軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

サーカスパンダ

「で、あたいは何をすりゃあいいのさね?」

すねたようにパンダが酒を飲んでからお義父さんに尋ねましたぞ。

「メルロマルクの方でサーカスをしてるんだ。その手伝いに文字通り客寄せをしてほしいってのが仕事になるかなー」

「それ以外にお義父さんの護衛ですぞ。しっかりとお守りし、夜のお世話もするのですぞ」

「元康くん! まだ言ってるの!?」

お義父さんが俺を注意してきますが大事なことなのですぞ。

「親の目の前でそんな話をされても困るでしょうに、逆効果だよ」

おや、そうですかな?

俺の場合は金持ちの家に案内されたりして親とか親戚に顔合わせすると紹介されることが結構ありましたぞ。

もちろん反対する流れもありましたが事前に親と何らかの出来事で知り合って居て気に入られていると付き合いをするのを大々的に許可される事もありましたぞ?

まあ、あくまで付き合いでその先までに行くかは未知数な感じではありましたがな。

既に親と祖父と親しくなっているので障害は少なめではないかと思いますぞ?

「ははは、この子と気があったら仲良くしてくれたら良いと思うさね。むしろ良かったらこの子の世話をして欲しいくらいさね」

「かってに決めないで欲しいねえ!」

どん! っとパンダがテーブルを叩きますぞ。

「まあ、少し話をしてから決めれば良いさね。時間が十分にあるさね」

「ったく、なんで見合いみたいになってるさね」

「あー……確かにそうだね。この場合、元康くんが俺の仲人になるのかなー?」

「そうですな。上手く縁談が行くように進めますぞ」

「だから勝手に決めるんじゃないよ!」

ふむ……パンダも何だかんだ頑固ですな。

前回のループでは最終的にはお義父さんにかなり甘えているようになっていたので問題ないはずですぞ。

どうやらパンダの好みのタイプはお義父さんらしいのですからな。

泥酔すると思いっきり本音と惚気をしていたので間違いないですぞ。

ふと気になったので深く思い出してみますぞ。

パンダがなぜお義父さんが好みなのかというと……どうやら初恋の相手である虎娘たちの父親にお義父さんが何処となく似た雰囲気を持っているというのがあった気がしますな。

つまり最初の印象はとても良いという事らしいのですぞ。

何より、お義父さんがパンダの事を知れば大体仲良く出来ていた気がしますな。

揶揄ったりしても怒りはしても嫌悪までは行きませんでしたぞ。

ま、俺としては早めにお義父さんの童貞を卒業させてやってほしいですな。

お義父さんもかなり奥手ですからな。

お姉さんのお姉さんとなら割と早い段階で関係を持つかと思ったのですがこの周回では上手く行ってませんぞ。

ううむ……ライバルが何時出てきてもおかしくないのでどうにか早めに卒業する手段を模索してパターンの構築が必要なのですぞ。

俺の記憶の中での最短はおそらく冤罪から助けられなかったお義父さんでお姉さんのお姉さんと早期に出会うループですぞ。

それ以外だとかなり遅れて困りますな。

アレですかな? そういったことに興味津々って所で経験豊富なお兄さんを装いつつ、良く知る店って流れでそういった店を紹介しお義父さんと店の豚を会わせて金を払う……。

興味はあるので問題なくお義父さんは経験をしてくれそうですぞ。

「お義父さん、パンダは乗り気ではないようですから今夜あたり歓楽街に遊びに行きますかな?」

「元康くん? そんな所に俺を連れて何をさせたい訳?」

「そりゃあお義父さんの童貞をその道のプロに卒業させて貰うのですぞ。勇者たるもの経験は大事ですからな」

「さすがにそこまで剛速球でお願いされても対応に困るよ。さすがに勘弁」

ううむ……もうこの段階のお義父さんは興味がない、いや……興味はあるけどやる気は薄めなのですな。

やはり仲良くなった相手と経験したいという事のようですぞ。

中々歯がゆいですな。

「こんな奴とどうして仲良くしてんだい」

パンダが頭を抱えながら養父と祖父を各々見ますぞ。

「確かにちょっと問題はあるけど悪気はないさね」

「強さは何物も凌駕する」

養父と祖父がパンダのセリフをバッサリと切り捨てましたな。

「何より盾の勇者様は道徳を持っているさ。ラーサ、お前の健康を考えた料理を一緒に考えてくれたから後で一緒にご飯を食べよう」

「味は保証するぞ。ワシの好みの味作りで遊んでいたくらいだからな」

「はぁ……」

「ちなみに酒の強さは相当だぞ。おそらくお前は何があっても勝てないから覚悟をしておけ」

「はいはい」

なんて感じにパンダは家族で雑談をしながらお義父さんをチラチラとみておりましたぞ。

確かに……言っては何ですがこのパンダ、初対面では結構な頻度でお義父さんを見てますな。

最初に出会った時もお義父さんがパンダと指さしてすぐに反応してましたぞ。

あんな外野に指さされただけで気にしますかな?

そういった意味ではお義父さんに関して何か感じていたのかもしれないですぞ。

「ったく、エルメロ……」

「さっきも言ったでしょ? ここは素直に従った方が傷が浅く済むわ」

ゾウはフォローとばかりにコウとフィーロたんの相手をしながらパンダの愚痴を受け流していますぞ。

「絶対にあんたに仕返ししてやるからね」

「安心しなさい。近い未来で私も似たようなことに巻き込まれるのが約束されてるから……」

遠い眼をするゾウを見てパンダは何やら察したように眉を寄せていましたな。

「あんたは一体どんな弱みを握られたんだい……」

「まー……元康くんは随分と詳しいみたいだからね。エルメロさんの実家に関して……」

「どんだけだい。というか本気でどうやって知ったんだってんだよ」

「ループしてますからな」

という訳でパンダにはある程度ループで知ったと説明することになりました。

何にしてもこれでパンダを雇用してサーカスの客寄せパンダになりました。

パンダの祖父がしていた仕事を引き継いでピエロ……クラウンをすることになったようですな。

化粧で随分とパンクな感じにデコレーションするのですが、どうやらこの手の化粧をパンダはそこそこ気に入っているのかやってましたぞ。

「こんな感じさね?」

目のぶち模様を星にしたりしてましたぞ。

更に下にはピエロらしく涙とかも書き込んでいたのですぞ。

「あ、なんかカッコイイ感じだね。ただ、俺としては素のラーサさんでも良いよ」

「は、恥ずかしくなるような事言うんじゃないよ!」

赤面したようにパンダがお義父さんに怒鳴ってましたな。

「で、入り口で玉乗りからのお手玉さね……ったく、こんな曲芸勘弁してほしいさね」

とか言いつつパンダは卒なく玉乗りし始めますぞ。

「おー! 凄い凄い。よくできるね」

「この程度、造作もないさね」

このパンダ、中々芸達者ですからな。

一輪車で綱渡りとかもきっと出来ると思いますぞ。

まあ、パンダの祖父も綱渡りはよくやってますな。棒を持って演舞をしてましたぞ。

「なんていうか確かにラーサさん。上手だね。元康くんが勧誘したがるのも納得できる人材だよ」

投げナイフなんかも得意なのでパンダはその辺りの興行での成績は祖父より上手くやり遂げてますぞ。

部下たちも火の輪くぐり等をしてましたな。

大分演目が増えてきた印象を覚えましたぞ。

ちなみにゾウは全身真っ白になったりしていましたぞ。確か小麦粉を被ったのでしたかな?

俺もドライブモードがお披露目されるのも時間の問題ですな。

他に副産物的な要素として発見があったというと、お義父さんとパンダ、それとパンダの養父の三人がサーカスに参加すると三人で料理をしている姿が多くなったところでしょうかな?

「食材飛ばしますよー」

「こっちもさねー代わりにこれを渡すさねー」

「ありがとー」

厨房でお義父さんとパンダの養父が一緒に料理していると食材が宙を飛んで行って間に入れなくなってしまうのですぞ。

宙を舞いつつ鍋に落ちたりする食材ですな。この中にパンダは平然と入って行けるのですぞ。

「ちょっと貰うさね」

中華鍋で飛び交う食材を一部貰って炒め料理をしたりするのですぞ。

確かに料理の腕前はお義父さん達に劣りますがあの輪の中に入っていられるというだけで相当の実力を見せつけるのですな。