軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

親戚

「じゃあキールくんの兄弟? 家族?」

「知らねえよこんな奴。俺の親戚にこんな子見た事ねえよ」

「まあ、勇者だからね。キールくんの親戚じゃないよ」

「じゃあこれは、これはきっと運命の出会いだよ、キールくん!」

「はあ?」

「何が運命の出会いだ! お前も運命<ディスティニー>とか言う気か!」

それはクロちゃんですぞ。

ルナちゃんは目をとてもキラキラさせながらキールを抱えたまま錬へとびかかりましたぞ。

「うわ!? な、なんだ!?」

しっかりと強化済みのルナちゃんの速さに錬は追いつけずに抱えられてしまいましたぞ。

ギュッとそのまま抱きしめられてしまいましたな。

もちろん、キールも一緒にですぞ。

「ぎゃああああああ!? 埋まる!? 羽毛が絡みついてくる!? どうなってるんだ!?」

「はなせー! ルナちゃん! 俺をまた捕まえてどうする気だ! ぎゃああああ!」

「むふふふー……可愛いキールくんたちが増えたー。みんなに見せて愛でるー」

「だ、だれか! 助けてくれ! く! はああ!」

錬が抵抗とばかりに剣を振りかぶりましたが強化されたルナちゃんの羽毛を切ることは出来ずに絡みつかれてしまいましたぞ。

「も、元康! フィロリアルって事はお前が飼い主だろ! 助けろ」

「槍の兄ちゃんに助けを求めても無駄だ! ここは……兄ちゃーん!」

「ル、ルナちゃん落ち着いて!」

お義父さんがご機嫌のルナちゃんを止めようとしますがルナちゃんはニコニコで止まる様子はありませんぞ。

「ウェルト、バク――」

錬は流れるように仲間に助けを求めてはいましたが、その仲間たちはラフミとクロちゃんの方を見てたのとルナちゃんの羽毛で声が聞こえなかったようですぞ。

「うううう……」

錬の肉球の付いた手が悲しく空を切りますな。

「ラ、ラフミ!」

忌々し気に名前を呼んだ所で錬の影武者をしているラフミではなく別のラフミが近くに現れて答えますぞ。

「ほう……これがキールか。確かによく似ている。アゾット、ルナとキールと仲良くするが良い。私の最初の製造目的はアゾットの健やかで幸せな未来だ。幸せなクリスマスの為のな」

何やらラフミが前にも聞いた事のあるような話をしてますな。

「ふざ、けるな! 早く助けろ!」

「アゾット、世界は違っても私はアゾットの恋を応援している。両手に花、しっかりと仲良くするが良い」

「面倒なクロが離れたら次はこれとかいい加減にしろ! はなせぇええええええ!」

と、ルナちゃんに抱えられて錬はそのままテントの奥の方へと連れていかれたのですぞ。

そういえばブラックサンダーに覚醒させられた錬で思い出しましたがフレオンちゃんと再会したループではラフミなどは来ませんでしたぞ?

ふと思い出すと……クリスマスにはキールが開いたパーティーに錬が参加していたような覚えがありましたなー。

「と、とりあえずルナちゃん宥めないと! 元康くん一緒に来て!」

何にしても居場所がないのと執拗にルナちゃんが声をかけるので半ば諦めた錬がサーカステントで生活することになったのですぞ。

ああ、錬の影武者としてラフミが錬のパーティーの指揮をクロちゃんと共にしてましたな。

錬がルナちゃんに捕捉されてペット枠として滞在する様になって少し経った頃ですぞ。

「今日も勝ててよかったね。どう? ゼルトブルのコロシアムに出る気分は」

パンダの祖父や老婆の助言を受けていたワニ男がゼルトブルのコロシアムで腕試しをしたいとお義父さんにお願いしてここ数日参加したのですぞ。

そんな訳でお義父さんやウサギ男がコロシアムの付き添いをしているのですぞ。

俺も参加しますかな? と聞きましたが出なくても良いと言われたのでフィロリアル様のレースをユキちゃんと見てきたのですぞ。

やはりフィロリアルレースはユキちゃんの血が騒ぐようでワクワクしておられました。

いずれ出られますぞとユキちゃんと約束しましたぞ。

その後、ユキちゃんはフィロリアルレースの舎近くに興味があるとの事で俺を置いて行ってしまいました。

学べる所があるという事でしょうかな。

後で迎えに行きますぞ。

「無駄に力を誇示するというのは好みではないが世間を見るという意味では勉強になる……教え役や同僚がみんな猛者だからあまり学べるものは無いけれどな」

覚えるのは相手の卑劣な戦い方だけだとワニ男がため息交じりに答えましたな。

ちなみにワニ男が世話をするエクレアの方は老婆たちとの稽古に夢中になってましたな。

女王が帰還するまで、お義父さん達のサーカスの手伝いをするという事で剣舞なんかを披露する役を一応するとの話ですぞ。

エクレアが加入したお陰でシルトヴェルト方面での支持もそこそこ向上したとかなんとか、ですな。

あんまり支持を上げすぎると好機とみて戦争になりかねないので最低限というのは変わりませんな。

まあ、エクレアは友好を築くことに意識する派閥であるので過激には動く支持は無いだろうとの話ですがな。

「みんな猛者だからねー」

師事をするのは老婆にパンダの祖父、そして同僚にはパンダやゾウ、エクレア、そしてヴォルフにウサギ男ですぞ。

お姉さんのお姉さんも時々参加してますな。もともと実力者故にパンダとゾウと組み手をしている感じですぞ。

パンダ曰く、こんなやつが何でゼルトブルに居ないのかと驚いてましたぞ。

場合によっては出会えるのですがな。

その晩に酔いつぶれてお義父さんにお姉さんのお姉さんを押し付けるようになりましたがな。

「言ってはなんだが、世界でも五本の指に入る猛者たちから教わっていると思っている。それくらい揃ってるだろ」

パンダもゾウもゼルトブルで名のある闘士ですぞ。

「何だかんだラーサさん達って有名人らしいからね。可愛いパンダなんだけど」

お義父さんがパンダの感想を述べてますぞ。

確かにお義父さんはパンダを相当気に入ってますな。

「さっき帰りがけに見た気がする。酒場で浴びるように酒を飲んでいたぞ」

「あー……家族が近くにいると緊張するみたいだね。お爺さんが凄く元気に稽古してて付き合わされるしサーカスの手伝いもあるからさ、明日は闘技場に出場するって言ってたよ」

「気持ちはわかるような気がしますね」

「ヴォフ」

お義父さんはそんなワニ男の試合を見学しつつヴォルフがどういった経緯で奴隷になったのか、ウサギ男の病に効果的な技術が無いかとゼルトブル内での情報を仕入れていたようですぞ。

「元康くんもコロシアム出る?」

「この時期に出た事がありますぞ。仮面をかぶり、フィロリアルマスクとして有名人になるのですな! 賞金を稼げというのならいくらでもしますぞ」

懐かしいですな。ループを再開した時にお義父さんの為に出場したのを思い出しますぞ。

遠くからお姉さんの村の者たちを購入するためにお金稼ぎをしたのですぞ。

とはいえ、奴隷商人としてメルロマルク内を回っている現状、お姉さんの村の者たちはかなり集まったとの話ですな。

「金銭はまあ……売買で潤沢だからそこまでは困ってないよ。腕試しにどうかな? って所」

「槍の勇者が出場すると自分たちが絶対に勝てないぞ」

「くーん……」

お義父さんの質問にワニ男たちが意見しますぞ。

なんですかな? お前ら等など容易く全滅させれますぞ。

「どちらかと言えば初出場時に全財産を賭けて大きく儲けるのはどうでしょう? それが無難かと」