軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

夢操作

「で、ですかな?」

ラフミはフッとニヒルに笑いますぞ。

「言ったであろう。別に私はお前の邪魔をするために来たのではない。愛の守護者としての役目をしているだけでそれ以外に関しては気まぐれに対処すると。基本的にはお前の味方だ」

「それがどうして協力するのですかな?」

「ここでお前の弱みを握った所で何かある訳ではあるまい? ならば証拠を消すようにこいつが夢を見ていたという事にしておいた方が……面白そうだからだ」

何処までも気まぐれな奴ですぞ。

何はともあれ、手伝ってくれるのなら利用するだけですぞ。

ラフミは幻覚魔法まで使用して移動先の確保をしてくれましたな。

そんな訳で俺はラフミと一緒にウサギ男を寝床にぶち込んだのですぞ。

で、ラフミが寝ているウサギ男の額に手を当てて幻覚を施していたようでした。

「う!? ううう……ううん……」

ウサギ男が少しばかり苦しそうな寝言を言いましたがやがて静かになったのですな。

「これで寝ぼけていたのか真偽は曖昧になるだろう」

脳内でお義父さんが警備がザルすぎるぞ、このキャラバンと仰っているような気がしますが気のせいですな。

「次は見つかるなよ? ばらす時は盛大に暴れて愉快爽快、だ。ワザワザウサウニーになって遊んでいるのならな」

「うるさいですぞ。余計なお世話なのですぞ」

「何にしてもさっさと元に戻っておいた方が良いのではないか? 我々は盾の勇者に相当疑われているしな。時々チラチラと見ているぞ、ウサウニー」

く……腹立たしいですが遊びはこれくらいにして戻っておくのが無難ですな。

お義父さんは俺を疑ってなどいません。

という訳で樹の尻尾の治療を終えてその場は解散となったのですぞ。

翌朝の事ですぞ。

「尚文さん!」

朝食の準備をしていたお義父さんの所に樹が駆けてきましたぞ。

尚、少し前に相変わらず錬の絶叫がテント内に響き渡りましたな。

今朝はキールではなくルナちゃんの羽毛に包まれて寝ていたようですぞ。

「おはよう樹、昨夜はよく寝られたかい?」

「それ所じゃないですよ! 見てください」

とばかりに樹が自らの再生した尻尾をお義父さんに見せましたな。

「どうした、樹」

ここで錬もルナちゃんの羽毛に埋もれて顔だけ出して来ましたな。

「どうしたもこうしたも……一体どうしてそんな恰好なんですか!」

「聞くな! わかってるだろ!」

「ああ……暑そうですね」

「うるさい。それで……」

錬も樹の尻尾に気づいたようですな。

「トカゲみたいに尻尾が再生したのか?」

「知りませんよ! リスってそんな性質があるんですか?」

「尻尾は切れやすいから注意が必要で、切れたら再生とかする話は聞かないけど……異世界だしなぁ」

お義父さんの豆知識ですな。

「今までこんな事はまるで無かったのに一体どういうことですか?」

「さすがに俺もそこまではわからないよ。コウが随分と心配していたけどさ。えっと、エミアさんとリーシアさんに報告した方が良いよね」

「あの二人とは別に就寝していきなりこれはどういう事なんでしょうか……」

「くぬ! ルナ! さっさと離せ! ウィンディア! ガエリオン!」

錬が叫んでいると助手と親が入ったライバルのボディが騒ぎを聞きつけてやってきました。

「ルナちゃん。レンちゃんを離して、嫌がってるじゃない」

「ウィンディア! 俺をちゃん付するな!」

「ギャ、ギャウ!」

ライバルの親が弱めに威嚇してますぞ。

まだ強化が不十分ですから強さを測りかねているのですぞ。

「カワの尻尾が綺麗になってるー可愛いー」

「わ! 僕まで羽毛に収めるつもりですか! させませんよ!」

ルナちゃんに構える樹に俺は阻止すべく間に入りますぞ。

させませんぞ。

どうも樹は手が早くなってますな。

「ぶー……可愛いのにー」

「はーなーせー! くそ! キール! キールは何処だ!」

「昨夜はラーサさんの村でラフタリアちゃん達と寝に行ったよ」

「ルナ! お前はキールの方に行ってろ! なんで俺なんだよ」

「えー……キールくんが一昨日一緒だったから最近、お出かけしていたアマの方に来ただけー」

キールがメルロマルクの演目に参加しない時はパンダの村に居る時がありますからな。

そういう時は別々で就寝なのですぞ。

「錬さんの問題は日常なので後にしてください」

「後にするな! く……離せー!」

ルナちゃんと助手、ライバルの親たちのやり取りを他所に樹はお義父さんに尻尾の謎の解明をしようとしてますぞ。

「尚文さん。何か心当たりとかありませんか?」

お義父さんは俺の方をチラッと見ましたがすぐに視線を戻しましたぞ。

「うーん……むしろ樹こそ何か無いの? 治る直前に痒かったとかさ」

「特には何も……昨日も就寝して横になった所までは覚えて居ますが……」

ぐっすり寝ていましたからなぁ。

実に隙だらけでした。

何せウサウニー姿の俺の接近に全く気付かない程の間抜けな様でしたからな。

「う、うん……ふわぁあああああ……」

ウサギ男がそこでノロノロとあくびをしながらやってきましたな。

「ああ、テオ。おはよう。今日は随分と寝坊したね」

「気づいたらこんな時間になってまして、しかもまだ眠いんですが……ふわぁあああ……」

「夜更かしでもしたの?」

「そんなはずは……とは思うのですが、どうもいつ寝たのか思い出せなくて……」

「子供ですか、貴方」

「うるさいですね。そんなのボクの勝手でしょうが。それとも寝ちゃ悪いんですか?」

両者、にらみ合いをしていますな。

「二人とも口調が似てる似た者同士だから喧嘩しちゃう感じ?」

「似てません。僕は正義なんて下らないものは捨てました」

「傲慢な事をしていた罰ですよ」

「それも以前の樹が言いそうなセリフだね。テオ」

「「う……」」

ウサギ男と樹が各々ぐうの音も出ないとばかりに呻きましたぞ。

「過去の事です。僕は僕の信じた事をするだけであって正義なんて下らないともう思ってます」

「それで、見た所尻尾が再生しているようですが何かあったので?」

「知りませんよ。朝起きてたらこうなっていたんです」

「リスーカとやらの特殊能力ですか?」

「そんな能力があったらすぐに再生しているのでは?」

「それもそうですね……」

ウサギ男がそんな樹を見ながら何度も小首を傾げていますな。

「どうしたんですか?」

「いや……昨日見た夢なのか何なのかわからないのですけど、川澄さんが寝ている区画で何やら声が聞こえたような気がして様子を見に行ったような夢を見た気がしましてね。そこから何故か岩谷様が女体化して――」

「ちょっとテオ? 一体何の話をしているのかな? 夢の内容を話すにしても言って良い事と悪いことがあるよ?」

ハッと我に返ったようにウサギ男は口に手を当ててましたぞ。

どんな夢を見ているのですかな!? このウサギ男。

お義父さんが女体化ですかな?

俺がスリープランスで突いた所でそんな冒涜的な夢を見ているとは不届き者も良い所ですぞ。

とは思いましたがラフミが幻覚をウサギ男に放ってましたぞ。

つまりラフミによる夢操作ですぞ!

「あなたの夢の内容なんて激しくどうでも良いのでしなくて結構です」

「おはようヴォフー……」

で、そこでヴォルフがワニ男との朝練を終えてやって来ましたな。

人が多すぎますぞ。

「ヴォフ、尻尾生えてる」

「五月雨で来ないでください。説明しませんよ。察してください」

ヴォルフが再生した樹の尻尾をクンクンと嗅ぎますな。

「ヴォフ? ちょっと焦げ臭い」

ファイアヒールの副産物ですかな?

樹の皮膚を軽くあぶってしまった匂いが付いているのかもしれないですな。

俺の匂いは当然ながら周囲にあるのでかぎつけるのは不可能でしょう。