を反らして言いましたぞ。

「本当、あっちは満足してるみたいだよ。改めて思うけどやっぱり俺達悪人プレイだよね」

どうやらシルトヴェルトは問題ないのは何よりですな。

「むしろここまでメルロマルクをボコボコにしちゃって隣国から責められないかの方が不安かなぁ。一応、エレナさん経由でバイオプラントを広めてるから食料関連は改善傾向にあるらしい」

「何かあったらキングアゾットが鎮圧に走るでしょう。どっしり構えれば良いんですよ。勇者がこんなに揃ってるんですからどうにかなりますって」

「まあ、そうだね。罪悪感が半端ないから怖すぎるよ……こう、呪われてやばいとかありそう」

環境としては四聖勇者全員がここで話をしているのが良い証拠ですな。

さらにヴォルフはツメの勇者としてシルトヴェルトの暴走を抑えている。

三勇教が好き勝手道化を演じて国民を扇動している以外は全く問題ない状況ですぞ。

お義父さんがワシとか仰るようになるかの可能性はありますが……見た所問題なさそうですぞ。

後は……本当に第二の波でライバルが来られない様にするだけですぞ。

文字通りボスをリスキルしてどれだけ足早に仕留められるかが目標ですな。

「奴隷のみんなも波で戦いたいって気持ちはあるから良い機会ではあるんだけどね」

「文字通り楽勝ならば娯楽になりえますよ」

「危ない傾向なのかなぁ? シルトヴェルトの方の波でガス抜きして貰おうかな」

「僕も将来の為にそっちで顔を売っておきたいですね」

「樹はシルトヴェルトに興味持ち過ぎだから……話によるとルーモ種ってあっちで評価低いからエクレールさんのお父さんの誘いを受けて移民したんだよ?」

「ではルーモ種の評価を見直させましょう。僕の使命にしても良いですね」

「前向きだけどなんか違う気がするなぁ」

なんて感じに和やかに波の作戦会議は進んだのですな。

そうして波が発生する日ですぞ。

当然の事ながら俺はユキちゃんとコウ、他にフィロリアル様をくじ引きで選んで連れて来てますぞ。

そのフィロリアル様に乗って、樹とストーカー豚、それとウサギ男が同行する事になりましたぞ。

ラフミと錬の仲間も来るそうですが、高みの見物をする様子ですぞ。

「ウサギ男、お前は来なくても良いのですぞ?」

「わかってますよ。ですが何かあった際に弓の勇者をリーシアさんと説得してくれと岩谷様に頼まれましたし、これ見よがしに弓の勇者がボクを連れてくるんですよ」

「流れですよ。良いじゃないですか、ボクがどれだけ成長して尚文さんの思想に賛同したかを見せつけたいんですよ」

「賛同してるとは言い難いと思いますけどね……はぁ……」

ウサギ男も樹に目を付けられてるのですな。

「間違っても戦場で恨みのある相手と間違えてボクを射抜くために連れてるって事じゃないと思いたいですね」

「……」

「そこで黙らないでくれないですか? どんだけウサギが嫌いなんですか貴方は!」

「そこまでウサギ自体は嫌ってませんよー」

「どうだか」

「ぶえぇええ……」

樹たちは何やらコントをしているようですぞ。

面白さはわかりませんな。

「これから波が起こるのですわね?」

「そうですぞ」

「コウ達は何をしてれば良いの?」

「魔物が出てくる前に波の亀裂の方へ走るだけですぞ」

このやり取りはメルロマルクに留まった時と変わりませんな。

「そっかーそれで近くの村の子供たちが怪我しないならコウ頑張るー」

おお……ゾウの教育で被害を出さないために頑張るとコウが仰るようになっていらっしゃいますぞ。

なんてお優しいコウに育ったのですかな?

今までのループで一番お優しいコウかもしれませんぞ。